転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0756話

「すいません、隊長。ランカを……守れませんでした。俺が近くにいたのにっ!」

 

 S.M.Sの中にある医務室のベッドの上でアルトが拳を握りしめながら呟く。額には念の為と包帯を巻いているが、軽い切り傷程度らしい。身体にも数ヶ所の打撲の痕があるが、骨折の類は殆ど無い。

 ……だが、逆にそのアルトの様子が俺に疑問を抱かせる。既にグレイスはキノコと手を組んで完全にフロンティア船団から追われる身となっている。そうである以上、近い内に……それこそ、早ければ今すぐにでもフロンティア船団から逃げ出すだろう。そして恐らく向かう先は、完全に俺の推測ではあるがどこかに隠れ潜んでいるだろうギャラクシー船団。

 VF-27という戦力を有している以上、フロンティア船団から脱出する時の追撃に出されるのはほぼ間違い無く俺達だ。……そう、アルトが所属している俺達スカル小隊をメインにした、だ。

 だと言うのに、何故こちらの戦力の1人のアルトを打撲程度の怪我で済ませた? ここで一思いに殺しておいた方が後々面倒が無かった筈だろうに。サイボーグであるブレラに良心の呵責や人を殺す忌避感の類があるとは思えないし。

 あるいは何らかの理由があって殺さないにしても、腕や足を折っておけば脱出する時にこっちの戦力にはならないだろう。なのに、敢えてアルトを軽い打撲傷程度で……それこそ、動くだけなら今すぐにでも問題無い程度の怪我で済ませたんだ?

 

「……ランカは怪我していたか?」

 

 こちらもアルトに負けず劣らず怒り狂っているのだろう。押し殺したような声で尋ねるオズマ。そんなオズマを、キャサリンが心配そうに見つめている。

 

「いえ、その……首を手刀で打たれて一瞬で気絶していたから、怪我らしい怪我は無いと思います。俺が……俺がもう少ししっかりしていれば」

「アルト先輩」

 

 ルカが気遣わしげにそう口にするが、アルト本人はまるで聞こえていないように拳を握りしめている。オズマも同様に、今すぐにでも飛び出したいという感情を無理矢理に抑えている様子が見て取れた。

 

「オズマ、事はお前の妹云々というだけの問題じゃない。今のこの状況でランカがいなくなったというのは、フロンティア船団にとってもある意味で致命的だ」

 

 何しろランカの歌無しでバジュラとやり合わなければいけないのだから、こちらの被害は新統合軍を始めとして加速度的に上がって行くだろう。

 

「アクセルならランカちゃんを助けられないの?」

 

 アルトの隣のベッドで寝ていたシェリルが、俺を見ながらそう尋ねてくる。

 上半身を起こしながら、それでもどこか不安そうに俺へと視線を向けている。ランカに対しては友人であり、ライバルであり、妹分的な扱いであり……色々と思うところがあるのだろう。

 

「……どうだろうな、ちょっと難しいと思う。逃げ出すという事は、最低限逃げ出す準備を整えてから行動を起こす筈だ。となると、その準備……まぁ、フォールドを阻止出来るかどうかに掛かっている。純粋にこちらを撃破してから逃げ出すなんて真似を考えていれば、こっちとしても楽なんだけどな」

 

 YF-29を得た以上、機体性能差に関しても既に逆転している。操縦技術に関しては言うに及ばずだ。正面から戦えば、俺が負けるという心配は一切無い。……問題は、シェリルに言ったように正面から戦うのを向こうがまず避けるだろうって事なんだよな。特にグラス大統領を暗殺しようとして正面から俺に叩き潰されたキノコとその部下達もグレイスと合流した以上、その辺の計算はよりシビアにやっているだろう。

 グレイスにしても、キノコからの情報だけではなくバジュラが溢れてきた時に俺の混沌精霊としての姿を何らかの形で確認しているのは間違い無い。である以上、正体不明の俺達と正面からやり合うとは思えない……そう思っていたのだ。その時は。

 部屋の中が嫌な沈黙に包まれ、だが唐突にその沈黙が破られる。

 医務室の通信機が起動し、そこにブリッジクルーであるラムの姿が映し出された。

 

『皆さん、そこにいましたか。大統領からの緊急のオーダーです。現在、無断でフロンティア船団から出て行こうとしている集団がいて、新統合軍と戦闘になっています。その中には赤紫色のVF-27の姿もあり……』

 

 その言葉を最後まで聞かずにオズマは医務室を飛び出していく。アルトもまたベッドを飛び下りてその後に続く。

 そして俺達もまたその後を追う。

 

「全く、少しは休ませて欲しいものだな。向こうさんも今日アルカトラズから出たばかりなんだから、色々と疲れているのは間違い無いだろうに!」

 

 走りながら軽い口調でそう口にするミハエルだが、その表情は言葉程に楽観的なものではない。厳しく引き締められており、目は鋭く前を見据えている。

 

「恐らく今だからこそ、だろうな。今なら俺達は戦闘を終了して戻って来たばかりである程度の疲れもあるし、機体だって補給はともかく何らかの異常……とまではいかなくても、多少の不具合が出ているものもあるかもしれないしな」

「なるほど、向こうとしても勝算が無い訳では無いのだな」

 

 クランが走りながら俺の言葉に同意する。……が、その小さい身体でよく付いて来られるな。いや、その辺はルカもそう変わらないが。

 いや、俺も15歳の外見だからクランはともかく、ルカとそう大差がある訳じゃないんだけど。

 そんな風に考えている間も走り続け、やがて格納庫へと到着する。それぞれが素早くEX-ギアを身につけ、あるいはゼントラーディの装置で大きくなり出撃準備を整える。

 

「アクセル君、YF-29は色々と貴重な機体だから、くれぐれも壊さないようにお願いします! 後、ついでにデータ取りに関しても!」

 

 ルカが大声でそう告げ、自分の機体でもあるRVF-25へと乗っていくが……色々と無茶を言うな。機体を壊さないってのは分かるが、データ取りは……いやまぁ、結局それが最終的にはこの機体の強化に繋がるんだから文句は無いけど。

 機体を起動させ、コンディションをチェックしていく。幸いアルカトラズでは暴風の影響もあってミサイルの類は殆ど使わなかったから補給の必要は無いし、他の武器はアサルトナイフ以外は全て非実弾兵器だ。フォールド・ウェーブシステムがあるYF-29としては武器に関しては問題無い。機体の状態に関しても、戻って来てから大まかにしかチェックされていないが表示されているコンディションは全く問題が無いらしい。

 

『スカル小隊、ピクシー小隊、出撃をお願いします。フロンティア船団を脱出したグレイス・オコナーとレオン・三島を始めとする一行は、中規模のシャトルとVF-27が1機、それとVF-171が10機に、デストロイドが30機程の戦力を有している模様です』

 

 キャサリンからの通信が聞こえて来るが……何だ、その数は。キノコの部下か? いや。勿論それもあるだろうが……

 

「囚人か」

『だろうな。やはり戦力目的としてアルカトラズの囚人を連れて行ったんだろう。あの男も形振り構っていられないといったところか』

 

 俺の言葉に同意するようにしてオズマが頷く。

 

『それで、ランカは!?』

 

 慌てたようにそう告げてくるアルト。この辺がランカを心配している2人でも違うところだ。まだまだ青い。いやまぁ、高校生ならしょうがないか。

 

『落ち着けっ! ランカは奴等の命綱でもある以上、確実にあのシャトルの中にいると思ってもいい。それでキャシー、現在の戦況は?』

『新統合軍が戦いを繰り広げているわ。VF-27による被害が大きいけど、不思議な事に撃墜されて死んだパイロットはそれ程多くないの。……これ、どう思う?』

『……何? 確かにそれは妙だな』

「妙だと言えば、アルトに対して致命的な怪我を負わせなかったっていうのもあるけどな」

 

 オズマとキャサリンの会話に割り込んでそう告げる。

 

『アクセル、俺は別に……』

「残念だが、VFの操縦技術ならともかく生身のお前がブレラに勝つのは難しいというのは分かるだろ? なのに、怪我らしい怪我と言えば打撲と軽い切り傷くらい。どう考えても向こうが手加減をしたのは間違い無い」

『それは……けど……』

『落ち着け、スカル5。実際に起こった現実を受け入れろ』

『……了解』

 

 オズマの言葉に不承不承頷くアルト。

 まぁ、こっちはこれでいいとして……

 

「で、最優先目標だが、ランカが乗っていると思われるシャトルをこっちで確保するって事でいいんだな? 恐らくシャトルの中にはグレイスやキノコもいると思うが」

『ええ、それでお願い。ただ、くれぐれもシャトルを傷つけないように注意してちょうだい。ランカちゃんの件もだけど、今回のテロ活動やアルカトラズ襲撃、その際に起きた殺人といった件でもレオンには話を聞きたいから』

 

 既にキノコと言っても言い返さなくなったのは、やはり婚約を解消したからだろうか?

 そんな風に思いつつ、小さく頷き……

 

『敵機発見しました! 新統合軍の機体は20機程、敵機は……20機程まで減っています!』

「へぇ」

 

 ルカからの報告に思わず感心の声を上げる。当初は40機程の戦力が向こうにあると言っていたのだから、新統合軍だけで半数を撃破した計算になる。……その分、新統合軍の方でも相応の被害が出ているのだろうが。

 特にデストロイドは機動力に関して言えばVFに圧倒的に劣るが、その分火力はでかい。単純に固定砲座として使うと考えればそれなりに厄介ではある。

 

「ルカ、VF-171の方は何機残っている?」

『えっと……5機ですね。新統合軍の方で半数は片付けてくれたようです』

 

 となると、残っている敵機はVF-27が1機、VF-171が5機、デストロイドが14機といったところか。

 

『デストロイドが減ったのは嬉しいな。……スカル4、お前はアルカトラズの時に言ったようにVF-27を頼む』

「了解した。何を企んでいるのかは分からないが、ここで仕留めてしまえば後顧の憂いを絶つ事は出来るだろう」

『よし。……全機、攻撃開始!』

 

 その言葉と共に、スカル小隊、ピクシー小隊が攻撃を開始する。尚、カナリアのVBはどこかに着地しないと攻撃が出来無いという事もあって、宇宙での戦いだというのに結局はマクロス・クォーターの護衛としてここには存在していない。

 とにかくVF-171と戦っている敵へと向けて一斉に射撃を開始する俺達。そんな中を、俺の操るYF-29は真っ直ぐにシャトルの近くで護衛しているVF-27へと向かって突っ込んでいく。

 そのまま放たれる重量子ビームガンポッドの射撃を右に左にとファイターのままスラスターを使いつつ接近していく。そして当然こちらも回避してばかりではない。仕返しとばかりにこちらもまたファイターの機体底面に懸架されているビームガンポッドから重量子ビームを連続して放つ。

 こちらは回避し、向こうは回避……仕切れずに、数発の被弾。

 とは言っても連射性を最優先にしたビームであり、更には向こうもエネルギー転換装甲がある。

 回避仕切れないというのも純粋に俺の腕が勝っているという訳では無く、純粋に向こうがシャトルの護衛を最優先しているからだろう。

 ランカを確保しなければいけない以上、こちらもそれを考えて射撃してはいるのだが、向こうがそれを知る筈も無いしな。

 多少でも先制出来たのは大きい。そのままついでとばかりにMDEビーム砲を放ちつつ距離を縮め……何!?

 この状況で何をするのかと思えば、まさかのフォールド。シャトルとVF-27がフォールド空間へと突入しようとしているが……

 

「させると思っているのか!」

 

 俺の目の前でフォールドだと? 舐めるにも程がある。ガンポッドから重粒子ビームを、機体後部からMDEビーム砲を連射しながら距離を縮め……次の瞬間、俺の前にVF-171が1機、立ち塞がる。

 ちっ、新統合軍にオズマ達は何をしている? 一瞬そうも思ったが、チラリと確認してみると機体の各所から煙が上がっており、正直もう戦闘続行が不可能な状態になっている。それ故にオズマ達も、あるいは新統合軍の連中も見過ごしたのだろうが……それでも尚、俺の前に立ち塞がるとはな。俺には分からないが、あのキノコにそこまで心酔させるものがあるのか?

 ともあれ、今はこいつに構っていられるような状況では無い。幸い、VF-171はボロボロで碌に戦闘行動も出来ない状態だ。攻撃をする時間も勿体ないので、YF-29のスラスターを全開にして機体の横を通り過ぎ……その瞬間、ゾクリとしたもの感じた俺は、咄嗟に機体の右側のスラスターだけを全開にし、半ば強引に機体の機首をずらして距離を取る。

 無茶なGにISCが働き慣性を貯め込んでいくが、そんなのは関係無いとばかりに無理矢理距離を取り……そして、次の瞬間にVF-171は巨大な爆発光と共にこの宇宙から消滅する。

 同時に、その隙を逃すこと無くシャトルとVF-27はフォールド空間へと突入してこの宙域から姿を消す。

 残ったのは囮として使い捨てにされた者達と、俺達追撃部隊のみだった。

 ……まさか、外部から強制的にコントロールして自爆させた、のか?

 有り得ないとも思ったが、グレイスならやるかもしれない。そんな風に考えつつ、取りあえず敵の残党の始末を付けるべく機首を返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:685
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:976

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