転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0685話

 シェリーからライブチケットを譲って貰った翌日。俺はギリアムとオズマに思い切り感謝されていた。

 

「よくやった、アクセル。これでランカの奴にも顔向けできる!」

「オズマ隊長が喜んでくれるのはいいんですけど、これからはもうこういう無理な真似は御免ですよ? 今回は何とかアクセルのおかげでチケットを入手出来ましたけど、こんな幸運はそう何度もある訳じゃないんですから」

 

 喜びで舞い上がっているオズマに、チクリとギリアムが釘を刺す。

 さすがに尊敬している上司であっても、シェリルのライブチケットを取ってこいというのは無理があったのだろう。しかも……

 

「オズマの恋人の為に部下を使うとか、どう考えても公私混同だろ」

「ふざけるな! ランカは俺の妹だ!」

「いや。妹でも何でも、公私混同なのは同じだって」

「ぐっ、そ、それは……とにかくだ! こうしてシェリルのライブチケットを手に入れてくれた事には感謝している。にしても、どうやって手に入れたんだ? 相当にプレミアが付いてるって話だが」

 

 話の流れ的に自分が不利になっていると感じたのだろう。素早く話題を逸らしてくるオズマ。

 まぁ、それに乗ってやるのは別にいいんだけどな。

 

「アイランド1の街中で、どこぞの金持ちの子供らしき女と遭遇してな。で、金持ちだからかその女がシェリルのライブチケットを持っていて、街中を観光するのに付き合えばそのチケットをくれるって事になった」

「また、随分と酔狂だな。けど、こうして話を聞く限りじゃ、その女は相当な金持ちだぞ?」

「何でそんな事が分かるんだ?」

「L.A.Iの御曹子でもあるルカに頼んでもシェリルのライブチケットは手に入らなかったんだ。それをあっさりとアクセルに渡したのを考えればな」

 

 オズマの言葉を聞き、シェリーの姿を思い出す。

 金持ち故に顔が売れているのか、結局帽子やサングラスを取る事は無かったのでどんな顔をしているか正確には分からない。だが、雰囲気だけでも人を惹き付けるような一種のカリスマのようなものは感じられた。恐らくは天性のものなのだろうが、それでも一角の人物になれるのは確実だろう。

 

「なるほど。そう考えれば、確かにそうかもしれないか」

 

 オズマに渡したのでは無い方の、もう1枚のチケットを取り出して眺める。

 現在フロンティア船団内に出回っているこのチケットの希少性を考えれば、確かにシェリーの家なりなんなりのバックボーンはかなりの名家だったりするのかもしれない。シェリー自体が人に命令するのに微妙に慣れていたような感じだったし。

 

「にしても、お前も行くのか? シェリルに興味は無かったとか言ってだろう?」

「何せこのチケットをくれた本人から来いと言われているしな。それに、確かに歌とかにはあまり興味は無いが、嫌いって訳でもない。以前聴いたシェリルの歌はそれなりに凄かったと思っているし。まぁ、聴きに行く程度は問題無いだろ。と言う訳で、ライブの日は俺に休暇をよろしく頼む」

 

 そんな俺の言葉に、小さく溜息を吐くオズマ。

 

「分かった分かった。アクセルがいなきゃこのチケットは入手出来なかったんだから、それに免じてその程度は受け入れてやるよ。……ただし」

 

 そこで言葉を切り、ギロリと俺を睨みつける。

 

「このチケット番号を見る限りでは、2枚は連番だ。つまり、お前とランカは隣同士って事になる訳だが……ランカに手を出してみろ。お前に反応弾を撃ち込むぞ」

「了解だ。俺からそう手を出すような真似はしないから、安心しろ」

「隊長、そこまで言わなくても……ランカちゃんがアクセルに興味を持つとは限らないんですから」

 

 オズマに睨みつけられている俺を可哀想に思ったのか、ギリアムがそう取りなしてくる。

 

「お前は、こいつがどれだけ女にだらしないのか知らないからそんな事が言えるんだよ」

「は? アクセルが女にだらしない、ですか? 俺が見たところ、女の影とかはありませんけど」

「それは! ……あー、そうだな、まぁ、俺の勘みたいなものだと思ってくれ」

 

 さすがに俺に関しての情報を漏らす訳にはいかないと理解したのだろう。言葉を詰まらせるオズマに向け、安心させるように肩へと手を伸ばし掛け……

 丁度その瞬間に俺の携帯が震えて着信を知らせてくる。

 そこに映し出されているのは、ルカの名前だ。

 

「ルカ? 確か今日は美星学園で学生をしている筈だが」

 

 何かVF-25Sの事で連絡事項でもあったのか? そんな風に思いながら携帯に出る。

 

「どうした?」

『あ、良かった出た。えっと、アクセル君にちょっと聞きたいんだけど、アクセル君ってEX-ギア……S.M.Sで使ってる奴じゃなくて民間に下ろされている方のEX-ギアを使った事ある?』

「いや、俺が使ってるのはS.M.Sで使われている軍事用の物だけだが?」

『あー……やっぱり。でも、その2つに殆ど違いが無いのは知ってるよね?』

「まぁ、それはな」

 

 民間用に販売されているEX-ギアでも、基本的な性能は変わらない。軍事用の物との違いは武装や生存性に関する部分、あるいは戦闘に最適化されているかどうかといったところか。ああ、部品の精密度も違いがあるんだったか? とにかく、戦闘以外で普通に使う分には軍事用も民間用もそう大差が無いのは事実だ。

 寧ろ、民間用のEX-ギアでもVF-25を操縦出来ると聞かされて驚いたけどな。

 

『それで、実はちょっとお願いがあるんですが』

「お願い? まぁ、ルカにはVF-25Sの件で色々と世話になっているから、俺に出来る事があるなら聞いてもいいが」

『本当!? ミシェル先輩、アクセル君がOKですって!』

『うわ、本当にアクセルを使うつもりなのか? 一応あいつはパイロット養成コースの生徒でも無ければ、そもそも美星学園の生徒でも無いんだぞ?』

『しょうがないじゃないですか。本番で参加予定だったグスタフ先輩が怪我をしたんだから。かと言って、他の先輩達を連れてくるにしても、コンサートはあと数日ですよ? こんな短時間で僕達の動きに合わせるのが無茶なのはミシェル先輩も分かってるんじゃないですか?』

『そりゃまあなぁ。途中転入して俺達に食らいついてきている、アルトみたいなセンスを持ってる奴がそうそういるとは思えないのは事実だが……』

『ならしょうがないでしょう? アクセル君の力量があれば、僕達の動きに合わせるのもそう難しく無い筈ですし。それはミシェル先輩が1番知ってるでしょう?』

『ちっ、しょうがないか。分かったよ。じゃあお前はアクセルと話を詰めておけ。俺はアルトや他の連中を説得してくる』

『分かりました。お願いしますね』

 

 ……何やら俺を置いていきながら話が進んでいるように思えるんだが。

 

「で、結局何の話だ?」

『あ、ごめんねアクセル君。ほら、僕達がシェリルのライブでEX-ギアを使って飛ぶバイトをするって話はしてたでしょ? それで僕達とチームを組んでいた先輩の1人が怪我をしてしまったんだ』

「おい、それってまさか……」

 

 猛烈に湧き上がってきた嫌な予感を抱きつつ尋ねる。

 そこでルカの口から出た言葉は、俺の予想通りのものだった。

 

『うん、そう。出来ればアクセル君にチームの一員として飛んで貰いたいんだ。軍用のEX-ギアをあっという間に使いこなせるようになったアクセル君なら、僕達にも付いてこれるだろうし』

「うーん……まぁ、確かに可能か不可能かで言えば可能なんだが……」

 

 ルカに言葉を返しながらシェリーに貰ったチケットへと視線を向ける。

 必ず俺にも見に来いと言って渡したチケットなんだから、貰った者の義務としてさすがにそれを無視するのはどうかと思う。だが、俺の機体の事で相当に色々な無理を掛けているルカの頼みも断るのはどうかと思うし……

 

『アクセル君、駄目かな?』

「……はぁ、分かった。分かったよ。お前達に協力すればいいんだな?」

 

 結局、チケットを譲って貰った恩があるとは言っても、1度会っただけのシェリーよりも幾度となく無理を聞いて貰っているルカの頼みに応える事にしたのだった。

 

『ありがとうございます! えっと、じゃあ今からこっちに来れますか? 美星学園の場所は知ってますよね?』

「ああ、問題無い」

 

 グリフィスパークの丘の近くにあるというのはギリアムに聞いて知っているし、実際にこの目でも見ている。特に問題は無いだろう。

 

『じゃあ、皆に紹介するのですぐに来て下さい。学校側には話を通しておきますので』

「了解」

『待ってますね!』

 

 嬉しそうに叫び、そのまま通話を切るルカ。

 その様子に小さく溜息を吐き、俺もまた使っていた携帯の電源を切る。

 

「って事で、これから美星学園に行ってくる。……あぁ、それと折角だしこのチケットもついでにやるよ。お前の妹の友達辺りでも一緒に招待してやるといい」

「本当か? ランカの奴も喜ぶだろうな。悪い、アクセル」

「何、どのみち機体の件でルカには色々と迷惑を掛けているしな。この程度で幾らかでも借りを返せるんなら、それ程悪い選択じゃないさ。それに、以前にも何度か言ってるが、俺は歌は得意じゃないしな」

「……前々から気になっていたんだが、お前の声ってファイヤーボンバーのメインボーカルの熱気バサラに似てるんだよな。頑張って歌の特訓をすればそれなりにいい所までいけそうな気がするんだが」

「残念ながらその気は無いな。じゃ、そういう事で」

「俺の歌を聴けぇっ! とか言ってくれないか?」

 

 そんな風に寝言をほざいているオズマに背を向け、そのまま部屋を出て行く。

 ……まぁ、熱気バサラとアクセル・アルマーは声優的に同じだからな。まさか版権スパロボじゃないこんな場所で声優ネタが出て来るとは思わなかったが。

 

 

 

 

 

「アクセル君、こっちこっち!」

 

 美星学園の校門前までやって来た俺を、ルカが手を振って出迎える。

 笑みを浮かべてはしゃいでいるその様子は、とてもでは無いがL.A.Iの特別技術顧問だったり、あるいはS.M.Sの中でも精鋭であるスカル小隊の電子戦を任されている人物だと思えない。

 

「で、これからどうするんだ?」

「まずは今回チームを組む先輩達に、アクセル君の実力を見せて上げてください。皆、僕やミシェル先輩がわざわざ呼んだ人物だって事で一応納得はしていますが、やっぱり実際にその腕を見せないと完全に納得は出来ないでしょうから」

「民間用のEX-ギアについてはそっちで用意してるんだよな?」

「勿論です。すぐに着替えてきますか?」

「ああ、手っ取り早くこっちの技量を見せるんなら少しでも早い方がいいだろ。俺としてもシェリルのライブチケットを無駄にしたんだから、絶対に失敗はしたくないし」

「ええっ!? シェリルのライブチケット、手に入ったんですか!?」

 

 学園の中を進みながら会話をしていたのだが、ルカの大声が響いて周囲にいる生徒達の視線がこっちへと集まる。

 

「幸いちょっとした幸運があってな」

「いや、ちょっとしたどころじゃないですよ。思いっきり凄い幸運ですから。……あ、ここで着替えて下さいね」

 

 更衣室らしき場所に案内される。その更衣室の中には、民間用のEX-ギアが入っているケースが置かれていた。これが俺の分なのだろう。

 マクロスの世界とは言っても、更衣室とかは変わらないよな。

 そんな風に思いつつもきちんと着替え終え、EX-ギアの様子を確認する。

 さすがにVFにも対応しているだけあって、S.M.Sで使っているものと比べても殆ど変わらない。まぁ、その殆どって部分が民間用と軍事用の違いなんだろうが。

 

「問題無い。S.M.Sで使っているのとは殆ど同じ感覚で使える」

「そうですか。じゃあミシェル先輩達のところに連れていきますけど……僕とミシェル先輩がS.M.Sに所属しているってのは言わないで下さいね」

「……秘密にしているのか?」

「はい、色々と事情があって」

 

 申し訳なさそうに下を向くルカを見れば、それを断る事は出来無いだろう。そもそも俺が今回の件を引き受けたのは、機体の件でルカに対して骨を折って貰っている礼をする為だ。それに、別に人の秘密を言い触らすような趣味の悪い真似は好みじゃないしな。

 

「OK、分かった。取りあえずS.M.Sの件は秘密にするとして、じゃあ俺との関係はどう説明するんだ?」

「あ、別に秘密にするのは僕とミシェル先輩の件だけでいいから、アクセル君はS.M.Sの所属ってのを隠さなくてもいいと思います。というか、ミシェル先輩が既にそうやって皆に説明してましたし」

「……まぁ、お前達がそれでいいのなら俺は構わないが」

 

 そんな風に会話をしながら進んで行くと、やがて校舎の屋上へと到着する。

 

「ミシェル先輩、アルト先輩、アクセル君を連れてきましたよー!」

 

 その声と共に、その場にいたミハエル、それと他の数名の男達の視線が俺へと集まる。

 そんな男達の中でも、ルカが笑みを浮かべて話している相手。それこそがアルトとかいう男なのだろう。

 ……何と言うか、異様に美形な感じの男だな。

 それが、俺が早乙女アルトを相手にして最初に感じた第一印象だった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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