転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0646話

 天から降ってきた黒き槍。今の光景を見た者の多くは、恐らくそんな感想を抱いただろう。実際、その槍の貫通力は凄まじく、原作では絶対の防御壁のように見えたブレイズ・ルミナスをあっさりと貫通し、威力を少しも弱める事無くダモクレスの頂上にある城の部分を貫通し、その下にある要塞部分までをも上から下まで一直線に貫通して、それでも威力が減少せずに地面へとグラビティ・バスターの直径でもある50m程の深い、それこそ底が見えない程の穴を作り出したのだ。

 シュナイゼルにとって幸いだったのは、城の部分を貫通したと言ってもシュナイゼルがいただろうど真ん中では無かった事か。さすがにマリューの操る改修されたシロガネであったとしても、ピンポイントでど真ん中を貫くというのは難しかったらしい。

 もっとも、それが幸運かどうかは分からないけどな。

 

『第1射の命中を確認』

『向こうの損害は?』

『上から下まで貫通している模様です』

『ダモクレスが墜落する様子は?』

『ありません。未だに空中に浮かんでいます』

『そう。下手に戦闘能力が残っているままだと、またフレイヤを使う可能性があるわね。しょうがないわ、グラビティ・バスター、近接ブレード型で展開を開始してちょうだい』

『了解。……艦首モジュールとブラックホールエンジンとの並行稼働を確認。リンクを開始。形状を近接攻撃用のブレード型に形成。……固定、完了しました』

 

 シロガネから聞こえて来る通信を聞く限り、このまま追撃を掛けるらしい。

 

『全員、対ショック姿勢を取るように連絡を。……テスラ・ドライブ、出力最大! 目標は敵浮遊要塞ダモクレス! シロガネの刃を持って、沈めなさい!』

 

 その言葉と共に、空中から自然落下速度にテスラ・ドライブを使った速度までをも上乗せして真っ直ぐにシロガネが落下してくる。通信で聞こえてきた内容通りに、その艦首モジュールからは重力波による巨大な剣が形成されていた。そのまま真っ直ぐにダモクレスへと向かって突っ込み……

 

「全機、退避! ダモクレスが……墜ちるぞ!」

 

 咄嗟にオープンチャンネルでそう叫び、ニーズヘッグもまたツイン・ドライブやヒュドラを使って後方へと大きく退く。

 シロガネが降ってくるという冗談染みた光景を見て他の者達も危険を感じたのだろう。シャドウミラー、陽光、更にはブリタニアまでもが俺の言葉に従ってダモクレスから距離を取る。

 そして……

 

 轟っ!

 

 そんな音を立て、重力の刃はブレイズ・ルミナスをあっさりと貫通し、城へとその刃を突き立てる。全長3kmはあろうかというダモクレスへと、全長500mを越えるシロガネが艦首に重力の剣を展開したままその身を沈めていく。同時に。

 

『ホーミングミサイル、連装副砲、連装衝撃砲、多重連装ビーム砲、照準合わせ……撃てぇっ!』

 

 再び通信越しに聞こえて来るマリューの指示。そしてシロガネの艦体各所からミサイルや砲弾、ビームが連続して放たれていく。

 城へとグラビティ・バスターによって生み出された重力の剣が突き刺さっている状態での、ゼロ距離からの射撃。既にダモクレスの頂上にある城の部分は壊滅状態といってもいいような状態であり、シロガネの攻撃によって破壊された瓦礫が雨霰と地上へと降り注ぐ。それは真上からシロガネ程の重量物が落下してきたダモクレスも同様であり、その高度を急速に下げて行き……次の瞬間、ダモクレスの最下層部分が地上へと接触、ダモクレス自身の重量とシロガネの重量が一点に集中し、最下層部分から上へと伸びている細長い場所がその重さに耐えかね、砕かれ、ダモクレス自身が瓦解していく。同時に地上へと大量の瓦礫を降り注ぎつつ崩壊して行くダモクレスの頂上付近では、マリューが量産型Wに指示を出してシロガネの艦体をコントロールし、水平状態に戻して安定させていた。

 さすがにダモクレス諸共に地上へと落下するのは避けたかったのだろう。だが、しかし……

 

「随分と、その……お前達の戦艦というのは凄いな」

 

 唖然とした様子の星刻からの通信に、思わず苦笑を浮かべる。

 

「元々のシロガネはあそこまで強力な攻撃を放つ艦じゃなかったんだがな。技術班が頑張った結果だ」

 

 頑張ったというか、ある種の暴走だよな。実際、あの状態で艦の状態を立て直したが、PS装甲である以上あのまま地上へと落下してもそれ程被害は受けていなかった筈だし。

 

「それはともかくとしてだ。中華連邦の軍はフレイヤで消滅し、黒の騎士団はそれを理由に戦場から去っていった。で、最後に残ったブリタニア軍はその象徴とも言えるダモクレスが消滅した。戦力的にはまだまだ戦えるだろうが、心情的な意味ではこれ以上の戦闘はまず無意味だろう。この際、今のうちに潰せるだけ敵の戦力を潰して……ちっ」

 

 ニーズヘッグのモニタに映し出された映像に、思わず舌打ち。

 残っていたブリタニア軍のKMF部隊が素早く後退し、重アヴァロン級、アヴァロン級、軽アヴァロン級へと収容されていく。予想されていたよりも素早いな。ダモクレスが崩壊したあの状況からこうもあっさり立ち直る? これは……シュナイゼルはまだ生き残っていると見るべきか? 恐らく崩壊するダモクレスに紛れて脱出したんだろうが。

 

「星刻、ブリタニア軍が撤退する前に攻撃の再開を。少しでも敵の戦力を減らしておくのに越した事はないからな」

「分かっている。陽光全軍に次ぐ、我等が国土を侵したブリタニア軍を許すな! この国土が誰の物であるのか、そしてその国土を守る陽光軍の強さを奴等に見せつけるのだ!」

 

 星刻の言葉が通信を通して響き渡り、陽光軍が撤退していくブリタニア軍へと攻撃を開始する。とはいっても、陽光軍の主力は未だにガン・ルゥだ。放たれたミサイルが大量に殺到するも、その殆どをブレイズ・ルミナスによって防がれていた。だが、そのミサイルの連続発射やロンダン、ターロンダンの砲撃で動きの鈍ったところへ数少ないヴィンセント・ウォードが近接戦闘を仕掛け、ガレスが狙い澄ましたかのようにブレイズ・ルミナスの隙間へとハドロン砲を撃ち込み、更には星刻のヴィンセントがその操縦技術を活かして敵艦からの砲撃を回避しつつ着実にダメージを積み重ね、また一方では洪古の操るジークフリートが巨大な機体を活かして回転したまま体当たりをしたり、大型のスラッシュハーケンを突き立てていく。

 特に大型のスラッシュハーケンは軽アヴァロン級の艦に対して次々に突き刺さり、装甲を貫き、飛行不可能なまでのダメージを与えていく。

 そんな様子を見ながら、俺もまた指示を出す。

 

「シャドウミラー全機、同盟国である陽光に対して侵攻してきたブリタニア軍に遠慮はいらない。いや、寧ろ陽光軍に負けない程の戦果を挙げて見せろ」

 

 その命令を聞き、メギロートとシャドウ、そして幹部達の機体が陽光軍に負けて堪るかとばかりに攻撃を集中させる。

 ビーム、レーザー、実弾、重力波砲、その他ありとあらゆる攻撃が放たれ、殿として後方に残っていた艦を軽アヴァロン級、アヴァロン級、重アヴァロン級の区別無く撃破していく。

 それでも殿として残されるだけあってブリタニアに対する忠誠心は高いのだろう。決して逃げ出さず、1機も先には通さないといった感じで防御陣形を敷き、撤退した部隊を援護する為、必死になってこちらへと攻撃をしてくる。

 1隻、また1隻と地上へと墜落するも、それでも尚諦めずに……それどころか地上へと墜落した艦からは、フロートユニットを装備したKMF部隊が出撃してきては、シャドウミラーと陽光の部隊へと攻撃をして本隊の撤退時間を稼ぐ。

 その結果、殿として残された20隻近い各種アヴァロン級は全てが撃墜されたものの、恐らくはシュナイゼルが乗っている本隊を含めた40隻近いアヴァロン級の撤退を許す事になる。

 

「……まさかここまで忠誠心が高いとはな。予想外だった」

 

 ニーズヘッグのモニタに映し出されているKMF、あるいは艦の姿を見ながら思わず呟く。

 

「確かに。この場合はシュナイゼルのカリスマを褒めるべきだろう。それよりも、降伏した者達の処理はどうする?」

 

 星刻の問いに、小さく肩を竦める。

 

「俺達の立場は、あくまでも陽光の同盟軍でしかない。だから俺達が捕虜を引き受けるのは拙いんじゃないか?」

「そうは言うが、捕虜の人数を考えると陽光の者達だけでは対応がな。特に向こうは侵略してきたんだ。うちの者達では感情に走る者が出て来る可能性がある」

 

 以前の中華連邦との戦いと同じように、か。確かにそれを考えると手を打った方がいいな。捕虜虐待をしたりしている光景が世界中に流されたら、色々な意味で拙い。

 

「なら、量産型Wを出すから、そっちで指示してくれ。量産型Wなら感情どうこうは問題無いしな」

「助かる」

 

 にしても、中華連邦か。その中華連邦を仮初めにでも纏め上げていた大宦官は、シュナイゼルにフレイヤで纏めて消滅させられた。それを考えると……

 

「星刻、これからどうする?」

「これから、とは? まずはこの戦いの後処理で忙しくなると思うが」

「そっちじゃない。中華連邦を牛耳っていた大宦官がこの戦いで死んだ。となると、現在の中華連邦は纏め上げる者がいない。このままだと……」

「分かっている」

 

 俺に最後まで言わせずに、星刻がそう呟く。

 

「現状の中華連邦は非常に危うい状況だ。蓬莱島には、まだある程度の戦力を残した黒の騎士団がいるし、インド軍区は現状ではこちらに協力的なものの、腹の底では何を考えているか分からない。ブリタニアにしても、結局シュナイゼルは取り逃がしたと考えた方がいいだろう。EUに至っては、これまでの手の平を返したかのように侵攻してきたしな」

 

 ……こうして考えて見ると、色々な意味で大変だよな。懸案が殆ど片付いていないのに、逆に新たな問題が浮かび上がってきている。

 

「つまり?」

「まず、最初に中華連邦の領土全てを陽光が治める事にする。……これには、当然戦力が足りないからメギロートを借りる事になると思うが」

「ああ、問題無い。フレイヤで相当数が消滅したが、それにしたってホワイトスターに戻ればすぐに補充出来るしな」

「……助かる。とにかく、中華連邦の領土を占領するのなら少しでも早く動かないといけないからな。特に黒の騎士団が動く前に」

「EUは暫く動かないと見ていいのか?」

「ああ。何しろこちらの裏を突いて奇襲を仕掛けてきた部隊が纏めて撃破されて捕虜になったんだ。恐らくEU内でも相当の衝撃が広まっているだろう」

 

 確かに現在のEU内部では、恐らく責任の押し付け合いが始まっている筈だ。同時に、国民の世論や支持率とかも気になっているのは間違い無い。この辺、政治家達の意見を取り纏めなければならない衆愚政治の欠点が露わになった感じだな。

 

「となると、中華連邦を占領したら暫くは動きようがないな。まずは陽光の地域以外の場所を立て直さないといけないだろうし」

 

 俺の言葉に、溜息を吐き出す星刻。だが……

 

「むしろ、戦闘が終わったばかりで他の勢力が動きようのない今のうちに治療を行うというのはありかもしれないな」

「待て。戦後処理が終わらない間にというのは……」

「香凛がいるだろう。文官の仕事は少しの間でもいいからあいつに任せて、お前が今のうちに身体を治療するというのは結構いい手だと思うぞ?」

「だが……」

 

 俺の言葉に、どこか言い淀む星刻。まぁ、ある意味で国の一大事とも言える状況なんだし、中華連邦の土地も占領しないといけない以上は無理も無いか。

 

「別にすぐに決めろとは言わない。陽光の首脳陣と相談して決めればいいさ。……けど、忘れるな。お前の身体は刻一刻と死に向かっているという事を」

「……分かっている」

 

 小さく頷く星刻だったが、やがて空気を変えようとしたのだろう。意図的に話題を逸らす。

 

「ところで、この戦場跡に残っているKMFや浮遊航空艦についてはどうする? やはり技術目当てにある程度は回収するのか?」

「……正直、それ程必要性を感じてないんだよな。KMFに関してはブリタニア軍の最新の機体は殆ど入手済みだし、アヴァロンにしてもシロガネがある以上はそれ程必要って訳でも無いし。……だが、そうだな。コレクション的な意味で3種類のアヴァロン級を入手しておくのはいいかもな。あぁ、それと黒の騎士団の暁や、俺がEUと戦う前に撃破したパーシヴァル辺りは技術班なら欲しがるかも。ちょっと待ってくれ。レモンに聞いてみる」

 

 こうして、少し前に漂っていた重い雰囲気はどこかへと吹き飛び、結局いつも通りの俺と星刻に戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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