転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0682話

 宇宙空間の中、俺の操縦するVF-25Sは岩塊の中を縫うようにして飛んでいる。少しでも操縦をミスれば間違い無く機体に致命的なダメージを受けるという状況の中、EX-ギアのコントロールレバーを数mm感覚で動かしつつ、更にはスラスターを微調整しながらギリギリの位置で隕石を回避しながら飛んでいく。そして……

 

「っ!?」

 

 モニタの先で移った一瞬の光を感知した瞬間、咄嗟に機体をガウォークへと変形させ、岩塊へと足を接触させるようにして速度を殺す。同時に、俺が隠れた岩塊の周辺に浮かんでいる岩塊が次々に砕けて周囲へとその破片をバラ撒いていく。

 ちっ、さすがに狙撃用のG型だけあって、狙いは正確で距離も遠いな。だが……射撃の方向さえ分かれば手の打ちようはある。

 ガウォークからファイターへと変形し、囮としてフレアを隠れていた岩塊の右側から射出。次の瞬間にはそのフレアへと数発の弾丸が飛んできたのを確認、同時に岩塊の左側から飛び出し、狙撃してきている相手の方へと向かっていく。

 フレアが囮だというのはすぐに理解したのだろう。数発の発射後には俺へと向かって弾丸が放たれる。

 だが、速度に乗ったVF-25Sなら狙撃銃の弾丸を回避するのもそう難しくは無い。コントロールレバーとスロットルレバーを使いながら飛んでくる弾丸を回避しつつ標的との距離を縮めていく。

 ……ちっ、色々と改造してもやっぱり操縦する際には微妙に遅れが出るな。

 内心舌打ちしながら宇宙空間を貫くようにして飛んでくる弾丸を回避し続け、やがて標的の青いVF-25Gが見えてくる。当然のようにバトロイドに変形して、その長い狙撃用ライフルの銃口をこちらへと向けていた。

 

「終わりだ、ミハエルッ!」

 

 距離が十分に縮まったと判断し、叫びつつファイターからバトロイドへと変形させる。

 EX-ギアシステムの恩恵として、バトロイド状態になれば機体の制御はパイロットの身体能力にある種依存するというのがある。もっとも、そのおかげでVF-25を操縦するパイロットは格闘訓練をこれまでより重視しなければならなくなったんだが。

 バトロイドへと変形した俺のVF-25Sは再び放たれた弾丸をスラスターをコントロールしながら回避し……

 ガンッ!

 否、機体の反応が一瞬遅れ、回避仕切れずに機体の装甲を削っていった。

 モニタを確認すると、ダメージは負ったが幸いそれ程深い損傷ではなく、小破にすら届いていない。

 エネルギー転換装甲の性能に安堵の息を吐きつつ、間合いを詰めて右手でガンポッドのトリガーを引いて狙撃銃を破壊。ミハエル機はそれに拘らずに……いや、寧ろ邪魔だとばかりに銃身半ばで砕けた狙撃銃をこちらへと投げ付け、アサルトナイフを構えながら突っ込んでくる。

 VF-25G、それもスナイパーパック装備の機体はガンポッドの代わりに狙撃用のライフルを装備しているので、この時点で武器に関しては俺の方が有利になっているのだが、ミハエルはそんなのは関係無いとばかりにアサルトナイフへとピンポイントバリアを展開したナイフを……

 

「甘いっ!」

 

 真っ直ぐに突き出されたナイフをスラスターを使って真横へと移動して回避。そのままガンポッドの銃口をVF-25Gへと向けてトリガーを引く。

 

「ちぃっ」

 

 その弾丸の放たれている光景を見て思わず舌打ち。例によって例の如く機体の反応が俺の反応速度に付いてこれず、標的としていたVF-25Gではなく見当違いの方向へと放たれたのだ。

 そして、そんな隙を相手が当然見逃す筈が無く……VF-25Gの構えたアサルトナイフの切っ先は俺の乗っているコックピット目掛けて振り下ろされ、画面が真っ暗になる。

 

「残念でしたっと」

 

 通信で聞こえて来るミハエルの得意そうな声を聞きながら、シミュレーターから降りる。

 

「うーん、ここまで調整してもまだアクセル君の反応に付いていくのは無理か……あ、アクセル君。データを貰うね」

 

 シミュレーターの外で俺を待っていたルカが、今の戦闘データを受け取って早速とばかりに調べ始めている。

 それを見ていた俺へと、同じくシミュレーターから降りてきたミハエルが向かって来る。その顔には先程の通信で聞こえたように、どこか得意そうな笑顔が浮かんでいた。

 

「ふふんっ。確かに生身だとアクセルの方が強いけど、こうしてVFに乗っての戦いとなればまだまだ甘いらしいな」

「……その台詞は完全に俺に勝ち越してから言うんだな」

 

 現在の俺とミハエルの勝敗は31勝25敗5引き分け。総合的な勝率で言えばまだ俺の方が勝ち越している。

 

「確かに勝率ではアクセルの方が勝っているけど、そもそも俺の機体は狙撃仕様だ。それを考えれば、俺を相手に25敗もしている時点で色々と拙いだろ」

「まぁ、それは確かにな」

 

 溜息を吐きながらも、ミハエルの言葉を認めざるをえないのは事実だ。

 ただ、言い訳をさせて貰うとしたらやっぱり問題は機体の反応速度だ。シミュレーターのデータを取ってそれを元に改良して、それを更にシミュレーターで使って……と繰り返し、一定の満足度を得たら実際にVF-25Sを改良するという流れになっているらしいんだが……このままだと、実際に改良されるのはいつになる事やらな。

 SEED世界でもブリッツの反応速度の鈍さには苦労したが、技術上の影響かどちらかと言えばVFの方が反応が鈍い。

 まぁ、それに関しては人型を基本としているMSと、戦闘機のファイターを基本としているVFとか、あるいはコーディネーターという存在がいた為に技術的な発展が早かったSEED世界と、コーディネーターの存在しないマクロス世界といった違い――こっちにはゼントラーディを始めとした異種族もいるが――も色々とあるんだろうが。あぁ、それとSEED世界の時と比べて俺のレベルが上がったりPPで能力値を上げているからこそ、SEED世界の時よりも反応速度に対して不満を覚えているという可能性はあるか。

 

「あまりふて腐れる必要は無いだろ。今の不満がより技術の性能度合に影響してくると考えれば、逆に楽しみにしてもいいんじゃないか?」

 

 ギリアムが男臭い笑みを浮かべながら近寄ってくるのを横目に、俺は小さく肩を竦める。

 

「だといいんだがな。何度となく繰り返しているにも関わらず、反応速度の上昇は微々たるものだ。俺が満足出来るくらいまで辿り着くのはいつになる事やらな」

「……アクセル。一応言っておくが、一流のパイロットというのは与えられた機体で十分以上の成果を出すものだぞ。機体をパイロットに合わせるか、あるいはパイロットが機体に合わせるか。どっちが一流なのかは言うまでも無いだろう?」

「言いたい事は分かるが、ここまで反応速度に対して差があるとな」

 

 いや、寧ろこの場合は中途半端に俺の反応に付いてこられるというのが大きいのだろう。どうあっても俺の反応速度に付いてこられないというのなら、こっちもやりようはある。だが、中途半端に付いて来られるからこそ、いつも通りに操縦するように機体を動かし、その結果中途半端というのに足を引っ張られて僅かに及ばずに最終的には大きなミスとなる。

 先程のシミュレーションで最後の最後にガンポッド攻撃が外れたというのもその辺が原因なのだ。

 

「けど、最近のL.A.Iは色々と張り切っているというか、勢いがあるんだろ? その辺を考えると、それ程心配はいらないと思うけどな」

 

 俺とギリアムの会話を聞いていたミハエルがそう口を挟んでくる。

 

「らしいな。どうやらオズマ隊長やジェフリー艦長が持ち込んだ機体がかなりいい刺激になっているらしいな。しかも色々とL.A.Iの技術者には予想出来ないようなパーツとかがあって、そのおかげで今期や来期の収益はかなりのものになるらしい」

「ああ、そう言えば今は家の方でも色々と急がしいって言ってましたね」

 

 そう言いつつ視線を俺へと向けてくるミハエル。やはり色々と怪しいところのある俺を疑っているのだろう。それでも明確に口に出さないのは、オズマとジェフリーがある意味では俺の保護者的な扱いになっている為か。

 

「そう言えば、ミシェル。シェリルのライブチケットどうにかならないか?」

「は?」

 

 不意に出て来たギリアムのその言葉に、ミハエルが虚を突かれた顔をする。

 いやまぁ、それは無理も無いだろう。以前シェリル・ノームの件を聞いてからちょっと調べてみたが、もの凄い人気の歌手なのは明らかなんだから。

 それを、すぐにチケットどうにかならないか? と言われて、はいそうですと……いや、ミハエルの人脈なら実はどうとでもなったりするのか?

 その言動からかなりの女好きであるミハエルだけに、シェリルのライブを企画している企業の女とかと付き合いがあっても不思議じゃない。そんな風に思ったんだが、ギリアムの口から出て来たのは全く違う言葉だった。

 

「ほら、お前シェリルのライブで飛ぶって言ってただろ? その伝手を使ってどうにかチケットを入手出来ないかと思ってな」

「無茶言わないで下さいよ。本格的に雇われている専属のメンバーならともかく、俺達はあくまでもただのバイトなんですよ? そんな真似をしたらこの話そのものが無くなってしまいますって」

「……だよなぁ。俺もそうは思ったんだけど、隊長がなぁ」

「オズマ隊長が?」

「ああ。妹さんもシェリルのファンだったらしいんだけど、チケットを取れなかったらしいんだよ」

「……でしょうね。俺が聞いた話だと、開始数秒で売り切れたって話ですし。2次、3次の発売も同様に」

 

 EX-ギアを着たまま、小さく肩を竦めるミハエル。

 そんなミハエルに向けて、ギリアムはどこか情け無さそうな表情を浮かべながら視線を向ける。

 

「ま、そういう事だ。で、オズマ隊長が兄馬鹿振りを発揮してな」

「うわ、それはちょっと……どうするんです?」

「どうするって言われてもな。ちょっと手を尽くして探すしかないだろ。オズマ隊長からの頼みなんだし」

 

 溜息を吐きつつも、それでも嫌がったりしないところはギリアムの人の良さを表していると言ってもいいだろう。聞いた話によると、ギリアムとオズマはS.M.Sに所属する前、新統合軍にいた時からの部下と上司という関係だったらしい。より正確には、オズマが何らかの問題を起こして新統合軍を辞めてS.M.Sに入社、あるいはスカウトされた時に、一緒になって新統合軍を辞めたんだとか。

 

「と、言う訳でだ。……アクセル、お前にもちょっと手伝って貰いたいんだが?」

「は? 俺か?」

 

 ギリアムの言葉に、思わずそう尋ね返す。

 

「ああ。言っておくけどこれはオズマ隊長からの上官命令だ。聞いた話だと、お前がこのフロンティア船団に来てから殆どS.M.Sの社内から出ていないという話だからな。俺が言われてフロンティア船団内を適当に案内する事になった訳だ」

「ライブチケットを求めながら、か?」

「はっはっは。ま、そういう事だ。諦めて付き合え」

「まぁ、それは構わないが……俺はフロンティア船団の事を殆ど知らないんだから、手伝いには期待しないでくれよ?」

「どっちかと言えばお前の観光がメインだからな。もちろんシェリルのライブチケットも探すが、さすがにS.M.Sの伝手を使えば後1月程度あるなら何とかなるだろ」

 

 自信満々に呟くギリアムだったが、そこにミハエルがジト目で視線を向ける。

 

「そんなにお気楽にしててもどうにかなるとは思えませんけど。シェリルの人気を甘く見てませんか?」

「ま、まぁ、今回の本命に関してはアクセルのフロンティア船団見学だからな。あまり気にする必要は無い……と思いたい」

「隊長も結構酷な真似をしますね」

 

 そんなこんなで、何故か俺は翌日フロンティア船団を見学する事になるのだった。

 ただし、結局そんな物見遊山でシェリルのライブチケットが入手出来る筈も無く、ギリアムは以後フロンティア船団内、特にある意味で首都とも言えるアイランド1の内部を走り回ることになる。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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