転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0644話

「……へぇ。EUも中々に本気の戦力を出してきたな」

 

 転移した直後、崖の上に姿を現した俺達の視界の中に入ったのは陽光とEUの国境を既に越えているパンツァー・フンメルの集団だった。その数、約200機。KMFのガン・ルゥに比べると随分と性能は上だが、それにしても能力的にはグラスゴー辺りの第4世代よりも若干上でサザーランドのような第5世代よりも下と、4.5世代といってもいいような機体だ。

 まぁ、その外観から考えるとガン・ルゥの上位互換と言ってもいいだろう。

 そんなパンツァー・フンメルの集団と、その背後には上部にロケットランチャーが装備されている装甲車の姿もあるな。

 

「既に国境を越えている以上、情けを掛ける必要も無いな。……エキドナ」

「はい」

「行け。蹂躙してこい。ブリタニアや黒の騎士団の口車に乗った馬鹿共に、己の浅はかさを刻みつけてこい。……ああ、ただしこっちの強さをEUに報告して貰う必要があるから、3割程度は生きて帰らせろよ」

「了解しました。全機、攻撃開始せよ。最初にシャドウ隊がクロスマッシャーで先制攻撃、その後メギロートが近接戦闘を仕掛け、その後にシャドウが右から囲い込むようにして攻めろ。左には私が回り込む」

 

 エキドナの指示にシャドウ全機は短く頷き、早速とばかりにクロスマッシャーが発射される。文字通りに薙ぎ倒されるパンツァー・フンメル。

 ……こういう時は薙ぎ払えっ! とか言った方がいいのか?

 そんな風に馬鹿な事を考えている間にも、クロスマッシャーにより先頭にいたパンツァー・フンメルは軒並み撃破されていく。

 そこでようやくこちらに気が付いたのだろう。前衛部隊の陣形が崩された状態から反撃に移るべく態勢を整え始める。

 中破や大破された機体は後方へと下げていく辺り、中華連邦よりは人道的な連中だと言ってもいいだろう。

 

「メギロート隊、突撃せよ!」

 

 エキドナの声に従い、空を飛びながらEU軍へと群がっていくメギロート。

 基本的に近接用の武装が無い為、それを阻止しようと両腕のキャノン砲で必死に弾幕を張るパンツァー・フンメル部隊。

 ……まぁ、武器が両腕と一体化したキャノン砲とスラッシュハーケンしか無いのだから、無理も無いか。

 だが、メギロート達の援護にシャドウ部隊からはビームガトリング砲が放たれ、パンツァー・フンメルよりも長い射程で次々に撃破していく。

 グラビティキャノンを使って10機近く纏めて撃破したり、スプリットミサイル、ホーミングミサイルといった武器ラックに装備されているミサイルを発射して絨毯爆撃を行っている機体もいる。

 そして……やがて、メギロートがパンツァー・フンメルを自らの射程内へと捉えた。

 放たれるサークル・レーザー、角で突き上げ、口で噛み千切りと、パンツァー・フンメルは近距離まで接近したメギロートに対応出来ずに次々と撃破されていく。中には混乱したのか近距離で両腕のキャノン砲を放っている機体もいるが、その結果は味方の撃破という同士討ちに終わっているものが殆どだった。あるいは命中しても装甲に多少のダメージを与える程度か。

 それを確認したシャドウ隊が右から回り込んで格闘戦に移行し、最後に左から突っ込んでいくのはエキドナのヴァイサーガだ。五大剣を振るうまでもなく、踏みつけるだけでパンツァー・フンメルは為す術もなく潰れていく。もちろんEU側も何もしていない訳では無い。ヴァイサーガから距離を取って両腕のキャノン砲を撃っているのだが、その殆どがヴァイサーガのマントに防がれ、数少ない命中弾も装甲に跳ね返されている。

 それでも周囲から絶え間なく撃ち続けられて鬱陶しいと思ったのだろう。エキドナは多数の爆発するクナイでもある烈火刃を手当たり次第に投げ付け、そのクナイが命中したパンツァー・フンメルはコックピットブロック諸共に爆破されていく。あるいは、地上へとエネルギーを溜めてから、そのエネルギーを衝撃波として飛ばす地斬疾空刀を使用して10機近くの機体を纏めて破壊する。

 そんな戦闘が10分程続き……

 

「隊長。EUの指揮官から連絡が入っていますが、どうすればよろしいでしょうか?」

「……そうだな、一応こっちに連絡を回してくれ」

「はっ!」

 

 その言葉と共に、向こう側の指揮官と通信が繋がる。

 

「こちらEU軍指揮官、ジョニー・スタルシュ少将だ。シャドウミラーに要請する、至急攻撃を停止して貰いたい。繰り返す、至急攻撃を停止して貰いたい」

 

 通信モニタに映し出されたのは30代程の、細身の眼鏡を掛けている男だ。その容貌はどこか神経質そうな印象を受ける。

 

「ほう? 何故攻撃を停止する必要がある? ここはシャドウミラーの同盟国でもある陽光の国内だ。俺達は不法侵入してきた外敵を、陽光からの要請を受けて排除しているだけなんだがな」

「……アクセル・アルマー!?」

 

 ニーズヘッグの姿に気が付いていなかったのか、ジョニーと名乗った男は驚愕の表情を浮かべる。いやまぁ、戦場に姿を現しているのはメギロート、シャドウ、ヴァイサーガだけだしな。ニーズヘッグに気が付いていなくてもおかしくはない。

 

「そうだ。シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。で、そちらの質問に答えたところで、次はこっちの質問にも答えて貰おう。何故同盟国に侵攻してきた敵軍を相手にして、攻撃を止めないといけないのか。教えて貰いたいんだが?」

「そ、それは……」

「別に俺達シャドウミラーや陽光はEUと同盟を結んでいる訳じゃない。その状態でこちらに何の連絡も無く、更には中華連邦、ブリタニア、黒の騎士団の連合軍相手に戦っている時に、こちらの隙を狙って陽光の領土に侵入してきたんだ。何か申し開き出来る言葉があるのか?」

「そ、それは……誤解だ! 我々は陽光に了承を貰った上で、そちらの援軍として参加するべくやってきたんだ。故に、シャドウミラーに攻撃される覚えは無い」

 

 そう告げるジョニーだが、額には大量の冷や汗が滲み出ている。

 自分でも口にしている理由が苦しいというのは分かっているのだろうが、その他に、こうして通信をしている間もエキドナ達が攻撃を止めておらず、EU軍の被害が加速度的に増えているというのがあるんだろう。

 

「俺がここに来たのは陽光の執政官でもある星刻からの要望によるものだが?」

「何? で、出鱈目を言うな! ここから戦場になっている場所までどれ程の距離があると思っている!?」

「さて、かなり長距離なのは事実だろうが、生憎と正確な距離までは知らないな。……と言うか、その距離がある状態で援軍に来るというのはどうなんだ?」

「今はそんなのは関係無い! それよりもお前の言葉の矛盾をどう説明するんだ!」

 

 話しているうちに、次第に血圧が上がってきたのだろう。顔色が先程の蒼白から、怒りや焦りで真っ赤に変わっている。特に白人だからか、その顔色の変化は顕著だった。

 

「距離の概念? 確かに普通ならその距離は色々と問題があるだろうが、シャドウミラーにとっては……特に転移装置を積み込んでいるニーズヘッグにしてみれば、大した問題じゃないな」

「……転移装置、だと?」

 

 俺の言葉に、唖然と返すジョニー。

 まぁ、この世界で転移装置云々と言っても、普通は信じられないしな。

 

「お前は忘れているようだが、俺達シャドウミラーは異世界に存在する国家だ。当然技術力に関しても、この世界よりも遥か先を進んでいる。何しろ、次元転移を実現出来るような装置を開発出来るんだからな」

「次元、転移……装置」

 

 呆然と呟くジョニーに、あっさりと頷く。

 

「ああ。じゃないと、俺達がこの世界にやって来る事も出来無いだろう? そもそも、次元転移装置が無ければ、陽光が参加する筈の異世界間貿易に参加出来ないだろうに」

「ぐっ……」

 

 俺の言葉に、黙り込むジョニー。

 これ以上ここで時間を潰すのは勿体ないな。向こうの戦場の様子も気になるし。

 

「さて、俺から言えるのは1つだけだ。降伏しろ。全滅するよりは降伏した方がまだいいだろう? それとも、全滅するまで戦ってみるか? まぁ、現在の状況を見て最後まで自分の命を惜しまずに戦い続けるというのなら、それもいいだろう。周囲の様子をよく見てから決めるんだな。ただし、時間を掛ければ掛ける程そちらの被害は大きくなっていくがな」

 

 既に周囲の状況は圧倒的に俺達に有利であり、EU軍の残存勢力は装甲車を含めても4割程といったところだ。このまま戦闘を続ければ、文字通りの意味で全滅するのもそう遠い話では無い。そして、ジョニーもそれを理解したのか、唇を噛み締めながら頷く。

 

「了解した。……我々はシャドウミラーに対して降伏する。これ以上の攻撃はやめてくれ」

 

 へぇ。あっさりと降伏をしたジョニーに、思わず感心する。これまで話した性格からして、絶対に最後まで降伏を認めないと思っていたからだ。一応、この辺は中華連邦とは違うのだろう。

 

「よし、降伏を受け入れる。エキドナ、全機に攻撃中止命令を。EU軍は全員KMFや装甲車から降りろ」

 

 俺の言葉に従いメギロートやシャドウが攻撃を止め、それを見ていたEU軍も次々に乗っていたKMFや装甲車から降りてくる。

 

「言っておくが、こちらの兵士は融通が利かない。妙な事をしたら、即撃ち殺されると思っておけ」

「……了解した」

 

 苦虫を噛み潰したような顔をしながら、頷くジョニー。

 

「エキドナ、この場は任せる。後で回収部隊を寄こすから、それまではこの場で見張っていろ」

「了解しましたが、隊長はどうなさるのですか?」

「連合軍との戦場に戻る。どうやら、これが奴等の奥の手だったらしいからな。後はもう消化試合でしかないとは思うが……相手はシュナイゼルとルルーシュだ。何を企んでいるのか分からないから。念には念をといったところか」

「隊長相手にそこまで警戒させる程の相手とは思えないのですが」

 

 訝しげなエキドナ。その様子に苦笑を浮かべつつ説明を続ける。

 

「確かに純粋な戦闘力で考えれば、あの2人は俺の足元にも及ばない。……それどころか、あやか達にすらも及ばないだろう。だが、あの2人のもっとも驚異的なところはその頭脳だ。直接戦闘をするのではなく、そもそも戦闘に持ち込ませない。あるいは、戦闘に持ち込んだとしても著しくこちらの行動を縛ってくる。他にもこちらの予想外の手を打ってくる。そういう意味では脅威に値する存在だな」

 

 例えば今回のEUの奇襲は最たるものだろう。これまで陽光やシャドウミラーに対しては友好的に接してきた筈のEU。勿論最初からこれを狙ってEUがこっちに接触してきたとは言わない。だが、いつからかは分からないが、途中からその2人の……いや、EUとの関係を考えれば、恐らくシュナイゼルの手が伸びていたのだろう。

 

「とにかく、この場は任せる。それと、レモン達に渡す為にパンツァー・フンメルと装甲車をある程度確保しておけ。……今のうちの技術力を考えればコレクション的な感じになりそうな気しかしないが」

 

 何しろ、現在シャドウミラーの持っているKMFの技術はヴィンセントを始めとした第7世代のKMFだからな。パンツァー・フンメルよりは、むしろ装甲車の方が喜ばれるかもしれない。

 ……装甲車にしても戦車関係はフュルギア、対MSミサイル搭載型トラック、リニアキャノン搭載型自走砲、リニアガン・タンクといったものが揃っている以上、微妙な感じだと思うが。

 

「了解しました。こちらで鹵獲しておきます」

 

 エキドナの言葉に頷き、EUの軍人達に視線を向ける。

 どの軍人達も、まさか自分達がここまで圧倒的に負けるとは思っていなかったらしく唖然としている者が多い。

 こいつらの使い道は星刻に任せるとして、俺はそろそろ向こうの戦場に戻った方がいいだろう。

 エキドナやシャドウ、メギロートをその場に残し……その前にふと思いつき、再度エキドナに通信を送る。

 

「エキドナ、EU軍を率いていた指揮官に伝言をしてくれ。今から見せるのが、お前達がここで負けることになった原因の転移技術だと」

「……システムXNを見せてもいいのですか?」

「構わない。真似出来る筈も無いし、ニーズヘッグを奪うのはまず無理だしな。それよりも、お互いの力の差を明確に見せつけて俺達に逆らうのが無意味だと刻み込む必要がある」

「分かりました。隊長のお考えに従います」

 

 若干不満そうな表情を浮かべつつ、量産型Wに指示を出しているのを見てからツイン・ドライブを使ってEU軍の捕虜達の前へと姿を現す。

 その中の1人、ジョニーがこちらへと視線を向けているのを見ながら、システムXNを起動する。

 

「システムXN、起動。転移座標入力、転移フィールド生成開始」

 

 システムXNが起動し、ニーズヘッグを光の繭で包み込み……

 

「転移フィールド生成完了。……転移」

 

 その言葉と共に、ニーズヘッグは転移するのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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