転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0677話

 ギリアムと訓練をした日の夜、俺はオズマにブリーフィングルームへと呼び出されていた。呼び出した時に一応理由は聞いたが、教えられなかったのを考えると何らかの機密度の高い話なんだろう。

 

「アクセルだ」

「おう、入れ」

 

 ノックをすると、すぐさま返事が聞こえて来る。さて、何の用件なのやら。

 そんな風に思いつつブリーフィングルームの中に入ると、そこにいたのは予想通りオズマ。そしてこちらは意外な事にジェフリーだった。2人共どこか難しい表情をして持っている書類へと目を通している。

 この2人がいるとなると、俺の世界の件か何かか?

 

「良く来てくれた。まずは座ってくれ。話はそれからにしよう」

「ああ、それは構わないが。……改まって何の話だ?」

 

 椅子へと座りながら尋ねるが、2人の難しい顔は変わらない。

 数分程沈黙が続いただろうか。やがてオズマは持っていた書類をテーブルの上に置き、溜息を吐きながら俺へと視線を向けてくる。

 

「取りあえず、この書類を見てくれ。用件の1つはこっちからだ」

 

 そう言われ、オズマがテーブルの上の書類をこちらへと渡してくる。にしても、用件の1つと来たか。その言い方だと用件は他にもあるんだろうな。

 とにかく渡された書類へと目を通した限りでは、俺の健康診断の結果だった。細かい数値が色々と並んでいるが、書類の一番最後には危険な病原菌の類は一切無く、心身共に異常無しとの文章が。

 恐らくカナリアが行った健康診断の結果だろう。まぁ、その辺は分からないでもない。異世界から次元を越えて転移してきた存在なんだから、こっちの人間に影響のある病原菌を持っている可能性を考えたのだろう。だが……

 

「その割には、健康診断を受ける前も受けた後も俺を自由に行動させていたな?」

「うむ。勿論君がその、気絶というか寝ている間に緊急性の高い病原菌等が無いかどうかというのは検査させて貰ったのでな。何しろあの時は君が他の世界から来たとは思わず、個人で使用可能なフォールド機器を使って現れたと思っておったので念の為にな。一国の代表に対してするべき事では無かった。済まない」

 

 そう告げ、頭を下げてくるジェフリー。

 

「気にしなくていい。ここが移民船団であるという事情を考えれば、その辺は当然だろう」

「そう言ってくれると助かる。……とにかくだ。可能な限り君の検査をしたが、肉体的にはこの世界の人間と変わらないという事が判明した」

「……へぇ」

 

 ジェフリーの言葉に、驚きを押し殺しながら答える。

 まさか、何の異常も見つからないとはな。具体的に言えば混沌精霊としての影響が欠片程度は見つかるかとばかり思っていたんだが。

 この辺、混沌精霊という人間より上位の存在になったが故にこのマクロス世界の機器では俺の身体と人間の身体の違いを認識出来なかったのだろう。まぁ、意識のある状態なら普通の採血とかも可能だし無理も無い、のか?

 

「どうかしたのかね?」

「いや、何でも無い。ちょっと考え事をな」

「……そうか。君が元の世界に戻れるかどうかは分からないが、こちらでも協力は惜しまないつもりだ。もっとも協力出来る事が極めて少ないというのは心苦しいが」

 

 ああ、なる程。俺がホワイトスターに関して郷愁の念、いわゆるホームシックになっていると思ったのか。いやまぁ、無いと言えば嘘になるけどな。だが、ネギま世界の時のようにレモン達が何とかしてこっちの世界に来てくれる可能性も高いし、あるいは惑星が見つかれば俺がそこにゲートを設置する事も可能だ。それに、時差が大きくなったとしてもレモン達にはこういう時の為に時の指輪を渡してもある。

 ……あやか達に時の指輪を渡せていないのが心残りだが……

 

「……さて。健康診断についてはそれでいいとして、俺を呼び出したのはこれだけが理由じゃないんだろう?」

「うむ。次はこちらを見て欲しい」

 

 次に手渡されたのは、ジェフリーが手にしていた書類。そこに書かれていたのは何かの操作ログ。それはいいのだが、ERRORの文字がそこかしこに表記されているのが特徴的だ。

 

「これは?」

「アクセル少尉、君がギリアム大尉とシミュレーターを使って訓練を行った際のVF-25の操作ログだよ」

「俺の? その割にこのERRORの数は……ああ、いや、なるほど」

 

 最後まで言葉に出さずとも、そのERRORの理由についてはすぐに分かった。シミュレーターの反応が俺の反応に付いてこれない為に起きているERRORだ。というか、ご丁寧に薬物の使用やインプラント等の影響で神経系統に悪影響の可能性ありと最後に書かれているしな。……なるほど。だからこそオズマが健康診断の書類を持っていた訳か。

 

「別に俺はここに書かれているような薬物の使用やインプラント等はやっていないぞ。普通にナチュラルなままだ」

「だろうな。健康診断でもそれが証明されている。だが、だからこそ拙い訳だ。最新鋭機のVF-25Aではアクセルの反応速度に付いていけないというのが明確にデータとして表示されてしまったんだからな」

 

 溜息を吐くオズマ。……まぁ、分からないでもない。まだ試験配備の状態の、しかもEX-ギアやISC等の性能のおかげでこれまでのVFとは比べものにならない程の性能を誇るVF-25が、いきなりパイロットの反応に付いてこられないという事態になってしまったんだしな。

 

「そっちの気持ちは分かるが、解決策は無いだろう? 現在最新鋭のVF-25でこの通りの状態なんだから、騙しながらやっていくしかない」

「ふざけるな!」

 

 俺の言葉にオズマが机を思い切り叩く。

 

「お前の実力が高いと分かった以上、民間企業でもあるS.M.Sはそれを十分以上に発揮させる義務……いや、権利がある。それにお前が腕利きだというのなら、その実力を十分発揮すれば、結果的にS.M.Sの利益にもなる。だからこそ、こっちでも最善と思われる手段を取る……いや、取りたい」

「取りたい? 妙に意味ありげな言葉だが……」

 

 そんな俺の言葉に、ジェフリーが頷いて口を開く。

 

「オズマ少佐が言ったように、君の実力に相応しい機体を用意したいとこちらでも思っている。……だが、これもまたオズマ少佐が言ったように、S.M.Sというのは民間企業。即ち利益を追求する集団だ。そうなると、幾ら腕が立つとはいっても実績も何もないアクセル少尉に、通常以上の融通を利かせる事が出来んのだ」

 

 そこまで言い、次はオズマがジェフリーの言葉を続ける。

 

「そこでだ。艦長と一緒に頭を悩ませていたんだが、その時にふと気が付いた事があってな。アクセル、お前の世界というのはこの世界よりも技術が進んでいるって話だったな?」

「あ? ああ。正確には進んでいる分野もあるといったところだが」

 

 特に転移技術に関してはフォールドという手段があるこの世界の方が俺達……そのベースとなったスパロボOGsの世界よりも進んでいるだろう。……唯一の例外としてはシステムXNを所有しているシャドウミラーだが、それにしたって純粋な同一世界の転移システムとして考えればこのマクロス世界の方が上だ。フォールドの広がり具合は俺から見れば一種驚異的と言ってもいい程だし。

 後は、このフロンティア船団のようにある程度自給自足できるような船の設計やテラフォーミング技術とかでもこの世界の方が上だろうな。

 そんな風に思っていると、やがてオズマがどこか言いにくそうに口を開く。

 

「で、だ。以前聞いた話だとお前の空間倉庫とやらの中には戦闘機や輸送機が入っているとあっただろう? それを提供する気は無いか?」

「……何?」

「先程艦長も言ったが、こっちとしても利益が出るかどうか明確な確証の無い人物に対してはある程度の融通しか出来ない。だが、逆に言えばS.M.Sに対して利益を出せるのなら、通常以上の融通が出来る訳だ。例えば、VF-25の中でも一般機のVF-25Aでは無く、一種の上位機といってもいい程にチューンされたVF-25Sを与えるとかだな」

「なるほど」

 

 確かに営利企業である以上、利益が出るのならその対価を与えるというのは分かる話だ。オズマやジェフリーが言い淀んでいるのは、俺の機体を取り上げる事によって不審を抱かれるんじゃないかと心配している……そんなところか。だが……

 

「空間倉庫の中に入っている戦闘機や輸送機を提供するにしても、純粋に飛行機や戦闘機として見た場合はこの世界の方が勝っているぞ?」

「それでも、この世界とは全く違う世界の技術で作られた機体だ。色々と新しい発見や着想があるのは間違い無いだろう」

「……ASRSくらいならこっちの世界でも有用かもしれないが、他の技術については思いつかないな。それでもいいのなら提供しよう」

 

 PTのような人型機動兵器がメインの俺達の世界では、戦闘機は既に殆ど活躍の場は無い。それだけに、戦闘機に対する技術的発展もないんだよな。これが、カリオン辺りならまだテスラ・ドライブとかで新発見があったかもしれないが。

 

「ASRS?」

「ああ。まぁ、いわゆるステルスの一種だな。これに関しては、恐らくこの世界の物よりも優秀だと思う」

「……もしそれが本当なら、かなりの利益が出るだろうな」

「生産性も問題になるだろうが……提供する事を前提に話しているが、構わんかね?」

 

 ジェフリーの言葉に頷く。

 

「ああ、俺としてもこれから命を預ける機体の性能が低いというのは何かあった時に色々と困るしな」

「そうか、そう言ってくれると助かる。こちらとしても、アクセル少尉に譲歩して貰った以上は可能な限り手を尽くそう。VF-25Sだけではなく、オプションパックに関しても手配出来るようにしておく。オズマ少佐」

 

 ジェフリーの言葉に頷くオズマ。

 

「アクセル、なら早速だがこれから戦闘機と輸送機を引き渡して貰いたい。構わないか?」

「ああ、こっちとしては空間倉庫から出すだけだからいつでも構わない」

「なら付いて来い。さすがにここで出す訳にもいかないしな」

 

 オズマの言葉に従い、ブリーフィングルームを出てそのまま通路を進んで行く。やがて到着したのは、当然のように格納庫だった。

 

「お前から受け取った戦闘機や輸送機に関しては、出所を隠した上でL.A.Iに引き渡して分析する事になると思う」

「L.A.I? そこは確かルカの……」

「ああ。ルカがうちに所属しているだけあって、S.M.SとL.A.Iは関係が深いんだよ。それに、VF-25とかについてもL.A.Iがメインとなって開発したのを思えば、技術力は保証付きだ。機体の解析に関しても、全く問題無いだろう」

「俺としては機体の提供だけだから、そっちで納得出来るんなら問題無いけど……言うまでも無く、俺が所持しているのは1機ずつだからな? 下手に壊したのでもう1機提供して下さいとかL.A.Iの方から言われてもどうしようも出来ないぞ?」

「ああ、その辺についてはこっちで上手くやっておく。お前は気にしないでいい」

 

 そんな風に話ながら格納庫の中を進み、やがて空間的に余裕のある一画へと到着する。

 

「ここなら大丈夫だろう。まずは戦闘機から頼む」

「了解した」

 

 オズマに答え、脳裏のリストからソルプレッサを選択。すると次の瞬間には俺の右手に触れた状態のまま唐突に姿を現す。

 

「うおっ、知っていてもこうして改めて見ると驚くな。前は雑誌だったが、今回は戦闘機だし。……にしても、これがお前達の世界の戦闘機か」

「ああ。VF-25が宇宙での戦闘を主目的にしているのと比べて、この戦闘機、ソルプレッサはどちらかと言えば大気圏内での運用を主目的にしている機体だ。勿論、宇宙でも十分通用する性能を持ってはいるが」

 

 昨日のルカの講義によると、VF-25というのは基本的に宇宙での活動を主軸においた機体らしい。まぁ、YF-24とかいう機体をベースにフロンティア船団が作りあげた機体だと考えれば、それも納得だろう。もちろん大気圏内での運用も当然のように可能なのだが。

 

「他の特徴は?」

「整備性に優れていて、離陸滑走距離が短いというのが特徴だな。だが、以前にも言ったと思うが、俺達の世界では人型兵器がメインとなっている為にこのソルプレッサみたいな純粋な戦闘機は既に絶滅危惧種に近い。故に、武器に関してはVF-25に比べて大分劣っているのは間違い無い。何しろ、バルカン砲とビームガンくらいしか装備していないからな。それと、本来の仕様ではないが俺が移動用の機体として使う事を主目的にしている為、さっきも言ったASRSというステルス装置が搭載されている」

「……なるほど。他の世界の戦闘機というのはちょっと興味深いな。いずれ乗ってみたいものだ。さて、もう1機あるという話だったが?」

「ああ、こっちはVTOL輸送機。とは言ってもこの世界だとバトロイド状態の機体を3機輸送するのが精一杯だから使いにくいだろうがな」

 

 オズマにそう答えつつ、ソルプレッサの隣にVTOL輸送機を空間倉庫から出す。

 こうして手持ちの機体を提供するのと引き替えに、俺の反応速度に多少は付いて来られるようになるVF-25SをS.M.Sから提供される事になる。

 ……一応、俺の専用機って扱いではあるんだが、あくまでもS.M.Sからの貸与なんだよな。これをどうやって所有権を俺の物にするのかが問題か。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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