転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0647話

「……何? 黒の騎士団から会談要請?」

 

 その予想外の報告を聞いたのは、中華連邦、ブリタニア、黒の騎士団の連合軍と、その戦闘の隙を狙ったEU軍を撃破するという、この世界全ての敵勢力を相手に対して勝利してから2週間程経ってからの事だった。

 この2週間、陽光は戦後処理で異様に忙しく、結局星刻の治療については後回しにする事になっている。

 陽光がEU軍を含めて捕らえた捕虜達の収容所の準備やら何やらで忙しかったり、広大な中華連邦の領土を次々に占領していったり。

 ……ちなみに、当然陽光に対して従わずに武装蜂起する者達もいたのだが、そんな相手はメギロートやシャドウであっさりと鎮圧されている。

 一番大きいのは、やはり洛陽を占領した事だろう。既に大宦官が死んでいるとは言っても、その後釜を狙っているようなポスト大宦官とも言える者達が洛陽で好き勝手やっていたからな。そいつ等は、取りあえず汚職やら何やらで捕まえて収容所に突っ込んである。

 ああ、そうそう。洛陽を占領した中で最も良かった事と言えば、神虎を発見したことだろう。インド軍区からの贈り物という扱いで大宦官の1人が後生大事に仕舞い込んでいたのを、量産型Wが発見したのだ。

 当然、現在は技術班がデータを収集しており、それが終われば原作のように星刻の乗機となる予定になっている。

 ……そうなるとヴィンセントは、星刻の部下で腕の立つパイロット辺りが乗る事になるのかもしれないな。

 まぁ、それはともかく。

 

「ええ、そうよ。しかも陽光じゃなくてうちを名指しで。更に言えばアクセルを直接ご指名よ。……良かったわね、人気があって。さすが当店No.1」

 

 どこかからかうような口調でレモンが呟き、マリューも同意するように笑みを浮かべている。

 

「ああいう連中に好かれても嬉しくないんだがな。……で、会談の理由は?」

「不幸な行き違いによる誤解の解消と、これからの協力関係、それと治安維持をしていた地区の引き継ぎについてよ」

「……へぇ。そう来たか」

 

 治安維持をしていた地区の引き継ぎ。これが意味していることは明らかだ。あの戦いの後で陽光が中華連邦を占領していったのと同時に、黒の騎士団もまた同様に蓬莱島の周辺を占領していったのだから。この辺、ある程度の戦力を残したまま戦場から離脱したルルーシュの英断故だな。

 暁はかなりの数が撃破されたが、それでも確か公称で黒の騎士団の人数は100万人を超えていた筈だ。それを考えると、機体さえ揃えれば暁の部隊はすぐに復活するだろう。……勿論、この前の戦いの時よりも腕は落ちるパイロット達だろうが。

 つまり黒の騎士団が占領した地域をこっちに寄こすから攻撃しないで欲しい。あるいは同盟を結んで欲しいといったところか。ようは土産代わりといったところだ。

 

「だが、会談を要求してきたのは俺にだけなのか? 一応俺達の立場は、あくまでも陽光の同盟軍といった形なんだが」

「……だからこそ、じゃない? 確かに星刻や香凛、洪古は頑張っているけど、それでも陽光だけを見れば小国でしかないわ。今でこそ中華連邦の殆どを手に入れているけど、それにしたって私達の戦力が無い状況では無理だったでしょう? なら、その陽光と同じ……いえ、地力という意味ではより小さい黒の騎士団が私達の庇護を受けようと思っても不思議じゃないわ」

「庇護、庇護ねぇ……」

 

 黒の騎士団が……いや、ゼロがそんなタマか? 下手に受け入れたりしたら、いつの間にかシャドウミラーや陽光が乗っ取られてなんて事に……あ、いや。それは難しいか。鵬法璽の効果がある限りギアスを俺達には使えないしな。まぁ、それでもルルーシュを完全に手放しで受け入れるような真似は危険だから出来ないし、なによりもコーネリアがそれを受け入れないだろう。

 

「何かを考えていそうではあるが……さて、どうするべきか。星刻は何と言ってる?」

「こっちに任せる、だそうよ」

「同盟国が敵対していた勢力と会談をするってのに、また随分と気楽だな」

 

 レモンの言葉に思わず苦笑を浮かべると、それを慰めるようにマリューが口を開く。

 

「EUとの折衝が忙しいって聞いているけど。……EUもEUで混乱しているらしいわよ」

「絶対勝てるって言われて派遣された部隊が、ああもあっさりと負けたらな。責任の押し付け合いだろ。その辺の関係もあって、暫くEUとの交渉は長引くだろうな」

「で、結局どうするの? 黒の騎士団との会談は」

「……向こうが何を狙っているのか。いや、それならそれでありか。こっちからより衝撃の与える……レモン、コーネリアはまだ陽光に従わない軍事基地を潰して回っているんだったか?」

「そうね。スレイと一緒に……って、アクセル。貴男もしかしてコーネリアを?」

 

 驚きの表情を浮かべるレモンに頷く。

 

「それは確かに、衝撃を与えるという意味ではコーネリアは十分でしょうけど……黒の騎士団とは色々あったのに、それはいいの?」

「ギアスに関しては、俺達や陽光に対して使用出来ない。となると、企むにしても暗殺やら誘拐やらになると思うが……今のコーネリアを相手に、それが出来ると思うか? それに向こうが会談を望むのなら、こっちもこっちで向こうに望むことはあるしな」

 

 現在のコーネリアは元々の運動神経に加えて、エヴァから習得した魔法もある。ジェレミアか咲世子辺りでも、恐らくどうにも出来ないだろう。それにアーニャに関しても、そろそろ中のマリアンヌごと手を打っておかないといけないしな。それを考えれば、黒の騎士団からの会談要請はある意味でタイミングがいい。

 もっとも、その為にはジェレミアのギアスキャンセラーが必須になる訳だが……

 

「そう? じゃあ、陽光を通して会談に参加する旨を伝えるけど、構わないわね?」

「そうしてくれ」

 

 こんな会話があってから10日程。異例ともいえる早さでシャドウミラーと黒の騎士団の会談は開かれる事になる。

 

 

 

 

 

「俺がここで聞くのもなんだが……一緒に来て良かったのか? ルルーシュに対して色々と思うところがあるんだろ?」

 

 ソルプレッサを操縦しながら、後部座席に座っているコーネリアへと声を掛けるが、問題無いと首を横に振る。

 

「色々と思う所はある。だが、ルルーシュには1度会っておきたいというのも事実だからな。それに……私が何かしようとすれば、お前が止めてくれるんだろう?」

 

 信頼の混じった言葉を受け、それ以上は何を言うでもなくソルプレッサを操縦して目的地である蓬莱島の方へと向かう。

 本来シャドウミラーと黒の騎士団が会談をするとしたら、お互いの力関係からいって黒の騎士団側が光明にあるシャドウミラーの拠点へとやってくるのが普通だろう。実際、洪古や香凛辺りからはそうしろとも言われた。だが、俺はそれを却下して蓬莱島で黒の騎士団との会談を行う事にしたのだ。

 もちろんこれには幾つかの理由がある。例えば、俺という存在がいる故に決して危害を加えられないという自信、コーネリアにしても魔法を使えるようになって個人としての戦闘力ではこの世界の人間よりも上回っている事。そして何より、俺達シャドウミラーは黒の騎士団を相手にしても塵程の脅威すらも覚えていないというのを態度で示す為というのもある。

 黒の騎士団を呼びつけるよりも、俺自身が直接……それもコーネリアという、黒の騎士団にしてみれば仇敵といってもいいような存在と共に出向くのだ。お互いの力関係をここまで如実に表す行為はそうそう無いだろう。

 更に言えば、黒の騎士団がコーネリアに対して何らかの危害を加えようものなら今回の会見であちらが何を要望しようとも、圧倒的に不利になるのは向こう側だ。そういう挑発的な意味で考えても、コーネリアが同行する意味はある。そして更に後押しの一手を打つ為、蓬莱島から少し離れた場所へとソルプレッサを着地させる。

 

「アクセル、蓬莱島に行くのだろう? 何故こんな場所で降りるのだ?」

「黒の騎士団にちょっとした示威行為をな。以前陽光の建国宣言では見ただろうが、実際にその目で見た時に受けるショックを考えると、先制攻撃としては丁度いい」

「……アクセル……いやまぁ、お前の言ってることは分かるんだが。正直、グリをその目で見た黒の騎士団が反射的に攻撃してくるとも限らないぞ」

「問題無い。グリは風の障壁を作り出せるし、何かあったとしてもその背には俺が乗っている。それに、俺に対して常識を前提として話をしてきても無意味だというのを示す機会にもなるからな」

 

 そう言葉を返し、コーネリアと共に地面へと降りてソルプレッサを空間倉庫に収納する。

 周囲に広がっているのは一面の荒野だ。平原という程に草は生えてなく、砂漠という程には厳しい環境では無い。

 

『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』

 

 その呪文と共に、角が後頭部から2本前に伸びており、背中には鷲の翼とドラゴンの羽が1対ずつの合計4枚が生えているグリフィンドラゴンのグリが召喚される。

 

「ガアアア」

 

 獰猛に鳴きながら擦りつけてきた頭を撫で、声を掛ける。

 

「俺とコーネリアを乗せて、指示する方向に飛んでくれ」

「ガアッ!」

 

 任せろ、と鳴いて地に伏せるグリの背中へとコーネリアと共に跨がる。

 

「落ちないように、しっかり掴まってろよ」

「あ、ああ。……KMFや戦艦、戦闘機とかに乗るのは慣れているのだが、まさかこんな巨大な生き物の背に乗るとはな」

 

 そう呟きながら、前に乗っている俺の背中に力を入れて抱き付いてくる。

 背中でコーネリアの巨大な胸が柔らかく潰れる感触を覚えつつ、グリへと合図を送って、蓬莱島へと向かう。

 

「ブリタニア皇族なんだから、馬くらいは乗ったことがあるだろ?」

「それは当然だ。だが、馬とグリは全く違うぞ!」

 

 空を飛びながらの会話なので、お互いにいつもより大きな声で会話をしている。

 それでも吹き飛ばされないのは、グリが風の障壁を展開してくれている為だ。

 そして空の旅を楽しむ事30分程。ようやく海岸線が見えてくる。その先にある蓬莱島もまた同様に。

 同時に、向こうの方でもこちらを捉えたのだろう。生物であるグリなだけにレーダーで捉えたのか、あるいは肉眼で確認したのかは分からないが、それでも蓬莱島でKMFが即応態勢に入っているのは見える。

 

「グリ、俺達の存在を知らしめろ」

「ガアアアアァッ!」

 

 俺の言葉に小さく鳴き……息を吸い込み、魔力を込めて叫ぶ。

 

「ガアアアアアァァアアァァァァァァアアッ!」

 

 その雄叫びと共に放たれたのは、生身で食らったとしたら決して生き残れないだろうグリフィンドラゴンのカマイタチブレス。そのカマイタチブレスが、グリの真上へと向けて放たれたのだ。

 

 轟っ!

 

 そんな音すらも聞こえてくるようなカマイタチブレスに、蓬莱島で動き回っていた暁が混乱しているのがここからでも分かった。そして、偵察の為だろう。暁が……いや、斬月が蓬莱島を飛び立ち、こちらへと向かって来る。

 

『……アクセル・アルマーか!?』

 

 斬月の外部スピーカーから藤堂の声が聞こえる。その声に驚愕が混じっているのは、ある意味当然なのだろう。

 

「そうだ。蓬莱島まで誘導を頼む。会談に来て撃ち落とされたりしたら、色々とお互いにとって面白くない事態になりそうだしな」

『それなら、何故わざわざ……いや、了解した。先導するので付いてきてくれ』

 

 そう告げ、グリの前をまるで守るようにして先導していく斬月。

 

「さすがに奇跡の藤堂でも、これ程間近でグリを見ては驚いたようだな」

「一応映像で見てはいるんだろうけどな」

 

 コーネリアと共に会話をしながら蓬莱島へと向かい……やがて、斬月が着地した場所へと向かってグリも降りていく。

 その周辺には暁が待機しており、ん? 直参仕様の2機もあるな。しかも紅蓮まで待機している。余程グリの存在に驚いたのだろう。

 そんな黒の騎士団の注目を、これでもかと言う程に浴びながらグリは斬月の後に続くように蓬莱島へと着地する。

 

「ガアアアァァァァッ!」

 

 吼えるグリに、咄嗟に銃口を向けようとする暁。だが、実際にその銃口が向けられる前に通信か何かで連絡したのだろう。その銃口が完全に俺達へと向けられる事は無かった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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