転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0067話&番外編004話 0067.5話

「きゃああああああ」

 

 グロウセイヴァーのコックピットにフィオナの悲鳴が響き渡る。どうやらW1がラウル達の通信周波数を解析してこちらに流してくれたらしい。

 

「フィオナさん!?」

「くそっ!」

 

 ミズホの悲鳴を聞き、状況を把握したラウル機がフィオナ機の隣へと移動する。

 

「そんな、何で……」

 

 状況を把握できていないのか、混乱しているミズホの声が通信を通して聞こえてくる。

 だが、そんな混乱の中でもラージだけは冷静に行動をしていた。この辺はさすがエクサランスチームの頭脳といった所か。

 

「生体反応はある。気を失っているのか?」

 

 ラージの台詞を聞くに、こちらの狙い通りに上手い事気絶させる事が出来たようだ。

 

「くそっ、誰だ!? どこから攻撃してきた!?」

 

 ラウルが敵を確認するようにエクサランスで周囲を見回す。

 さて、そろそろ俺の出番か。いよいよ茶番の始まりだ。デュミナス、しっかりと食いついて来いよ?

 ふと、クロノスにも時流エンジンが内蔵されている事を思い出しクロノスの時流エンジンを停止させておく。エネルギーの供給に多少の不安はあるが、そんなに戦闘時間がある訳でもないし大丈夫だろう。

 量産型アシュセイヴァー4機と共に機体を進ませ、エクサランスから確認できる位置まで移動する。

 

「あれは!?」

「4機いるのは確か量産型アシュセイヴァーという機体だったと思いますが、指揮官機と思われるあの機体はえらくカスタムしてますね。恐らくあれもアシュセイヴァーが基になってる機体だと思いますが、殆ど原型を留めていないじゃないですか」

 

 混乱するラウルと、こちらを冷静に観察するラージ。そんな相変わらずの2人の様子に思わず口元に笑みを浮かべる。

 

「そ、そんな……あれはまさか……嘘、そんな事って」

 

 ミズホの震えるような声が聞こえてくる。さすがにエクサランス開発のメインスタッフという事か。グロウセイヴァーとクロノスを見ただけでこの機体に誰が乗っているのかが分かったのだろう。

 

「……さて、始めるか。各機、そのまま待機だ」

「了解」

 

 通信装置をあえて切らずに、量産型Wへと命令を下す。

 

「え? ちょっと待て。今の声……」

「そんな、まさか」

 

 その声で大体俺の正体を悟ったのだろう。ラウルとラージの声が聞こえてくる。

 

「ラウル、聞こえているな?」

「!?」

「お前の機体を渡して貰おうか。レイディバードの中にある他のフレームも一緒にだ」

「ア、アクセルさん!?」

「ああ、そうだ。この機体に乗っているのは俺だ。ミズホはどうやら一足早く気が付いたようだがな」

 

 今まで音声だけだった通信を、映像も流れるように調整する。

 

「久しぶりだな。いつぞやの通信以来か」

「そんな、何でアクセルさんがDC残党に協力してるんだよ!?」

「DC残党?」

 

 ……あぁ、そう言えば原作でも最初はアクセルの事をDC残党と勘違いしていたんだったな。

 

「まぁ、それで構わん。俺がどこに所属していようとお前達がすべき事は変わらない」

「何で……何でだよ、アクセルさんっ! あの機体には妹が、フィオナが乗ってたんだぞ!? それを、何でよりにもよってあんたが撃ったんだよっ!」

 

 血を吐くようなラウルの叫び。胸がチクリと痛むが、今はその痛みを感じている時間はない。胸の痛みはあえて無視して口を開く。

 

「選択肢は2つ。エクサランスを渡すか、それともこの俺に抗うか。どちらを選んでも結果は変わらんが、好きな方を選べ。悪いが交渉の時間は無い。大人しくこちらに従うのなら身の安全は保証しよう。だが、抗うのなら……次はコックピットを狙わせてもらう」

「くそっ……」

「ここまでですね、ラウル。アクセルさんの要求を受け入れるしかありません」

「ラージ!?」

 

 ラージの言葉にラウルが信じられないといった口調でラージの名前を呼ぶ。

 

「冷静になって下さい。あちらは量産型アシュセイヴァーが4機に、あのアクセルさんのカスタム機ですよ? 多勢に無勢どころではありません」

「だけど、こいつはフィオナを!」

「フィオナは気絶しているだけで、命に別状はありません。今は全員で生き残る事を考えるべきです。命と機体が無事なら研究を続ける事が出来ます。例え最初からやり直す事になったとしても」

「!?」

「僕がアクセルさんと話してみます。アクセルさん、先程の身の安全を保証するというのは本当なんですね?」

「ああ、俺としても縁の深いお前達に危害を加えたいとは思わない」

「では……」

 

 ラージが口を開き何かを言いかけた時、突然レーダーへ反応が現れる。

 これは、来たか!?

 

「うわぁっ!」

 

 ラウルのエクサランスから見て東の方向から衝撃波が起き、土煙をまき散らす。

 

「あ、あれは何だ!?」

 

 衝撃波が起きた方向をモニタで確認したのだろう、ラウルの驚きの声が上がる。

 そこにいたのは、どこか蟹や蜘蛛を思わせる存在、デュミナスだった。

 

「……3つ発見……1つ…使用不可……2つ利用……する……」

 

 通信が繋がっている訳でもないのに、何故か聞こえてくるその声はデュミナスのものなのだろう。

 恐らく3つ発見というのは、クロノスに搭載されているものとエクサランス2機に搭載されている時流エンジンの事。そして使用不可というのは稼働しているエクサランス2機と違い停止している俺の時流エンジンの事か。

 その考えを証明するかのように、2機のエクサランスの時流エンジンが共鳴を始める。

 

「こ、これは?」

「タイムタービンが、出力が勝手に!?」

「ラージさん、この反応って」

「時粒子が漏れている? いや、これはまさかあの物体が!?」

 

 混乱している3人の様子を通信で見ながら、息を潜めて一連の流れを見守る。

 どうやらラージはこの現象を起こしているのがデュミナスだと気が付いたらしい。

 このままあちらの世界に転移してくれっ!

 祈るような思いで見ていたが、ふとモニタを見るとそこに信じられないものを見てしまった。

 

「馬鹿な、何故ここに連邦軍機がいる!?」

 

 そう、そこには1機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿があったのだ。

 テスラ研奪還部隊の1部か何かだと考えたものの、今はそんな事は問題では無い。問題なのは、その機体がラウルとフィオナへとメガ・ビームライフルの銃口を向けている事だ。

 時流エンジンの共鳴という謎の現象を起こしている原因があの2機だと判断し、それを力ずくで止めるつもりか!

 

「ちぃっ、加速、間に合えっっっ!」

 

 咄嗟に精神コマンドの加速を使用し、ラウル機とフィオナ機の前へと躍り出る。

 

「念動フィールド、全開!」

 

 T-LINKシステムへと念動力を注ぎ込み、可能な限り念動フィールドを厚く展開する。そしてそれと殆ど同時に機体が揺れるような衝撃。

 

「間に合った、か」

 

 どうやら念動フィールドでメガ・ビームライフルの攻撃は防ぎきる事が出来たようだ。こちらへと攻撃した機体を改めてみると、量産型アシュセイヴァーから放たれたガン・レイピアにより機体を爆散させていた。

 

「ア、アクセル…さん?」

 

 通信に聞こえてきたのはフィオナの声。この騒ぎで気絶から目を覚ましたのか。

 

「アクセルさん、なんで!?」

 

 ラウルもまた、自分達を裏切った俺がフィオナを庇ったのを見て混乱しているようだ。

 と、突然フィオナの乗っている機体から白い光が発せられる。

 ちぃっ、転移か!?

 咄嗟にエクサランスから距離を取る。

 

「ラ、ラージさん、1号機の出力が!!」

「120…160…180…200を突破、まだ上がる!?」

「そんな、暴走!?」

「多少なりとも機体を損傷している今のフィオナの機体では、あの出力にフレームの方が持ちませんよ!?」

「フィオナァァァァァァ」

 

 混乱するラージとミズホ。そしてフィオナの名前を叫んだラウルのエクサランスも、フィオナ機同様白い光を発し始める。

 

「な、何だ!? 俺のエクサランスも出力が上がる?」

「ラウル、タイムタービンを止めて下さい!」

「駄目だ、タービンも機体も制御できない!」

「何ですって!?」

 

 ラウルへと指示を出すラージだが、ラウルから返ってきた返事に絶句する。

 

「ラウル、フィオナ、脱出して下さい! このままでは機体が!」

「無理、よ。完全にコントロールを失っている」

「くっ、こちらからの緊急制御も受け付けない」

「ならEリミットでET-OSを落とします!」

「それは既に試しました! 完全に制御不能なんですよ!」

 

 混乱する2人へフィオナから声がかけられる。

 

「ミ、ミズホ……ラウルの事、お願いね。あの人、頼りない所があるから……」

「フィ、フィオナさん何を!?」

「ラージ……あたし達の研究を……必ず……」

「その先の台詞は言わせませんよ! 何とかして回収を!」

 

 ラージとミズホの乗っていたレイディバードがラウル機とフィオナ機を回収しようと、2機の近くへと移動していく。

 

「アクセルさん……何でここにいるのか知らないけど……助けてくれてありがとう。そんなアクセルさんだからこそ、あたしは好」

 

 フィオナが言葉を最後まで言い終わるまでもなくエクサランスから漏れていた白い光が急激に広がり、辺り一面が閃光で埋まる。

 

「……行ったか」

 

 閃光が消え去った後には、エクサランスの姿も、レイディバードの姿も、そしてもちろんデュミナスの姿も消え去っていた。

 少なくても、これで原作通りの流れをなぞっているのは確信が持てた。後はあちらの世界で再会する事になる、か。

 

「各機へ。任務は失敗だ。テスラ研へ帰還する」

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

「バリソン隊長、レーダーに反応。数は5です」

 

 テスラ研の周囲で索敵をしていたバリソンは部下の量産型Wからの報告に眉を顰める。

 

「もう奪還部隊が来たのか? 連邦にしては動きが早いな。各機、戦闘準備だ。現在テスラ研ではリュケイオスの転移準備が始まっている。ここを通す訳にはいかないぞ」

「了解」

「こうなると、量産型アシュセイヴァーをアクセルの隊に持って行かれたのは痛かったな」

 

 自分も乗っているだけあって、量産型アシュセイヴァーの性能の高さは理解している。この機体よりも後に造られた最新鋭量産機のエルアインスよりもほぼ全ての面で能力が上なのだ。

 ただ、彼自身としては親友のアクセルが以前使っていたソード・ブレイカーという武器にも興味はあったのだが。

 

「隊長、敵機にゲシュペンストMk-Ⅲを確認。敵はベーオウルブズです」

 

 その言葉を聞いた途端、まるで背筋に氷を入れられたかのようにヒヤリとした。

 

「ベーオウルブズ、だと?」

 

 敵味方関係なく破壊を振りまくその凶悪さは、すでにシャドウミラー隊全体に知れ渡っている。

 

「……ここまで、か。出来れば俺もあっちの世界に行ってみたかったんだがなぁ」

 

 口に出すと、自分がここまでだという事を嫌でも理解してしまう。

 食う為に軍人になり、その裏でDC残党と繋がり、士官学校の友人と同じ部隊に誘われた。バリソンの人生を端的に言ってしまえばそんな所だろう。

 その後、シャドウミラーが連邦軍に対して反乱を起こすと聞いた時にも自分は全てを納得してそのまま残った。家族が政治家の利権の為に行われた無理な工事の為に亡くなったのが関係してないと言えば嘘になるのだろうが。

 

「ベーオウルフ、いや、キョウスケ先輩。ここを通す訳にはいかない。暫く付き合って貰おうか」

 

 モニタに表示されたゲシュペンストMk-Ⅲを相手に、ハルバート・ランチャーを構えながら命令を下す。

 

「全機、攻撃開始! 絶対に奴らをテスラ研へ通すな!」




名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:87

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