転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0680話

「アクセル君、昨日の模擬戦の機体データ、色々と凄い事になってたよ」

 

 アクエリアス小隊との模擬戦を終えた翌日、S.M.Sの食堂で遅めの昼食を食べていた俺に、ルカがそう声を掛けてくる。

 昨日模擬戦が終わった後で、待ってましたとばかりにルカは俺が乗っていたVF-25Sを持っていったのは、やはりデータを取る為だったのだろう。で、そのデータが予想を超えたものだったと。

 

「そのデータはともかく、機体の改良は出来そうか? S型の機体でもやっぱり反応が鈍いんだが。普通に射撃戦をやるだけならまだしも、昨日のように近接戦闘とか弾丸を回避しながら間合いを詰める時はその少しの反応の遅れが致命傷になるのを考えると、何とかして欲しいんだけどな」

 

 ミニハンバーグをフォークで突き刺し、口へと運びながらそう尋ねる。

 だが、ルカから戻って来たのは微かに顰められた眉だった。

 

「うーん、S型の限界まで機体の追従性を上げてあの状態なんだから、これ以上はちょっと難しいかも。後はオプションパックでどうにかするしかないんだけど……」

「何か問題があるのか?」

「うん、まずアーマードパックは火力と防御力を上げるのだから却下だし、スナイパーパックやイージスパックも同様。となると、機体全体の能力を平均的に引き上げるスーパーパックくらいしか……あ、でもちょっと待って」

 

 何かを思いついたのか、考え込み始めるルカを眺めながらポテトサラダを口へと運ぶ。

 さすがに民間の会社だけあって料理の味もなかなかのものだ。勿論超包子辺りの料理と比べるとワンランク下がるんだが。

 

「おい、ルカ。アルトの奴がお前を捜してたぞ。……ルカ?」

 

 次に食堂に入ってきたミハエルがルカへとそう声を掛けるが、今のルカは何か考え事に熱中しており、全く聞いている様子は無い。

 

「アルト? そんな奴がS.M.Sにいたか?」

 

 俺もS.M.Sに入ってまだ1月と経っていないんだから、この会社にいる全員の顔と名前を覚えている訳では無い。だが、それでもスカル小隊と関わり合いのある相手なら名前くらいなら聞いた覚えはあった筈だが……

 

「ん? ああ、S.M.Sの社員じゃなくて美星学園のパイロット養成コースの生徒だよ。前にも教えなかったか?」

「……ああ、学校のか」

「と言うか今までスルーしてきたけど、何でお前はその年齢で学校に行ってないんだ? 飛び級とか……いや、まさかな」

 

 俺の顔を見ながら溜息と共にそう呟く。

 

「おい、喧嘩を売ってるなら買うぞ?」

 

 サクッとコロッケへとフォークを突き立てながらミハエルへと視線を向けるが、すぐに横を向いて視線を逸らされる。

 わざとらしく口笛を吹いている辺りがどうにもな。

 

「アクセル君、とにかく後数日待って欲しいんだ。今のままで少しでも機体の反応速度を上げられるように頑張るから。……あれ? ミシェル先輩?」

「ふぅ、やっと気が付いたか。アルトがお前を探してたぞ。何でも課題がどうこう言ってたから、すぐに連絡してやれ」

「……うわっ、本当だ! アルト先輩からの着信が10件近くもある! ごめん、アクセル君。僕ちょっと用事出来たから行くね! ミシェル先輩も、ありがとうございましたーっ!」

「全く、1つの事に夢中になるとああだからな」

 

 どこか呆れた様に呟くミハエルを眺めながら、学校の件について誤魔化せた事に安堵の息を吐くのだった。

 にしても、良く考えればそうなんだよな。15歳程度の外見であるこの状態だと学校に行っていないのが不自然に思えるのは事実か。幸い、俺の生活は殆どがS.M.Sの内部で完結しているからいいんだが、もし街中とかに行ったりしたら補導されたりするんじゃないだろうな?

 そんな風に思っている時だった。

 

「おう、アクセル。ここにいたのか。隊長が呼んでたぜ」

 

 背後からそう声を掛けられ、同時に紙コップに入ったコーヒーを手にギリアムが俺の隣に腰を下ろす。

 

「オズマが?」

「ああ。何でも話しておきたい事があるとか言ってたな。ブリーフィングルームにいるから、すぐに行った方がいいぞ」

「……ギリアム大尉、もしかして」

「さて、な」

 

 ミハエルの意味あり気な視線に、紙コップを持ったまま肩を竦めるギリアム。この様子を見る限りだと、どうやら何か俺に隠している……より正確には秘密になっている事があるらしい。

 まぁ、ここで問い詰めてもしょうがない。ブリーフィングルームに行けば知る事が出来るんなら、そうすればいいだけか。

 

「ブリーフィングルームって、どこのブリーフィングルームだ?」

「第2だな。ほら、格納庫の近くにある」

 

 ギリアムの言葉に、すぐにそのブリーフィングルームの位置を思い出し、最後のオムレツとパンを口へと放り込んで具がたっぷり入っているスープで飲み干してから立ち上がる。

 

「分かった、ならすぐに行ってくるよ」

「おう、まぁ、その、何だ。頑張れよ」

 

 そんな意味不明の励ましを受けつつ、食堂を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「アクセルだ、俺を呼んだとギリアムから聞いていたんだが」

 

 ギリアムに教えられたブリーフィングルームの扉をノックして声を掛ける。

 すると案の定、中からオズマの声が聞こえてきた。

 

「おう、早かったな。入って来い。それと中に入ったら鍵を掛けろ。一応機密度の高い話をするからな」

「了解」

 

 ……さて、何が出て来るのか。まさかプロトデビルンの恐怖が再び、なんて事は無いと思うが。

 そんな風に考えつつブリーフィングルームの中に入ると、中ではオズマが厳しい顔付きをして俺を出迎える。

 そのままオズマに促され、向かい合うように席に着く。

 

「さて、お前を呼び出したのは他でもない。俺達S.M.Sが仮想敵として考えている相手の情報を教えておこうと思ってな」

「仮想敵? 実際に敵対してるんじゃないのか?」

「その辺は良く分からんが、一応は敵対していると判断してくれて構わない」

 

 言ってる意味が微妙に分からないな。敵対しているのに仮想敵なのか?

 不思議そうにしている俺の顔を見て小さく笑みを浮かべるオズマだが、再び厳しい表情へと戻る。

 

「まぁ、聞け。さて、そもそも何の話からするべきか。……そうだな、少し回りくどくなるが、何故フロンティア船団でVF-25を開発したと思う?」

「それは当然戦力的な問題だろう?」

「確かにそうだが、VF-19程の性能があればこれまで新統合軍が敵対してきた大抵の敵には勝てる。それを承知の上で、何故より性能の高い……それこそ、VF-19以前と比べると破格に性能が高いVF-25を開発したのか。さて、それは何故か」

 

 プロトデビルンを相手にしても互角に戦闘が可能だったVF-19。いや、もちろんパイロットの技量なんかもあるんだろう。新統合軍の特殊部隊であるエメラルドフォースが使っていたんだし。あ、後は戦闘じゃないけどバサラとか。

 だがまぁ、単純に考えれば……

 

「VF-19でも勝てない敵が現れたから、とかか?」

「そうだ。ここまで回りくどく言えば、さすがに分かったようだな」

「……ほう」

 

 可能性は少ないと思っていたんだが、それがドンピシャで当たりとはな。だが、VF-19で勝ち目が無い敵?

 

「どんな敵が想定されているんだ? さっき言っていた仮想敵だという奴だろうけど」

「これを見れば分かる」

 

 オズマがそう言い、ブリーフィングルームの明かりを落としてスクリーンを起動させる。そして次の瞬間に映し出されたのは巨大な虫のように見える存在だった。

 

「生物兵器か?」

「……」

 

 そんな俺の呟きに沈黙で返すオズマ。画面の中ではVFと同程度の大きさを持つ虫が高い運動性能を発揮しながら一方的に新統合軍と思われるVFを破壊している。

 

「これは……」

 

 VFの放ったミサイルや銃弾を容易く回避し、あるいは迎撃し、生物兵器であるにも関わらずまるで機械の兵器であるかのように機関砲、ミサイル、果てにはビームのようなものを撃っている。

 

「第117次大規模調査船団が敵に襲われた時の映像だ」

 

 映像の中で姿を見せている生物兵器と思しき存在。こうして見ているだけでも、1種類ではなく何種類も確認出来た。

 

「どこかの船団が開発した生物兵器とかか?」

「さてな。詳しいところは分かっていないが、それでもどこかの船団が開発した生物兵器じゃないというのは明らかだ。……今のところはな」

「今のところ?」

 

 映像の中で、赤い生物兵器が背中から生えている角のような部分からビームを発射してVFを撃破する。

 

「ああ。生態の類は全く不明だ。ただ、報告によればこの宇宙に生息している生物だという話だが……」

「ただの生物がビームやら何やらを身に宿している筈も無い、か」

「ああ。上の方では色々と判明している事もあるんだろうが、少なくても俺達にまでは降りてきていない。そして、この生物兵器……バジュラがVF-25の開発された理由だ」

「バジュラ、ね。確かにこの映像を見る限りだとVF-171やVF-19では対抗出来ないらしいな。パイロットの腕である程度は対抗出来るだろうが、数が違い過ぎる」

 

 既に映像の中ではVFとバジュラの数は圧倒的な差となっている。ざっと見る限りでは1:30程度に数の差は開いているだろう。

 

「そうだ。VF-171やVF-19では通常のパイロットが使ってもバジュラに対して有効な兵器とは言えない。それらの機体でバジュラと渡り合えるとしたらエースクラスだけだろう。だからこそ新統合軍はVF-24をベース機としてVF-25の開発をフロンティア船団に許可をしたんだ」

「その結果がEX-ギアやICSか」

 

 一般のパイロットが耐えられる限界のGを越える為の新システムとしてそれらが考えられたのだろう。

 

「ああ。そして、そのVF-25がこのフロンティア船団で開発された理由は……言わなくても分かるな?」

 

 バジュラに対抗する為のVFがこのフロンティア船団で開発された理由。それは……

 

「このフロンティア船団がバジュラに襲われる可能性が高い」

「そうだ。いや。正確には違うな、このフロンティア船団の進行方向にバジュラの巣があると予想されている」

「……なら、進行方向を変えればいいだけじゃないのか? わざわざ危険な場所に突っ込む必要も無いだろう?」

 

 そんな当然の俺の問いに、オズマは首を左右に振る。

 

「勿論フロンティア船団の安全だけを考えれば、それが正解だ。だが、バジュラが宇宙生物であると思われる以上、いずれどこから姿を現すかが分からない。なら、今のうちにそれに対応出来るだけの準備を整えている俺達がバジュラに立ち向かって、奴等の情報を得ておく方がいいだろう。それに……」

「それに?」

 

 微妙に嫌そうな顔をしながら言葉を切ったオズマに先を促すと、1度溜息を吐いてから再び口を開く。

 

「新統合軍やフロンティア船団の上層部、更にはS.M.Sのお偉いさんも含めて高度な政治的判断って奴があってな。フロンティア船団の進路はこのまま変える訳にはいかないらしい」

「……なるほど」

 

 考えられる可能性は、バジュラが何らかの価値を持っているといったところか。普通に考えれば、生身でビームやらミサイルやらを撃てるような生物なんだから、飼い慣らすか何かして生物兵器にするのか。あるいは、バジュラの体内に上層部連中の欲しい何らかの要素があるのか。ざっと思いつくのはこの2つだな。

 どのみちS.M.SがPMCである以上、金払いのいい雇い主の要望には従わざるを得ないんだろう。

 もっとも、俺にしてみれば逆に願ったり叶ったりといった要素も含まれる。

 どうせこのフロンティア船団がどうやってもバジュラと戦う事になるのなら、それを俺が有効活用させて貰おう。その体内に何らかの有益な物質があるのなら俺が倒したバジュラの死骸に関しては空間倉庫に収納しておけばいいし、あるいは生きていてこそ有益だというのなら、グリのように最悪召喚魔法の契約を結ぶという手段もある。

 ああ、そう言えばマクロス世界にやってきてからグリを通してネギま世界の魔法界に手紙を出せないか一瞬考えたんだが、そもそも召喚魔法では向こうに戻れるのは出て来た状態そのままだから無理だという事に気が付いた。

 例えばグリに手紙を持たせて魔法界に帰しても、手紙は持っていけない訳だ。

 

「まぁ、話は大体分かった。そもそもお前達が腕の立つパイロットを求めていたのはこのバジュラというのが原因だったんだろう? なら俺としても文句は無いさ。こっちにも色々と都合があるしな」

「……都合?」

「まぁ、色々とあるんだよ。色々とな」

「妙な事を企んだりはするなよ? お前のような凄腕と敵対はしたくないからな」

「ああ、その辺は心配するな。お前達に不利な真似はしないようにするつもりだから」

 

 そうオズマに言い、それでもどこか疑わしそうな目で俺を見てくるオズマを横に置き、そのまま暫くバジュラの映像を眺めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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