転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0666話

 ホワイトスターにある魔法球の中、そこで俺が見ているのはニーズヘッグだった。

 それもただのニーズヘッグではない。ギアス世界で得た技術を適応されて改修されたニーズヘッグだ。

 とは言っても、ギアス世界で得た技術はそれ程多くない――正確には、ニーズヘッグに使われている技術はそれ程多くない――ので、唯一変わっているのはやはりエナジーウイングを発生させる装置が肩……と言うよりも肩胛骨の後ろに付いた事だろう。ヒュドラの邪魔にならないように上手く調整されているが、その部分だけが唯一変わっている場所だ。

 いや、フレイヤ弾頭を装備しているランツェ・カノーネも変わっていると言えば変わっているんだが、基本的に砲身そのものがヒュドラに隠れているから、外からだと見分けが付かないんだよな。

 

「で、結局エネルギーの過剰流入はどうやって解決したんだ?」

 

 隣で仏頂面をしているロイドへと尋ねる。

 ギアス世界の技術を使って改修されたニーズヘッグのお披露目だというのに、ロイドの顔に喜びは無い。それも気になるが、以前にレモンから聞かされたエナジーウイングの問題の解決方法が気になって尋ねる。

 だが、帰ってきたのは不機嫌そうな一言だけだった。

 

「T-LINKシステム」

 

 その言葉だけでどうやって問題を解決したのかを理解する。っていうか、何でもかんでも念動力頼りってのは正直どうなんだろうな。

 だが、同時にロイドが不機嫌な理由も判明した。

 恐らくロイドとしてはT-LINKシステムのように特定の人物しか使えない技術に頼らざるを得なかったのが悔しいのだろう。

 ロイドの開発したランスロットも特定の人物しか使えないというのは似たような物だが、それでもパイロットなら誰でも起動は出来る。だがT-LINKシステムの起動に必須の念動力は、正真正銘俺だけしか使えないからな。

 いや、OGs世界に行けば念動力持ちはそれなりにいるんだが。少なくてもシャドウミラーでは俺だけの専用機であり、同時に念動力でしかエナジーウイングを安定して使用出来ないのなら他の機体に装備させるのは無理だろう。

 

「まさか、エナジーフィラー以外のエネルギーとここまで相性が悪いとは思わなかったよ。半年以上も研究して、それで結局辿り着いたのが念動力による制御だけなんだから」

「まぁまぁ、ロイドさん。これから研究を続けていけばいいんですよ。幸いシャドウミラーにはこの魔法球のような存在があるんですから、時間については余り気にしなくてもいいでしょうし」

 

 ロイドを宥めるようにセシルが口を挟むが、残念ながらそれでもまだ機嫌は直らない。

 現実世界で星刻の治療を始めてから1週間。それはつまりロイドとセシルが魔法球を使い始めてからも同じだけの時間が経過している事を意味している。

 勿論ずっと魔法球の中にいた訳じゃ無くて現実世界の方にも何度か戻っているし、魔法球の中でも研究だけをしていた訳では無いだろう。それらを踏まえて、約半年。それだけの時間を研究に費やしての結果がT-LINKシステムによる制御だけというのがロイドには不満らしい。

 そもそも違う世界の技術を融合させるんだから、思いついてすぐに出来るってものでも無いと思うんだがな。PS装甲とT-LINKシステムを融合したT-LINKフレームも完成に随分と時間が掛かったし。……いや、T-LINKフレームはそもそもT-LINKシステムの機能を持つチップを金属粒子レベルで鋳込むってのが難しかったんだから一概には言えないが。

 それを思えば、グレートグランドマスターキーをヒュドラに組み込んでコックピットから使用出来るようにした葉加瀨はさすがと言うべきか。まぁ、技術班の協力あってこそなんだろうが。あるいは、違い過ぎる技術だからこそ逆に相性が良かったのかもな。

 

「ま、まぁ、ほら。アクセルさんも試してみて下さい。まだシミュレーションしかやってませんが、理論上では大丈夫の筈ですから」

「……そうだな。確かにここでこうしてただ見ているだけってのは意味が無いか」

 

 呟き、空中へと浮かび上がりながらニーズヘッグのコックピットへと向かう。

 背後ではロイドとセシルから驚愕の視線を向けられているのが分かる。そう言えば、あの2人の前で混沌精霊としての力を見せるのは初めてだったか。

 レモンを始めとした技術班はいつもの事とばかりに、特に気にした様子も無く早速データを取る準備を始めているのだが。

 そのままコックピットへと入り、念動力により搭乗者を認証。ニーズヘッグの起動を確認する。同時にグラビコンシステムとPS装甲が起動し、ニーズヘッグの機体表面の色が変わっていく。そして……

 

「エナジーウイング、起動」

 

 その言葉と共にT-LINKシステムを通してエナジーウイングへとブラックホールエンジンから作り出されたエネルギーが供給。次の瞬間にはエナジーウイングの展開が完了する。

 

『おおおおおお』

 

 外から聞こえて来るどよめき。というか、起動しただけでどよめきとかどうなんだろうな。

 まぁ、とにかく。

 

「レモン、データは収集されてるな?」

「ええ、無事起動を確認したわ。ほら」

 

 そう言い、レモンから映像が回されてくる。

 その映像に映し出されたのはニーズヘッグの背後からの映像だ。バリオン創出ヘイロウの近くにある、人間で言えば肩胛骨の場所にある装置から確かにエナジーウイングが形成されているのが分かる。

 ただし、ランスロット・アルビオンのそれとはかなり違う。ランスロット・アルビオンは緑色をした大きめのエナジーウイングが片方3枚ずつの合計6枚で構成されているのに対して、ニーズヘッグは赤い色をしており、小さめのエナジーウイングが片方5枚ずつの合計10枚で構成されている。

 そう言えば、この歴史ではカレンが中華連邦の、引いてはブリタニアに捕虜にならなかった関係で紅蓮聖天八極式は作られていない。そうなると、赤いエナジーウイングというのもこれが初めてになるのか。

 

「ロイド、セシル、聞いているか? エナジーウイングが赤になるというのはそっちで設定数値とかを弄って決めたのか?」

「そんな事無いよ! ランスロットと同じようになるように設定しているのに……何で赤になってるの!?」

 

 驚愕の声を上げるロイド。この様子だと完全にイレギュラーなんだろう。

 

「セシル、エナジーウイングの開発者としてはどう思う?」

「いえ、申し訳ありませんが私にも……ただ、恐らくという言葉を付けないといけませんけど、T-LINKシステムによってエネルギーを集束させてエナジーウイングを安定させたのが理由かと」

「念動力やT-LINKシステムに関しては個人差が大きいし、そもそもこのニーズヘッグのT-LINKシステムはT-LINKフレームで形成されているのを考えると、この程度のイレギュラーはあり得なくはないわね」

 

 混乱しているロイドとは裏腹に、レモンはどこか納得したように呟く。映像モニタを確認すると、マリューもまた同意するかのように頷いていた。

 

「とにかく、T-LINKシステムのおかげで無事にエナジーウイングが形成されたんだから、調査についてはこの実験が終わってからしてくれ。動かすぞ」

 

 通信装置でロイドへとそう声を掛け、T-LINKシステムを通してエナジーウイングを動かす。とは言っても、別に羽ばたくとかそういう鳥のような感じではなく、エナジーウイングを形成しているパーツを動かすような感じだ。

 

「……どうだ? T-LINKシステムを通して動かしている感じだと特に違和感は無いが」

「ええ、外から見ている限りでも特に異常は無いわ」

 

 どうやらレモンの言葉を聞く限りだと特に問題は無いらしいな。

 

「ロイド、セシル、エナジーウイングに関してはランスロット・アルビオンに使っていた物と違って、色々と改造していると聞いているが具体的にはどうなっている?」

「あ、はい。まず最大の違いはブレイズ・ルミナスを防御に使っていない事です。最初はランスロット・アルビオンのように防御にも使えるようにしようと思ったんですが、レモンさんからニーズヘッグのデータを貰った限りでは幾つものバリアやジャマーを装備していますので、これ以上防御能力を高める必要は無いと判断しました。……ロイドさんが」

 

 チラリ、とロイドへと視線を向けるセシル。

 肝心のロイドはと言えば、何故か照れくさそうに笑っている。

 

「……まぁ、確かにEフィールド、G・テリトリー、念動フィールド、PS装甲、ジャマーと防御装備が充実しているのは事実だが。なら、そのブレイズ・ルミナスの防御機能を削った分をどこに回したんだ?」

「攻撃能力です。エナジーウイングの外側の部分にブレイズ・ルミナスの能力を集めてより強力なフィールドを形成する事に成功しました。これにより、エナジーウイングをえっと……シャドウミラーで使っているビームサーベルのような近接用の武装としての使用が可能となっています。また、同時にランスロット・アルビオンで使用していた刃状のエネルギーを放って広域攻撃用の武装として使用する事も可能ですね。エナジーフィラーではなく、ブラックホールエンジンからのエネルギー供給や攻撃に特化した分、ランスロット・アルビオンよりも強力になっています」

 

 セシルの説明を聞きながら、エナジーウイングを軽く動かす。

 ……T-LINKシステムを使っているだけあって、俺の思い通りに動くな。

 

「ちょっと離れていてくれ」

 

 外部スピーカーで周囲へとそう告げ、空中で誰もいない方へと向かって軽く刃状のエネルギーを1つだけ放つ。

 刃状のエネルギーはかなりの速度を出して飛んでいき、やがてエネルギーが尽きたのか空中へと溶けて消える。

 

「……なるほど」

 

 確かにランスロット・アルビオンのものよりも速度に関しては上だな。威力に関しては、さすがにここで試すわけにもいかないし後回しか。

 驚愕の視線を向けているセシルの視線を感じつつ、地上へと着地。再び通信を放つ。

 

「すれ違い様の近接攻撃も出来るとなると、かなり便利だろうな。射撃武器としても使えるし」

 

 敵の迎撃用に装備した拡散ビーム砲やビームバルカンの意味が無くなりそうな……いや、違うな。拡散ビーム砲にしろ、ビームバルカンにしろ反射的に撃てるという意味ではエナジーウイングよりも即応性は上か。今使って見た感じだと、エナジーウイングの方は一拍置く必要があるみたいだし。

 だが、すれ違い様に斬り裂けるというのは間違い無く便利だ。ヒュドラでも似たような真似は出来るが、その為にはビームソードを展開しないといけない。それに比べるとエナジーウイングは機体起動時に既に起動している。唯一の注意事項としては、ヒュドラの操作を誤ってしまわないかだが……この辺は慣れか。

 

「それと、防御を切り捨てた恩恵としてエナジーウイングを利用した運動性……と言うか、旋回速度も高くなっている筈です」

「運動性も?」

 

 確かにランスロット・アルビオンと戦った時、他のKMFとは段違いの運動性能には驚いた。あれよりも上となると……

 

「なら早速試してみるか」

 

 俺がそう呟くと、何も言わない内に周囲から技術班の面々が離れていく。

 それを確認し、ツイン・ドライブで空中へと浮いて少しだけ速度を出して移動。そのままヒュドラのスラスターを使いながら空中を飛び回る。よし、この辺の感覚は以前と変わらないな。なら後はセシルの言っていた旋回速度か。

 ツイン・ドライブで移動しながら、T-LINKシステムを通してエナジーウイングを使いその場で反転。……急激なGが掛かるが、それは俺にとっては全く問題無いので特に異常はない。

 

「確かに旋回速度に関してはヒュドラよりも若干上だな」

 

 呟き、再びツイン・ドライブを起動。そのままある程度の速度を出したところで、今度はエナジーウイングとヒュドラのスラスター両方を一度に起動する。

 

「……へぇ」

 

 さすが、と言うべきか。両方を同時に起動させた場合、旋回速度が体感的には数倍程上がっているように思える。

 

「ヒュドラのスラスターとエナジーウイングを同時に使うとかなり旋回速度が上がっているが、これは?」

「はい、ヒュドラにしろエナジーウイングにしろ、T-LINKシステムを通して操作しているという意味では同じなので、両方の動きを連動させてお互いを補い合わせることで旋回速度は驚異的に上がります。……と言うか、あのGに耐えられるのが信じられないんですけど」

 

 唖然としたセシルの声と、ロイドの『僕のデバイサーッ!』とか叫んでる声が聞こえて来るが……取りあえずスルーしながら改修されたニーズヘッグの操縦を色々と試すのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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