転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0667話

「……世話になったな」

 

 星刻が笑みを浮かべながらそう告げる。

 その様子には少し前までの不健康そうなところは既に無く、寧ろ元気が有り余っているといった感じだ。

 まぁ、レモンがシャドウミラーの技術を使って治療し、更には弱っている内臓の大部分を量産型Wの技術を使って強化したんだから、これで健康になってないと嘘だよな。

 

「一応、暫くは月に1度程度は医者に診せてね。まぁ、ホワイトスターに来てもいいんだけど、幾らシャドウミラーの基地が陽光の隣にあるとはいっても、まさか執政官の地位にある人がそう何度も抜け出したりは出来ないでしょう?」

「ああ、そうしよう。天子様の為にも今死ぬ訳にはいかないからな」

 

 決意を込めた瞳でそう告げるが、そもそも原作でもゼロレクイエムが終わってもまだ生きてたんだから、何気に生き汚いというか、しぶといというか。

 そんな風に思っている時、星刻の瞳がレモンから俺の方へと向けられる。

 

「アクセルにも随分とギアス世界の件では迷惑を掛けたな」

「気にするな。こっちもこっちで色々と助かっているしな」

 

 正真正銘、ギアス世界の件に関してはシャドウミラーや俺に対する利益が多かったのは事実だ。

 サクラダイトを定期的に一定量入手する事に成功し、更にはロイドとセシルというギアス世界でも有数の技術者も手に入れた。また、広域破壊用の兵器として狙っていたフレイヤも入手し、改良されて小型化されてニーズヘッグに装備されている。

 ちょっと予想と違ったのは、そのフレイヤを開発したニーナに関してか。当初はダラス研究所諸共に殺すつもりだったのだが、何を間違ったか今では火星でテラフォーミング作業に協力している。バトレーの右腕的な存在となって頑張っているらしい。

 

「ところで、陽光の方は何か異常があったかどうか知ってるか?」

 

 さすがに執政官として国の事は気になるのか、そう尋ねてくるが、俺は軽く肩を竦める。

 

「特にこれといった報告は入ってきていないな。つまり問題は起きていないか、起きていても香凛で解決出来る程度のものなんだろ」

「……そうか。出来ればもう少しゆっくりと話していたいのだが、これで失礼させて貰っても構わないか?」

「ああ」

 

 星刻の頼みに頷き、量産型Wを呼び出してゲートまで送る。

 

「とにかく、これでギアス世界については一段落したな」

「そう、ね。ギアス世界は2度目だったけど、色々と大変なのは今までと変わらなかったわね」

 

 苦笑を浮かべつつレモンが呟くが、1度目の時はレモンはあっちに行ってないんだけどな。そう言えば今まで行った世界って大抵何らかのトラブルに巻き込まれてるような気がする。ギアス世界では速攻でテロリストに絡まれたし、SEED世界ではザフトがヘリオポリスに攻め込んでいる場所に転移。ネギま世界は何故か幼児化して、更には麻帆良に侵入してきた魔法使いに襲撃された。

 OGs世界は言うに及ばずだろう。修羅やらダークブレインやらデュミナスやら。

 ネギま世界以外は俺の知ってる原作だったから何とかなったが……これまでの経験から考えれば、やっぱりネギま世界もアニメやら漫画やら、あるいは小説やらでやってたんだろうな。

 

「アクセル? どうかした?」

「いや、何でも無い。それよりギアス世界での諸々が終わったんだし、今日は家で少し豪華にパーティでもするか?」

「そう、ね。確かにそれもいいかもしれないわね。マリューとコーネリアとスレイの3人には声を掛けておくわ」

「料理に関してはどうする? 何ならネギま世界に行って超包子辺りから色々と買ってくるけど」

「そう? じゃあ、お願い」

 

 レモンにそう言われ、俺はネギま世界へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「……どうしてこうなった……」

 

 目の前に広がる光景に、思わず呟く。

 本来であれば俺とレモン達だけでパーティをする予定だったのだが……麻帆良の超包子で料理を買ってホワイトスターに戻って来た時、ロイドに見つかったのが運の尽きだったのだろう。異世界の料理に興味津々だったロイドは、いつも見ている限りでは信じられない程の行動力を発揮して俺の家にシャドウミラーの希望者を集めてパーティをする事になったのだ。

 

「すいません、すいません。ロイドさんには後できちんと言って聞かせますから」

 

 俺の呟きを聞きつけたセシルがペコペコと何度も頭を下げる。

 この辺、ロイドのお守り役としての面目躍如だろう。……本人は嬉しく無さそうだが。

 

「その、本っ当にすいません。ああ見えてロイドさんもシャドウミラーの皆に溶け込めるようにってそれなりに気にしているんです。……多分」

 

 ボソッと付け加えると説得力がないぞ。

 

「……はぁ、もういい。それにお前達の歓迎会も開いてなかったしな。それを今日やったと思えばいいさ」

「でも、その……本当はレモンさん達とゆっくりと過ごす予定だったのでは?」

 

 薄らと頬を赤くして尋ねてくるセシル。まぁ、俺がレモン達4人と付き合っているというか、同棲していると知った時にはパニクっていたからな。

 

「別にそこまで気にする必要は無い。あの4人とゆっくりするのは、パーティの後でも出来るしな」

「そ、それってもしかして……え? 4人同時にですか? そんな。まるで……す、凄い」

 

 何を想像したのか顔を真っ赤に染める。

 いやまぁ、その想像が実際に間違っている訳じゃ無いんだが。

 

「セシル君、セシル君、セシル君! おーめーでーとー!」

 

 顔を真っ赤にしながらクルクルと回転しつつこちらに近寄ってくるロイド。完全に酔っ払っているな。

 

「ちょっ、ロイドさん! すいません、アクセルさん。私はこれで」

「ああ。お守りを頑張ってくれ」

「私は技術者としてシャドウミラーに入ったのであって、決してお守りとして入った訳じゃありません! あ、ちょっと、ロイドさんそっちに行っちゃ駄目です!」

 

 フラフラしながらナタルやレイと一緒に家族の団らんをしているムウ達の方へと向かっていったロイド。セシルが素早く頭をさげてその後を追っていく。

 

「……また賑やかな面子が入ったようだね」

 

 そう言いながら俺へと近づいて来たのは、パーティ会場だというのに……いや、だからこそか。とにかくコーヒーの入ったカップを片手に上機嫌でその香りを楽しむフェイトだった。

 

「お前がこっちに来るってのは珍しいな」

「確かにね。ただ、一応君は僕の上司的な扱いだろう? なら火星のテラフォーミングの様子を報告しておくのもいいと思ってね。……それに、ギアス世界とか言ったっけ? 向こうの世界のコーヒーも気になるし」

 

 絶対そっちが本命で、報告の方はついでというか口実だろ。

 まぁ、取りあえずコーヒーを宛がっておけば文句は無いんだから、うるさくは言わないが。

 

「おい、アクセル! どうせパーティを開くのなら、和食を用意しないか、和食を!」

「あああ、マスター。折角招待されたのですから余り無茶を言われては……すいません、アクセルさん」

 

 こっちもこっちで、どこから聞きつけたのかエヴァが顔を出して茶々丸と共にパーティに参加していた。登校地獄の呪いが解け、それでも近右衛門に頼まれて――更に言えば、ゲートがあるのが麻帆良だという理由もあって――高校へと進学する事になったエヴァだが、その性格は以前と変わらない。

 

「和食というか、一応寿司ならあるけどな。それよりお前もはしゃぎ過ぎるなよ。明日は学校があるんだろう?」

「ふんっ、あの程度の授業はどうとでもなる。それよりも寿司があるのか。よし。茶々丸、まずはマグロの赤身だ」

「はい。ではこの辺で失礼します。アクセルさんもお料理は野菜を中心にバランス良く食べて下さいね」

 

 ペコペコと頭を下げて去って行った茶々丸と、その前を歩いているエヴァを見送る。

 

「あれが闇の福音とはね。全く、時代も変われば変わるものだとつくづく思うよ」

「……そうだな。俺と敵対していたお前がコーヒーを飲んでゆっくりしているのを見れば俺もそう思うよ。それでギアス響団の方はともかく、ニーナの方はどうだ?」

「うーん、技術者としてはそれなりにってところらしいね。自分の研究外の物に関してはまだまだだってバトレーが言ってたよ」

「まぁ、そうだろうな」

 

 確かにニーナの実力が発揮されるのはフレイヤ関係だ。それにしても長年地道に研究を積み重ねてきた経緯があってだろうし。

 

「さて、じゃあ僕も少し用事があるからこの辺で失礼するよ」

 

 そう言い、去って行くフェイト。……まぁ、フェイトの事だから何が目的なのかは考えるまでもないだろう。名目である報告を済ませたのだから、本命であるギアス世界のコーヒー豆をどうにかして入手するってつもりなんだろうが……あ、馬鹿。セシルに声を掛けているぞ。変な豆を掴まされないといいけど。

 

「身内だけでパーティをやるつもりが、すっかり大勢のパーティになったわね」

 

 ワインのグラスを手に、レモンが笑みを浮かべながら近付いてくる。

 

「全くだ。まぁ、シャドウミラー内という事を考えれば、これも身内と言えるんだろうけどな。俺としてはゆっくりと過ごしたかったけど」

「ふふっ、夜は長いんだから……ね?」

 

 レモンの誘うような流し目を向けられ、一瞬ゾクリとする。……が、まさかこんな所で怪しい雰囲気を出す訳にもいかず、無理矢理に話題を変える。

 

「それで、ニーズヘッグの最終調整はもう完了したのか?」

「ええ、ロイドが張り切っていたわよ。……いえ、正確には悔しがって発奮していたとでも言うのかしら? 今日はパーティだから、明日には完了すると思うわ」

「ロイドらしいな。ああ、だからあんなに酔っ払ってたのか」

 

 結局は俺しか使えないT-LINKシステムによってエナジーウイングを制御したのが、余程悔しかったと見るべきだろう。だが、それでもニーズヘッグとエナジーウイングのT-LINKシステムによる連動は多少の調整が必要として、ニーズヘッグは未だに魔法球の中にある。

 操縦している方としては特に何も感じなかったんだが、技術班の取っていたデータは微妙に問題があったらしい。

 

「アクセルー!」

 

 そんな声と共に横から俺の腕へと抱き付いてくる感触。この腕で潰されている胸の感触は……スレイ?

 声のした方へと振り向くと、当然というべきか、やはりと言うべきか。そこにはスレイの姿があった。ただいつもと違うのは、その顔が真っ赤に染まっているという事か。……これは、あれだな。ギアス世界で俺に告白してきた時と同じ……つまりは。

 

「アクセル! 飲んでいるか!」

「ちょっ、スレイ! アクセルに酒は禁止よ!」

 

 いつもは悠然としているレモンが、顔色を変えてスレイへと声を掛けている。

 俺自身、酒を飲むとすぐに記憶を失い、更にはいつも以上に凄い状態で朝を迎えているから酒は飲みたくないんだが……

 

「レモンもこう言ってるし、俺は酒を飲ま……」

 

 そう言った時だった。何故か気が付くとスレイの赤く染まった顔が俺の眼前にあり、そのまま俺の唇とスレイの唇が重なり……次の瞬間には何かの液体がスレイの口中から俺の口中へと流し込まれ……そのまま、俺の意識は闇へと沈んでいくのだった。

 

 

 

 

 

「……ん? レモン? コーネリア? マリュー? スレイ?」

 

 朝、目を覚ましつつ、いつものように俺と同じベッドで眠っている恋人達の姿を探し……俺の手は空を切る。

 ……4人共もう起きてるのか? 半ば寝ぼけながら柔らかく滑らかな肌に触れようとして、壁か何かに手が当たり……壁!?

 それを意識した瞬間、急速に思考が研ぎ澄まされていく。

 少なくても今俺がいるのはホワイトスターにある俺の家ではない。俺の家の寝室にあるベッドは部屋の半分以上を占める程に巨大なベッドで、手が壁にぶつかるような事はまず無いのだから。そして何よりも……

 

「物騒だな」

 

 ベッドの真横に座りながら俺へと銃口を向けている男へと視線を向けてそう告げる。

 

「ふんっ、この状況で慌てもしないか。しかもその歳で何人の女と付き合ってやがるんだ?」

 

 軽口を叩きつつも、俺へと向けられている銃口はピクリとも動かない。その構えや身のこなしからして、かなり高度な訓練を受けた男であるのは間違いないだろう。

 強面のその顔を見ながら考える。だが、その歳? 混沌精霊となって不老となった今の俺の外見なら、確かに目の前で銃を構えている男よりは若くみえるんだろう。だが、その歳と呼ばれるような年齢ではない。

 そう判断し、上半身を起こそうとして気が付く。ベッドに固定されている? 一応手足は自由に動かせるようになってはいるが、胴体は幾重にも何らかのベルトのような物でベッドへと括り付けられていた。

 

「……おい、これはどういう事だ?」

 

 昨夜スレイに口移しで酒を飲まされてからの記憶が無いのは、既に何度か経験した事があるのだから問題は無い。だが、これまでなら翌朝には自分の部屋のベッドで起きていた筈だ。それなのに何故今日に限って全く見知らぬ場所にいる? それもこうして縛り付けられて。

 

「どういう事だも何も、まずは俺の方が聞きたいね。お前の名前は?」

「人に名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀じゃないか?」

「はっ! 手前みたいな得体の知れない奴に礼儀も何もあったもんじゃないがな。だが、そうだな。お前が名乗ったら教えてやってもいいぞ」

 

 銃口を向けながら言う台詞じゃないよな、それ。

 けどまぁ、俺の事を知らないとなるとSEED世界とギアス世界、あるいはOGs世界の者では無いのだろう。最も可能性が高いのは、俺が表に出ていないネギま世界か。更に言えば銃を使っているのを見ると、魔法サイドではなく科学サイドの人間。いやまぁ、龍宮のように好んで銃を使っているという可能性もあるが……俺の横にいる男からは魔法の匂いというものを感じられない。そうなると、恐らくは火星のテラフォーミング作業に反対するか、雪広財閥や那波重工に恨みのある存在か。

 

「シャドウミラー代表、アクセル・アルマー」

「……シャドウミラー? どこかの民間軍事会社か? お前みたいなガキが?」

「さて、一応国家という扱いを受けてはいるが?」

 

 そう口にした瞬間、唖然とした表情を浮かべる男。……まぁ、ネギま世界だとシャドウミラーは表に出ていないんだから無理も無いか。

 にしてもガキ?

 

「国家……国家ね。どんな冗談だ、それは」

「お前が信じないなら信じないでもいいさ。さて、俺はお前の質問に答えた。なら次はお前の番だろう? ここはどこで、お前は誰だ?」

「まぁ、いい。笑わせてくれた礼として教えてやろう。ここはマクロスフロンティア船団、その中にあるS.M.Sの一室で、俺の名前はオズマ・リーだ」

「……何?」

 

 俺の聞き違いか? そう思って小さく頭を振り、再び口を開く。

 

「マクロスフロンティア船団?」

「ああ」

 

 俺の問い掛けに躊躇無く頷くオズマ・リー。

 だが……マクロス? 俺の知ってるマクロス作品の中でフロンティア船団なんてのが出て来る話は無いぞ? いや、船団となっているのを考えれば、マクロス7の続編か何か……か?

 予想外の事態に、思わず固まってしまう俺だった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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