転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0707話

『うおおおおおおおおっ!』

 

 通信回線からアルトの雄叫びが聞こえてくる。

 アルトのVF-25Fは俺の後ろを何とか追いかけてきていた。最初は隣を飛んでいたんだが、さすがにスーパーパックとトルネードパック、あるいはVF-25Fとその上位機種とも言えるVF-25Sでは機体性能に違いがありすぎた。

 とは言っても、それ程の差がありながら置いていかれずに何とかついてきているのはアルトの才能が並ではない事の証だろう。それに……

 

「アルト、次はあの群れだ。突っ切るぞ!」

『分かった! ルカ!』

『はい、アルト先輩! アクセル君も任せて下さい!』

 

 その言葉と共に、トルネードパックを装備したVF-25Sはスラスターを全開にしてこちらへと向かって来ているバジュラの群れへと突っ込む。通り抜け様に機体上部に装備されているビーム砲、ガンポッド、レーザー機銃を連射していく。ただし、群れの中で止まって攻撃に専念する事は無い。通り魔の如くバジュラの群れの中を突っ切っていくのだ。

 もっとも、そんな状態なので先頭になって突っ込んでいく俺の撃墜数自体はそれ程多くない。撃墜出来るのは。ビーム砲では確実に、ガンポッドは6割、レーザー機銃は2割ってところか。

 俺が通り過ぎた後にはアルト機が突っ込み、俺が損傷を与えた機体に対して攻撃し、撃墜していく。

 だが、アルト機にしても俺の後ろをついてきている訳で、悠長に撃破しているような余裕は無い。そこで最後の仕上げに攻撃を仕掛けるのがルカの機体が操っているゴーストだ。無人機だけに多少その場で足を止めて攻撃しても危険は無いし、何よりルカの護衛として残してあるのは1機だけで2機をこっちに回して貰っている。その結果、俺達が撃破しているバジュラの数は加速度的に増えていた。

 ……俺としては自分の撃墜数があまり増えないから、このなんちゃってジェットストリームアタックはあまり好みじゃないんだがな。

 それでもアルトを先頭に回す訳にもいかず、俺を踏み台にしたぁっ! とか言う役割をこなす事になっている。

 

『アクセル君、赤いのが来ます!』

「ちぃっ、また厄介な。アルト、敵のビームには気を付けろよ!」

『了解!』

 

 あの赤いのの何が厄介なのかといえば、背中に背負っている砲門から放たれるビームだ。威力は高いわ、身体がでかい割に生物兵器特有の動きでこっちの予想を裏切るわ、非常に嫌な相手であるのは間違い無い。

 とは言え、逆に言えばこいつらを野放しするとギャラクシー船団からの逃げ出してきた艦が危険な訳で……

 

「結局やるしかないって事だ!!」

 

 スラスターを全開にし、こちらへと向かって来る赤いバジュラ10匹に向かって突っ込んでいく。だが、強力な一撃を持っているこいつらは、今までのように通り抜け様の攻撃で倒せればそれでいいという訳ではなく確実に撃破していく必要がある。

 

「アルト、ルカ、こいつらは確実に撃破するぞ!」

『分かってる!』

『はい、分かりました!』

 

 アルトとルカからの返事を聞きながら、VF-25Sを斜めにして放たれたビームを回避。同時にこちらからも機体上部に装備されているビーム砲を連射しながら距離を詰めていく。

 先頭を飛ぶ1匹目を2条の光が貫き、爆散。その後ろを飛んでいる1匹の右側を貫通、同時に放たれたガンポッドからの弾丸が半ば半死半生に近い状態になったバジュラを撃ち砕いていく。

 だが、バジュラ達にしても大人しくこちらの攻撃を受け続ける筈も無く、残り3匹のバジュラがビームと中足に内蔵されている機関砲から無数に撃ち続けられる。

 瞬時に機体をガウォークへと変形、足に内蔵されているスラスターを細かく調整し、放たれたビームと弾丸の雨を回避しながら距離を縮め……

 

「はあああぁぁっ!」

 

 左手に持っているアサルトナイフにピンポイントバリアを展開し、通り抜け様にバジュラの外殻を切り裂き、同時に少しでもダメージを与えるべくレーザー機銃と右手に持っているガンポッドを乱射していく。だが、向こうにしても大人しくやられてくれる訳がある筈も無く、VF程度ならあっさりと破壊出来そうな威力の手足を振り回す。

 その一撃を全身に装備されているスラスター、特に足の底に内蔵されているスラスターを細かく使いつつ、バジュラの攻撃を回避しながら赤いバジュラの群れを突っ切り、その場で急速反転。ICSが感知するGを無視しつつ、そのままビーム砲を連射してバジュラの背後からビームを叩き込んでいく。

 

『おいっ! 間違っても俺に当てるなよ!?』

 

 少し離れて俺の後に続いているアルトの悲鳴のような声を聞きながら、俺を脅威と認識したのか、こちらもまた反転してくるバジュラ。牽制の為にビーム砲を撃とうとして……

 

『アクセル! そこを退けぇっ!』

 

 通信機越しに聞こえてきたカナリアの声に、何が起きているのかを判別。そのまま再度機体を反転させ、バジュラ達から距離を取る。

 

『おいっ、アクセル!?』

『アルト先輩、先輩もそこから退避して下さい! カナリア中尉のケーニッヒモンスターが砲撃を開始します!』

 

 何、ケーニッヒモンスターが!? ちっ、確かにバジュラの数が圧倒的な以上はあの火力を使うのは正しいが……少しは、こっちの事も考えて欲しいものだな!

 

「アルト、聞こえたな! ここから一旦退避するぞ! ケーニッヒモンスターの射程距離内にいるなんて洒落にもならないからな!」

『りょ、了解した!』

 

 最後の仕上げとばかりにガウォークのままビーム砲を連射して、そのままビームが数匹のバジュラを貫いたのを横目にファイターへと変形。トルネードパック特有のエンジンをフルに活用してバジュラ達から距離を取る。

 アルトの機体も俺の後を追って来てはいるが、それでもやはり機体の差が若干距離が開いてはいる。ゴーストに関しては俺に連絡を入れる前にもう退避させていたのだろう。既にこの戦場でその姿は見えない。

 

『死にたくない者は私の視界から去れ! ……くたばれ、化け物共!』

 

 普段の寡黙な様子とは裏腹に、雄叫びと言えるような叫びと共にギャラクシーから逃げてきた戦艦の甲板上でケーニッヒモンスターの大火力が火を噴く。

 両腕の位置についている3連装対地対艦重ミサイルランチャー、そして上部から伸びている320mmレールガン4連装。その全てが火を噴いて宇宙空間を爆発光で満たし、ギャラクシーから逃げてきた艦を追撃してきたバジュラを纏めて殲滅する。

 

『凄え……』

「そうだな、あの火力はさすがVBといったところか」

 

 運動性や機動性に関しては遠くVFに及ばないが、瞬間的な火力という意味では逆にケーニッヒモンスターの圧勝と言ってもいいだろう。

 

『ほら、お前達ぼさっとするな! まずは損害の大きいカイトスを逃がすぞ!』

 

 一瞬唖然とケーニッヒモンスターの火力に見惚れていた俺とアルトへと、オズマからの通信が入ってくる。

 そして、俺達に遅れるなとばかりにピクシー小隊を含めた他のS.M.S隊員達が戦っている戦場へと突っ込んでいく。

 

「アルト、準備はいいな?」

『ああ、勿論』

『すいません、アクセル君、アルト先輩。僕はフロンティア船団とのフォールドリンクの方に集中しないといけないので、お手伝い出来るのはここまでです』

「しょうがない、フロンティア船団とのリンクは最重要だしな。手が空いたらまた頼む」

 

 ルカへとそう告げ、戦場から離脱してフォールドが可能な位置へと向かっているカイトスとかいう戦艦と、そのカイトスを狙っているバジュラを……

 そう思った時だった。ゾクリとした何かが俺の背筋へと冷たい感触をもたらす。俺の命の危機……いや、違う。だが、何かが起きる。その場所は……カイトス!?

 念動力により感じ取った何か。それが何かは分からないが、俺が自らの内に眠る念動力により助けられてきた事は数知れず。それを疑うような真似をする筈も無かった。

 

「アルト、カイトスがやばい! 行くぞ!?」

『え? おい、アクセル。いきなり何を言ってるんだよ』

「いいから来い!」

 

 突然の俺の言葉に混乱しているアルトをそのまま、トルネードパックを装備したVF-25Sの出力を全開にしてカイトスの方へと向かっていく。

 

『おい、アクセル! どうした!? アルト、奴はいったいどうしたんだ!?』

『知らねえよ! ただ、いきなりカイトスが危険だとか言って……』

『……ちっ、しょうがない。アクセルとアルトを別々にしてこの戦況に対処させるのは難しいか。アルト、行け! アクセルの後を追え!』

『りょ、了解!』

 

 オズマとアルトのそんな通信が聞こえて来るが、その時には既に俺の姿はカイトスのすぐ近くまで来ていた。そして……

 ゾクリ。

 再びの冷たい感覚。

 同時に、カイトスが通り過ぎた空間が歪み……デフォールド!? 馬鹿な、この辺はフォールド断層で覆われていた筈だ。だからこそ、カイトスも退避するのに時間が掛かってたっていうのに……

 だが、そんな俺の思い込みを嘲笑うかのようにデフォールド反応が起き、その空間からは……

 

「バジュラの母艦、か?」

 

 本来ならフォールドでは突破出来ない場所、それがフォールド断層の筈だった。

 だが今俺の目の前では、そんな俺達の常識は関係無いとばかりに巨大な艦らしき存在が姿を現したのだった。

 そして姿を現したのと同時に、まるで口を開くかのように先端部分を大きく展開し、その中には高エネルギー反応が……

 

「ちぃっ、させるかよっ!」

 

 突然姿を現したバジュラ艦。これが生体兵器としてのバジュラを運用する為の母艦なのか、あるいはバジュラ同様にこの艦そのものが生体兵器なのか。考えるべき事は色々とあるが、今はまず何よりもこのバジュラ艦がやろうとしている事を阻止しなければならない。

 そう、バジュラ艦の先端が開いた部分の先にいる、カイトスの撃沈という最悪の事態を避けるのだ。

 

「シェリルに……約束したんだからなぁっ! 愛、直撃!」

 

 精神コマンドの愛と直撃を使用し、愛の効果の1つでもある加速を使ってファイター状態で真っ直ぐにバジュラ艦との距離を詰める。同時に、パックリと開かれているそのすぐ真横で強引に停止。ICSが派手に稼働して、貯め込んでおける残りGの量が少ない事をアラームで知らせている。だが、そんなのは関係無いとばかりにバジュラ艦の真横でバトロイドへと変形、展開されている部分の中央にあるビーム発射口へと向けて一瞬で狙いを絞る。

 

「撃墜出来ないまでも、射線を逸らす程度はやってみせる!」

『馬鹿、アクセル! 危険だ、一旦退け!』

 

 オズマの声が通信で聞こえて来るが、それを無視してビーム砲、残っていたミサイルを全弾、ガンポッドの弾丸を発射する。

 VF-25Sから放たれた全ての攻撃は一切のずれもなく、全てが数cmの誤差も無いままにバジュラ艦のビーム発射口へと向かって突き刺さった。

 目に痛い程の光が周囲を満たし……それでもさすがにVFと艦では大きさが違い過ぎ、砲身を詰めて爆発といったような真似は出来ずに、バジュラ艦からの極太のビームが放たれる。

 ……それでも俺の放った攻撃は全てが無駄と言う訳では無かった。ビーム発射口に命中した攻撃によりバジュラ艦から放たれたビームは標的であったカイトスを大きく外れ、俺達にとっては幸運な事に、バジュラ側にとっては不幸な事に、カイトスへと向かっていたバジュラ諸共に飲み込む。

 ……幸い、機体のマーカーに関しては減っていないので、S.M.Sで撃墜した機体はいないのを考えるとある意味では出来過ぎの幸運と言えたかもしれない。

 

「オズマ! カイトスを早く安全圏に!」

『お、おう! とにかくお前はそこから一旦退け! カイトス、聞こえているか! こちらフロンティア船団の先遣隊S.M.S所属のスカル小隊、オズマ・リー少佐だ! 今のうちに早く退避を! 後方でフロンティア船団が待機している!』

 

 オズマがカイトスへと連絡を入れているのを聞きながら、最後の仕上げとばかりにビーム砲を連射しつつファイターへと変形。すぐさまその場を後にする。

 くそっ、VFでも反応弾辺りを装備していればバジュラ艦を撃破出来たんだろうが、反応弾は地球にいる新統合軍のお偉方の許可が無いと使えないんだよな。

 舌打ちをしながらスラスターを全開にしてバジュラ艦と距離を取ろうとして……その存在に気が付く。

 緑の機体、イージスパック改を装備したRVF-25。ルカの機体だ。

 その機体は、あろう事か俺と擦れ違うようにしてバジュラ艦の方へと向かって行く。

 

「ルカ! 何を考えている! 一旦退け!」

 

 先程のオズマの言葉を繰り返すかのような言葉を反射的に口にする。

 

『でもアクセル君、今は少しでもバジュラのデータを取らない……うわぁああぁぁぁっ!』

 

 俺に通信を返しつつ上がる悲鳴。舌打ちをしてそちらへと視線を向けると、バジュラ艦から出撃してきた赤いバジュラがルカの機体を掴みつつ、俺のビーム攻撃で煙を噴いているバジュラ艦の先端部分から中へと入っていき……次の瞬間、その展開してる場所はあっさりと閉じられる。

 

『ルカが……食われた!?』

 

 俺の援護をするべく、すぐ近くまで来ていたアルトの唖然とした声のみがコックピットの内側に響き渡っていた。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:545
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:618

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