転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0636話

「で、何故捕獲したパイロットをシロガネの一画に閉じ込めて、他の者達に会わせないようにしているんだ?」

 

 シロガネのブリッジ。陽光へと戻る途中で一息を入れていた時に、ふとムウがそう尋ねてくる。

 

「聞いた話だと、世話やら何やらは全部量産型Wにやらせているそうじゃないか。映像越しに見た感じだと確かにパイロットとしては凄腕なのかもしれないが、普通の女の子に見えたぜ?」

 

 その疑問は他の者も同様なのだろう。ブリッジにいた者達の不思議そうな視線が俺へと集まる。

 そして当然その中にはコーネリアの視線もある訳で。

 

「……ギアスというのは、人間以外の存在には効果が無かったのだな?」

 

 量産型Wにのみ直接の接触を許可したと言えば、当然コーネリアもそう判断する訳だ。

 溜息を吐き、コーネリアの質問に頷いて口を開く。

 

「そうだな。だが、前もって言っておくが、あのアーニャ・アールストレイムという女がギアスを使う訳じゃない」

「どういう事だ? ギアスを使うから隔離して量産型Wのみに接触させているのではないのか?」

 

 さて、どうするか。コーネリアにアーニャの件について教えてもいいものかどうか。何しろ、コーネリアは生前のマリアンヌを尊敬、あるいは憧れていたのだ。心酔の域にまでは達していなかったようだが、それでも慕っていたのは間違い無い。

 

「話を聞いても暴走しないと約束出来るか?」

「暴走?」

「ああ。俺はお前の事を信頼している。だが、それだけに真相をお前が聞けば暴走するんじゃないかと考えているんだ」

「……それ程の事だと?」

「そうだな。少なくてもお前にとっては一大事な話だろう。……それでも聞くか?」

 

 その言葉にコーネリアは数秒考え、やがて頷く。

 

「ああ、教えて欲しい。ナイトオブシックスの彼女に何があるのかを」

 

 決意は固い、か。なら話した方がいいだろう。それにブリタニアという国がどんな存在であるのかを理解した今なら、あるいはそれ程の衝撃を受けないかもしれないな。

 

「まず前提条件を確認しておく。ブリタニアでお前の父親でもあるシャルルがギアスを研究していたのは既に知っているな?」

「ああ。当然だろう。それを全世界に告発したのは私なのだから」

 

 俺の言葉に、当然とばかりに頷くコーネリア。

 その様子を見ながら、説明を続けるべく口を開く。

 

「そのシャルルの寵愛を一身に受け取っていたマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。お前が尊敬している女だと思うが、その女がギアスに関して何の知識も無いと思うか?」

「……待て。それはつまり、マリアンヌ様がギアス響団に関係していたと?」

 

 さすがにこの言葉は予想外だったのだろう。コーネリアは唖然とした表情を俺へと向けてくるが、それに特に何も反応せずに説明を続ける。

 

「マリアンヌはシャルルの協力者。そして、当然ギアスについても知っていた。それだけではなく、ギアスすらも使えていた訳だ。そして、ギアスの効果は『人の心を渡るギアス』だ。簡単に言えば、相手に気が付かれないように憑依すると言えば分かりやすいか?」

「つ、つまり……」

 

 俺の言いたい事が分かったのだろう。どこか震えるように口を開こうとするコーネリア。

 そんなコーネリアへと頷き、決定的な言葉を口にする。

 

「そうだ。ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムの中にはマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが潜んでいる。己のギアスを使ってな。強制的にアーニャ・アールストレイムの意識を奪い取って身体を乗っ取る事も可能だ。……もっとも、そう長時間は不可能なようだが。そして、身体を動かせると言うことは、マリアンヌが新たにギアスを使用して他の相手の身体へと移り渡る可能性もあるという事になる」

「なるほど。それで量産型Wが世話役を任されたのか」

 

 俺の言葉に納得したのだろう。ムウが溜息を吐きながら呟く。

 

「そうだ。勿論サングラスやバイザーのような物を使えばギアスの効果は無いだろうが、念には念を入れるに越した事は無いしな」

「……そんな、マリアンヌ様が……」

「V.V.による襲撃を受けて瀕死の重傷を負ったマリアンヌだが、丁度その時にアリエス宮に行儀見習いとして預けられていたアーニャ・アールストレイムがいた。そして、死ぬ寸前にマリアンヌはギアスを使ってアーニャ・アールストレイムの身体の中に避難した。その後はずっとその身体に潜んだままで、最終的には捕まってここにいる」

「けどよ、じゃあどうするんだ? 一生このままって訳にはいかないだろ?」

 

 ムウの言葉に、ブリッジにいる者達が頷いている。

 特に自分の身体を他人に支配されるというのがスクール時代を思い出すのだろう。オウカの表情はどこか鬼気迫っていた。

 

「一応幾つか解決手段はある。まず、最も確実なのはギアスキャンセラーを使うというものだ」

「ギアスキャンセラー?」

 

 思わずといった様子で呟いたオウカの言葉に頷く。

 

「使用されたギアスの効果を全て消し去るというもので、それを使えばギアスを使ってアーニャ・アールストレイムの心の中に潜んでいるマリアンヌも消滅する事になるだろう」

「ギアスの効果を消し去る……だとっ!?」

 

 突然の大声。それが誰なのかは言うまでも無い。ギアスで最愛の妹を失ったコーネリアだ。

 

「そんなものがあるのなら……ユフィは……」

「コーネリア……」

 

 歯を食いしばり、強く握りしめた拳。そんな拳へとマリューがそっと手を伸ばして握りしめる。

 それでようやく気持ちを落ち着けたコーネリアに向け、俺もまた言葉を掛ける。

 

「ギアスキャンセラーというのは、ジェレミアが今の身体になった時に偶然その身に宿した力だ。もし存在を知っていたとしても、ユーフェミアの件の時には間に合わなかっただろう」

「……そうか」

「で、だ。そのギアスキャンセラーってのが確実なのは分かるんだが、そもそもジェレミアってのは黒の騎士団に送っちまったんだろう? なら他の方法を取るのか?」

 

 しんみりとしたブリッジの空気を変えようとしたのだろう。殊更に軽い口調で尋ねるムウだったが、その方法に思わず眉を顰める。

 

「何だよ、言えない程に危険なのか?」

「危険……そう、危険だな。ようは、アーニャ・アールストレイムの身体からマリアンヌを追い出せばいいんだ。それはつまり、憑依している母体が死にそうになって、このままでは自分も道連れになると考えられる程のな」

「それは……」

「で、いざ危険になればマリアンヌは確実な死から逃れる為、万が一の可能性に賭けてギアスを使うしか無い。例えその相手が人間では無い存在だとしてもな。いや、そもそもギアスの効果が無く、初めて相手が人間じゃないと気が付くんだ。そうなれば、もう母体から抜け出ているし、更には相手にギアスの効果が無いしで、恐らく行き場が無くなってそのまま消え去る事になるだろう」

「……なるほど。確かに危険かもしれないな。けど、それをやるのは量産型Wなんだろ?」

 

 ムウの、どこか確認するような問いに黙って首を横に振る。

 

「忘れたのか? 量産型Wはヘルメットを被って目を隠している。そうすればギアスは使えない。かといってヘルメットを取ってしまえば顔に埋め込まれている機械部品で怪しまれる可能性がある。それらを考えると、この方法を取る場合囮として使えるのは俺かレモンくらいしかいない。そして、レモンよりは俺の方が人外度という意味では上だからな」

「なら、俺は残念ながらその方法には賛成しかねるな。他に方法は無いのか?」

「そうだな。可能性があるとすれば魔法か。俺には使えないが、エヴァ辺りなら何とかなるかもしれないが……」

 

 それにエヴァなら俺と同じ人外であるが故に、ギアスの効果は無いだろうし。

 

「なら、1度エヴァに任せてみたらどう? それでも駄目なようならアクセルが言った方法しかないと思うけど」

 

 レモンのその声で他に誰かが異論を言うことはなく決定する。

 ……実は、もう1つだけ考えていた方法があったのだが。ようはマリアンヌが憑依した相手を殺せないのが問題なのであって、つまりは殺してもいい相手にマリアンヌを憑依させれば全く問題が無い。そして、ホワイトスターには誰にも忘れ去れているが、かつてSEED世界でブルーコスモスを率いたジブリールがいる。こいつなら死んでも構わないと言えば構わないので、動けなくしたアーニャをジブリールと一緒の牢獄に入れて、それでジブリールにアーニャを拷問すれば恩赦を与えるとでも言えば嬉々としてアーニャを痛めつけ、危険を感じたマリアンヌはジブリールに乗り移るだろう。その後、俺なり量産型Wなりを使ってジブリールを殺せば全てが丸く収まるんだが……さすがにこれは非道が過ぎる。捕虜の虐待云々的な意味でも、15歳の少女にする行為としても。

 俺としても気分は良くないので、これ以外にどうしても取るべき方法が無いという状態でもなければやりたくない。

 そして、今の俺にはそれをどうにかする方法は色々とある訳で。

 最悪、マジックアイテムで何かいいのを探すという手段もあるしな。

 

「さて、なら話は決まったし光明まで戻るとするか。マリュー」

「ええ。進路を陽光へ。それと、念の為に敵襲を警戒してASRSを使用します」

 

 マリューの言葉に従い、ブリッジにいる量産型Wが各種の機器を操作する。

 

「それと、戦場のKMFや軽アヴァロン級とかの戦艦の回収に陽光の部隊が向かっている筈だな?」

「ええ。戦勝報告も送った時に星刻さんがすぐにこちらに送ると言っていたわ。軽アヴァロン級もあるという事で、ターロンダンも出してくれるそうよ」

「張り切ってるな。まぁ、陽光にしてみれば回収した残骸の量でキブツを通して得られる物資も違って来るんだから当然だろうが」

「そうね。キブツで製造したり、あるいはSEED世界やネギま世界から買った食料を国中の街に配って、ようやく餓死者の数が減ったって話だもの。今は少しでも物資が欲しいんでしょう」

 

 俺とマリューの会話を聞いていたレモンが呟き、コーネリアもまた溜息を吐いて同意する。

 

「中華連邦の大宦官共が無能だとは知っていたが、ここまでだったとはな。正直、予想以上だ。国民を餓死させる程に税を取り立てるなんて真似をしたら、国の経済が回らないだろうに」

「確かにな。それを考えると、ある意味でイスルギ重工はより多くの者の事を考えていたんだろう。その対象が社員だっただけで」

 

 苦笑を浮かべつつスレイが呟く。

 そんな風に若干憂鬱な雰囲気になってきたところで、空気を変えようとしたのかレモンが俺へと声を掛けてくる。

 

「ね、アクセル。一応あのモルドレッドとかいうKMFを調べておきたいんだけど、構わない?」

「いや、それは別に構わないが……何か得られる技術があるのか? 肩の装甲が武器にもなるシュタルクハドロンは多少珍しいかもしれないが、ニーズヘッグのヒュドラの方がより進んでいる性能を持っているし、それ以前にニーズヘッグの攻撃で半壊しているしな」

 

 そんな俺の意見に、笑みを浮かべつつ首を振るレモン。

 

「確かに目新しい技術は無いわ。けど、コアルミナスのデータや、ブレイズ・ルミナスのデータはこっちにも蓄積が足りないのよ。特にブレイズ・ルミナスは指揮官用ヴィンセントで一部応用された武器が肘に仕込まれているけど、何事も基本が大事だしね」

 

 そしてレモンの言葉を続けるようにマリューもまた口を開く。

 

「それに、何事もデータは集めておいて困る事は無いでしょう? 蓄積されたデータというのは何の役に立つのか分からないものよ。全く関係の無い技術が他の技術のブレイクスルーの原因になるというのも、そう珍しい話じゃないしね」

「それなら、軽アヴァロン級やサザーランドの情報なんかもあった方がいいのか?」

 

 グロースターに関しては、グラストンナイツとギルフォードの使っていた完品をそのまま入手した事もあって問題無い。サザーランドやグラスゴーに関しても、ギルフォード達が合流する時にヴィンセント・ウォードやガレスと一緒に設計図や各種データは持ってきてくれたのだが、それでもある程度の実物はあった方がいいだろう。

 そう思って尋ねると、案の定頷く技術班2人。

 

「無ければ無くてもいいんだけど、あればそっちの方がいいわね」

「そう、ね。私としてもレモンの意見には賛成よ」

 

 こうして、取りあえず何機かのKMFの残骸と軽アヴァロン級に関しては陽光と交渉して1隻こちらで引き取る事になった。

 とは言っても、シャドウミラーの実戦で使えるようなレベルの機体ではない為に技術的資料のような扱いになるのだが。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:120
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:533

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