転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0700話

「アクセル、アルトと戦ってみてどう思った?」

 

 マクロス・クォーターに戻って来た俺へとオズマが声を掛けてくる。

 実際の能力に関しては傍から見ていて大体分かっただろうに……敢えて俺に聞いてくるのは何でだろうな?

 

「センスはあるな。伊達にミハエルに次ぐ成績じゃないってところだろう。それに、いざという時の爆発力に限れば確実にミハエルを越えている」

「おい、ちょっと言い過ぎじゃないか? 幾ら何でもまたアルトに負ける気は無いぞ?」

 

 マクロス・クォーター内の格納庫を、EX-ギアの動力を切った状態で走らされている――ゾンビの如くフラフラとした状態が走っていると表現出来るのなら――アルトを見ながら、ミハエルが不満そうに告げてくる。

 ちなみに、アルトが既に恒例となった罰ゲームを受けているのはバジュラとの戦闘になった時の撤退命令を無視して戦場に残り、偶々アステロイドベルトを漂っていたゼントラーディの死体から武器を奪って戦闘に参加した為だ。

 ちなみにそのゼントラーディの死体だが、数千年程昔の物らしい。それで良く武器が使えた……と言うか、使う気になったものだな。

 まぁ、その話を聞いたゼントラーディ部隊でもあるピクシー小隊のクランは経年劣化で壊れる程にゼントラーディの武器は脆くないと言ってたが……数千年も昔の武器が普通に使えるってのは、ある意味でマクロス世界で最大の技術なんじゃないだろうか。フォールドなんかの技術よりも余程凄い技術に思える。

 あぁ、でもゼントラーディは基本的に物を作るとか修理するとか出来ないんだったか。だからこそ、マクロスで出て来た旗艦とかでも壊れたままの場所とかがあった訳で。

 それを考えると、プロトカルチャーは凄いよな。プロトデビルンとかに殆どを殺されてしまったらしいが。

 

「ま、とにかくS.M.Sでやっていけるだけの力量は十分備えていると思うぞ。実際、バジュラを倒しているんだしな」

「あれは、お前がビーム砲で穴だらけにしたからアルトだけの手柄じゃないけどな。……ま、いいだろ。奴に関しては実際に腕も確かだしな。……もっとも、俺の部下になった以上は命令違反とかをしないようにきちんと教育してやる必要があるが」

「やった、アルト先輩! 合格ですって!」

「お、おう……」

 

 戦闘で疲れて戻って来て、すぐにEX-ギアで格納庫を走らされているアルトは、ヨロヨロと手を上げてルカの言葉に応える。

 幸か不幸か、ルカにはオズマの最後の言葉は聞こえていなかったらしい。

 

「よし、それじゃあアルトの合格祝いも兼ねてパーッと行きますか。オズマ隊長、店に関しては予約しておきましたから」

「ああ。場所はどこだ?」

「娘娘です」

「……おい、ミシェル」

「別に他意はありませんよ。純粋に大勢で集まれて、料理も美味しい店って事で選んだだけで」

 

 ジト目で問い掛けるオズマに、小さく肩を竦めるミハエル。だが、アルトとランカに対して気を使ったという意図は明らかだった。……まぁ、オズマがそこまで気が付いているかどうかは分からないが。

 

「はぁ。まぁいい。もう予約したってんならしょうがない。ただし、騒ぎすぎてランカには……いや、店にはくれぐれも迷惑を掛けるなよ」

「了解しました、隊長!」

 

 ビシィッ、と擬音が付くくらいに素早く敬礼をするミハエル。この辺、オズマをおちょくっているのはミハエルらしいと言えばらしいな。

 そんなミハエルの頭を軽く叩き、去って行くオズマ。

 

「ミシェル、上官をあまりからかうのはやめろよ」

「何ですか? クラン・クラン大尉殿」

「……だからそれをやめろと……」

 

 小さい肩を更に落としながら呟くクランに、ミハエルは苦笑を浮かべてその頭に手を乗せる。

 

「ほら、取りあえず俺達も娘娘に向かう準備をしないとな。クランも私服に着替えて来いよ。俺達はPMCじゃなくて運送会社として行くんだから」

「はぁ、しょうがない。ネネ、ララミア、行くぞ」

「はい、お姉様」

 

 お姉様呼ばわりか……まぁ、ゼントラーディ状態でのクランならそれでもおかしくないんだが、今の子供の状態じゃな。ララミアの方は特に何も言わずに無言で頷き、その後を追って行く。

 その後ろ姿を見送ったミハエルは、未だに格納庫内を走り回っているアルトへと声を掛ける。

 

「アルト、そろそろ終わっていいぞ! それよりもお前の歓迎会をやるから、さっさと着替えてこい!」

「お、おう……」

 

 息も絶え絶えのアルトが何とか手を挙げているのを見て、ふと気が付く。

 

「そう言えばアルトの歓迎会はともかく、俺は歓迎会して貰っていないな」

 

 勿論、それでいじける程に心が狭いつもりはないんだが。

 

「ああ、それな。最初はやろうと思ってたんだけど、何故かオズマ隊長からストップが掛かったんだよ。お前が色々と訳ありだから、その関係みたいだぜ?」

「……まぁ、確かにそれなら文句は言えないが」

 

 そんな風に考えつつ、戦闘後の汗を流し――アルトに限って言えばEX-ギアの運動での汗の方が多かったが――娘娘へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「早乙女アルトのS.M.S入社を祝って……かんぱーいっ!」

 

 ミハエルの声が響き、それを聞いたS.M.Sのメンバーが持っていたコップを上へと掲げ、近くにいた者達とコップ同士をぶつける。

 ちなみに俺のコップに入っているのは烏龍茶だ。俺が転移した理由を知っているオズマが、歓迎会が始まる前に上官命令として俺にアルコールを飲ませる事を禁止した為だ。

 ……まぁ、今の俺は15歳である以上未成年な訳で……それを考えればアルコールを飲む心配はそれ程いらないんだけどな。ミハエル辺りが面白がって呑ませそうなのを警戒したのか?

 

「それにしても、改めて見るとS.M.Sはこんなにいたんだな」

「そりゃそうですよ。アルト先輩はずっと訓練続きで、気が付かなかったのかもしれませんけど」

「というか、VFパイロット以外にも整備やら事務やら営業やら。そんなのを考えれば人数が多くなるのも当然だろ。VF-25にしたって、予備機を抜かしても20機近く運用してるんだし」

 

 青椒肉絲を食べながらアルトとルカの会話に割って入る。

 尚、そんな俺達の近くではミハエルとクランがいつもの漫才をしていたが……まぁ、あの2人は放っておいてもいいだろう。

 

「そう言われればそうか。……ん?」

 

 ふと店内にあるTVへと視線を向けるアルト。

 その視線を追うようにしてTVへと目を向けると、そこではミス・マクロス・フロンティアについて映し出されている。

 見事にミス・マクロス・フロンティアに選ばれたのは、褐色の肌とオレンジの髪をした女だった。

 

「へぇ。さすがにミスコンの優勝者だけに自信のある顔付きをしているな」

「うーん、でも顔付きがきつそうじゃないですか? 我が強いって言うか……」

「確かにそうだけど、そのくらい自分を出していけるような奴じゃないとミスコンとかには出場しないだろ。まぁ、中には友達が応募しましたとかで優勝する奴もいるかもしれないけど。個人的には好印象だな」

「ふーん……あ」

 

 俺の言葉に頷いていたルカが、ふと何かに気が付いたように俺を引っ張って離れていく。

 

「おい、どうしたんだ? 青椒肉絲をもう少し……」

「ほら、いいですから。少しは空気を読みましょうよ」

 

 少し離れた場所でテーブルに残っていたアルトの方へと視線を向けると、そこでは蒸籠を手に持ったランカと仲良く2人で話しているところだった。

 

「あの2人、いつの間にか大分仲良くなってたようだな」

「そりゃそうですよ。アルト先輩は格好良いですしね」

 

 そんな風にルカと会話をしながら、こっちのテーブルに残っていた皿から小籠包をレンゲの上に乗せながら皮を崩してスープを溢れさせ、口へと運ぶ。

 

「本当は今日のミス・マクロス・フロンティア、ランカさんも出ていたんですよ」

「は? そうなのか? オズマはあまり感心しないような事を言ってたが……」

「勿論内緒でです。オズマ隊長はランカさんを可愛がってますからね。大勢の前で水着姿になるとかなんて事になったら、絶対に許しませんし。……それをアルト先輩も応援に行ってたんですが……」

 

 溜息1つ。

 

「今回の模擬戦がそこに重なった、か」

「はい。結局アルト先輩も最後まで見る事が出来無いまま……ナナセさん、怒ってないといいけど」

「ナナセ? 何度か聞いた名前だけど、それは?」

「ランカさんの友達です。この娘娘でもバイトしてるんですけど……あ、今日はシフトが入ってないみたいですね」

 

 呟きながら、見て分かる程にがっかりするルカ。

 ……なるほど。ルカの片思いの相手ってところか。

 

「残念だったな」

「え!? な、何がですか!?」

「……お前って本当に分かりやすいな。ま、それならそれでもいいさ。とにかく折角の歓迎会なんだから、美味い料理は食っておいて損はないだろ」

 

 にしても、娘娘ねぇ。確か初代マクロスのヒロインの1人でもあるリン・ミンメイの家がそんな名前の中華料理店だったと思うが。まさかフロンティア船団にまで出店する程に成功しているとは思わなかったな。勿論、このフロンティア船団の支店の店長はリン・ミンメイの一家とは全く関係が無いんだろうが。

 まぁ、それはともかくとして……

 

「そう言えば、ソルプレッサとかの解析に関してはどんな具合なんだ?」

「え? あー、そうですね。7割程は完了したってところでしょうか。基本的にはVFよりも技術的に低いですから、それ程苦労はしなかったんですが……ただ、特定の技術に関して言えばVF-25を上回っている物もあります」

「ASRSだったか?」

「はい。ステルス性能に関しては、とてもでは無いですけど同レベルの物を作り出すのは難しいですね。アクセル君の機体に装備した劣化コピーのようなものを作り出すので精々です」

 

 溜息を吐くルカ。技術者としてはやはり悔しいのだろう。

 だが、すぐに首を振って明るい笑顔を浮かべて口を開く。

 

「でも、あの機体のおかげで色々とうちにとっては利益になったのは事実なので、その辺を考えるとオズマ隊長やジェフリー艦長には感謝の言葉しかありませんね。……にしても、何でアクセル君がソルプレッサの件を気にするんです?」

「何でって……俺の機体にその技術を活かしたステルスが搭載されてるんだから、気にするのは当然だろう?」

「……そうですか」

 

 これ以上突っ込むのは危険だな。

 そう判断し、何かを考え込んでいるルカから離れてオズマの方へと近付いていく。

 

「どうした、難しい顔をして。折角の歓迎会なんだから、楽しめよ」

「お前に言われてもな……」

 

 苦笑を浮かべつつ、老酒と思われる酒を小さいコップで口へと運ぶ。

 その様子を見ながら、テーブルの上に乗っていた中華まんへと手を伸ばす。

 噛ぶりつくと、口の中にまず生地のほんのりとした甘みが広がり、次の瞬間には甘辛く味付けされた魚が激しく存在感を放つ。

 

「へぇ、肉まんとかピザまん、カレーまんは食った事があるけど、中身が魚ってのは珍しいな」

「ああ、娘娘の名物料理でマグロまんって言うらしい。実際名物になるだけあって美味いが……残念ながら、以前アクセルに食わせて貰った中華まんには遠く及ばないな」

 

 マグロまんや中華料理を食べつつ愚痴るオズマだが……

 

「それはしょうがないだろ。天然物の食材を自由に使える世界の食事と、限られた空間で船団内の食材をやり繰りしている世界だ。差がありすぎる」

「ま、分かっちゃいるんだけどな。……言っておくが、お前は絶対に酒を飲むなよ。酔っ払って変な真似をされちゃ俺でも庇いきれないからな」

「分かってるよ。それに元々俺の味覚だとアルコールは美味いと感じないしな。それよりは食べる方に専念させて貰うさ」

 

 そういい、マグロまんを次から次に口へと入れていく俺に、オズマは呆れた様な表情を浮かべる。

 

「にしても、よくそこまで食えるよな。お前の胃袋は底なしか?」

「元々大食いだったしな。こういう時に食べられるだけ食べておくのが正しいだろ?」

 

 実際には胃の中に入った途端に分解されて魔力へと変換されている。それ故に幾らでも食べる事が可能だというのが正しいのだが。

 

「このままバジュラが襲ってこなければ色々と助かるんだがな」

「それは無理だろ」

 

 オズマのしみじみとした呟きにそう返し、テーブルの上に乗っている皿へと箸を伸ばすのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:425
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:594

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