転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0768話

 ゲートの画面に映し出された、見覚えのある顔。俺がこのマクロス世界に転移してから半年程経つが、それでもシャドウミラーが出来てからこれまで共に過ごして来た日々を思えば、たった半年程度で技術班に所属しているその顔を忘れるような事は無かった。

 

「久しぶりだな、元気にしていたか?」

『た、た、た……隊長!?』

 

 声を掛けられ、俺の顔を数秒程じっと見てから思わず叫ぶ。

 途端に向こうの通信画面から聞こえて来るざわめきの声。

 

『レモン様に至急知らせろ! アクセル隊長からの連絡が入った!』

『他の3人にも大至急だ! こんな一大事に自分だけが連絡を貰えなかったとなると、間違い無く魔法の的にされるぞ!』

『ギアス世界、SEED世界、ネギま世界にも連絡を忘れるな! いや、幹部達全員だ!』

 

 主に聞こえて来るだけでそんな声だ。俺としては全員の意見を聞いてやりたいのだが、残念ながら今は悠長にしている時間が無い。多少悪いと思いつつも、まずこちらの用件を済ませる事にする。

 

「喜んでいるところを悪いが、至急戦力を整えてくれ。現在俺は敵の本拠地の真っ直中でゲートを設置して通信しているんでな」

『はぁっ!? な、なんでそんな事に!? 分かりました。至急隊長の命令を各自に伝えます!』

 

 いや、隊長と呼ぶのは止めろと何度も言ってるんだが。

 とにかく、俺と通信をしていた技術班のメンバーが画面から消えたのを見ながら、ゲートの転移装置を起動させる。その瞬間、俺の身体が光の繭のような転移フィールドへと包まれ……次の瞬間には、約半年ぶりとなるホワイトスターへと戻って来ていたのだった。

 時間が無いと分かっているにも関わらず、それでも深呼吸をする。このホワイトスターが存在しているのは次元の狭間であり、俺の生まれ故郷でも何でも無いというのは分かっているのだが、それでもこうしていると郷愁が胸にこみ上げてくる。

 

『アクセル隊長!』

 

 その声に振り向くと、そこには数人の人影。技術班の面々だ。

 

「心配を掛けたな。だが、今はそれどころじゃない。それよりも通信で話は聞いていたな?」

「はい! すぐに戦力を整えます! 取りあえず今すぐに動かせるとなると、メギロートが2万機程と、量産型Wのシャドウが500機程ですが、それで間に合いますか?」

 

 2万機って……また、随分とメギロートの数が増えているな。今すぐに動かせるという数だけでそれなら、少し時間を掛ければどれ程の数になる事やら。

 それに主戦力でもあるシャドウの機数も多い。これは……

 

「俺がいなくなってからどのくらい経っている? 俺の主観時間だと半年強なんだが」

「半年、ですか。……今回は随分と時差が出たようですね。こちらではアクセル隊長が行方不明になってから、既に1年半が経っています」

「……そうか」

 

 予想はしていた。俺が他の世界に行って時差があるというのは分かっていたし、その時差がこれまでは極少ない期間でしか無かったのは単純に俺の運が良かったからだと。

 にしても、俺が向こうで半年強を過ごしている間に1年半。約3倍、か。

 いや、今は考えるな。今必要なのはバジュラ本星にいるバジュラを倒す事であって、どうしようもないものを後悔する事では無いのだから。

 小さく頭を振って気を取り直すと、急いで指示を出す。

 

「まず最優先事項として向こうの世界のゲートを守らないといけない。即応できる部隊を出して転移。ゲートを守り抜け」

「はい、すぐに」

「それと、レモン達は?」

「連絡はしましたので……あぁ、来ました。幸い魔法球には入っていなかったようですね」

 

 転移区画に繋がる通路へと視線を向ける男。そちらの方へと視線を向けると、エアカーに乗ってこちらへと向かって突っ込んでくるレモンの姿が。その後ろにはマリューの姿もある。コーネリアとスレイがいないのは、恐らく実働班であるが故にあの2人とは別の場所にいたのだろう。

 そんな風に思っていると、ドリフトをするかのようにエアカーが止まり――空中に浮かんでいるエアカーでどうやってそんな真似をしたのかは分からないが――レモンとマリューがドアを開ける時間も勿体ないとばかりにドアを飛び越えてこちらへと向かってくる。

 

『アクセル!』

 

 その声。約半年ぶりに聞くその声に、思わず安堵の息を漏らす。

 こうしている今も、準備の出来ている量産型Wが武器を持ってバジュラ本星へと転移して行っている。それを横目に見ながら、そんな事をしている場合では無いというのに、どうしようもない程に安堵を感じていた。

 勿論マクロス世界でのシェリルとの暮らしが嫌だった訳では無い。寧ろ、幸せだったと言ってもいい。だが、それでも……レモンという存在は、やはり俺の中でそれだけ大きいのだろう。

 抱きついてきたレモンが強引に俺の頬を掴み、唇を重ねる。かと思えば、10秒程で今度はマリューに引き寄せられて唇を重ねる。

 そんな事をどれだけ繰り返していただろう。気が付けばコーネリアやスレイとも唇を重ねていた。

 キスをしていたのは恐らく5分程か。その間にもメギロートがリュケイオスでバジュラ本星へと転移し続けている。

 

「……多少名残惜しいが、今はとにかく時間が無い。俺の機体はどうなっている?」

「ニーズヘッグなら、勿論格納庫に置かれているわ。機体の最終調整もきちんと行われているし、いつでも出撃出来るわ」

 

 俺の言葉にレモンが当然とばかりに告げ、その横ではマリューもまた同様に頷く。

 まぁ、技術班を率いているこの2人だ。その辺の抜かりは無いか。

 にしても、技術班か。現実世界で1年半。……どんな事になってるのやら。

 エアカーに乗り、少し窮屈だがレモン達4人にも同乗してもらう。

 影のゲートで移動すれば一瞬だが、それだと事情説明が出来ないからしょうがない。

 

「俺が転移した世界は取りあえずマクロス世界と呼んでいる。まぁ、大まかに言えば地球から旅立った移民船団の中に転移した訳だ。その船団の名前がフロンティア船団。そのフロンティア船団に、バジュラという虫みたいな宇宙生物が攻撃を仕掛けて来ていてな。で、そのバジュラの本拠地と思しき惑星を見つける事が出来た訳だ」

「……虫、ねぇ」

 

 レモンのその言葉に、スレイが微かに眉を顰める。

 

「あまり虫とかは好きではないのだが」

「それは他の者とて同じだろう。それでアクセル。具体的にどんな虫なのだ?」

 

 スレイを窘めるようにして尋ねてきたコーネリア。この辺はさすが実働班を率いている身といったところか。

 

「基本的に前線に出て来るのは、30m近い大きさの重兵隊バジュラ。これは背中から角が生えていて、そこから放たれるビームは向こうの世界の宇宙艦を1撃で撃破出来る威力を持っている。他にもミサイルや弾丸を体内で生成して撃つ事が出来るな。基本的に赤い体色をしているから、分かりやすいはずだ」

「……ビーム? 虫なんでしょ?」

 

 思わず言葉を挟んだのはマリュー。だが、そんなマリューにレモンは小さく肩を竦める。

 

「OGs世界でマリューも色々な敵を見て来たでしょ? あれを知ってれば、虫がビームを放つくらいで驚く必要も無いと思うけど」

「……そう言えばそうね。話を遮ってご免なさい。続けて頂戴」

「次は機動兵隊バジュラ。大きさは15mから20m程度と、大体PTやAMと同じくらいの大きさだと思ってくれればいい。こっちも重兵隊バジュラ程に強力ではないがビームとミサイルを撃ってくる。それと、尻尾の刃を使った近接攻撃だな」

「PTやAMと同じくらいとなると、メギロートと区別が難しいか?」

「コーネリアの言いたい事も分かるが、向こうは完全に生物だからな。メギロートという存在を知っている俺達なら、間違う事は無いと思う」

「俺達? その言い方だと……」

 

 俺の言葉尻を捉えたレモンに頷きを返す。

 

「ああ、今回の作戦に関して出るのは俺達だけじゃない。フロンティア船団の戦力もこちらに歩調を合わせるようにして動く」

「……私達の戦力だけじゃ手に余ると?」

「いや、確実にシャドウミラーの戦力だけでどうにでもなる程度の相手だ。だが、幾ら何でも俺達だけでバジュラを倒して、その漁夫の利を得て移住……何て真似は色々と外聞が悪いだろ? だからこそだ」

「なるほど、つまりこちらが配慮してもいい相手という訳ね?」

「そうなるな。能力的には若干物足りないところもあるが、人柄という意味では信頼に値する。その辺の事に関しては、今回の件が終わった後でエザリアと一緒に相談する事になると思う」

 

 俺の言葉に、レモン達4人がどこかジトリとした視線を向けてくる。

 

「どうした?」

「アクセル、貴男が消えてからエザリアがどれだけ苦労したと思ってるのよ。ギアス世界、SEED世界、ネギま世界を相手にしての交渉でかなり消耗していたのよ。正直な話、魔法球が無ければどうなっていた事か……」

 

 ため息を吐きながら呟くレモン。

 あー、これは本当に色々な意味で迷惑を掛けたっぽいな。後できちんと礼を言っておいた方がいいだろう。

 

「正直、こっちでもこの1年半で色々とあったのよ。もっとも、それを話すにはちょっと時間が足りないけど……でも、惑星規模の戦い、か。惜しかったわね」

 

 マリューが小さく肩を竦めてレモンへと視線を向ける。

 その意味ありげな視線が気になり、エアカーを運転しながらレモンへと視線を向けるが……

 

「ま、そうね。もう3ヶ月程度の時間があれば完成したんだけど……さすがに無理は言えないわ。それに、アクセルがいないというのもあって魔法球を極力使わないようにしてたんだから」

 

 そちらもまた気になる。……が、それを尋ねようとした丁度その時、エアカーは格納庫へと到着する。

 ま、詳しい話はこの戦いが終わってからだな。恐らくは既にゲートの付近では量産型Wやメギロートがバジュラとの戦いに行っているだろう。こっちが押されるような事は無いと思うが、それでも少しでも早く援軍に行くに越したことは無い。

 格納庫の中で俺を見て驚きの声を上げている技術班を尻目に、レモンの指示に従って奥の方へと向かって行く。

 やがて格納庫の最奥。そこに存在していたのは、俺のもう1つの身体とも言える黒と赤の機体。6枚のバインダーと、その背にはエナジーウィングの発生装置。正直、どこからどう見ても正義の機体には見えず、悪の側の機体にしか見えない。 

 いや、俺が大魔王とか呼ばれているのだと考えれば、相応しい機体と言えるだろうな。

 PS装甲未展開の今の状態ではその機体色は薄い赤だが、1度起動すれば、その戦力はそれこそバジュラ本星にいる全てのバジュラを相手にしてもやり合えるだろう戦力を持つ、技術班が持つ技術の全てを結集して作り出されたシャドウミラーの象徴、フラッグシップ機。嘲笑する虐殺者の異名を持つ機体、ニーズヘッグ。

 

「……待たせたな」

 

 俺にしては半年ぶりになるが、向こうにすれば1年半ぶり。そんな風に思いながらその装甲へと触れると、気のせいかもしれないがどこか不機嫌な様子を感じた。

 

「アクセル!」

 

 そんな声が響き、我に返る。

 声のした方へと視線を向けると、そこにはレモン達4人以外にもムウ、イザーク、ムラタ、ギルフォード、エキドナといった馴染みのメンバーや、薄らと瞳に涙を浮かべたオウカの姿もある。

 

「……待たせたな」

 

 ニーズヘッグへと向けたのと同じ言葉を口にし、軽く手を上げる。

 その瞬間、まず最初に飛んできたのはムウの拳だった。決して本気では無いが、かと言って遊びでも無い、そんな拳。

 

「躱すなよ! ったく、散々こっちに心配掛けやがって!」

「俺も俺で色々とあったんだよ」

「何が色々あっただ! お前が転移した時の映像はしっかり残ってるんだぞ!」

「……マジか?」

「マジもマジ、大マジだ!」

 

 うわぁ……俺の記憶が確かなら、マクロス・クォーターに転移してきた時の俺は全裸であり、更には色々と不味い状態だった筈だ。それを思うと、あんな状態を見られたのはさすがにちょっと……いやまぁ、酔っ払って醜態を晒した俺が言えた義理じゃないのは分かってるんだけどな。

 

「アクセルさん……心配しましたけど、無事で良かった」

 

 次にそう声を掛けてきたのはオウカ。妹分にこんなに心配を掛けるというのは俺としても心苦しい。

 

「貴様ぁっ! 気が抜けているからあんな風になるんだ!」

「アクセル、後で俺の修行の成果……是非試してくれ」

「アクセル隊長、ご無事で何よりです」

「アクセル、あまり姫様に心配を掛けないでくれ。……だが、無事で良かった」

 

 イザーク、ムラタ、エキドナ、ギルフォードの順番に声を掛けてきて、それぞれに小さく頷いてから口を開く。

 

「とにかく、それぞれに連絡が行っているとは思うが今は色々と時間が無い。この件については、向こうの世界の戦いが終わったらゆっくりと話をしよう。今はとにかく、向こうに行くぞ」

 

 その言葉に全員が不承不承頷き、俺が空間倉庫にそれぞれの機体を急いで収納していく。

 

「アクセル。向こうの世界の戦闘が終わったら、きちんと話をしましょうね。あっちの世界で新しく出来たであろう恋人の件もあるでしょうし」

 

 付き合いが長いだけに、俺の事を殆ど見透かしているレモンだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:800
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:999

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