転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0672話

「取りあえず今日はここで寝てくれ」

 

 シミュレーターを終えた後、ジェフリーは艦長としての仕事があるとかで俺達と別れ、俺はオズマに連れられてS.M.Sの施設の一画に連れてこられた。

 世界によって違うから一概には言えないが、軍隊だと数人で1部屋というのも珍しくないのに、俺が連れてこられたのは1人部屋だ。……この辺、軍隊とPMCの違いなのかもしれないな。福利厚生とかその辺で。

 

「明日はどうするんだ?」

「悪いが、俺がこの部屋から出たら鍵を閉めさせて貰う。その為に冷蔵庫やらトイレやらが付いているこの部屋を選んだんだからな」

「……なるほど、了解した」

 

 さすがに俺を自由にさせる気は無いか。まぁ、その辺はしょうがない。何しろ俺は異世界からやってきた不審人物だ。それを考えればこの待遇はしょうがないし、信頼されるまではもう暫く不自由なまま過ごす事になるんだろう。

 

「俺としては、短い時間だがお前と接してそれなりに信用出来るんじゃないかとは思っている。だが、だからと言って、はいそうですかとすぐに信用するわけにはいかないのも事実だ。それに、今のお前は身分証明のID等も持っていないだろう? そんな状態で街中やらS.M.Sの施設内を勝手に歩き回られると色々と拙いんでな」

「だが、それだといつまでも俺は部屋から出られない事にならないか?」

 

 そもそもこの世界の生まれではない以上、俺の戸籍とかがこのフロンティア船団とやらにある訳もなく。

 だが、そんな俺の問い掛けにオズマは何でも無いとばかりに肩を竦める。

 

「その辺はこっちに任せておけ。明日の昼過ぎにはお前の戸籍をこっちで用意してIDカードを持ってくる。それもあってここを出るなって訳だ」

「そうか、なら大人しく待つとしよう」

「ああ、そうしてくれ。じゃあ、また明日な。さっきも言ったが、腹が減ったら冷蔵庫の中の物を適当に食え。あぁ、それとS.M.Sの就業規則に関しての本だ。うちでやっていくんなら読んでおけよ」

 

 そう言い、本を1冊俺へと放り投げて部屋から出て行くオズマ。ご丁寧な事に扉をロックした音が聞こえてくる。

 視線をベッドの方へと向け、そのまま服を適当に脱いでからベッドへと寝転がった。

 そのまま拳を握りしめつつ伸びをし……同時に空間倉庫からスライムの触手を伸ばし、0.1mm程の細さにして部屋の中の様子を探る。

 そして数秒。監視カメラが1、2、3、4個に、盗聴器らしき物が1つ。……なるほど、この部屋は別にVIPルームとかそういうのじゃないらしい。

 いや、ある意味ではVIPルームなのかもしれないが。恐らくは何らかの問題を抱えているようなのを一時的に留め置く部屋といった感じか。

 だがまぁ、現状で俺が見られて困るようなものは無いし、聞かれて困るようなものも無い。SEED世界の時に閉じ込められたアラスカの部屋に比べると随分とマシだしな。

 そう判断し、スライムを空間倉庫へと収納。ベッドから起き上がって冷蔵庫の中を漁る。中に入っているのは、缶ビールや缶ジュース。……取りあえず、アルコールに関しては止めておこう。次に目が覚めた時にまた別の世界にいたりしたら洒落にならない。

 いや、現状でゲートシステムを使えない以上は他の世界に転移する事は出来無いんだけどな。だが、それを言えばリュケイオスにだって警備の量産型Wがいた筈であり、俺がランダムで転移するような真似を許すとは思えない。

 ……何があったんだろうな、本当に。

 

「ま、今更考えてもしょうがない。向こうは向こうで俺の事を探しているだろうし、ネギま世界の時のように向こうから迎えに来てくれるのを待つしか無いか」

 

 マーカーが惑星上に無い状況では、向こうでもこっちの位置を特定するのは無理だとか聞いたがレモンや技術班辺りならどうとでもなりそうな気がする。本気でそれで納得してしまう辺り、ある意味で染まっているのだろう。

 そんな風に考えつつ、冷蔵庫の中にあった魚肉ソーセージを囓りながらベッドへと戻る。けど、何で魚肉ソーセージ? いや、ここが宇宙であるのを考えると魚肉ソーセージ風の食べ物なのかもしれないが、幸い味や食感は魚肉ソーセージの物だ。

 にしても……

 

「本当に何も無い部屋だな」

 

 呟き、溜息と共に部屋の中を一瞥する。

 部屋の中にあるのはベッド、冷蔵庫、風呂、トイレ。その他にも幾つかの家具やら電化製品はあるが、暇潰しできるようなコンピュータやTVといったものは存在していない。恐らくギアス世界で俺達がアーニャを軟禁していたように、外との連絡を取らせない為か。あるいはこのマクロス世界の情報を入手させないという理由もある、か?

 時計を見ると、時刻は既に午後9時を過ぎている。

 俺が何時に目を覚ましたのかは分からないが、とにかく明日オズマが来るまでは暇でしかない訳だ。

 魚肉ソーセージを腹に収め、ふと気が付く。

 もしかしてこの魚肉ソーセージに薬やら何やらが入っている可能性もあったのか?

 まぁ、どのみち物理的な現象である以上俺には効果無いんだが。

 そんな風に思いつつベッドへと寝転がり、空間倉庫から出したグラビア雑誌を眺める。

 そう言えば、今まではムウから貰ったこのグラビア雑誌を読んでいる時に限って何かのトラブルとかが起きた訳だが……さすがにこの状況でそれは無いよな?

 微妙にフラグっぽいかもしれない事を考えつつ、暇潰しにと空間倉庫の中に入っている漫画やら小説やら色々な趣味の雑誌を読むのだった。ちなみにオズマに貰ったS.M.Sの就業規則とかが載っている本に関してもきちんと読破しておくのを忘れない。

 

 

 

 

 

「おい、アクセル……って、何だこの状況は」

 

 どこか呆れた様な声が聞こえ、眠りの底に沈んでいた意識が目覚めてくる。

 目を覚ますと、そこにいたのは呆れた表情をした髭面で強面の男の姿。

 その顔を見て、急速に現在の自分の状況を思い出していく。そうそう、昨日気が付いたらこのフロンティア船団にいたんだよな。

 そう言えばマクロス7船団が舞台の原作タイトルがマクロス7だったのを考えると、ここがマクロスフロンティア船団だから原作はマクロスフロンティアとかになるのか?

 そんな風に考えつつも伸びをしながら起きる。

 

「んー……ああ、よく寝た。で、そんなに呆れた顔をしてどうしたんだ?」

「呆れた顔っつーかなぁ。この部屋にはこんなに本の類は無かった筈なんだが」

 

 オズマの視線を追うと、その先にあったのは乱雑に床に置かれている無数の本だ。漫画、小説、雑誌。合計で20冊程度か。そう言えば昨日は結局時間があったから、空間倉庫の中に入っていた雑誌や本を読み直していたんだよな。漫画に関しては基本的に全てネギま世界の物で、俺の嗜好にも合っているし。

 

「本に関しては、俺の能力を既に知っているだろ?」

 

 そう言いつつ、ベッドの下の散らかっている本を拾っては空間倉庫の中に入れていく。

 本を片付けつつ視線を部屋の時計へと向けると、既に午前10時を回っている。随分と寝過ごしたらしい。まぁ、本を読んでいて寝るのが遅くなったというのもあるんだが。

 

「あー……ちょっと待っててくれ」

 

 本を全て片付け終わると、オズマへとそう告げて歯磨きや顔洗い等の身支度を済ませる。

 一応ここはその辺の事も考えられているのか、きちんと洗面用具も配備されていたのはありがたい。

 そして起き抜けとして冷蔵庫に入っていた林檎ジュースをコップに注ぎ、オズマへと差し出しながら尋ねる。

 

「で、こんな朝早く……は無いけど、午前中からどうしたんだ?」

「はぁ……ったく、マイペースなガキだぜ。ほらよ、これがお前の身分証になる。無くすなよ」

 

 そう告げられて差し出されたのは1枚のIDカードだ。どこで撮ったのか、俺の写真まで貼り付けられていた。

 

「肖像権って言葉はこの世界にないのか?」

「はっ、なら不法侵入って言葉はお前の世界に無いのかよ」

「……」

 

 まさかそう来るとは思わず、言葉に詰まる。

 そんな俺をしてやったりといった笑みを浮かべつつ眺めていたオズマだが、やがて満足したのだろう。林檎ジュースを飲み干すとそのまま俺を部屋の外へと連れて行く。

 

「どこに行くのかくらいは聞かせてくれてもいいんじゃないか?」

「ああ、言ってなかったか。お前の身体測定だよ。昨日のやり取りでお前がS.M.Sでやっていくのに十分な実力を持っているのは分かったからな。カナリア……うちで医者も務めている奴に任せておけばいい」

「カナリアねぇ。まぁ、いいけど」

「言っておくが、カナリアはお前の事を知らない。と言うよりも、お前の詳しい事情を知っているのは俺と艦長の2人だけだ。妙な事は口に出すなよ」

「ならどんな風に言えばいいんだ? まだ、このフロンティア船団の事も良く知らない俺が」

「別に自分から何かを言う必要は無いさ。このS.M.Sには色々と訳ありのメンバーが揃っているしな」

「へぇ、訳ありねぇ。お前もそうなのか?」

 

 ふと疑問に思って口に出すが、オズマは小さく肩を竦めて受け流す。

 この様子だと、やはりこいつも訳あり組か。

 

「で、身体測定が終わったら、改めて俺の部下達にお前を紹介する事になる。癖の強い奴が多いが……まぁ、お前と比べるとそうでもないのか」

 

 ニヤリとした笑みを浮かべつつそう告げるオズマだった。

 俺自身、自分の特異性については理解しているので、今度は俺が肩を竦めて受け流す。

 そんな風に会話をしつつ、あるいはこのフロンティア船団での生活について教えて貰いながら歩き続け、やがて医療区画と思しき場所へと到着し、その中の1室へと入る。

 

「カナリア、連れてきたぞ」

「ふむ、そいつが新入りか。……なんだ、まだ子供じゃないか」

 

 そう言って俺の方へと視線を向けるのは褐色の肌と赤毛が特徴的な、白衣を身に纏っている30代程の女だ。

 

「子供っていうか、ルカと同い年だぞ」

「私にしてみれば十分子供だよ」

 

 そんな風に会話を交わしている2人へと声を掛ける。

 

「アクセル・アルマーだ。今日からS.M.Sで世話になる事になったから、よろしく頼む」

「……まぁ、ここは軍隊じゃないんだし、そこまで階級に拘るつもりも無いが、少し目上の者に対する言葉使いはしっかりとした方がいいんじゃないか?」

 

 あぁ、そう言えば。確かに。元々シャドウミラーが階級は殆ど関係無い組織だったから、その辺を気にしていなかったな。

 そんな風に思っていた俺を見ながら、オズマが口元に笑みを浮かべる。

 

「はっ、こいつにそんな殊勝な口の利き方を求めても無意味だよ。俺にも最初からこんな感じだったからな。まぁ、それにS.M.Sはそれ程規律に厳しい部隊じゃない。やるべき事をやっていれば問題は無いさ」

「まぁ、オズマがそう言うんなら別にいいが……さて、改めて自己紹介をさせて貰うが、カナリア・ベルシュタイン中尉だ。VBのパイロットと衛生兵を兼任している。お前が怪我をしたら私が治療する事もあるかもしれないな。よろしく頼む」

「そうだな、怪我をしたら手間を掛けさせるかもしれないな」

 

 まぁ、俺が怪我をするとしたらだが。

 

「ほう? 随分と自信があるようだな」

「ま、そりゃそうだろ。色々と訳ありだが、腕はとびきりだ。VFの操縦技術に関してはまだまだだが、生身での戦いに関して言えば俺よりも上だからな」

「……へぇ、S.M.Sのエースパイロットであるオズマが認める相手か。私も腕には自信があってな。今度一戦交えてみないか?」

「そうだな、機会があったらな。それよりも身体測定の方を始めて貰っても構わないか?」

「確かにお喋りをしている暇はあまり無いか。この後他の面々と顔合わせがあるんだろ?」

 

 俺の言葉に頷いたオズマだが、他の面々ってのはそのスカル小隊の事か。にしても、スカル小隊ねぇ。初代マクロスの系譜を受け継いでいるんだろうが……スカル小隊って名前が出ている辺り、俺の知らない原作の話なんだろうとしみじみ感じる。

 

「ほら、まずはこれに着替えてきてくれ」

 

 ひょいと放り投げられたのは、見覚えのある着替え。というか、俺が昨日オズマに着替えさせられた入院着のような物で、同時にそれは今俺が着ているのと同じ服だ。

 

「それと同じのを着ているというのは、見て貰えば分かると思うんだが?」

「身体測定やら何やらをやるんだから、同じであっても念の為に新しいものに着替えてくれ。ま、様式美のようなものだ」

 

 様式美って……ちょっと違うと思うが。

 まぁ、別に着替えたからって何か不都合がある訳じゃ無し。いや、逆に昨日から着ていた服から着替えるんだから、寧ろ助かったと言うべきか。

 

「了解した」

 

 その後は服を着替えてから早速とばかりに身体測定、体力測定をしていく。

 身体測定に関してはこの姿の設定年齢だと思われる15歳の平均圏内ではあったのだが、体力測定はかなり手を抜いたにも関わらずS.M.Sの歴代最高数値を更新しまくる事になり、オズマやカナリアの頭を悩ませる事になったのは余談と言えば余談だろう。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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