転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0656話

 メガ・バスターキャノンの巨大なビームが消えた後、そこには何も残っていなかった。ギャラハッドから脱出したコックピットブロックはおろか、ギャラハッドの最大の特徴でもあるエクスカリバーまでもが完全に消滅している。

 

「……しまった」

 

 その様子を見て、思わず呟く。

 本来の予定であればナイトオブラウンズ最強の男。即ち、ブリタニア最強の男のKMFであるギャラハッドの残骸を使ってブリタニア軍の高い士気を落としていくつもりだったのだが……そのギャラハッドが綺麗に消滅してしまっては士気を下げるどころではない、か。

 そうも思ったが、すぐに量産型Wにこの戦闘の映像を流すように命令していた事を思い出す。

 

「まぁ、ギャラハッドの残骸は無いが、それでもニーズヘッグがギャラハッドを一蹴している映像が世界中に流れた以上、士気の低下は避けられないだろ」

 

 特に、シャルル本人の士気がどこまで低下するのやら。V.V.とマリアンヌは行方不明。右腕とも言えるビスマルクは正面から俺に挑んで苦もなくやられた。既にシャルルの同士と呼ぶべき相手はこの世界のどこにも存在しなくなった訳だ。

 ああ、そう言えばビスマルクとの通信でマリアンヌの名前を出したが……まぁ、流しているのは戦闘映像のみなのを考えれば、特に問題は無いだろう。

 さて、これを知ったシャルルはどう動くか。暴走してくれれば対処もしやすいんだが、腐っても長年ブリタニアの皇帝をやってきた男だ。そんな軽はずみな真似はしないだろう。そうなると、次に問題になるのはシュナイゼルか?

 そんな風に考えながら、VTOL輸送機にいる量産型Wへと通信を入れる。

 

「映像データはきちんと流したか?」

「はい、シロガネ経由で問題無く世界中へと流しました」

 

 シロガネ経由? と一瞬思ったが、VTOL輸送機に世界中に映像を流すようなシステムが存在している訳でも無いので、しょうがないのだろう。

 

「映像データのみだな?」

「はい。あくまでも流したのは命令通りに映像データのみとなっています」

 

 この辺、映像データと言われれば映像データだけを流す量産型Wならではで助かったといったところか。

 

『という事で、映像に関してはこっちで処理させて貰ったわ。それにしても、ブリタニア帝国最強って言われている程の相手を、まるで赤子の手を捻るかのような戦いだったわね』

 

 通信画面にマリューが映し出され、柔らかな笑みを浮かべながらそう告げてくる。

 

『ビスマルクがアクセルのいる場所に直接出向くとは、さすがに予想外だった。恐らくシュナイゼル兄上の考えなのだろうが』

 

 次に映し出されたコーネリアが、若干悔しそうに呟く。

 今回の戦略を考えたのはコーネリアだ。その裏を突くかのように俺の待機場所を見破られたのが悔しいのだろう。

 

「あまり気にするな。災い転じて福と為す。この世界の日本にこの諺があるかどうかは分からないが、今はまさにそんな状況だ。ブリタニア最強の存在が本気を出して俺に手も足も出なかったという映像は、ブリタニア軍の士気の高さに歯止めを掛けてくれるだろうさ」

『……そうだな。明日以降に基地を襲撃する際は、その辺を利用するとしよう』

 

 コーネリアがそう呟き、映像モニタに映し出されたスレイも頷く。

 

『起こってしまった事にいつまでも拘っているのはコーネリアらしくないぞ。お前はその辺を覆す事が出来るんだろう? 伊達にブリタニアの魔女と呼ばれていた訳では無いというのを私に見せて欲しいな』

 

 どこか挑発するようなその口調に、コーネリアが薄らと笑みを浮かべる。

 

『ふっ、そうだな。確かに落ち込んでいるのは私らしく無いか。いいだろう、アクセルの正妻になる女の力というものを見せてやる』

 

 堂々と宣言するコーネリアだが……

 

『あら? アクセルの正妻は私だと決まっている筈だけど? 何しろアクセルとの付き合いは一番長いんだし』

『それはちょっと承伏出来ないわね。付き合いが長ければそれだけで正妻となるのはちょっと違うんじゃない? 正妻に必要なのは、やっぱりアクセルを包み込むような優しさだと思うわよ?』

 

 レモンの言葉にそう言って胸を張り、人並み外れて大きい胸を見せつけるマリュー。だが……

 

『あらあら、胸の大きさでは私だって負けてないわよ』

 

 マリューに負けず劣らずのスタイルを誇るレモンが同様に胸を張る。

 いや、そんな事をしている場合じゃないと思うんだけどな。

 

『胸の大きさが魅力の決定的な差では無い事を私が証明してやる!』

 

 どこぞの赤い彗星のように呟くスレイ。

 勿論スレイの胸も平均よりはかなり巨大であり、プロジェクトTDのNo.1として鍛えてきたそのスタイルは素晴らしいと言える。だが、それでもレモン、コーネリア、マリューの3人と比べると、胸の大きさで少し劣るというのは事実であり……

 

「って、だから今はそういう事をやってる場合じゃないだろうに」

 

 そんな4人のやり取りを見ていた俺は、思わずそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 ギャラハッドを撃破してから数日。ナイトオブワンの死亡という事態と、その戦闘シーンがシロガネにより強制的にブリタニア中へと放送されたのは確かに効果があった。いや、俺の予想していた以上の効果があったといえるだろう。

 ビスマルク死亡の翌日には、ブリタニアの軍事基地の抵抗が明らかに弱くなったと報告があったのだ。その結果、これまでの1.5倍程の速度でブリタニアにある軍事基地を攻略する速度が上がり、予定よりもペースが早まったのは事実だ。勿論理由はそれだけではない。向こうも士気が下がっているというのは理解していたのか、戦力を首都であるペンドラゴンへと集めているのも攻略速度が上がっている理由なのだろう。

 そして、つい先程ブリタニアに残っている最後の軍事基地の攻略が終了したとコーネリアから報告が入った。残るは首都ペンドラゴンのみとなり、久しぶりにシャドウミラー隊、そして星刻率いる陽光の部隊と合流する事になったのだ。

 

「合流地点へ向かえ」

「了解しました」

 

 量産型Wが俺の言葉に頷き、ここ暫く俺の寝床でもあったVTOL輸送機を出発させる。

 さて、いよいよこの世界での戦いも終結に近づいて来たが……ブリタニアとしては、まだ抵抗するつもりなんだろうな。

 コーネリアから先程入った連絡は、ブリタニアの秘密基地を攻略したというものだったが……ギアス響団の件も考えると、まだ皇帝直轄の施設とか残ってないだろうな?

 VTOL輸送機に揺られながら、ふとそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 首都ペンドラゴンから50km程離れた場所。そこにシロガネが停泊しており、周囲にはメギロートが偵察の意味も込めて飛行している。

 明らかにペンドラゴンに集まっているだろうブリタニア軍から察知はされているのだが、向こうから攻撃を仕掛けて来る様子は無い。

 ……偵察目的だろうフロートユニットを装備したサザーランド・エアが何度か現れたが、その全ては警戒態勢に入っているメギロートに撃破されていた。向こうでもそれを理解したのだろう。撃墜されたサザーランド・エアの数が20を越えた辺りで偵察は諦めたのか、ちょっかいを出しては来なくなった。

 

「で、どうやって攻める?」

 

 シロガネの中にあるブリーフィングルームの中でムウが呟く。

 現在このシロガネの中に集まっているのは、シャドウミラーの幹部達と陽光からは星刻、洪古、香凛の3人。当然、ロンダンやターロンダンの艦長、あるいはKMF部隊の指揮官といった存在もいるのだが、何しろ今回のブリタニア軍との戦いで陽光が出しているのは星刻を始めとした1部隊だけだ。

 執政官でもある星刻が国を空けているというのはあまり良くないのだが、かと言ってブリタニア軍との戦いにこの世界の覇者となりつつある陽光から1部隊も出さないのは体面上の問題で色々と拙い。

 まぁ、陽光の部隊は未だにガン・ルゥが主力なのだから、大量に部隊を送られてきても恐らくブリタニア軍に撃破されて向こうの士気を上げるだけになるのを考えると、神虎やジークフリートを含む精鋭部隊を1部隊だけ送り込んだというのは正しい選択だろう。同時に1部隊ではあっても、陽光の精鋭だと明確に誇示する為に星刻が出て来ている訳だ。

 

「どう、と言われてもな。この戦闘はこれまでのようにギアス世界全土に生中継として放映するつもりだ。それを考えれば、こっちが卑怯な真似をするというのはこれからの陽光の統治に悪影響でしかないしな」

「となると、正面から正々堂々とか?」

 

 俺の言葉に微かに眉を顰めて呟いたのは、洪古。ガン・ルゥが主力だからこそ正面からそのままぶつかれば多大な被害を受けるというのを理解しているのだろう。

 

「被害については心配するな。こうして俺達シャドウミラーが合流した以上、ガン・ルゥ部隊には後方からの援護射撃をメインにして貰う。前線に関してはいつものようにメギロートとシャドウに任せる。俺達シャドウミラーの主力もいるしな。……ただし、それだと完全に俺達シャドウミラーに頼り切った戦いと見られる可能性も高いから、神虎とジークフリートに関しては前線に出て貰うぞ」

「うむ」

「任せろ」

 

 俺の言葉に星刻と洪古が頷く。

 正面から正々堂々とか、まるっきり俺の趣味では無いんだが。それでもこの世界を統治するというからには陽光はそれなりの戦い方を見せる必要がある訳だ。

 それに知略戦ではシュナイゼル相手に勝ち目が無いってのもあるし。

 いや、寧ろそれを考えれば正面からぶつかるというのは有効な一手とも言えるだろう。

 俗に言う、王者の戦い方ってのがこの場合はベストな訳だ。

 

「で、総攻撃はいつ始める?」

「ギアス世界に戦いの様子が中継される以上、時間を指定しておいた方がいいだろうな。何時に攻撃を開始するから、戦争に巻き込まれたくない者はペンドラゴンから脱出しろと」

「だが、それで脱出しない者はどうする? 特に貴族なんかは面子に拘って残る者も多そうだが」

 

 洪古の言葉に、思わず笑みを浮かべる。

 

「避難勧告を出した後でも残っているのなら、それは自己責任だろう。そこまで俺達が心配してやる必要は無い」

「だが、病院に入院している者とかを盾にしてくる可能性はないか?」

「確かにその可能性はあるが、それならブリタニアが手を尽くして入院している国民を避難させればいいだけだ。そもそも俺達は市街に攻撃するつもりもないんだから、そこまで心配する必要は無いと思うがな」

 

 大体、市街地を攻撃したりしたらブリタニアを治める時に復興まで時間が掛かってしまうだろうに。まぁ……

 

「ゲリラとかで市街地に潜んでいたKMFが攻撃してきたのなら、反撃はするだろうが」

 

 エリア11となった日本のように、占領されたのが認められなく……あるいは、許せないブリタニア軍人や貴族達がゲリラと化す可能性は十分にある。

 

「分かった。なら私がブリタニアへの宣言を行おう。私の顔はこの国ではそれなりに知られているから、無視したりといった事は出来無い筈だ」

 

 コーネリアが薄らと笑みを浮かべながらそう告げ、自分に任せろと言ってくる。その様子からはブリタニアに対する後ろめたさといったものは殆ど見られない。

 まぁ、表に出していないだけで何も感じていないって訳じゃないんだろうが。

 マリューから、シロガネに合流した後に自分の部屋で沈んでいたという話も聞かされたし。

 ユーフェミアを殺したギアスの根源といってもいい土地であるのは理解しつつも、それでもやはり生まれ故郷である以上は完全に自分の心から切り捨てる事は出来無いのだろう。

 

「そうか、なら任せる。攻撃を開始するのは明日の午前10時。それまでに非戦闘員は念の為にペンドラゴンから脱出するように言ってくれ。こっちの忠告を無視して被害を受けたとしても、その責任は全てブリタニア帝国にあると」

「うむ、任せろ」

「星刻も、攻撃開始は明日の午前10時で問題無いな?」

「ああ、こちらとしても問題は無い」

 

 こうして、明日の午前10時に攻撃を開始するという事が決まったのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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