転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0057話

「そうか、マルティンが逝ったか」

 

 ギャンランドのブリッジで、俺はヴィンデルにベーオウルブズに対する戦いの経緯を説明していた。

 

「ああ、俺を庇ってな」

「満足して逝ったか?」

「どうだろうな。だが、少なくても最後に俺の部下で楽しかった、と言ってくれたんだ。そう悪い最後ではなかったと思いたいな」

「分かった。アクセルは明日1日休んで英気を養ってくれ」

「大丈夫なのか?」

「ああ。アクセルは負けたかもしれないが、幸い他の部隊は有利に戦いを進めている。それにレモンからの報告ではグロウセイヴァーのオーバーホールは明日には終わるらしいからな。もうグロウセイヴァーがない状態で戦場に出るのは御免だろう?」

「全くだ。じゃあ明日一杯休ませて貰うよ」

 

 ヴィンデルに断り、ブリッジを出て自分の部屋へと戻る。

 

 

 

 

 

「ふぅ、さすがに疲れたな」

 

 ベッドに倒れ込むように横になる。

 黙って横になっていると、俺を庇って散っていったマルティンの姿が脳裏に浮かぶ。

 このまま眠ってしまっても、あの戦いを悪夢として見る事になりそうだったので寝るのをやめて起き上がる。ふと顔を触ってみると、驚く程に汗が浮かんでいた。どうやら自分で思っているよりも今回の事は堪えているようだ。

 気を取り直し、備え付けの冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出して一息に飲み干す。

 

「くっ、冷たいものを一気に飲み過ぎたか。頭痛が」

 

 多少頭が痛くなったものの、気分転換にはなった。

 だが、このまま眠ってしまってもどうせ嫌な夢を見ると予想出来たので久しぶりにステータスチェックでもしてみる事にした。

 改めてステータスを表示してみると、確認するまでもなくもの凄い数値になっていた。まぁ、考えてみれば反乱開始の時の戦闘で無双したんだし、その後も戦っていたのだから当然と言えば当然だろう。

 そして、ついにと言うか、ようやくと言うか。撃墜数が50を超えてエースボーナスを獲得したのだが。

 

「SPブースト?」

 

 名称を見るに、スキル欄にあるSP関係のスキルを1纏めにしたものと同じなのだが。名称の後に『SPを消費してスライムの性能をアップする』と明記してある所を見るとスキルのSPブーストとは別物と考えてもいいだろう。

 

「取りあえず試してみるか」

 

 口に出しながら空間倉庫からスライムの触手を1本伸ばす。……って、あれ? SPブーストってどう使えばいいんだ? 精神コマンドみたいに口に出せばいいのか? 

 

「SPブースト」

 

 精神コマンドを使う時のようにSPブーストを使うと意識しながら口に出した瞬間、身体から何かが抜けていくのを感じる。いや、何かというのは正確じゃないか。これに近い感覚は今まで何度も感じてきた。

 

「やっぱり精神コマンドと同じか」

 

 ステータス表示を確認すると、確かにSP表示が減っている。と言うか現在進行形でどんどん減っていっている。

 この辺は1度決まった量を消費すれば使用可能な精神コマンドと違い、SPブーストを使用している間中どんどんと減っていくのだろう。

 意識してSPを多く消費しようとするとSPの消費スピードが増える事から考えるに、消費SPの量に比例してスライムの性能が上がるらしい。

 また、SPの供給をやめると思った瞬間SP消費が止まったので、その辺はある程度の融通が利くようだ。

 

 その後、肝心の効果を確かめてみた所、吸収能力や武器としての展開速度等、スライムとしてのあらゆる能力が2~3割程性能アップしているのを確認できた。スライムの質量自体はSPブーストを使用する前と変わった様子はないので、恐らくだがSPを車で言うニトロのようなものとして使用しているのだろう。その証拠という訳でもないが、通常1秒間にSP1消費の所を1秒間にSP5消費するように調整してみた所、ノーマルのスライムと比較して5割程の性能アップを確認できた。

 実際にまだ戦闘ではあまり使った事はない能力だが、SPが余り気味の俺にとっては非常に有用なエースボーナスだろう。

 

「取りあえず、エースボーナスに関してはこんな所だな。次はPPとスキルか」

 

 視線をステータス表示のPPの場所へと向けると、そこには240の文字が。……貯めすぎたな。

 いつも通り、まずはガンファイトのLVを上げていく。順調に5、6、7、8と上げたのはいいのだが、LV.9にするには後10P足りなかった。

 一瞬残り50PでインファイトをLV.2まで取ろうと思ったのだが、ここで取ってしまうとガンファイトLV.9への道が凄く遠くなる予感がするので何とか我慢した。

 ただ、今回一気にLV.8まで上げた事によりガンファイトを極めるのはそう遠くないだろう。そうなると次のスキルなんだが……今回上げるのを我慢したインファイトが第1候補だな。他にも色々と欲しいスキルはあるんだが、最近はアダマン・ハルパーを使う事も多くなってきたし近距離戦闘でのボーナスが入るインファイトは非常に美味しい。

 そういう意味では気力の最大値を150から170まで高める事の出来る気力限界突破も捨てがたい。

 近距離武装+移動力に補正の入るインファイトか、気力の最大値が上がり最終的には攻撃力・防御力共に増える気力限界突破か。

 どちらにするか、あるいは他の選択をするかはまたポイントのが貯まってから考えるとしよう。

 

「ふぅ、取りあえずこんなもんだろ」

 

 ステータスチェックとスキル習得を終えた俺は、そのままベッドで横になり睡魔へと身を委ねた。

 

 

 

 

 

「隊長、起きてますか?」

 

 ノックの音とエキドナの声で目が覚める。

 

「ん? あぁ、今起きた。何の用だ?」

「ヴィンデル様がお呼びです」

「ヴィンデルが? 分かった、すぐに行く」

 

 軍服を予備のものに着替え、手早く身支度をして部屋を出てブリッジへと向かう。

 

「ヴィンデル、どうした?」

「アクセル。ブラックバード中隊から緊急連絡だ。敵との戦闘で部隊がほぼ壊滅状態になったらしい。クラルの戦死も確認された」

「ブラックバード中隊が!?」

 

 基本情報収集がメインのブラックバード中隊だが、それでも念の為という事で人数分の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱやトライロバイト級4番艦のアークランドも配備されていた筈だ。

 最新機のエルアインスではないが、ブラックバード中隊は腕の立つ熟練者がそれなりに揃っている。そうそう後れを取るなんて事はないと思うんだが。

 

「敵は?」

「相手が悪かったな。生き残りによると、敵は連邦宇宙軍特殊部隊のトロイエ隊だ」

「宇宙軍のトロイエ隊!? なんで宇宙軍が地上での戦闘に参加しているんだ?」

「さて、詳しい事は私にも分からんよ。宇宙は地上以上に腐敗している軍人や政治家が多い筈だ。そいつらが私達に脅威を覚えてトロイエ隊を送り込んだのかもしれんしな」

 

 トロイエ隊、という事は原作通りならユーリアが隊長か。以前はメールのやり取りをしていたが、直接会ったのは士官学校を卒業した時以来となる。

 それに反乱を起こす事が決まってからは、いざという時に俺と連絡を取っていたという事実がユーリアの為にはならないだろうと意図的に連絡を絶っていた。

 

「という訳で、アクセル。トロイエ隊の対処は任せて構わないな?」

「ああ。それは構わないが、どれくらい連れていく?」

「そうだな、まずW17は今回出せない。機体の修理がまだ終わっていないからな」

 

 確かにそれはそうだろう。アンジュルグは基本的に遠距離戦に向いた機体だ。だが、エキドナの乗っているランドグリーズはアンジュルグよりさらに遠距離戦に特化している。なのでベーオウルフとの戦闘ではアンジュルグが前衛を任され、かなりのダメージを受けていた。幸いランドグリーズの方は遠距離からの援護射撃をメインにしていた為、ダメージはあるがそれ程深刻なものではない。ゲシュペンストMk-Ⅲの射撃武装が3連マシンキャノンしかなかったのも大きかったが。

 

「了解した。じゃあW16と、量産型Wは何人?」

 

 ブラックバード中隊をほぼ壊滅という事は、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ15機がやられた計算になる。それに対するのだから、なるべく戦力は多い方がいい。

 

「すまんが、通常通り量産型Wは3人で頼む。こちらも手が余っている訳ではないのだ。だからこそ対多数用武装ファントムを装備しているグロウセイヴァーとそのパイロットであるアクセルに任せるのだしな」

 

 確かにファントムを使えば普通の敵なら物の数ではないが、敵はトロイエ隊だ。油断は出来ない。

 が、そもそも出せる戦力が無いのならしょうがない。

 

「しょうがない、か。分かった。ネバーランドはそのまま使ってもいいんだな?」

「ああ、構わん。既に機体の搬入は済ませてある。後はアクセルが乗り込めばすぐにでも出撃可能だ。……あぁ、それと言い忘れていたが、レモンの開発したASRSプロトタイプだが、非常に高価なので量産は難しいらしい。だが、それでも折角作ったからという事で、グロウセイヴァーに積み込んだそうだ。恋人からの贈り物だ。使ってやれ」

 

 コスト面に問題ありで量産は出来ない、か。だがまぁ、俺の分だけでも出来たのだし良しとしておくべきか。

 

「了解。じゃあ宇宙軍の最精鋭と噂されているトロイエ隊の実力を見せてもらおうかね。あぁ、それと俺が負けた部隊の情報を集めておいてくれ。隊長は以前海賊退治の時に援軍としてきたキョウスケ・ナンブだ。ATXチームだったか? その部隊の戦力や所属人員を集中的に頼む」

「分かった。そういう意味では情報収集を担っていたブラックバード中隊が失われたのは痛いな」

 

 こうして、俺はユーリアと戦場で再会する事になる。




名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:50
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:75

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