転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0643話

 EUの陽光への侵攻。その話を聞いた時、正直何故? という気持ちと、やっぱりという気持ちが混ざり合っていたのが俺の正直な感想だった。

 何故というのは、以前から陽光へと……より正確には俺達シャドウミラーへと擦り寄ってきていたのに、それを台無しにするような真似を何故したのか。正直な話、俺自身は衆愚政治の象徴でもあるEUに対して良い印象は抱いていない。だが、それでも中華連邦やブリタニアが俺達と敵対的に接している中で、唯一友好的に接してきたのだ。俺の感情はともかくとして、EUに対する配慮を考えないといけない時期になっていたのは事実だ。実際、星刻辺りからもその辺を多少は考慮して欲しいと言われていたしな。

 つまり、EUが陽光やシャドウミラーに対して不利益を与える行動を取らなければ、この世界で第2のシャドウミラー友好国として、そして世界に与える影響力を考えれば最大の友好国となれる可能性があったのだ。何しろ、陽光は建国したばかりの小国だ。いくらブリタニアに国土の半分を奪われたといっても、世界に与える影響力は陽光とEUでは比べものにならない。

 だからこそ、そんな時期に行動を起こしたのは不思議だった。陽光を通してその辺を匂わせるような発言をしているのだし。

 だが、それとは逆に納得出来るものがあるのも事実だ。最大の理由としては、何故今回の戦いで戦場をこの1地域に絞ったのか。それも、EUとの国境から遠い位置であるこの場所を。そして、敵にいるのはシュナイゼルとルルーシュ。それを考えれば、何故このような事態になったのかは容易に想像が付く。

 正面から戦えば、陽光はともかくシャドウミラーには絶対に勝てないと理解しているのだろう。その結果選んだ手段が、少しでもこちらの戦力を分散させる為にここで戦闘が始まった後でEUに陽光へと攻め込ませるという手段だった訳だ。

 EUは衆愚政治であるが故に、政治家は選挙や支持率を気にして国民の要望を聞かざるを得ない。その辺の情報操作や世論の誘導は、悪魔的な頭脳を持っていると表現してもいいシュナイゼルやルルーシュにとってはそれ程難しくは無いのだろう。

 そして、確かにその選択はこの戦況では間違っていないのだ。何しろ、ここから撤退する事になるとすれば、陽光は連合軍に蹂躙されるのだから。

 だが。……そう、だが。シュナイゼルやルルーシュの誤算は、俺とニーズヘッグがこの場に存在していた事。そして、ニーズヘッグにシステムXNというオーバーテクノロジーが搭載されていた事だ。

 

「星刻、EUに関しては俺が対応する。とは言っても」

 

 チラリとニーズヘッグの四肢をスラッシュハーケンで抑え込んでいる4機のヴィンセント・エアと、紅蓮、斬月、パーシヴァルへと視線を向ける。

 

「こいつらを始めとしてエースパイロット級が大量にいるこの戦場をそのままにする訳にもいかないしな。あくまでも本隊がこっちである以上、何かイレギュラーな事態があった時の為に俺がここにいる必要がある。それにEUの兵器ならパンツァー・フンメルだけだろう。シャドウとメギロートを連れてあっちを片付けた後はすぐに戻って来る」

「頼む」

 

 星刻がそう言葉を返した瞬間、オープンチャンネルを切って黙り込んでいる俺に我慢出来なくなったのだろう。パーシヴァルが右手のブレイズ・ルミナスをランス状にしながらニーズヘッグの胴体目掛けて突っ込んでくる。

 

「馬鹿が」

 

 呟き、ブラックホールエンジンからもたらされる出力を使い、拘束されている四肢を振り回す。するとどうなるか。答えは簡単だ。ニーズヘッグと繋がっているヴィンセント・エアが、スラッシュハーケン諸共に振り回される事になるのだ。そう、まさしくニーズヘッグの武器であるかのように。

 あるいは、力で無理矢理振り回さなくても、そもそもニーズヘッグには第2の腕ともいえるヒュドラがある。その先端にあるビームサーベルを使えば、スラッシュハーケンを切断するのは簡単なのだから。

 

『きゃああああああああっ!』

 

 再び付けたオープンチャンネルで、ヴィンセントに乗っているパイロット達の悲鳴が聞こえてくる。恐らくこの中には原作でもいたキューエルの妹とかもいるんだろうが……

 

『ふははははっ! お前の大事なものを寄こせぇっ!』

 

 ヴィンセントをまるで凧のように振り回しているニーズヘッグへと向かって、ランス状にしたブレイズ・ルミナスを突き立てんとパーシヴァルが襲い掛かって来るが……Eフィールドは突破したものの、その後に展開されているG・テリトリーを貫く事は出来ずに終わる。

 馬鹿が。ギアス世界で有数の攻撃力を持つ輻射波動ですら抜けなかった重力障壁を、その程度の攻撃でどうにか出来る訳がないだろうに。

 

「甘いな」

 

 呟き、両腕と両足に絡まっていたスラッシュハーケンごと振り回していたヴィンセント・エア4機を纏めてぶつかり合わせて……へぇ、コックピットブロックは無事に排出されたか。この辺、さすがパイロットの生存を重視したKMFだと賞賛すべきだろうな。

 

「ほら、お前の大事なものを、今度は俺に見せてみろ」

 

 スラッシュハーケンが外れて自由になった腕を使い、ニーズヘッグの3分の1しかない大きさのパーシヴァルを捕まえる。

 ブラックホールエンジンの出力をそのままに、パーシヴァルの肩へと力を入れていき……次の瞬間には両肩諸共握り潰される。

 

『馬鹿な、こんなデカブツを相手に……させてたまるか、人殺しの天才を舐めるなぁっ!』

 

 その言葉と共に、パーシヴァルの腰の部分からハドロン砲が……

 

「させるか!」

 

 呟き、T-LINKシステムを使い腹部の拡散ビーム砲を発射。数発程度はハドロン砲と打ち消し合うが、それでもブラックホールエンジンを始めとする多数の動力炉から産みだされる出力に対抗出来る筈も無く、パーシヴァルが身体中に拡散されたビームを食らい、機体が次々に砕け散っていく。

 

『うおおおおおおっ!』

 

 そんな雄叫びと共に、頭部の角がニーズヘッグへと向きを変えてスラッシュハーケンとして発射される。だが……

 

「無駄だ」

 

 そもそも、パーシヴァルの中でも有数の攻撃力を誇るブレイズ・ルミナスを使って作り出されたランスにしてもG・テリトリーを抜けなかったのだ。それなのに多少巨大だとしても、スラッシュハーケン如きで突破出来る筈も無い。そして案の定、Eフィールドに弾かれたスラッシュハーケンはあらぬ方向へと飛んでいく。

 

『馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なぁぁぁぁっ!』

 

 それがナイトオブテン、ルキアーノ・ブラットリーの最後の言葉となり、再び放たれた腹部の拡散ビーム砲によりコックピットブロック諸共世界から消滅するのだった。

 シン、とした空気が戦場に広がる。もちろん、それは俺のいるここに限った話だろう。事実、ニーズヘッグの映像モニタでは暁と戦っているメギロートや、そこに突撃して行っているヒュッケバインMk-Ⅲの姿が映し出されているのだから。

 

『そんな、ルキアーノ様が……ナイトオブテンが……』

 

 そう呟いたのは、誰だったのか。ルキアーノを様付けで呼んでいるのを考えると、恐らくハーレム部隊の一員なんだろう。白と桃色に塗り分けられたヴィンセント・エアはまだかなりの数がこの戦場に存在しているし。

 そのまま、唖然としているブリタニア軍、そしてナイトオブラウンズがあっさりと殺されるとは思っていなかった紅蓮、斬月へと向かって腹部の拡散ビーム砲を放つ。

 パーシヴァルを破壊した腹部拡散ビーム砲だが、それはあくまでもゼロ距離射撃だったからだ。この位置からでは、殆ど損傷を……ん?

 

『きゃああああっ!』

 

 さすがにこれは予想外。いや、ルキアーノが殺されたショックがそれ程大きかったという事か。ヴィンセント・エアの何機かが回避すらもせずにまともに拡散されたビームを次々に食らって機体を損傷し、コックピットブロックを排出後、そのまま地上へと落ちていく。

 同時に、離れていても決して油断出来ない威力だと理解したのだろう。周囲のKMFが全てニーズヘッグと距離を取り、包囲するように位置取る。

 

『藤堂さんっ! 何でブリタニア軍と協力しなくちゃいけないんですか!』

『落ち着け紅月君。君もたった今、自分の目で見ただろう。あの機体の能力を、シャドウミラーの代表でもあるアクセル・アルマーの力を! 奴を倒す為には斬月と紅蓮だけではどうにもならん!』

 

 そんな風にオープンチャンネルで会話をしている2人だが、正直に言えば俺としてはこの状況はそんなに悪いものじゃない。オープンチャンネルを切り、部隊の指揮をしているコーネリアとの通信を繋げる。

 

「コーネリア、EUに関しては聞いているな?」

「ああ、アクセルが直接出向くという話だが?」

「そうだ。後方にシャドウを10機程と、メギロート、後は……エキドナのヴァイサーガを寄こしてくれ。システムXNで戦力を直接送ってEUの部隊を叩いてくる」

「シャドウを10機持っていかれるのはちょっと厳しいが……まぁ、この場はしょうがないか。5分程待ってくれ」

「ああ。それと、ここにいる藤堂達を押さえる為に……そうだな、ムラタをこっちに寄こしてくれ。敵部隊の中でも腕利きのパイロットがいると知れば、拒否はしないだろう」

「そっちも了解した。では、ムラタがそちらに到着したら後方に退いてくれ」

 

 その言葉と共に、通信が途切れる。

 俺はムラタがやって来るのを待ち、連合軍の方はニーズヘッグの武装の威力を見て、更にはあっさりとナイトオブラウンズを仕留められたのを見て、迂闊に手が出せない。

 そんな状態のまま膠着状態に陥り、数分。焦れたのか紅蓮がこちらへと突撃しようとしたその時、空から圧倒的な質量を誇るトリニティゲインが降ってくる。

 

『済まんな、アクセル。待たせたか?』

「いや、気にするな。それよりもこの場は任せる。あの赤い機体と黒い機体は凄腕のパイロットだ。お前の戦闘欲を十分に満たしてくれるだろう。存分に暴れろ」

『承知!』

 

 オープンチャンネルで叫ばれたその声と共に、トリニティゲインが右手に五大剣、左手にシシオウブレードを構えたまま、その場で一番目立っている紅蓮へと向かって突っ込んでいく。

 

『ちょっ、え!? きゃあああああああっ!』

 

 その途中にいたヴィンセント・エアを弾き飛ばし、それだけで機体を破壊し、コックピットブロックが後方へと射出される。

 ……まぁ、大きさ40mオーバーの特機だ。5m前後のKMFに比べると8倍以上の差があるだけにしょうがない。

 ツイン・ドライブを使って後方へと移動しつつ、トリニティゲインの戦闘を眺める。

 

『うおおおおぉぉぉっ!』

 

 未だに繋がっている通信回線から、ムラタの雄叫びが響き渡り、同時にトリニティゲインは紅蓮へと五大剣を振り下ろし……

 

『ええいっ!』

 

 同時に、紅蓮は輻射波動で五大剣を受け止め……何!? その時、カレンが行った事は、正直俺にとっても予想外の光景だった。五大剣の刀身が命中したその瞬間、機体を斜めに、つまり輻射波動の盾そのものを斜めにしてトリニティゲインの剣撃を受け流したのだ。

 同時に、下から陽動するように斬月がマシンガンを連射しつつスラッシュハーケンを使って攻撃する。だが、さすがはムラタというべきか、直撃してもダメージがほぼ皆無のマシンガンはそのままに、左手に握っていたシシオウブレードでスラッシュハーケンを斬り捨てた。

 スラッシュハーケンは色々な使用方法があるが、その中でも一般的なのは敵に対する打撃武器だ。つまり、その打撃を行う先端は相応に固い訳で……それを難なく斬り捨てるのだから、さすがシシオウブレード、あるいはムラタといったところか。

 

『何っ!?』

 

 藤堂にしても、今のは予想外だったのだろう。唖然とした叫びを上げつつ、それでも諦めてたまるかとばかりにその髪の毛を使って四肢を絡め取ろうとする。

 

「アクセル、こっちの準備は出来たわよ」

 

 トリニティゲインとKMF部隊との戦いを眺めていると、専用回線でレモンからの通信が入る。

 コーネリアじゃなくてレモンなのは、やっぱり忙しいからなのだろう。

 こうして見る限りでも、シャドウやメギロート、あるいはシャドウミラーの幹部達に指示を出しながら自らも前線でO.O.ランチャーを撃ち、5連チェーンガンで手当たり次第に暁を薙ぎ払い、それでも近づいて来た敵に対しては右腕の鉤爪を繰り出している。

 そんなラピエサージュの横では、ヴァルシオン改がクロスマッシャーで暁を薙ぎ払い、あるいは60m近い全長を利用して近づいて来た暁を踏み潰している。

 

「隊長、よろしくお願いします」

 

 ヴァイサーガに乗ったエキドナからの通信に頷く。

 ヴァイサーガにシャドウが10機、メギロートが200機。これだけいればパンツァー・フンメルが主力のEUに関してはどうとでもなるだろう。

 

「よし、行くぞ」

 

 呟き、システムXNを発動させるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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