転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0657話

「さすがにペンドラゴンの中で市街戦をやるつもりにはならなかったらしいな」

 

 シロガネの甲板上で、ニーズヘッグのコックピットの中から映像モニタに映し出されている映像を眺めながら呟く。

 そこに映し出されているのは、無数のKMF部隊。フロートユニットを装備して浮いている機体もいれば、あるいはフロートユニットの数が足りなかったのか、地上に布陣しているKMFもいる。

 その機種に関してもこちらの戦力がどれ程のものか理解しているのだろう。とにかく手数を増やそうというのか、古い機体だとグラスゴーまで戦線に姿を現していた。もっとも、さすがにグラスゴーにフロートユニットを付けるのは勿体ないと思ったのか、全てが地上部隊として配置されているが。他にもサザーランドにグロースター、それぞれのエアタイプ、ヴィンセント・ウォード、ガレス、指揮官型ヴィンセントという風に、まさにKMF大博覧会と言ってもいいような程に多種多様な機種が存在している。

 勿論それだけではない。既に残り2名となったナイトオブラウンズのトリスタンと……第9世代KMF、ランスロット・アルビオン。ちなみにノネットに関してはコーネリアがどうにかしたらしく、既にブリタニアから抜けたらしい。陽光に降るでもなく、あるいはシャドウミラーに降るでもなく。本当にどこに行ったのか分からなくなったんだとか。コーネリアの話によると、元々自由なところのある人だったから心配いらないとか何とか。

 

「KMFも凄いが、アヴァロン級とか言ったか? あの浮遊航空艦に関してもかなりの数がいるな」

 

 ニーズヘッグの隣に立っているシャドウからスレイの声が聞こえて来る。

 確かにKMFだけではなく、アヴァロン級も軽アヴァロン級から、通常のアヴァロン級、重アヴァロン級まで全機種が揃っている。さすがに重アヴァロン級の数はそれ程多くはないが、それでも5隻程存在しているし、軽アヴァロン級に至っては30隻以上空に浮いていた。

 

「確かに数だけで言えばこっちの負けだが……まさか、質を重視するブリタニアが中華連邦のような戦術をとるとはな」

「無理も無い。質で勝負するブリタニア軍が、その質で圧倒的に負けているのだからな。そうなれば、数でどうにか対抗するしか無いだろう」

 

 ラピエサージュに乗ったコーネリアの通信が届く。

 モニタに映し出されているコーネリアは、やはりどこか感情の籠もった視線をブリタニア軍へと向けていた。

 

「姫様……」

 

 ヴァルシオン改に乗っているギルフォードが気遣うような声を掛けるが、コーネリア本人はそっと首を左右に振る。

 

「気遣う必要は無い。今の私はシャドウミラーのコーネリアなのだから」

 

 その言葉を切っ掛けにしたかのように、ブリタニア軍の中からランスロット・アルビオンがエナジーウイングを使用しつつ前へと出て来る。

 ……以前の時と同じだな。スザクはあの時の俺との問答でギアスを使ったブリタニアを半ば肯定してしまい、その点がまたブリタニア軍の士気を低下させていた。

 本人はその責任を取って自主的な謹慎をしていたという話だったが、さすがにブリタニアの首都まで攻め込まれるという状況になれば謹慎云々という話はしていられないのだろう。

 

「アクセル、どうするの?」

 

 ニーズヘッグの背後に寄り添うようにして存在していたヴァイスセイヴァーから入って来たレモンからの通信に、小さく頷く。

 

「以前の焼き直しになるような気もするが、それでもブリタニアの代表としてスザクが出て来たんだ。なら俺も出て行くとするさ」

「そう? まぁ、確かにそれがいいんでしょうけど……けど、何であのスザクって子がブリタニアの代表なのかしら?」

 

 ……そう言えばそうだよな。以前は威力偵察という規模だった故に部隊の規模が小さかったから、ナイトオブラウンズのスザクが代表として前に出て来るのは当然だった。だが、今回は違う。ブリタニアの興亡を掛けた戦いなのだ。首都のペンドラゴンにしても、すぐ近くにある。皇帝のシャルル……とは言わないまでも、せめて宰相のシュナイゼルが出て来ても良さそうなものだがな。

 だが、ここで何かを考えていて解決する問題ではないのも事実だ。

 

「直接出向いてみれば分かる。ただ、何があるか分からないからな。一応警戒態勢は解かないようにな」

「……気を付けてね」

「俺がこの程度の相手にやられる訳がないだろう? 安心して見ていろ」

 

 レモンへとそう告げ、ツイン・ドライブを使ってシロガネの甲板から飛び立つ。

 そのまま前方へと進み、やがて数秒と経たずにランスロット・アルビオンの前へと到着する。

 

『お久しぶりです、アクセルさん』

「そうだな。あの時の戦い以来か。それで、なんでここでお前が出て来るんだ?」

『……通信を中継します』

 

 俺の言葉に返事をする事無く、その言葉と共に映像モニタに映し出されたのはシュナイゼルだった。

 

『やあ、アクセル・アルマー君。こうして直接会うのは久しぶりだね。君がまだコーネリアの部下としてエリア11にいた時以来じゃないかな?』

「そうだな。この前の戦いではダモクレスを放っておいてさっさと逃げ出したようだしな」

『そうだね。まさかダモクレスに乗っていたというのに、真上から攻撃を食らうとは思ってもいなかったよ』

 

 瀕死の目に遭ったというのに、全く気にした様子も見せないシュナイゼル。この辺は自分の命すらも冷徹に数として考える宰相としての顔なのだろう。あるいは、その本質である虚無が姿を現しているのかもしれないが。

 このまま話していると、向こうのペースに乗せられる。ここはさっさと本題に入らせて貰おうか。

 

「で、わざわざスザクを寄こして、しかもランスロットの新型を用意してまで、何をしたいんだ?」

 

 こっちがランスロット・アルビオンの力を知っているのを向こうは知らない筈だ。故に、それを匂わせないようにして尋ねる。

 

『何、このままここで私達と君達が戦えば、双方に大きな被害が出る。なら、出来るだけ被害が出ないようにこの戦争の決着を付けてはどうかと思ってね』

「被害が出ないように?」

『ああ。何、それ程難しい話じゃない。シャドウミラー最強の君と、現在のブリタニア最強のナイトオブセブンの一騎討ち。これに勝った方がこの戦争の勝者となる。……どうかな?』

「却下だな。メリットよりもデメリットの方が大きすぎる」

 

 一言でシュナイゼルの戯れ言を断ち切る。そもそも……

 

「このまま戦えば俺達の勝ちは決まっているんだ。それなのに、何故無駄な賭けをする必要がある?」

『先程も言っただろう? 人の命が散るのは少ない方がいいと』

「それも俺達に取っては無意味だ」

 

 さて、ブリタニアはメギロートについてどこまでの情報を得ているか……残骸の1つでも入手していれば気が付くことだが。

 

「お前達が気が付いているかどうかは知らないが、シャドウミラーの主力でもあるメギロートは無人機だ。幾ら撃墜されようとも、お前の言う人命の無駄にはならない。もし人命の問題が起きるとしたら、それはブリタニアのみとなるだろう。そしてこれ以上にブリタニア側が人命を損ないたくないというのなら、こうして抗わずに無条件降伏すればいい」

『残念だが、こちらにも色々と事情があってね。そう簡単に無条件降伏をする訳にはいかないんだよ。それに、これは君達にとっても悪い話ではないと思うが? 君達がもしこのまま私達に勝ったとしても、ブリタニアという国は広大だ。それを治めるのに、人材は幾らでも必要だろう? ここで無意味に死なせるというのは惜しいと思うがね。 ……どうだろう、もう一度良く考えて見て貰えないだろうが』

 

 ちっ、確かに向こうの言っているのは事実ではある。基本的に間接統治でこのギアス世界を治めると決めている以上、ブリタニアの人材を失うというのは、最終的には俺達にとってもマイナス要素になる可能性が高いのは事実だ。勿論、取り返しの付かない程ではない。最悪、量産型Wを送り込むという手段はあるのだから。しかし……相手がスザク?

 

「スザク、お前は何故未だにブリタニアにいる?」

 

 シュナイゼルとの会話を一端中断し、スザクへと問い掛ける。

 その問いに一瞬眉を顰めるが、すぐに口を開く。

 

『僕はナイトオブラウンズですので』

 

 確かにその答えはある意味で事実だ。ナイトオブラウンズは皇帝の直轄であり、それだけにブリタニアという国に対して責任を持つ。……一般的には。

 

「本当にそうなのか? 既にエリア11は解放され、日本という名を取り戻した。間接統治とは言っても、エリア11だった時と比べると差別やら何やらは全くない。それでも尚、お前はブリタニアに忠誠を誓うと?」

 

 そもそも原作でスザクがナイトオブラウンズになったのは、ナイトオブワンに与えられる特権である『どこかのエリアを所有できる』というのを目指してのものだった筈だ。それを使ってエリア11を自らのものとし、日本を再生する。それがスザクの目論見だったのだが、この世界では既に黒の騎士団が俺達の協力を得てエリア11を解放してしまっている。つまり、スザクがブリタニアに仕える必要は全く無い筈なのだ。

 

『それは……ですが、僕はナイトオブラウンズです。特権を受けるからには、義務も果たさなければいけません』

「なるほど、確かにそれは正しい考えだ。だが……お前も見ていた筈だな? 俺がブリタニア最強と言われるナイトオブワンを相手に苦戦する事無く圧倒したのを」

『それでも……それでも、僕はユ……』

 

 何かを言おうとしたスザクだったが、それを最後まで口に出させずにシュナイゼルが再び口を開く。

 

『さて、旧交を温めるのはその辺にしておいて貰おうか。それよりも一騎討ち……受けるのかね?』

「そっちの提示した方法を受けて、それで俺が勝ったとしてもお前達が降伏するという保証は? 実際問題、そこまで迎撃の用意を調えておいて、負けたからといってそう簡単に諦めるとは思えないが?」

 

 もしスザクが負けたとしても、何らかの口実で全面戦争に持ち込む気なのだろう。言外にそう匂わせた俺の言葉だったが、シュナイゼルの口元に浮かんでいる笑みを消す事は当然出来なかった。

 

『これは、君達が私の提案を蹴った時の為だよ。……さて、どうするのかな? この場の選択権は君の方にある。受けるというのなら決闘を始めようと思うし、受けないと言うのならこちらも死兵と化してお相手しよう』

 

 ……さて、どうするか。正直な話、俺としてはシュナイゼルの言い分を信じる事は当然出来無い。出来ないのだが……ランスロット・アルビオンという、ブリタニア最後の希望と言ってもいいナイトオブラウンズ機をこの場で倒すというのは、ブリタニアの士気を下げるという意味ではこれ以上ない程に有効なのも事実だ。特にナイトオブワンを倒す映像を見せられ、それに続けて第9世代KMFのランスロット・アルビオンが撃破する様を見せつけられたら……

 一応、それでもジノという最後のナイトオブラウンズはいるが、第9世代KMFが勝てなかった相手に、第8世代のトリスタンでどうにか出来る筈も無い。

 視線をレモンの方へと向けると、4人共が小さく頷く。星刻へと向けても、同様に頷いている。

 この辺、俺とニーズヘッグの戦闘力を信じているからこそなんだろうが。

 

「いいだろう。なら、そちらからの要望に応えよう。シャドウミラー代表アクセル・アルマー、ニーズヘッグで相手をさせて貰う」

『ナイトオブセブン、枢木スザク。ランスロット・アルビオンにてお相手します』

 

 俺が宣言し、スザクもまた同様に宣言する。そして、その宣言を聞いたシュナイゼルが薄い笑みを浮かべながら頷く。

 

『では、お互いが名誉を賭けて頑張ってくれたまえ』

 

 その言葉が放たれるのと同時に、ランスロットはエナジーウイングを閃かせながらニーズヘッグへと向かって急速に間合いを詰めてくる。

 こうして、ギアス世界最後の戦いの幕が切って落とされたのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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