転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0781話

「マクロス・クォーター、聞こえるか。こちらスカル4、アクセル・アルマー大尉だ。そちらに着艦したい、許可をくれ」

『アクセル大尉!? じゃあ、今の妙な反応は……あ、ちょ、ちょっと待って下さい。すぐに艦長に知らせますので』

 

 通信画面にラムが映し出され、それから慌ててどこかへと連絡を入れている様子が聞こえてくる。どうやらジェフリーは艦橋ではなく自分の部屋辺りにいたのだろう。

 まぁ、それもしょうがない。戦いが終結してからまだ2時間程だ。アイランド1にいるグラス大統領に連絡をする必要もあるし、そうなれば色々とブリッジで話せない事もあるのだろう。

 整備班の面々は今頃機体の整備か、あるいは宴会でもしてるのか。一応S.M.Sは会社として仕事にはそれなりに厳しいので、前者だろうな。

 そんな風に思いつつ、ニーズヘッグを護衛するかのように隣に存在しているヒュッケバインMk-Ⅲへと通信を繋げる。

 

「イザーク、一応言っておくが揉め事は起こすなよ。このS.M.Sとはいい関係を築いておきたい」

『俺がそんなに誰にでも喧嘩を売るように見えるのか!?』

『イザーク……今の貴方の態度を見ていれば、アクセルが心配するのも無理は無いですよ』

『母上……』

 

 そんなイザークの横にいたエザリアが溜息を吐きながら窘める。

 シロガネからイザークのヒュッケバインMk-Ⅲと共にシステムXNを使ってバジュラ本星の惑星上に転移。その後、ホワイトスターからゲートを使って転移してきたエザリアを回収して再びシステムXNで転移してきたのだが、その時にエザリアをどうやって連れてくるのかで多少イザークと揉めたのだ。

 俺としてはどうせマクロス・クォーターに着艦するのだから、ニーズヘッグでもいいだろうと思ったのだが、そこにイザークが口を挟んできた。

 曰く、貴様のような女好きに母上を預ける事は出来ないと。

 いやまぁ、確かにエザリアはコーディネーターの常としてイザーク程の子供を持っているとは思えない程に若く見える。それは俺がマクロス世界にいた時間を考えても全く年を取っているようには見えない程だ。

 女として魅力を感じないかと言われれば否と答えるだろう。だが、だからと言って俺がすぐにでもエザリアに手を出すと思われては……いやまぁ、ここ最近の俺の行状を思えばそう思うのは無理も無いか。

 ともあれ妥協案と言うか、イザークが譲らなかった事もあって結局エザリアはイザークの機体に乗って宇宙空間まで転移してきた訳だ。

 

「ともあれ、S.M.SはPMC、ようは傭兵だ。他の世界での戦いの時、こっちの手が足りなかったら臨時の戦力として期待出来るんだから、関係を悪くしたくないというのは覚えておいてくれ」

『……傭兵とは言っても、そこまで頼れる程に高い戦力を持っているとは思えないが?』

「今は、な。だが、考えてもみろ。俺達シャドウミラーは異世界の技術を幾つも取り入れて強大な戦力を有するようになってきた。このニーズヘッグなんかはその最たるものだろう。そして見れば分かるように、このフロンティア船団に限らずマクロス世界はかなりの技術力を持っている。それが俺達と貿易を開始して他世界の技術を取り入れたりしたら、相当に強力な戦力になるのは間違いないと思わないか?」

『それは……まぁ、否定出来ないが……』

 

 理性では納得出来るが、感情では納得出来ない。そんな風に返事をするイザークに何かを言いかけた時、マクロス・クォーターから改めて通信が入ってくる。

 映像モニタに映し出されたのは見覚えのある顔。俺がこのマクロス世界で最も世話になった2人の人物のうちの1人ジェフリーだ。その背後に映し出されているのはブリッジでは無い。恐らくはジェフリーの私室、あるいは艦長室といったところだろう。

 

『すまんな、待たせたかね?』

「何、まだバジュラとの戦いが終わってから2時間ちょっとだ。そっちも色々と忙しいのは分かっているさ。新統合軍の方もだが、アイランド1にいるグラス大統領とも色々あるんだろ?」

 

 そんな俺の言葉に小さく頷く。

 そして気を取り直すようにして口を開く。

 

『それでマクロス・クォーターに着艦したいとのことだが、理由を聞いてもいいかね? 言うまでも無くS.M.Sはフロンティア船団に雇われているPMCに過ぎない。今後行われるだろうフロンティア船団とシャドウミラーの交渉に関わる予定は今のところないのだが』

「何、それ程難しい話じゃない。確かに第1に重要なのはフロンティア船団だが、まだここには来ていないからな。その前にうちの外交担当と面通しをしておこうと思っただけだ。それに、俺個人としてはいざという時に雇えるようS.M.Sとはいい関係を築いておきたいというのもあるしな」

『……ふむ、そうだな……』

 

 そのまま目を閉じて数秒程考え、やがて小さく頷く。

 

『了解した。では格納庫に着艦してくれたまえ。そちらからは2機でいいのかね?』

「ああ。俺と護衛のイザーク、それと外交交渉担当のエザリアだ。こういう事を言われるのはあまり気分が良くないかもしれないが、俺の機体にしろ、もう1機にしろ、シャドウミラーの機体としては機密度が高い。くれぐれも勝手にデータを取るような真似はしないでくれ」

『うむ。その辺は重々承知している。こちらからも格納庫の方に念を押しておこう。会談の場所は第1ブリーフィングルームで構わないかね?』

「それでいい。ああ、それとシェリルにも顔を出すように言ってくれ」

 

 通信を切る間際にそう告げると、顎髭を撫でながら笑みを浮かべて口を開く。

 

『そうだな、確かにアクセル大尉のこれからを話すのだから、彼女がいない場所で決めるのは色々と不味いだろう。承知した』

 

 そう告げ、今度こそ本当に通信が途切れた。

 

「イザーク、聞いていたな。格納庫に案内するからついてこい」

『分かった。……それにしてもアクセルの新しい恋人のシェリルというのはどのような女なのだ? 今の人物との会話を聞いた限りでは、随分と大物のような印象を受けるが』

「そうだな、立場的に言えばラクスをよりパワーアップさせた感じか? ああ、ただしパワーアップと言っても権力者云々じゃ無くて歌手としての面だな」

 

 ニーズヘッグをマクロス・クォーターの格納庫に向けて移動しながら説明をすると、イザークの表情が驚きに見開かれて俺の方へと向けられる。

 ああ、そう言えばイザークはラクスのファンだったか? エザリアも元プラント最高評議会議員として思うところがあるのか、黙って説明を聞いていた。

 

「ただし、その規模は大違いだな。プラントでのみ歌姫として有名だったラクスと違って、シェリルは文字通りの意味で銀河を制すると言ってもいい知名度を誇っている。銀河に暮らしていてシェリルの歌を聴かない日は無いと言われるくらいにな」

『……また、随分と大物を恋人にしたのね。アクセルの節操の無さにはさすがに呆れるわ』

 

 イザークに代わり、エザリアが呆れたように呟く。

 いや、その辺に関しては確かに俺もこれ以上何を言える立場じゃないのは理解してるから、それに関しては何も言えないけどな。

 

『けど、恋愛に関して積極的なのは羨ましいわ。イザークも、もう少し女の子に興味を持って欲しいんだけど……』

『は、母上!?』

 

 突然とも言えるその暴露に、反射的に叫ぶイザーク。

 だが、そうか。イザークは相変わらず女っ気無しか。となると、オウカが俺に言っていた件では違うのか。イザークがオウカの相手としては本命だったんだがな。

 そんな風に考えている間にもマクロス・クォーターの格納庫の入り口が見えてくる。

 

「イザーク、あそこだ。俺の後についてきてくれ。準備はいいな?」

『あ、ああ。問題無い』

 

 俺の言葉に対して戻ってきた返事に安堵の色が混ざっていたのは俺の気のせいでは無いだろう。やはり自分の親に異性関係を干渉されるのは、幾らマザコンのイザークでも嬉しくないと見える。

 ……まさか、理想の女がエザリアだとか本気で思ってないだろうな? いやまぁ、確かにエザリアがそう思われてもしょうがない程の魅力を持っているのは事実だが。

 微妙にイザークの将来を心配になりながらも、マクロス・クォーターの格納庫へとニーズヘッグを入れていく。

 基本的にはファイターで出入りする事が多いので、ニーズヘッグはともかくヒュッケバインMk-Ⅲはどうかと思ったが……よく考えてみれば、バトロイドのVF-25とそう大した差は無いんだよな。

 俺の心配は無意味だとでもいうように、2機の機体は格納庫へと入っていく。

 ニーズヘッグより5m程大きいヒュッケバインMk-Ⅲも特に苦労せずに中に入れた。

 そして出迎えたのは、当然S.M.Sの整備員やらパイロットやらの無数の人々。

 だが、さすがにジェフリーから連絡がいっているのか、迫ってくるような真似はしない。

 

『アクセル君、機体はこっちに移動して下さい!』

 

 唐突にそんな通信が入り、映像モニタに映し出されているルカに案内されるようにして機体を移動していく。

 案内された先は、周囲にVFやVBといった機体が他に何も置かれていない区画だ。俺の記憶によれば、この辺には予備としてVF-171辺りが置いてあったと思うから、恐らくジェフリーが俺達の為にわざわざ用意してくれたのだろう。

 EX-ギアを身につけたままそこまで案内すると、ルカはそのまま去って行く。

 こちらに不審を抱かせないようにとの気遣いからか。

 

「じゃあ、イザーク。ここで機体を見ててくれ。俺とエザリアはこの艦の艦長と話してくる」

『……了解した。言っておくが、母上に妙なちょっかいを掛けるなよ』

 

 そんな声に送り出され、俺は苦笑と共にエザリアを連れてマクロス・クォーターの中を進んでいく。

 20代になっている俺の姿を見た顔見知りの整備員やS.M.Sのメンバーが驚愕の表情を浮かべてこちらへと視線を向けている。

 いやまぁ、10代半ば程度の年齢だったのが急に20代になっていればそれは驚くか。これで全く見知らぬ相手であればまだしも、俺の場合はしっかりと面影が残っているし。

 ああ、そう考えれば俺を15歳のアクセルの兄と認識している可能性もあるのか。

 その辺についても後でジェフリーから発表して貰った方がいいかもしれないな。

 

「へぇ、これがマクロス・クォーター。種別としては空母なのかしら?」

「そうだな。分類としては可変ステルス攻撃宇宙空母って事になっている。ただまぁ強攻型っていう人型に変形可能で、敵に突っ込んでいったりするのを考えれば、その辺の分類はあまり意味がないかもしれないな」

「それだと、シロガネと似たような感じ?」

「あー……そう言われればそうか」

 

 シロガネも元々の種別はスペースノア級万能戦闘母艦という形式だった。だが、シャドウミラーに改造されまくった今のシロガネは、近接ブレード型のグラビティ・バスターという近接攻撃の手段があったり、ASRSやミラージュコロイドで戦艦というよりは戦闘機的な運用も可能だしな。

 ……そう言えば、シロガネやニーズヘッグに装備されている時流エンジンがあればエネルギー回復に関しては全く問題が無い。つまり、高純度のフォールドクォーツを使ったフォールドウェーブシステムというのは意味が無い訳で。

 やっぱり入手したフォールドクォーツに関してはフォールド通信用やISCに使うべきだな。

 そんな事を考えているうちに、やがて第1ブリーフィングルームの前に到着した。

 隣にいるエザリアの方を向くと、無言で頷くのを確認。そのまま扉を開けて中へと入る。

 

「ようこそ、アクセル大尉……いや、アクセル・アルマー代表」

 

 まずそう言って俺を出迎えたのはジェフリー。スカル4のアクセル大尉ではなく代表と呼んだのは、シャドウミラーの代表として俺を出迎えたというところだろう。

 そして、他にも部屋の中にはオズマ、アルト、ミハエルといったスカル小隊の面々。……カナリアがいないのは、医療兵として怪我人の治療にでも駆り出されているからか。

 他にもランカやキャサリンの姿があり、そして……

 

「ふふっ、随分と遅かったわね」

 

 俺に笑みを向けるシェリルの姿もあった。

 

「悪いな、こっちもこっちで色々とあったんだよ。……それよりも紹介させて貰おう。これからフロンティア船団との交渉に参加する人物で、エザリア・ジュール。シャドウミラーの外交部門のトップだ」

 

 まぁ、トップだとは言っても今はエザリア1人なんだけどな。

 

「エザリア・ジュールだ。これからフロンティア船団と……そしてS.M.Sとは末永い付き合いになるよう期待させて貰う」

 

 そう告げ、小さく笑みを浮かべるエザリア。

 その笑顔を見てミハエルが小さく口笛を吹くが……一応お前とそう変わらない年齢の子持ちなんだけどな。それを知ったらどうなる事やら。

 ともあれ、こうしてシャドウミラーとS.M.Sの初顔合わせが始まる。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:1405
格闘:278
射撃:298
技量:288
防御:288
回避:318
命中:338
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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