転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0773話

 巨大なランカの立体映像へと向かって突き進む。当然そうはさせじとバジュラが立ち塞がってはこちらを攻撃しようとしてくるが、その全てを俺とオズマの機体が撃破していく。ニーズヘッグから放たれる幾多ものビームと、オズマのアーマードパックを装備したVF-25Sから放たれる攻撃が撃破していく。

 

『ランカ、聞こえているか、ランカ! お前はグレイスなんかに洗脳されるような奴じゃないだろ、俺の声を聞け、ランカァッ!』

 

 そんな風にアルトが呼びかけているが、それでもランカが元に戻った様子は無い。いや、俺達から見えるのは相変わらずランカの立体映像だが、バジュラの動きに何の変化も無いところを見れば、まだアルトの説得は効果を上げていないのだろう。

 シェリルの歌をフォールドクォーツを利用して増幅、その増幅したフォールド波でアルトの言葉をランカに届ける……という方法だったが……駄目か? いや、この程度で諦めるようなら最初からこんな手段はとらなかった。今はとにかくランカを助け出す事だけを考えるべきだ。

 

『アルト、もっと魂を込めてランカに呼びかけろ! 俺を差し置いてランカに呼びかけてるんだ。これで結果を出せなかったら、絶対に許さんぞ!』

 

 オズマの叫ぶ声も聞こえてくるが、T-LINKシステムで操縦しているニーズヘッグはともかく、VF-25を操縦していてこの状況でよくそんな余裕があるな。シスコン恐るべしといったところか。

 そんな風に考えつつ、俺もまたヒュドラに内蔵されている18門のビーム砲を連射しつつ、同時にエナジーウィングのエネルギーを刃状にして放ちながらバジュラが現れる端からダメージを与え、あるいは撃破していく。

 にしても、くそっ。バジュラ共の勢いが一向に衰える様子が無い。

 

「いい加減に力の差を理解しろ、この虫共が!」

 

 その言葉と共にアダマンハルパーを振るい、大鎌の刃は機動兵隊バジュラ3匹を纏めて胴体から切断。同時にその傷口に腹部拡散ビーム砲を近距離から放って消滅させる。

 続いてヒュドラからファントムを全機発射。新統合軍のVF-171EXへ重粒子ビームを放とうとしていた重兵隊バジュラに対して四方八方からビームソードを展開したまま突っ込み、貫通していく。

 身体中を貫通された重兵隊バジュラは、そのまま宇宙空間に漂い……それでも生きているのが凄いが、それを好機と見た新統合軍のVF-171EXのMDE弾頭によって文字通りにこの宇宙から消滅する。

 そんな状況でとにかくランカの立体映像へと突き進み……

 

『ランカ、頼む。俺の話を聞いてくれ。……一緒にグリフィスパークの丘でピクニックをするって約束しただろ? だから……だから、俺の下に帰ってこい! ランカァッ!』

 

 無数とも言えるバジュラの群れを掻き分け、想いの全てを込めて叫ぶアルト。

 その声と共にランカの立体映像の中に俺達3機は突入し……

 

『何だとっ!?』

『馬鹿な、これは……』

 

 その瞬間に見えてきたのは人型の何か。……いや、これが何かというのは考えるまでも無い。グレイス達に連れ去られたランカがこうして洗脳状態になっているのを見れば明らかだろう。俺の予想していた内容が当たったのだ。即ち……

 

「バトル・ギャラクシー」

『馬鹿なっ! じゃあ、フロンティア船団に向かって逃げてきたカイトスやダルフィムは何なんだよ!?』

 

 激高して叫ぶアルトだが、それについても大まかな予想はつく。1つ目はギャラクシー船団側の工作員だった場合だが、これは無いと思ってもいいだろう。恐らく正解は、全く事情を知らされずにカイトスとダルフィムの乗員の殆どが本気でギャラクシー船団が壊滅したと思い込んでいたというものだ。ただし、全員が全員白ではなく、ある程度の関係者が入り込んでいたのは間違いないだろうが。

 そんな風に思っていると、俺達3機がバトル・ギャラクシーの装甲に沿って移動しているのを向こうも察知したのだろう。進行方向上に対空迎撃砲が出てきてこちらへと狙いを定める。

 ちっ、ニーズヘッグならまだしもVF-25だと敵の攻撃を抑えきれるかどうかは分からない。それがトルネードパックを装備しているアルト機とアーマードパックを装備しているオズマ機でも、だ。

 一旦ここを離れる。そう言おうとした、その時。

 

『ランカ! ランカか!?』

 

 唐突にアルトの口からそんな声が漏れる。これは……洗脳が解けたのか!?

 

「アルト!?」

『ああ、ランカの声だ。ランカの声が聞こえる!』

 

 その声と同時に、新統合軍に攻撃をしようとしていたバジュラの動きが収まり、どこか混乱したように周囲を見渡していた。

 

「よし、今のうちにバジュラ共を纏めて……」

『違う!』

 

 倒せ。そう俺が口にする直前に、アルトの制止する声が通信で響く。

 

『バジュラは、バジュラはこっちに攻撃する意思を持っていない!』

「……何? だが、今までは……」

『今は時間が無いから詳しい話は出来ないけど、バジュラは敵じゃない! 信じてくれ! 実際、今もバジュラは俺達に攻撃をしていないだろ!』

 

 ……少し前までと言っている事が思い切り違っている。ランカのフォールド波を通して逆に洗脳でもされたのか? 一瞬そうも思ったのだが、こうして映像モニタで見る限りではいつものアルトと変わった様子は無い。となると、普通の状態って事か?

 あるいは、フォールド波を使っての会話、あるいは通信で何か新しい情報でも入ったのか。とにかく……

 

「今のバジュラは敵じゃ無いって判断でいいのか?」

『そうだ! バジュラに戦闘の意思は無い! アクセルも地上で戦闘している仲間に連絡を取ってくれ』

「……了解」

 

 色々と怪しい要素はあるが、かと言ってもし本当にバジュラがこちらに攻撃を仕掛けてこないというのなら、それは無駄な戦闘をする必要が無いという意味でこっちとしても願ったり叶ったりだ。

 

「マリュー、こちらアクセルだ。聞こえているな?」

『ええ、どうしたの? ……って聞く前に通信を送ってきた理由は大体分かるけど。こちらの周辺ではバジュラが戦闘行為を停止して宇宙に向かって飛んでいったわ。そっちで何かあったの?』

「待て。戦闘行為の停止というのは、バジュラ本星で行われている戦闘全てか?」

『ええ、戦闘地域の全てで完璧に。もう惑星上にバジュラの姿は残っていないわ。シャドウミラーとしてどうするの?』

 

 さて、どうしたものか。取りあえずアルトが言っていたバジュラが敵じゃ無いというのは証明された。正直な話、シャドウミラーとしてはそれ程大きな被害が出ていない以上は問題無い。受けた被害にしても……

 

「こっちの被害は? 幹部で誰か被害を受けたのはいるか?」

『問題ないわ。小破にまで至っていないかすり傷程度ね。メギロートはそれなりに被害を受けてるけど、シャドウの方は小破が数機ってところよ』

 

 マリューの言葉に安堵の息を吐く。

 となると、シャドウミラーとしてはバジュラに対する恨みの類は無い。……もっとも、俺個人としてはギリアムの件があるから釈然とはしないが、それに関して物が言えるのは、俺じゃなくて歴としたS.M.Sやフロンティア船団の者達だけだろう。俺はあくまでも仮初めの客でしかないのだから。

 

「ならそうだな。ゲートの守りをシャドウとメギロートで万全に固めてから、残った戦力をシロガネに積んで宇宙に上がってきてくれ。もっとも、バジュラが戦闘行動を止めた以上は無駄足になるかもしれないがな」

『分かった、すぐにそっちに向かうわ』

 

 それで通信を終わり、改めてアルトの方へと通信を送る。

 

「地上の方に連絡が取れたぞ。どうやらバジュラが戦闘を止めたらしい。というか、こっちに向かって飛んで行ったそうだ」

『やっぱりな。ともあれ、俺達の敵はバジュラじゃない。俺達を利用して、バジュラを利用していたグレイスとギャラクシー船団の奴等……うおっ!』

 

 そこまで叫んだ瞬間、唐突に放たれた重量子ビームがアルトの機体を掠める。

 ちっ、やっぱりバジュラか? そう思ってビームが飛んできた方へと視線を向けると、そこにいたのは赤紫の機体色をしたVF-27。ブレラ・スターンの機体だった。

 

「アルト!」

 

 だが、アルトもこれまでの戦闘で操縦技術はS.M.Sに入隊した時よりも段違いに高くなっている。トルネードパックで追加されたブースターやスラスターを上手くコントロールして機体を立て直しつつ、VF-27へと向かってビーム砲を放つ。

 それを回避したVF-27だったが、そこへ叩き込まれたのはオズマのアーマードパックから放たれた無数のミサイルだ。体勢を整える間を与える事もなく、続けてL.A.Iで開発された重量子ビームガンポッドが叩き込まれる。

 仕上げとばかりに俺もヒュドラに内蔵されているランツェ・カノーネの砲口を向け……

 

『こいつは俺に任せろ! それよりもスカル4とスカル5はバトル・ギャラクシーからランカを……妹を、頼む! うおおおおお! ランカを助け出す邪魔は、それだけは絶対にさせてたまるかぁっ!』

 

 オズマの雄叫びと共にVF-25Sがバトロイドへと姿を変え、ミサイルやビームガンポッドといった攻撃が再び放たれる。それを迎撃してこちらへと向かおうとするブレラだが、意地でもここから先は通さないとばかりにオズマが立ち塞がった。

 

『ここは俺達に任せて、ランカちゃんを助け出せ、アルト!』

 

 そんな叫び声と共に、狙い澄ましたような重量子ビームが放たれてVF-27の行動を阻害する。その声の持ち主は青い機体色のVF-25G。ミハエルだ。そしてオズマの方へと向かっているピクシー小隊3機の姿も。

 なるほど、バジュラが敵対行動を止めた分余裕が出来た訳か。なら!

 

「アルト、行くぞ。確かにバジュラの攻撃が止まった今がチャンスだ」

『分かっている! アクセルこそ遅れるなよ!』

「誰に言っている? そっちこそ俺の動きについてこれるか?」

 

 そう告げ、未だに偽りのランカの立体映像を張ったままのバトル・ギャラクシーへと向かって突っ込み……

 

「まずは、その偽りの姿を消し去る!」

 

 その言葉と共にヒュドラ後方に内蔵されているブラックホール・ランチャーを構え、ニーズヘッグの背中に存在するネオ・グランゾンの……シュウ・シラカワの形見とでも言うべきそれを起動させる。

 

「バリオン創出ヘイロウ、起動」

 

 T-LINKシステムを通して背中のバリオン創出ヘイロウが起動し、赤く輝き始める。そして生み出されたエネルギーがヒュドラを通してブラックホール・ランチャーへと流し込まれ……

 

「ブラックホール・ランチャー、発射!」

 

 その言葉と共に、ヒュドラ後部へと内蔵されていたブラックホール・ランチャーへとバリオン創出ヘイロウから流し込まれていたエネルギーが凝縮し、ネオ・グランゾンの胸部パーツを解析してシャドウミラーの技術班が作り上げた機構によりブラックホールが生成されて、重力波砲が放たれる。

 宇宙で使用しているにも関わらず、それでも尚漆黒と表現できる程濃密に凝縮された重力波が広範囲に広がり、その全てがランカの映像へとぶつかっていき……次の瞬間にはその映像が一瞬にして消滅し、残されていたのは先程接近した時に見たバトル・ギャラクシーの強行形態。

 だが、ネオ・グランゾンの機構を取り入れたブラックホール・ランチャーの威力が、バトル・ギャラクシーが纏っていたランカの映像を消し去っただけで終わる筈が無い。

 広範囲に放たれた重力波砲は、ランカの映像と同時に強行型の形態を取っていたバトル・ギャラクシーの右手を、マクロス・キャノン諸共に圧壊させて爆発させた。

 しかもそれだけでは終わらない。バトル・ギャラクシーの周囲や背後にいた戦艦のうち数隻を纏めて圧壊させてバトルギャラクシーの右手同様に消滅させる。……そう。俺の狙い通りに。

 

『おいおいおいおい、バトル・ギャラクシーの中にはランカがいるんだぞ? あまり強力な攻撃は……』

「問題ない。ランカがいるとしてもマクロス・キャノンを持っている右手周辺にはいないだろう。普通に考えれば、胴体中心部や頭部といったところか。それよりもこれで奴等の化けの皮は剥がれた。お前はさっさとランカを助け出してこい」

 

 向こうも化けの皮が剥がされた以上、既に遠慮は無用と判断したのだろう。ランカの映像に隠れていた、数十もいる戦艦からビームや弾丸、ミサイルといったものがフロンティア船団に向かって放たれようとした、その時……

 

「甘い。……やれ」

『了解』

 

 その言葉と共にバジュラ本星の方角から幾重ものビームが放たれ、バトルギャラクシーや他の戦艦群の背後から突き刺さる。

 一斉射。ただの一斉射で5隻のギャラクシー船団所属の戦艦が沈んだのだ。

 そしてレーダーや目視では確認できなかったその空間に、忽然と純白の艦が姿を現す。

 ASRSが解除されてそこに現れたのは純白の艦、それはシャドウミラーの旗艦であるシロガネの姿だった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:1380
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1111

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