転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0733話

「……なるほど、お前がブレラ・スターンか」

「私に何か用事か?」

「いや、特にこれと言って用事は無いさ。ただ、今まで散々俺の邪魔をしてきた男の顔を直接拝んでみようと思っただけだ」

 

 俺のその言葉に、周辺がざわめく。

 無理も無い。ここは美星学園であり、周囲には沢山の学生がいる前での会話なのだから。

 一切の感情を宿さない眼で俺へと視線を送るブレラと、観察するような視線でブレラを見る俺。その姿は、美星学園の生徒達にしても一種異様なものに映っているのだろう。特にブレラの顔立ちは整っており、纏っている雰囲気も常人とは違う。アルトと同年代の女生徒達にしてみれば、色々な意味で注目されている筈だ。

 もっとも、そのブレラが護衛をしているというランカはと言えば……

 

「ブレラさんも、アクセル君も、ここは穏便に……ね? お願い」

 

 そんな風に言いながらオロオロしていたのだが。

 

「その件については、政府との間で政治的な決着が付いている筈だが?」

「どんな手を使ったのかは知らないが、どうやらそうらしいな。だが……いや、これ以上は止めておこう。俺が言いたいのは、ただ1つ。次に俺の前に立ち塞がるというのなら……お前の命はそこで終わる事になる。それを理解しておけ」

「……」

 

 挑発気味に放たれた台詞にピクリとも反応しないこの様子は、まさに文字通りのサイボーグと言ってもいい。

 正直、最初は美星学園に向かうかどうか迷ったのだが……直接ブレラ・スターンという人物を見れた事は収穫と言っても良かった。

 昨日のオズマの言葉を聞いてからの行動だったが、少なくても間違いじゃなかったのは事実だろう。

 

「用件がそれだけなら、そろそろいいだろうか?」

「ああ、構わない。俺もお前という人物をこの目で確認出来たしな」

 

 そう告げ、ブレラと向かい合っていた廊下を去る。

 周囲では俺とブレラのやり取りを見ていた生徒達がいたが、俺が近付くと自然と道を広げていく。

 一応、俺の外見年齢はルカと同年代なんだけどな。

 いや、だからと言って馴れ馴れしくして欲しい訳じゃ無いが。

 とにかく、やるべき事はやったんだから後はS.M.Sに戻るとするか。特に今日はこの後でバジュラを探して死体を持って帰るという仕事のローテーションが俺に回ってきているだけだしな。

 

 

 

 

 

「は? バジュラの死体じゃなくて生け捕りにしろって……本気か?」

 

 機体に乗り込み、いざ出撃……という時に、通信でバジュラの生け捕りを要求してきたキャサリンへと思わず言葉を返す。

 だが、映像モニタに映し出されているキャサリンは酷く真面目な表情で頷く。

 

『ええ、そうよ。アクセル大尉も知っての通りランカちゃんの歌にフォールド波が含まれている事は判明したわ。でも、それが実際にバジュラにどんな影響を及ぼすのかはまだ確定じゃないの。だから、それを調べる為にも機動兵隊バジュラを数匹……いえ、1匹でいいから、捕まえてきて欲しいのよ』

「無茶を言わないでくれ。そもそもバジュラに対する影響を見たいというのなら、以前に俺達が捕獲してフロンティア政府に提供した巣があるだろ? あれから生まれたバジュラじゃ駄目なのか?」

『確かにあの巣で生まれたバジュラについても研究が進んでいるわ。けど、当然ながらあの巣で生まれたバジュラはいわゆる幼生体なのよ。フロンティア船団に攻め込んでくる成体とは大きく違う。だから幼生体にランカちゃんの歌が何らかの効果があっても、成体には効果が無い可能性もあるの』

「以前のフロンティア船団襲撃時に効果があったっていうのは?」

『たった1度の効果じゃ偶然で片付けられるかもしれないでしょ。だから、きちんと効果があるかどうかを試さなきゃいけないのよ』

 

 なるほど。確かに効果があるかどうかが分からないのに実戦で試す訳にいかないのは事実だ。

 

「了解。キノコからの要請なのは気に食わないが、実際に効果があるかどうかを試す必要があるのは事実だしな。今回の出撃で生け捕りにしてくる。……ただし、その場合は恐らく1匹が限界だぞ?」

『ちょっ、アクセル大尉、言葉に気を付けなさい!』

 

 そう告げてくるキャサリンだが、キノコの発言はブリッジメンバーのツボに嵌ったのだろう。抑えきれない笑い声が映像モニタから聞こえて来る。

 

「ああ、悪いな。知っての通り、俺は口の利き方がなってないんだ。じゃ、アクセル・アルマー、VF-25S、トルネードパック……出るぞ!」

 

 その言葉と共に、カタパルトから射出される機体。

 これまでのVFとは比べものにならない程の性能を秘めているこの機体でも、バジュラを生きたまま確保するとなれば1匹が限界なのは事実だ。……これが、ニーズヘッグならまた話は別だったんだろうけどな。

 

『スカル4、そのままの進路を進んで下さい。5分程でバジュラが潜んでいると思われる岩塊がある筈です』

 

 映像モニタに映し出されたモニカの声に頷き、言葉を返す。

 

「後続に関してはどうなっている? 新統合軍から数機来ると聞いているが」

『あ、はい。VF-171が既に出撃してそっちに向かっています』

「……一石二鳥と言われてもな。俺には負担ばかりかかるんだが」

『それはしょうがないですよ。雇い主からのオーダーですし』

 

 溜息と共に吐かれた俺の言葉に、モニカも苦笑を返す。

 今回のように生け捕りというのは、普通に撃破するのとは違って難易度が高い。それも桁外れにだ。何しろ多少のダメージはともかく、殺してはいけないのだ。VFと同程度の戦闘力を有するバジュラ相手に。

 だというのに、新統合軍のパイロットに対して経験を積ませる為に援軍として協力すると言われてもな……いや、新統合軍のパイロット自体はここ数度の戦闘で急激に練度を増しているのは分かるのだ。さすがに腕利きと呼ぶ程ではないとしても、頼りのゴーストが殆ど効果無く、自分自身の命が掛かっていると違うらしい。

 もっとも、ゴーストに関してはL.A.Iが開発した新型のフォールド通信誘導システムがあるおかげである程度使えるようになったんだが、それでも1度無効化されているだけに完全には信用出来ず自分達の腕を磨くのに熱心になったらしい。

 ……それはいいけど、こういう危険度の高い任務の時にこっちに回してこないで欲しかったよな。

 いやまぁ、ここで溜息を吐いてもしょうがないか。新統合軍のパイロットの力量が上がれば、それはフロンティア船団の無事にも繋がるんだし。

 

「了解した。とにかく、連中が来たらこっちに合流するように言ってくれ」

 

 モニカに返事をし、トルネードパックのエンジンを若干上げて目標の岩塊へと向かって進んで行くと、やがてバジュラが潜んでいると思われる岩塊を発見する。

 だが、新統合軍のVF-171の姿はまだない。これは、先に始めてもいいのか?

 

「モニカ、目標を発見したが新統合軍はまだ来ない。どうする?」

『もう少しで到着予定ですので待っていて下さい』

「ああ、分かっ……いや、駄目だな」

『え?』

 

 俺の視線の先では、危険を察知したのか岩塊の割れ目から4匹の機動兵隊バジュラが出て来るのを確認する。

 せめてもの救いは重兵隊バジュラがいないことか。高い攻撃力を誇るあのバジュラを生きたまま捕獲しろと言われれば、VF-25Sではちょっと……いや、かなりキツイからな。

 

「向こうも自分に用があると理解してるんだろう。住処が壊される前に出て来たぞ」

『……そうですか、分かりました。生け捕りに関しては出来るだけ多くとの話ですが、無理なようなら最低1匹でも構わないそうです』

「最低1匹も何も、VF-25Sが1機で複数の機動兵隊バジュラを生け捕りに出来る訳も無いだろうに……なっ!」

 

 機動兵隊バジュラ4匹から放たれるビームを、ファイターのままバレルロール回転で回避しつつ距離を縮め、距離が縮まった時点でビーム砲を放つ。そのビームが擦れ違い様に頭部が消滅するのが1匹、胴体を貫かれたのが1匹となる。

 

「っと!?」

 

 そのままバジュラの横を通り抜けようとした時、無傷の残り2匹が鋭い刃を持つ尾を振るうが、高機動バーニアを使って機体の進行方向を強引に変更し、回避しながらガウォークへと変形。ISCを稼働させつつ、その場で強引に縦に1回転する。

 

「ほら、ミサイルのシャワーだ。遠慮せずに貰ってくれ!」

 

 その言葉と共に、マイクロミサイルポッドから放たれた無数のミサイルを発射。生体兵器故に抜群の機動性と運動性を持つバジュラといえども、さすがにほぼゼロ距離からのミサイルのシャワーについては回避出来なかったらしい。4匹のバジュラが次々にミサイルに命中して尾や頭部、あるいは胴体、足と言った部分が爆散していく。

 特に胴体にミサイルが命中した個体は、文字通りに爆散して宇宙空間に肉片をバラ撒く。

 ……ちっ、やり過ぎたか? 一応通常よりも攻撃力の低いマイクロミサイルポッドの方を使ったんだが。

 ともあれ、結果的には大成功と言えるだろう。全4匹の生け捕りに成功したとは言えないが、爆散したのは1匹のみで残り3匹はそれぞれが多かれ少なかれダメージを受けつつもまだ生きている。

 とは言っても、その3匹の中でも主な攻撃手段である頭部と尾を失ったのは1匹のみであり、残り2匹はビームやミサイルが内蔵されている頭部先端は消滅しているものの、まだ近接攻撃が可能な刃の付いている尾は残っているのだが。

 頭部と尾を失って殆ど瀕死なのか、動きを見せない1匹を捕らえながら呟く。

 

「ま、後はその尾を切断すればいいだけだから、それ程の手間はいらないんだけどな」

『そうか、ならその手間は俺達に任せて貰っても構わないか?』

 

 呟いた俺の言葉に来た返事。映像モニタに映し出されているのは、新統合軍のパイロットスーツの男。年齢としては今の俺よりも10歳程年上の20代半ば、オズマと同年代といったところか。

 レーダーを見る限りでは、VF-171が4機。それぞれがバトロイドになって、ガンポッドでバジュラが逃げ出したりしないように牽制している。

 なるほど、モニカが言ってた奴か。……まぁ、戦闘に関しては殆ど終了してるんだ。残り2匹の尾を切断するのくらいは任せてもいいだろう。幸いビームやミサイルが内蔵されている頭部はこっちで処理したんだし。

 

「了解した、なら俺はあの瀕死のバジュラを確保するから、残りはそっちに任せても構わないか?」

『ああ、問題無い。ただ、一応念の為にお前さんはそこでいつでも俺達のフォローを出来るようにしていて貰えるか?』

 

 ……へぇ。年下に見える俺に対しても素直に頼ってくるとはな。謙虚というか、自分の力量をきちんと弁えているというか。とにかく、以前模擬戦をやった相手と違うのは好印象だな。

 

「了解した。何かあったらすぐにフォロー出来るように準備はしておくから、安心してくれ。一応1匹ずつで頼む」

『分かった。おいお前等。今の話を聞いてたな。まず俺とブルー2で右のバジュラを捕獲する。ブルー3とブルー4はそれが終わってからだ。雑魚バジュラの機動兵隊バジュラだとは言っても、あの尾はVFの装甲をあっさりと貫くからな。くれぐれも注意しろよ』

 

 その言葉に短く返事をし、早速とばかりに2機がガンポッドでの牽制を続けたまま1匹のバジュラへと向かって行く。

 にしても、どうやってあの尾を切断するつもりだ? VF-25のようにアサルトナイフを持っているならともかく、VF-171に近接戦闘用の武器は無かった筈だ。

 そう思っていた俺の考えは、ある意味で正しかった。2機のVF-171は1機がバジュラの牽制を行い、もう1機がガンポッドで尾を狙い始める。

 いやまぁ。確かにVF-171だとその方法しかないとは思うが……何と言うか、思い切り力業だよな。

 バジュラにしても、尾を切断されるのはごめんなのか何とか回避しようとして、あるいはVF-171へと向かって突っ込んで行き、尾の刃で攻撃しようとするも……

 

「さすがに慣れてきたんだろうな」

 

 頭部が無い為、ビームやミサイルで攻撃されないと理解して安全性が確保されているというのもあるのだろうが、VF-171は常に一定の距離を取りながら尾を狙って射撃していく。

 だがそれでも尾は細く、命中弾は出ずに数分が経過し、ようやくガンポッドから放たれた弾丸がバジュラの尾を切断することに成功する。

 

『よし、次はブルー3、ブルー4だ』

『了解』

 

 短く返事をし、これまで逃がさないように牽制を続けていたバジュラへとVF-171がガンポッドを撃ったその瞬間。

 

「……あ」

 

 その結果に思わず呟く。

 何しろ、隊長機と思われるパイロットですら数分掛かったというのに、1撃で尾にガンポッドの弾丸が命中したのだから。

 

『……』

 

 戦場の中を微妙な空気が包み込む中……取りあえず俺達は気を取り直して、生け捕りにしたバジュラをマクロス船団まで運んでいくのだった。 




アクセル・アルマー
LV:41
PP:910
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:691

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