転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0061話

 まずは小手調べという事か、左腕に装備されている3連マシンキャノンをこちらへと向けて撃ってくるが、その攻撃は右に移動する事で回避に成功する。

 そのままベーオウルフを中心に反時計回りに移動しつつ牽制の意味を込めてガン・レイピアを発射するのだが、何か意味不明のフィールドのようなものであっさりと防がれる。

 

「……なんだ?」

 

 あれに乗っているのはベーオウルフ、すなわちキョウスケ・ナンブだ。それを考えると、念動フィールドではないのは確定。そうなるとABフィールドやG・ウォールの類か? アルトアイゼンに装備されている特殊装置はビームコートのみだと思ったが、ゲシュペンストMk-Ⅲは違うのか?

 疑問に思いつつ、ファントムを全機使用してゲシュペンストMk-Ⅲの胴体へと攻撃を集中させる。

 28機のファントムから発射されたレーザーと、ガン・レイピアから発射された細いビームが胴体の1点へと集中した。

 

「がああああぁぁぁぁぁっっ」

 

 さすがにこの攻撃は効果があったのか、正体不明のバリアを突破し胴体へと直撃する。

 どうやったのかは不明だが、グロウセイヴァーのコックピットにベーオウルフの声が聞こえる。いつの間にか通信が繋がっていたようだ。

 

「ベーオウルフ、いやキョウスケ・ナンブ。俺の事をまだ覚えているか?」

「敵……不明……破壊…消去」

 

 駄目、か。既にキョウスケ・ナンブではなくアインストと化しているか。

 

「ならここでマルティンの仇を取らせて貰いたい所だが」

 

 もしここでベーオウルフを倒したとしてもすぐに再生するだろう。実際、マルティンが倒された時にネバーランドのDOBキャノンを直撃させたというのにこうしてピンピンしているのだから。

 だが、このまま撤退というのも難しい。モニタにはASRS使用不可の表示が出ているし、もし使用可能だとしてもアインストの特殊感覚か何かでこちらを追尾なんて事になったら洒落にならない。

 バリソンが基地攻略をしている場所にベーオウルフを連れて行く? それこそ敵味方関係なく暴れて、混乱しか巻き起こさないだろう。

 となると、やはり俺が一時的にでも再起不能にして、その後で撤退というのがベストなのだが。

 

「問題は勝てるかどうか、か」

 

 いや、弱気は禁物だな。俺は生き残る。その為にこれまで頑張ってきたのだから。

 

「続けていくぞ!」

 

 ビームガトリング砲で連続してビーム弾を撃ち込み続け、ビームの豪雨とも言えるその速射性から自然と同じ場所に命中するビーム弾が多くなり、ゲシュペンストMk-Ⅲが張っているバリアを突破する。

 ベーオウルフに行動の余地を残さない。言うのは簡単だが、実際にやるとなるとかなりきつい。あのベーオウルフと対峙し、移動しながら射撃して命中させ続けるのだから。

 だが幸い俺には比較的余裕があった。ベーオウルフのゲシュペンストMk-Ⅲは近・中距離用の武装がメインで遠距離へ攻撃が可能なのは左腕についている3連マシンキャノンのみだ。そしてその3連マシンキャノンは威力的には大した事はないので、もし命中しても常時発動している程度の念動フィールドで無効化が可能だ。

 そしてベーオウルフが攻撃する時には自然とバリアも解除されるので、その点もこちらにとっては有利な要素だろう。

 これが逆に近接戦闘となるとあちらの独壇場になるのだろうが、俺にはわざわざ相手の土俵で戦うなんて趣味はないので出来ればこのまま一方的に相手をなぶっていきたい所だ。

 

「無理か」

 

 よく見ると、最初にビーム弾が命中した場所の損傷が無くなっている。マシンセルのような特殊なものを使っているのではない限り、アインストの効果だろう。

 そうなると相手の損傷が修復されるよりも大きなダメージを与えなければいけないのだが、現状の武装でそれが可能なのはファントムの一斉射撃くらいだろうか。だが、ファントムに意識を集中しすぎるといざという時の反応に不安が残る。普通の敵なら問題ないのだが、相手が相手なので少しでも不安要素は減らしておきたい。

 

「はあああぁぁっぁぁぁっっっっ」

 

 突如吠えるような声を上げるベーオウルフ。その声に意識を集中したのが悪かったのだろう。ふと気が付くとモニタにはリボルビング・ステークをこちらへと突きだそうとしているゲシュペンストMk-Ⅲの姿が。

 馬鹿なっ、あの距離を一瞬で詰めた!?

 

「念動フィールド、全開!」

 

 咄嗟に念動フィールドを全開にするが、突き出された杭は念動フィールドをあっさりと貫通しグロウセイヴァーのコックピット、つまり俺目掛けて撃ち出される。

 

「ちぃっ」

 

 咄嗟にとは言え機体を右に多少なりともずらせたのは、運か、ブリットから吸収して増大した念動力のおかげか、はたまた内心でベーオウルフの攻略法を考えつつもその挙動を注意深く観察していた為か。

 理由はともあれ、リボルビング・ステークがコックピットを貫通するという最悪の事態はなんとか避ける事が出来た。代わりにグロウセイヴァーの左手とリニアレールガンを持って行かれたが。

 

「くそっ、加速!」

 

 このまま奴の距離にいるのは不味すぎる。精神コマンドの加速を使用し、ブースターも利用して再度ベーオウルフとの距離を取る。

 

「全く、きついな」

 

 そもそも現在連邦軍で最強の部隊と言っても間違いではないベーオウルブズを俺1人で相手取れというのが無茶な話なのだ。

 愚痴を言いつつも、機体のコンディションをチェックする。幸い損傷したのは左手とリニアレールガンのみで、その他には特に影響がない。

 と言うか、ASRSにも影響がないというのは不具合ばかりのASRSにしては凄いな。

 

「……む?」

 

 ふと、ゲシュペンストMk-Ⅲの様子に妙な違和感を覚えた。何だ? T-LINKシステムの効果なのか、何かを俺に教えている。教えているのだが、それが何かが分からない。

 

「取りあえず考えるよりも行動だ、ファイア・ダガーでも食らってろ」

 

 あくまでも牽制として放たれたファイア・ダガーだが、複数の小型ミサイルはゲシュペンストMk-Ⅲをかすめてあらぬ方向へと飛んでいき、爆発する。

 

「待て」

 

 何故、今の攻撃がかすめた? あのバリアを使えばかする事もなく防げたんじゃないのか?

 物は試しと言う事で再度ファイア・ダガーを発射するが、今度もバリアは展開されていない。

 バリアの展開をやめた、のか? 何故?

 疑問に思うが、そもそも相手はあのアインストなのだ。人間の俺に理解が及ばないのはある意味当然だろう。

 ゲシュペンストMk-Ⅲのバリアは強度はそれ程ではなかった。あくまでも俺の主観だが、グロウセイヴァーで発動出来る念動フィールドの方が強度的には上だったように感じる。

 そんなバリアでもあのベーオウルフが操るゲシュペンストMk-Ⅲが装備しているとなると話が違ってくる。だが、理由は不明だがそのバリアも消えた。

 

「これならなんとかなる……いや、なんとかしてみせる」

 

 深呼吸をして、意識を敵機へと集中。

 

「加速、集中、直撃、SPブースト! 行くぞぉぉぉぉっ!」

 

 自らを鼓舞する為、雄叫びを上げながらクロノスのブースターを全開にして最大スピードでベーオウルフへと向かう。

 相手も自分の距離で戦いたい為か、こちらを待ち受けていた。

 と、ゲシュペンストMk-Ⅲの両肩のカバーが展開する。

 ちぃっ、スクエア・クレイモアか!? あの攻撃をまともに受けるのは不味い。しかしあの武器の射角を考えると回避するのも間に合うかどうか微妙。ならここは肉を切らせて骨を断つ!

 

「念動フィールド、全開!」

 

 念動フィールドの出力を最大にした途端、バチバチバチッという音が途切れる事無く聞こえてくる。スクエア・クレイモアで撃ち出されたチタン合金の弾が念動フィールドを削り取っている音だろう。意識が極限まで集中された事により感じた、一瞬の永遠ともいえる時間。だがそれもすぐに終わりを告げる。数発の弾が念動フィールドを突破したものの、その数は極少数であった為にグロウセイヴァーの装甲表面を削り取る程度で済んだのだ。

 だがベーオウルフもそれを見越していたのだろう。ゲシュペンストMk-Ⅲの代名詞ともいえる、額に装備されているヒートホーンでこちらを突き刺そうとしてくる。

 ヒートホーンで串刺しになるのは御免被りたいので機体をロールさせる事で回避し、そのままブースターを微調整しつつ敵機の後ろへ。同時に後方で待機させていたファントムの半数からレーザーの一斉射撃を行い、もう半数はレーザーブレードを展開させて四方八方から突き刺すべく突撃させる。

 レーザーの射線軸上にグロウセイヴァーがいる為に本来なら自殺行為ものの行動なのだが、幸いその射線にはゲシュペンストMk-Ⅲという盾がいるので問題ない。

 

「アダマン・ハルパー、ナイン・テールモード!」

 

 9条の鞭と化したアダマン・ハルパーによる近距離からのオールレンジ攻撃。いくら機体修復が可能な化け物といえども、ファントムの射撃により体勢を崩され、レーザーブレードによる刺突攻撃により機体の十数ヶ所を刺し貫かれて動きを止められたその状態でナイン・テールモードによる9ヶ所同時攻撃を防ぐ事は不可能だった。

 SPブーストによりその性能を上げた水銀の鞭により、ゲシュペンストMk-Ⅲは四肢切断、頭部粉砕、おまけに胴体部分もコックピットの部分を狙い分割される。

 よし、このままハルバート・ランチャーで消滅さ……!?

 

 クロノスのラックから残った右腕でハルバート・ランチャーを取り出そうとしたその瞬間、背筋にゾクリとした何かを感じた。同時にT-LINKシステムが致命的に嫌な予感を教える。

 咄嗟に機体をバックステップさせるのと、ナニカが数瞬前までグロウセイヴァーのいた位置を通り過ぎたのは殆ど同時に起こった事だった。

 

「何だ?」

 

 よく見ると、ゲシュペンストMk-Ⅲの散らばった部品から蔦のようなものが伸びて近くにある部品を取り込んでいる。

 その蔦状のものはどう考えても……

 

「アインスト、か。機体の状態もあるし、ここにいるのは不味いな」

 

 モニタへと視線を向けると、幸いにもASRSは展開可能になっている。

 なら、ベーオウルフは現在行動不能なんだし今のうちに撤退するべきか。

 

「ASRS展開」

 

 蔦状のものにより、修復されているゲシュペンストMk-Ⅲを横目にASRSを展開してその場を飛び去った。

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