転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0056話

「隊長、敵が沈黙しました」

 

 エキドナからの通信が入る。俺達が反乱を起こして2ヶ月、今の所は順調に進んでいる。落とした基地の数は既に10を超えた。もっとも、その殆どは連邦軍による追撃部隊が来たら守りきれないと判断して占領する事なく放置しているのだが。

 そして、今また1つの基地を落とす事に成功した。

 ちなみに俺は今回の戦闘には出ていない。ここ最近のグロウセイヴァーの戦いぶりを見ていたレモン、と言うか技術班が1度オーバーホールをする事を進言してきたからだ。

 幸い基地の規模はそれ程大きくなく、エキドナ、ラミアの2人と量産型W3人がいれば十分陥落出来ると予想された為に俺は居残りになった訳だ。

 

「隊長、久しぶりです」

 

 ネバーランドのブリッジで戦闘の様子を見ていた俺に声がかけられる。

 振り向くと、そこには先程の戦闘中に着艦してきたマルティンの姿があった。後ろには量産型Wを4人連れている。

 

「久しぶりだな、元気だったか?」

「隊長こそ。見てましたよ、反乱を始めた時の無双ぶり」

 

 あれでT-LINKシステムに負荷を掛けすぎたのもオーバーホールの原因の1つだったりするんだが。

 

「そっちこそ、かなりの数のテロリスト達を撃破していると聞いてるが?」

 

 マルティンの任務は、テロリストやマフィアからの物資の強奪とそれらの組織と政治家や軍人と横の繋がりがあった場合の証拠の押収だ。

 押収された証拠なんかは、ヴィンデルが例の如く順次ネットにアップしている。

 

「隊長、敵機の反応、数6」

 

 マルティンと話していると、ネバーランドのオペレーターをしている量産型Wからの報告が入る。

 基地の援軍に向かっていた部隊か?

 

「機種は?」

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが5に……ゲシュ、いえ不明が1」

 

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが主力となると、それ程練度の高い部隊でもないのか?

 最後の、途中まで言いかけてやめたのは、恐らく量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのカスタム機か何かの為に判別出来なかったのだろう。

 ふと、胸中に何かを感じる。

 

「俺達が出ますか?」

「そうだな、頼む。W16とW17も補給が終了したら応援にまわす」

「ま、相手が6機なら俺達の敵じゃないと思いますがね」

「油断はするなよ」

「了解です。行くぞ、お前等」

 

 量産型Wを連れて、ブリッジを出て行くマルティン。

 

「W16、W17、聞こえるな。新たな敵影を捕捉した。マルティン達が出てくれるとの事だが、念の為にお前達も補給が済んだら応援にまわってくれ」

「了解しました、隊長」

 

 ……何だ? 妙な違和感が。いや、これは不安か?

 マルティンがブリッジから出て行ってから妙に不安を感じる。

 これは念動力が何かを俺に教えようとしている、のか?

 

「マルティン隊、出ます」

 

 ブリッジのモニタを見ると、量産型アシュセイヴァーが1機に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが4機、ネバーランドから出撃していく所だった。

 マルティンの部隊は本格的に連邦軍と戦う可能性が少ない為、まだまだ新型で数が揃っていないエルアインスではなく量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがメインになっているようだ。 

 

「敵、モニタに出ます」

 

 オペレータ役の量産型Wの声を聞き、モニタへと視線を向ける。

 そこに映し出されたのは、報告にあった通り量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿だった。数は5機。

 ……5機?

 

「おい、機種不明のもう1機はどうした?」

「分かりません。レーダーから消えました。恐らく何らかの手段でステルス状態にあるのではないかと」

 

 不明機種1が消息不明、か。これか? 先程からの嫌な予感は。

 

「マルティン、気をつけろ。1機の姿が突然レーダーから消えた。何らかのステルス装置を持っていると思われる」

「了解」

「W16、W17、出ます」

 

 モニタには格納庫から出て行くアンジュルグとランドグリーズの姿と、それに続く3機のエルアインスが映っていた。

 敵の数は現在ステルス状態にあると思われるものも含めて全部で6機。しかも大半が量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだ。それに比べてこちらは9機、しかも量産型アシュセイヴァーに、エキドナ用にカスタム化されたランドグリーズ。そしてレモンが腕によりを掛けて作りあげたラミア専用のアンジュルグだ。数でも質でも負けてはいない。なのに何故嫌な予感が消えない?

 何か、何か大事な事を忘れていないか?

 ……待て。量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ、だと? 連邦軍は既に幾度となく俺達シャドウミラーに対して敗戦を重ねている。それなのに、何故新型量産機のエルアインスをメインにした部隊ではなく、旧式化しつつある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがメインの部隊を基地の援軍にまわした?

 何かを思い出せそうな、その瞬間。爆発音が聞こえてきた。

 

「マルティン隊のW1、撃破。W2は中破で行動不能です」

「っ!」

 

 決定的だ。量産型Wは基本的には兵士として1流の能力を持っている。それが接敵1分も経たずに撃破と中破。この部隊はどこかがおかしい。

 ここは一時撤退した方が無難か?

 

「マルティン、W16、W17。この部隊は何かが妙だ。一時撤退を」

「機種不明機、ネバーランドへ急速に接近中」

 

 俺が最後まで言葉に出す前にオペレーターの量産型Wからの報告が入る。

 こっちに接近? PTではなく母艦であるネバーランドを落とす事を優先しようというのか。

 

「撤退命令は撤回だ。マルティンはそのまま量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの相手をしながらネバーランドへ引きつけろ。W16とW17はこちらに接近してくる敵を叩け。W1からW3はマルティンの部隊の援護を。それと敵の姿をモニタに表示しろ」

 

 俺の指示に全員が了解、と返事をしてそれぞれの行動を開始する。

 マルティンの部隊で動けるのはマルティンと部下のW3の2機だけ。だが、そこに俺の部隊のW1からW3の3機を応援にまわし、何とか数的に互角に出来た。だがマルティンの部下があっさりやられた事から考えるに、練度としては向こうが上だ。ならこちらに向かってくる機種不明機をW16とW17の2機で速攻撃破してからマルティンの援護にまわすのがいいだろう。

 だが、俺のそんな希望的観測は次の報告で消え去った

 

「敵、正面モニタに表示されます」

 

 その声と同時に映し出されたのは、青い機体。その右手にはリボルビング・ステーク。そして額にはヒートホーン。その機体の名前は……

 

「ゲシュペンストMk-Ⅲ!?」

 

 ここで出てくるのか。つまりあの部隊は単なる基地への援軍ではなく、ATXチーム。……いや、既にベーオウルブズか?

 

「マルティン、敵を引きつけるのは中止だ。急いで撤退してこい。W16とW17は敵を倒すのではなく時間を稼ぐ事を考えろ。オペレーター、全機を収容できたら急いでステルス・シェードを展開。すぐに引くぞ」

 

 くそっ、こんな時にグロウセイヴァーがオーバーホール中というのは痛いな。今のW16とW17では経験不足でベーオウルフに対抗出来ない。マルティンでも無理だろう。機体性能が違いすぎる。

 

 エキドナのランドグリーズからファランクス・ミサイルとマトリクス・ミサイルが撃ち出され、ベーオウルフのゲシュペンストMk-Ⅲを牽制しようとする。だがゲシュペンストMk-Ⅲはミサイルの嵐をまるで意に介する事なく機体を左右に小刻みに動かしてすり抜け、命中しそうなものは手に装備されている3連マシンキャノンで撃ち落とす。

 その右手に装備されたリボルビング・ステークをエキドナへ撃ち込もうとして突き出そうとした瞬間、ラミアのアンジュルグが細身の非実体剣であるミラージュ・ソードでリボルビング・ステークが装備されている右腕を貫けとばかりに突き出す。

 しかしそれをゲシュペンストMk-Ⅲは機体を一瞬しゃがみ込ませる事で回避。距離を取る。

 

「くそっ、あの2人では手に負えないのは分かっていたが、2人同時でも駄目か」

 

 視線をマルティンの方へと向けると、エルアインスと4機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはじりじりとだが、こちらの方へと撤退を始めている。

 だが、ベーオウルブズの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがそれを阻止すべく身を捨てるかの如く猛攻撃をしかけている為、そちらを防いだり回避する為になかなか距離を稼ぐ事が出来ていない。

 

「VLSミサイルランチャー、発射用意。目標は敵の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの後方だ。間違ってもマルティン達に当てるなよ」

「了解。VLSミサイルランチャー、発射準備完了。いつでも発射可能です」

「マルティン、これからミサイルを発射する。当たるなよ」

「了解、なるべく早く頼みます」

「撃てっ!」

 

 俺の合図と共に、ネバーランドからVLSミサイルランチャーが発射される。その弾頭はベーオウルフやW16、W17の頭を越えて、ベーオウルブズの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの少し後方へと着弾。爆発を引き起こす。

 爆風がマルティン達を襲うが、敵の機体を盾にする事でこちらの被害を最小限に抑える事に成功したらしい。それに比べて敵機は背後から爆風を受けた為に全機が多かれ少なかれテスラ・ドライブを損傷したようだ。

 

「マルティン、引けっ」

「了解、全機撤退!」

 

 マルティンの合図で味方機がどんどん撤退していく。

 敵機は追いかけようとするが、テスラ・ドライブが損傷している為に空を飛ぶ事が出来ないので地上を移動するしかない。

 この時間差がこちらの唯一の希望だ。

 

「W16、W17、マルティン達が撤退してくる。3機で何とかそいつの行動を押さえろ」

 

 現在でも2人がかりで防御や回避に専念してなんとか持ちこたえている状況だが、マルティンも加わればどうにか攻勢にまわる事が出来るだろう。

 

「DOBキャノン発射準備」

 

 オペレータに指示を出し、いつでもゲシュペンストMk-ⅢにDOBキャノンを撃ち込めるようにする。アインストに感染している今のベーオウルフではまともに撃ち込んでもこれで倒す事は出来ないだろう。だが、こちらが撤退する隙を作る事くらいは出来る筈だ。

 

「たいちょおおぉぉぉぉぉぉっっっっっ!」

 

 通信で聞こえてきたマルティンの叫び声。その声に潜んでいた危機感に咄嗟にモニタへ視線を向けると、そこにはネバーランドのブリッジめがけてリボルビング・ステークを撃ち込もうとしているゲシュペンストMk-Ⅲの姿があった。

 

「ちぃっ、命令している隙を突かれたか!?」

 

 Eフィールドで防げるか? ふとそんな事を思うが、可能性は少ない。

 なら、スライム? いや、時間が足りない。精神コマンドの加速を使う? これも無理だ。

 頭の中で自分が取り得る行動を必死になって組み立てるが、打開策が浮かばない。

 くそっ、これで終わりか!?

 

「やらせるかよぉぉっっっ!」

 

 突き出されたリボルビング・ステークだったが、それが突き立てられたのはブリッジではなく、マルティンの量産型アシュセイヴァーだった。

 

「マルティンッ!」

「へへ、隊長の部下は結構……楽しか」

 

 最後まで喋る事なく、爆散する量産型アシュセイヴァー。

 

「DOBキャノン、狙いはあの機体だ……撃てぇっ!」

 

 命令と同時に、量産型アシュセイヴァーの爆発で丁度射線上まで吹き飛んでいたゲシュペンストMk-ⅢへとDOBキャノンが撃ち込まれる。数秒後に大きな爆発が起きるが、まず仕留め切れてはいないだろう。だが、少なくてもかなりのダメージは与えた筈だ。出来るのならここで倒しきってしまいたいが。

 

「敵機5機が近づいてきます」

 

 ……駄目か。アンジュルグとランドグリーズのダメージも軽視できるレベルを超えている。倒しきる事は出来そうにない。

 本当に、ここにグロウセイヴァーがないのが悔やまれる。

 

「撤退だ。全機収容後、ステルス・シェードを展開。本体を率いるヴィンデルに合流する」

 

 くそっ、マルティンを失い、尚且つ敵に碌なダメージを与える事も出来ていない。完全に負け戦だ。

 敗戦の苦い味を噛み締めながら、ネバーランドはその場を後にした。




名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:240
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:75

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