転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0649話

 ゼロの言葉に静まり返る室内。

 間接統治というのは、もちろん黒の騎士団にとってはベストの選択肢ではない。だが、ベターの選択肢ではあるのだ。

 いや、シャドウミラーが戦力として協力する以上は確実に成果を得られると考えれば、人によってはベストと言えるだろう。

 間接統治とは言っても、実際にはゼロの言う通りに俺はこの世界の政治に大きく干渉するつもりはない。もしするとしても、それはSEED世界でオーブを通して行うように、陽光を通して行う事になる筈だ。

 

「……認めよう。もし俺が黒の騎士団に協力し、エリア11を奪還して日本に戻したとしても統治はお前達に任せる事になるだろう。だが、その場合でも幾つかの条約……いや、この場合は契約を結んで貰う事になるぞ?」

「具体的には、どのような契約を?」

「そうだな、まず俺達シャドウミラーが最重要視しているのは、当然の事ながら日本最大の輸出品でもあるサクラダイトだ。先程ゼロも言ったが、このサクラダイトという物質はこの世界――便宜上ギアス世界と呼んでいるが――にしか存在していない」

 

 ギアス世界、という言葉に不愉快そうに眉を顰める藤堂。……反応したのが藤堂だけというのはある意味当然と言えば当然なのか。ラクシャータはギアスがどうとか自分達の世界の呼び名とかには興味がないだろうし、それはディートハルトにしても同様だろう。ゼロに関してはギアス世界という呼び名だけに、仮面の下ではどういう顔をしているかは分からないが……

 

「次に、幾ら俺達シャドウミラーと手を組むと言っても、俺達が最重要視しているのは残念ながら日本ではなく陽光だ。間接統治という形式もあるし、シャドウミラー内での国としての格付けは、陽光の支配下となる。同時に、早くから俺達に協力姿勢を示しているインド軍区よりも下の扱いになるな」

「その場合、戦力の保持に関しては何らかの制限が付くのか?」

「いや、その辺に関しては制限するつもりはない。自由にやってくれていい」

 

 俺の言葉に、藤堂の雰囲気が僅かに柔らかくなる。

 ただ、正直に言えばギアス世界の主戦力であるKMFを幾ら集めても簡単に制圧出来るからこそ制限を設けないだけだが。

 

「ただし軍事に制限は付かないが、国としての格付けが陽光よりも下である以上、異世界間貿易に関しては色々制限が付く。これに関しては俺達と敵対したペナルティも入っていると考えてくれ」

「それってさあ、私達も多少なりとも異世界に関われると考えてもいいの?」

 

 ラクシャータが手に持ったパイプを手に尋ねてくる。

 やはり異世界の技術については興味を持っているのだろう。

 

「そうだな。その可能性は否定しない。……それに、シャドウミラーに所属した者なら異世界の技術についてもっと深いところまで知る事が出来るかもしれないな」

 

 シャドウミラーに所属。その言葉を口にしたとき、ラクシャータの視線が鋭くなって俺へと向けられる。

 

「それって本当?」

「ああ。俺達シャドウミラーは元々技術力が飛び抜けて高い集団だ。新しい血を入れる為にも新メンバーの加入は歓迎している。シャドウミラーの技術者になれば、色々な特典もあるしな」

「……へぇ、どんな特典?」

 

 興味深そうに尋ねてくるラクシャータだったが、俺は答えずに首を振る。

 

「残念ながら部外者に教える事が出来無い程度には機密度の高い情報なんでな。今のお前には教えられない」

 

 外での1時間が2日になるという魔法球だけでも技術者達……否、あらゆる者にとっては垂涎の的だというのに、そこに時の指輪が融合されて魔法球の中にいれば事実上の不老になれるという特典付きだ。正直、今のシャドウミラーの他を追随しない程の技術力は魔法球があるからこそだろう。でなければ、ニーズヘッグにしろシャドウにしろ、シロガネにしろ、完成まではまだまだ掛かっていたのは間違い無い。

 

「……ラクシャータ、今君に黒の騎士団を抜けられると非常に困るのだがな」

「でも技術者としての興味は……」

 

 ある。そう言おうとしたラクシャータに待ったを掛ける。

 

「ラクシャータ・チャウラー。お前がシャドウミラーに所属したいというのなら、俺は構わない。だが残念ながらと言うか、ロイドやセシル達を引き込む予定なんだが……それでも構わないと? こちらで得た情報によると、ロイドとの仲が悪いと聞いてるが?」

「……へぇ。何であのプリン伯爵は引き込む予定で、私はそれより下なのかしら? 良ければ聞かせて貰える?」

 

 目を細めながら尋ねてくるラクシャータだが、その問い掛けはどちらかというと尋問と表現するのが正しいだろう。自分よりロイドの方を重視すると言われたのが、余程腹に据えかねたらしい。

 

「勿論お前がロイドよりも劣っていると言いたい訳じゃない。ただ、単純に求める技術の違いだな」

「求める技術?」

「ああ。ラクシャータ・チャウラー、お前の誇る最大の技術は輻射波動。続いてゲフィオンディスターバーといったところだろう。確かに輻射波動は興味深い技術だが、敵に触れて一拍おかないと効果を発揮しないとか、遠距離攻撃が可能になった今の紅蓮にしても射程や効果範囲で色々と問題がある。ゲフィオンディスターバーに関しては、停止させるのはサクラダイトを使ったエナジーフィラーのみである以上、俺達には使い勝手が良くないしな。更に言わせて貰えば、ステルスに関してはより高性能な技術を幾つも持っている」

「……プリン伯爵は違うっての?」

「違うと言うか、応用出来る範囲の違いだな。ロイドは基礎技術を高レベルで使いこなすのに長けていて、お前は特化した技術を使いこなすのに向いているというイメージだ」

 

 まぁ、正確に言えばロイドにしろラクシャータにしろ、一流の開発者であり設計者なんだからあくまでもその傾向があるってだけなんだが。

 ロイドはランスロットでMVSやブレイズ・ルミナス、ヴァリスといった物を実用化しているし、ラクシャータにしろ紅蓮弐式の基本性能は非常に高い。つまりロイドにしろラクシャータにしろ、基礎的な技術という意味では2人共十分に高いということだ。

 ただ、俺がロイドの方を選択するというのはロイドが……正確にはセシルが開発する予定のエナジーウイングが興味深いからだ。ラクシャータの技術に関しては、輻射波動以外は全てとは言わないが神虎で大体入手してるしな。

 

「っと、話がずれたな。その件については全てが片付いてから改めて話すとして……それと、シャドウミラーが黒の騎士団に協力するに当たっては幾つか要請したい事がある」

 

 何かを言いたそうな目をしたラクシャータだったが、技術者としての話を俺にしてもそれ程詳しくない。その辺の話はレモンやマリュー辺りに任せて話を戻すとしよう。

 

「要請?」

「そうだ。まず1つ。黒の騎士団のメンバーにいるジェレミア・ゴットバルトを一度光明に派遣して貰いたい」

「……ジェレミアを?」

「そうだ。……ジェレミア・ゴットバルトの件については?」

「ギアス響団の人体実験によって身体の多くを機械にされたというのは話してある」

「その関係でちょっとやってもらいたいことがあってな」

 

 残念ながらアーニャを捕虜にしているのはともかく、マリアンヌに関しては教えるつもりはない。当然ジェレミアにもだ。このまま誰に知られる事もなく消えて貰うとしよう。

 

「なるほど、ギアス響団の件で何かあると?」

「そうなる。ギアスの被害者に関しての治療の1つ、と考えて貰ってもいい」

「ジェレミアが何らかの治療が出来ると?」

 

 そう口を挟んできたのは、ルルーシュではなく藤堂だった。恐らくギアス関係の情報は必要最小限にしているのだろう。

 

「恐らくだがな。正確には可能性があるというだけで、確実とは言えない。もし成功したら詳細はジェレミアから聞けばいいさ。……そして、もう1つ。これに関してはこっちとしてもかなり重要だと思ってくれ。この返答次第でお前達に手を貸すかどうかをはっきりと決めさせて貰う」

 

 その瞬間、部屋の中の空気が緊張感を含ませたものに変わる。

 

「最後の条件とは?」

「黒の騎士団の人員だ。正直、こちらに入って来ている情報では黒の騎士団は人材的に……より正確に言えば特定の人物がブリタニアと繋がっている可能性が高いとある」

「何っ!?」

 

 当然の如く一番最初に反応したのは藤堂。これまでの経歴を思えば無理も無いが。

 だが、逆にラクシャータは特に興味を見せず、ディートハルトは一瞬だけピクリと反応した。

 そしてゼロはと言えば、相変わらずの仮面で全くその表情を読むことは出来ない。

 

「……ブリタニアと繋がっている者がいると?」

「ああ。そういう風に聞いてくるということは、そっちでは何の情報も掴んでいないと考えてもいいのか?」

「……」

 

 俺の問いに黙り込むゼロ。ここで情報を掴んでいなかったと言えば、それを俺に教えて貰ったという借りを作る事になり、逆に知っていたとなれば何故今までそれを黙っていたのかという事になる。

 ……まぁ、実際にはヴィレッタを引き込む際に扇を利用している以上知ってはいるんだがな。だが、まさかそれをこの場で口にする訳にかいかないので黙り込んでいるのだろう。

 

「ゼロ?」

 

 藤堂が黙り込んだゼロに言葉を掛け、ようやくゼロが動き出す。

 

「それが事実だという証拠はあるのか?」

「証拠は示せないが、それを調べるのは難しくない筈だ。あるいは本人に直接尋ねてみてもいいかもしれないな。とにかく、ブリタニアと繋がっていると思われる者がいる以上、こちらとしても、そう簡単に黒の騎士団を信頼出来ない。それは分かって貰えると思うが?」

「……その人物の名前は?」

「黒の騎士団の副司令、扇要だ」

「ばっ!?」

 

 予想外の名前だったのだろう。藤堂が、まるで睨みつけるような強い視線を俺へと向けてくる。そしてディートハルトは何故それが知られているのか分からないといった視線を俺に向けてくる。

 

「アクセル・アルマー。扇副司令がブリタニアと繋がっているというのは本当か?」

 

 ゼロが喋るよりも前に、藤堂が口を開く。

 

「こちらの情報ではブラックリベリオン以前に、ブリタニアの純血派の女と一緒に暮らしていたらしい。そして、今もまだその女に対して強い執着を持っている。……ちなみにその女軍人は、現在では機密情報局という皇帝直属の情報機関でそれなりのポストを得ている。皇帝直属。ギアス響団と同じような立ち位置だが……さて、その辺はどうなんだろうな」

「ギアス……だと? ゼロ、この話は知らなかったのか? それとも知っていて扇副司令をそのままにしていたのか?」

 

 藤堂の問いに数秒程沈黙し、やがて口を開く。

 

「情報の裏付けを取ろうとしていたところだった。まだ確実という訳ではない為に問題にはしていなかったがな。そうだな? ディートハルト」

「はっ、はい。こちらでその情報を確認するように指示を出されていましたが、今は忙しく後回しに……」

 

 この反応を見る限りでは、今のディートハルトの返事はアドリブか何かか?

 

「だが、シャドウミラーにまで広まっていると考えれば、扇副司令からも詳しく事情を聞く必要があるのではないか?」

「……そうだな。この件についてはこちらで確認し、そちらの情報が正しければ扇を適切に処理しよう。それで構わないか?」

 

 処理。それがどういう事を意味しているのか俺に分からない。降格処分か、文字通りの意味で処分されるのか。……いや、何だかんだで黒の騎士団内での人望はある扇だ。命をどうこうという風にはならないというか、出来ないだろうが。

 

「分かった、それでいいだろう。だが、どうなったかの結果だけは教えて貰えるな?」

「それは約束しよう」

 

 会談……というより交渉が終了した、その時。

 

「済まないが、ゼロ。少しいいか」

 

 そう声を挟んだのは、ここまでずっと黙って話の成り行きを見守っていたコーネリアだった。そのコーネリアに対して藤堂が一瞬視線を向けたが、特に何を言うでもなく様子を伺う。

 

「もちろん構わない。私達黒の騎士団とコーネリア殿下は色々と因縁もあったが、これからは共に手を取り合っていけると……」

「その前にだ。私と黒の騎士団が手を取り合う前に、1つだけどうしても聞いておきたい事がある」

 

 声は小さいが、そこに込められている意志はとてつもなく強い。そんな声に、言葉を続けようとしたルルーシュも黙り込んで先を促す。

 

「許されざる大罪を負った者は、果たしてその罪が許されるのだろうか? それとも罪の存在そのものすら忘れ去るのだろうか。黒の騎士団のゼロ、個人としてのゼロ、そして……家族としてのゼロとして、その辺をどう思うのか聞かせて欲しい」

 

 コーネリアの言葉に、俺とゼロ以外の者が困惑の表情を浮かべる。だが、その言葉の意味を理解しているゼロは数秒黙った後、口を開く。

 

「大罪を犯した者は、一生その罪を背負い続けるだろう。その贖罪を求めて足掻き続ける。大罪の理由となった存在の叶えるべき願いを叶える為に。少なくても私はそう思っている」

「……そうか」

 

 大罪の理由となった存在の叶えるべき願い。……即ち、日本人が日本人らしく暮らせる社会を作る為に生涯を尽くす。言外にそう告げるゼロの言葉に、静かに頷くコーネリアだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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