転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0681話

 バジュラの存在を知ってから数日、仕事の……より正確には訓練の後に食堂で食事をしながらTVを見ていて、ふと気が付いた事があった。

 

「この歌手、随分と良く見るな」

『はぁっ!?』

 

 何故か俺の言葉に、共に食事をしていたスカル小隊の面々とピクシー小隊の3人までもが驚愕の声を上げて俺へと視線を向ける。

 何故かその中でもオズマだけはやっちまったって顔をしているが。

 

「ちょっ、アクセル君!? シェリルですよ、シェリル・ノーム!」

 

 何故か興奮したかのように持っていた紅茶の入ったカップをテーブルに叩きつけるようにして置いたルカがそう言いながら迫って来た。

 

「シェリル・ノーム?」

 

 ルカの言葉に改めてTVへと視線を向けて、その歌手へと視線を向ける。

 純粋な金髪というよりは多少赤色を帯びたような、いわゆるストロベリーブロンドという珍しい金髪だろう。顔立ちは非常に整っており、意志の強さを感じさせる目をしている。歌に関しては、元々それ程詳しくないからいいのか悪いのかは分からないが、それでもこうして何度もTV……いや、このマクロス世界ではギャラクシー・ネットワークだったか。そのギャラクシーネットに出ているのを見る限り売れっ子なんだろう。

 俺的に最も印象深かったのは『あたしの歌を聴けぇっ!』って台詞だったけどな。どう見てもマクロス7のバサラが元ネタだろう。

 そう言えば以前マクロス7を調べた時についでに調べてみたんだが、ファイヤーボンバーは10年以上活動していないらしい。まぁ、バサラの性格を思えば放浪の旅とかしてそうだから無理も無いけど。

 

「……アクセル君、もしかして本気でシェリル・ノームを知らないの?」

 

 ルカのその問いに何故かオズマが激しく首を振っているが、何を言いたいのか分からん。知ってると言えばいいのか? それとも知らないと言えばいいのか? とにかく、現状でシェリル・ノームとやらについて突っ込まれても答えられないので……

 

「誰だ、それ?」

 

 正直にそう口にする。

 だが、どうやらその選択は失敗だったらしい。オズマ以外の全て……それどころか食堂で食事をしていたS.M.Sの社員や、更には厨房にいる料理人達からも信じられないようなものを見る目を向けられる。

 

「アクセル、お前本当にどこから来たんだ? 色々訳ありだってのは聞いてるが、だからってシェリル・ノームを知らないとか、あり得ないだろ」

 

 ミハエルの呆れた様な視線を向けられ、その隣ではクランもまた同様に小さい身長で必死に頷いている。

 

「そうだぞ。銀河の妖精シェリル・ノーム。ギャラクシー・ネットワークで絶大な人気を博していて、リリースされた曲は常に銀河ネットの上位にランクイン、ユニバーサルボードに17週連続1位の記録を持ってて、この銀河に暮らしていてシェリルの歌を聴かない日はないとまで言われてるんだが……どうやらアクセルはその例外だったらしいな」

「へぇ、随分と大袈裟というか、有名人なんだな」

 

 クランの言葉にそう返すが、それが当然と言わんばかりに頷く周囲の者達。っていうか、オズマ。お前も頷いているけど、俺がそのシェリルを知らない理由をお前は分かってるだろうが。

 

「俺はそれ程歌とかに興味は無いからな。そういう奴もいるさ」

「だからって、シェリルを知らないってのは普通無いぞ」

 

 俺の隣に座っていたギリアムが呆れた様に呟く声を聞きながら、どこか話を誤魔化すようにTVへと視線を向ける。

 そこでは次々に衣装を変えながら何曲もの歌を歌い続けているシェリルの姿がある。衣装の他にも髪の色とかも変わってるんだが……どうなってるんだ、あれ? だが……

 

「そうだな、シェリル自身については殆ど知らなかったが……確かにこうして聞いてみるといい歌だよな」

「そりゃあシェリルだしな」

 

 ミハエルの言葉に周囲は頷く。

 いや、何でもかんでもそれで済ませるなよ。

 

「ちなみに1月後にシェリルがこのフロンティア船団に来るんだけど……それも知らないの?」

「へぇ、そうなんだ。なら騒ぎになりそうだな」

「それはもう、大騒ぎになりますよ。更に僕とミシェル先輩はそのシェリルのコンサートでアクロバット飛行をするんですから」

「……普通、そういうのって本職の奴がやるんじゃないのか? いやまぁ、お前達2人は本職と言えば本職だろうが」

 

 それでも表向きはS.M.Sに所属している事を隠してパイロット養成コースの生徒でしか無い筈だ。それで、よくそんな大物のアクロバット飛行をやる事になったな。

 

「俺達の実力のおかげ……ってのも当然あるが、一番の理由はEX-ギアを使えるからってのもあるな。当然本職の中にもEX-ギアを使える奴がいるけど、色々とバッティングしてこっちに回されてきたらしい」

「なるほど」

 

 そうは言っているが、今TVに映し出されているシェリル・ノームというのが本当に言われている程に大物なら、恐らくバッティング云々じゃなくて何らかの理由がある……そう考えるのは俺の考え過ぎか?

 どのみちその辺は俺に関係無いんだろうし、こっちに被害が無ければ別に構わないが。

 あぁ、いや。でもこの世界がマクロスの世界だとしたら、やっぱり歌が何らかの重要な要素を持つのは間違い無いだろうし、そうなれば、多分シェリルってのもマクロス世界で定番の3角関係の1角だったりするのか?

 オズマに聞いた話を考えると、このマクロスフロンティア(仮称)の世界ではバジュラとの戦いが主になる話だと思うから恐らく間違い無いだろうし。

 

「シェリルなぁ。……俺としては良く分からん。ファイヤーボンバーの方がいいと思うが」

「オズマ隊長のファイヤーボンバー好きも相変わらずですね」

 

 ギリアムが苦笑しながらオズマにそう告げ。オズマはそれが当然とばかりに胸を張る。

 

「でも実際、シェリルのコンサートのチケットはかなりのプレミアが付いているらしいぞ? ほら見ろ」

 

 そう言い、携帯を操作していたクランがその画面を俺達の方に見せつけてくる。

 オークションか何かのページなのだろう。シェリル・ノームのコンサートのチケットの値段が際限なく上がっていっている。

 

「うわ、この値段とか下手をすれば車とか買えますよ?」

 

 クランの携帯の画面を覗いたルカが思わずといった様子で呟く。

 そのルカの言葉に、ミハエルが苦笑を浮かべる。

 

「ま、実際にシェリルは魅力的だしな。一目でも生で見たいと考えても不思議じゃないさ。アクセル、お前もそう思うだろ?」

「そうだな。確かに魅力的であるのは認めるし、何と言うか華みたいなものを持っているのも感じるよ」

 

 そんな俺の言葉に、ミハエルは意外そうに目を見開く。

 

「へえ、お前くらいの年齢ならシェリル程のいい女を見れば熱中するかとばかり思ってたんだけどな。少し意外だよ」

「まぁ、確かにいい女なのは俺も異論は無いが……」

「男好きのする身体ですよねぇ」

「……ルカ、お前……」

 

 俺の言葉の影に隠れるようにしてポツリと漏れたその言葉だったが、周囲の者が聞き逃すような事は無かった。

 オズマの言葉に、一瞬しまったというように表情を固めるも、次の瞬間にはミハエルがルカの肩を強引に何度も叩く。

 

「なるほど、ルカは胸に興味津々なのか。だからこそナナセが気になっている訳だ。確かにあの胸は凶器だからしょうがないな」

「ちょっ、ミ、ミシェル先輩!?」

「今のクランにはどうやっても手が届かない境地のあの胸」

「ミ、ミ、ミ、ミシェルーっ?!」

 

 ミハエルの口から自分の体型を貶すかのような言葉がでたその瞬間、席を蹴って跳び膝蹴りを食らわせようとしたクランだったが、ミハエルにあっさりと受け止められる。

 

「ん? どうしたんだ? 俺は事実しか言ってないが」

「くっ、このっ、離せ卑怯者め! 私だって、私だってなぁ……ゼントラン化すればシェリルに負けないんだぞ!」

 

 そんな様子を見ながら、思わず頷く。

 確かに何度か巨人化したクランの姿を見た事があるが、そのボディラインは自慢するだけのものがあったのは事実だ。

 とは言っても、クランが好意を抱いているだろうミハエルを誘惑するには巨人化しなければいけないというのが最大の問題だろうが。

 

「……そう言えば、ですね。オズマ隊長に提供して貰ったソルプレッサとかいう機体、かなりの拾い物だった事が判明したんですよ」

 

 これ以上クランとミハエルの2人に関わって痴話喧嘩に巻き込まれるのが嫌だったのだろう。ルカが唐突に話題を変える。

 だが、かなりの拾い物? この前はASRSが目玉みたいな事を言ってたが……それか?

 

「ほう? どんな風にだ? この前はASRSとかいうステルス装置にしか興味がなかったようだが」

 

 オズマも同様に気になったのだろう。ルカの話に乗って尋ねる。

 俺としても興味深いが、ソルプレッサとの関係性を疑われている以上話に乗る訳にもいかないから、ありがたい。

 

「確かに画期的な技術という意味じゃ、ASRSが最も目を引く技術なのは事実です。実際、もしあのASRSをVFに搭載したら、これまでVFに与えられてきたステルス装置は飛躍的に進歩するのは間違い無いですし。ただ、他の部品にしても……そうですね、例えばこんな言い方はちょっと不謹慎かもしれませんが、今の新統合軍はVFが主力兵器ですよね。それにVBがちょっとあるみたいな感じで」

「そうだな」

 

 当然とばかりに頷くオズマに、ルカもまた頷いて言葉を紡ぐ。

 俺はそれを黙って紅茶を飲みながら聞く。勿論夫婦漫才、あるいは痴話喧嘩をしているミハエルとクランは意識の外にやってだ。ちなみにピクシー小隊の他のメンバーや食堂の客達も同様にスルーしている辺り、いつもの事なのだろう。

 

「つまり、もし僕達が知らないVFやVBがあったとして、それを解析してもどうしても他のVFと同じ部品、あるいは似たような部品が出て来る筈なんです」

「……まぁ、確かに」

「ですが、あのソルプレッサという機体はVFと同じ部品が一切無いんですよ。勿論、戦闘機である以上は似たような部品がありますが、VFに使われている部品は1つもありません」

 

 まぁ、そうだろうな。そもそもソルプレッサはこの世界の機体じゃないんだから。寧ろ、アシュセイヴァー辺りのADとなら部品の類似性が見られる可能性があるだろう。ADはソルプレッサから発展していった機体なのだから。

 そんな風に俺が考えている間にも、ルカの言葉には熱が入っていく。

 

「つまり、あのソルプレッサはVFとは全く違う……それこそ、異文明の機体と言ってもいいくらいの代物なんです。そういう観点で言えば、あのVTOL輸送機も同様ですね」

「けど、技術的にはVFの方が優れているんだろ?」

 

 余りに褒めちぎるルカに、思わずそう言葉を挟む。

 そんな俺へと一瞬探るような視線を向けるルカだが、すぐにその視線を消して大きく頷く。

 

「ええ、勿論技術的な意味ではVFの方が上でしょう。ですが、全く違う技術系等の機体が……それも2機もあるのを考えれば、技術的なブレイクスルーが期待出来るのは間違い無いですよ」

「ほう、大きく出たな。なら、例の件は期待出来るのか?」

「そうですね。以前の物より性能が高くなるのは間違い無いと思います。ですが、このまま進める為には他にも問題が……」

「ああ、なるほど。だが、それはこのまま行けば恐らくは」

「ええ、僕もそう思います。けどそれを期待するだけではどうにも……」

 

 と、何やら意味あり気な会話をするルカとオズマ。

 話を聞いてる限りだと、何らかの新型武器を開発しているのか?

 

「そうやって話されても、俺には全く意味不明なんだが」

「はっはっは。まぁ、隊長達には守秘義務とかあるんだから気にするな。それよりも、お前の好みのタイプとか聞かせてくれよ」

 

 ギリアムの言葉に、何故か周囲の視線が集まるのを感じる。

 いや、そこまでするような事じゃないと思うんだが。

 

「好みのタイプねぇ。そうだな、自立していて自分の意志をはっきりと示せるという女には魅力を感じるな」

「いや、性格もそうだが、外見とかはどうなんだよ?」

「外見?」

 

 脳裏に過ぎるのはレモン、コーネリア、マリュー、スレイ。この4人に共通しているのは……

 

「可愛い系よりも美人系とかか」

 

 実際、いずれ恋人になるかもしれないあやか達4人にしても、どちらかと言えば可愛い系よりも美人系といった方がいい容姿をしているのを考えれば、そう間違った判断でも無いだろう。

 

「自立していて、美人系。……おい、それってシェリルじゃないか?」

 

 クランの頭を押さえていたミハエルの言葉に盛り上げる食堂内だが……いやまぁ、確かにそう言われればそうなんだけどな。別にそれがシェリルにも当て嵌まるってだけで、シェリルじゃなきゃいけないって訳でも無い。

 何故か浮かれ騒ぐ食堂の面々を相手に、溜息を吐きながらシェリルの映し出されているTVへと視線を向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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