転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0800話

 メギロートの実験から数日。結局、重量子ビーム砲に関してはメギロートから取り外され、実用配備はされなかった。開発された重量子ビーム砲に関しては技術班が何かを考えているらしく、倉庫の中に放り込まれながらも時々は外に出されているらしい。

 ……あの倉庫、俺がまだマクロス世界に行く前から混沌としていたんだが、俺がいなかった1年半の間にどんな状態になっているんだろうか。

 1度確認してみた方がいいのかもしれないが、実際に見に行ってみて予想外の物を発見してしまったらどう対処したらいいのやら。

 いや、一応技術班のストッパーとしてエキドナやセシルが……ああ、セシルも自分の開発関係になると時々暴走する時があるからそっち方面では期待出来ないか?

 ともあれ、現在の技術班は重量子ビーム砲の改良とイルメヤの強化設計と生産プラントの最終調整で忙しくしている。

 さて、そんな中、俺が何をやっているのかと言えば……

 

『こうして、私達はこれまで見た事もない異世界からの友人を得るという幸運に恵まれたのです。彼等がいなければバジュラ戦役と呼ばれている戦いでもフロンティア船団はより多くの被害を出し、あるいは現在も逃亡を続けているギャラクシー船団の陰謀を撃ち砕くのは難しかったでしょう。私達人類はこれまで幾多もの種族と友好関係を築いてきました。ゼントラーディ、ゾラ人といった者達の存在は現在この放送を聞いている人にとってはお馴染みのものでしょうし、少数の集団をいれれば更に数が多くなるでしょう。お互いの出会いが戦争であったという不幸な出来事もあります。ですが異世界の国家シャドウミラーの方々は、最初から私達この世界の人類に対して友好的でありました。また、シャドウミラーという国が存在しているのは次元の狭間と言われる、私達にしてみればフォールド断層に存在する次元の裂け目にも似た場所にある国家です。そして、彼等シャドウミラーは次元の狭間にあるという立地を活かし、私達の世界、通称マクロス世界と呼ばれる世界以外にも幾つもの世界と行き来をしています。そのような多次元国家とも呼べるシャドウミラーと国交を持てた事は、私達人類にとっての福音であるとすら言えるでしょう』

 

 以前に新統合政府と話していた、俺達シャドウミラーの存在をギャラクシーネットで流すという、その日が来たのだ。現在は地球のマクロスシティから、ギャラクシーネットを通じて新統合政府のお偉いさんが演説をしている。

 こうして何でも無い事を考えているのも、その演説が長いからなんだよな。

 どこの世界でも、ある程度の地位がある奴ってのはどうしてこうも話が長くなるのやら。

 だがさすがと言うべきか、俺の隣に座っているグラス大統領は映像モニタに映し出されている政治家の長話を聞いていても特に気にしている様子は無い。

 本人にしても、現在はフロンティア船団のミュートスへの移民で色々と忙しい時期だろうに。……そう言えばフロンティア船団が降下してからまだ様子を見に行っていないな。エザリア辺りは交渉の為に何度も行き来しているんだが。

 

『つまり、我々新統合政府とシャドウミラーはこれからも良き隣人、良き家族としてお互いに付き合っていく必要がある訳です。また、私達にとっては非常に幸いな事に、シャドウミラーの首都でもあるホワイトスターと繋がっている異世界、あるいは平行世界には私達と同じような歴史を持った世界もあるという話です。つまり、第一次星間大戦によって失われた文化や伝統といったものを残している世界も当然あるでしょう。勿論世界が違う以上は全く同じ文化や伝統、芸能、風俗とは言えないかもしれませんが、私達がそれらを復興させる際には非常に役に立つでしょう。同様に戦争の影響により地球では絶滅してしまった植物や動物も輸入する事が可能となるかもしれません。勿論私達マクロス世界が一方的に輸入するだけではなく、私達の世界だからこそ輸出可能な物もある筈です。異世界間貿易での約定により兵器……私達の世界で言えばVFを始めとしたものは輸出出来ませんが、それ以外の機器や宇宙に進出しているからこそ手元にある動物や食べ物、植物といったもの、そしてこちらが輸入を考えているものとは逆に、私達の世界だからこそ発展してきたものの輸出は可能な筈です』

 

 政治家の話はまだ続いている。

 正直なところ、こんな話を聞いていてもしょうがないのでだらけたいのだが、今の俺達の様子も当然カメラを通してギャラクシーネットに流されている。

 幸い、俺達がいるのは外とは言っても温暖な気候で風が冷たいとかは無い。もしそんなのがあれば、グラス大統領の年齢が年齢だし、色々と辛かっただろう。

 グラス大統領の健康を思えば、せめてどこぞの部屋の中で待機していたかったのだが、新統合政府からの要望を考えると、どうしても広い空間が必要だった。

 だが、だからと言って現在フロンティア船団を中心とした街作りをしている場所でそんな真似をする訳にもいかず……結果的に、こうしてミュートスの草原で俺とグラス大統領は待機している。

 にしても、こうして広大な草原の中に椅子を用意して映像モニタに映し出されている政治家の話を聞いているというのは、どこか間抜けな光景だな。

 まぁ、それに関して言えば護衛のSPの方が何も無い草原で周囲を警戒しているんだからそれも当然か。

 ちなみに俺に関しては護衛は必要無いのだが、それだとマクロス世界の住人に軽く見られるとエザリアに言われ、スレイとエキドナ、ムラタの3人を連れてきている。

 ああ、当然エザリアもこの場に来てはいるが、フロンティア政府の政治家達と少し離れた場所で待機していた。

 護衛に関しては、正直な話量産型Wでもいいだろうと思ったのだが……まぁ、確かにあのヘルメットは色々と怪しいよな。さすがにサングラスと似たような物という言い訳は出来そうにないし。

 

『さて、長々と話させて貰いましたが早速紹介させて貰いましょう』

 

 そんな声が聞こえてきて、ふと我に返る。ようやく俺の出番だ。

 ここまで長かったな。20分くらいはあの政治家が話していたんじゃないか?

 マクロス世界初の出来事である、異世界に関しての演説をまかされているくらいなんだから、間違いなく新統合政府でも有力者なんだろうが……

 もしかして話の長さで選ばれたとかは無いよな?

 思わず溜息を吐きそうになるのを我慢しつつ、草原に用意された演説台の前に立つ。

 ちなみに、当然の事ながら現在の俺は20代の姿だ。さすがに異世界の国家の代表が10歳や15歳の外見だと色々と問題があるだろう。混沌精霊の姿を現そうものなら、プロトデビルンを知っている者ならまず間違いなくそっちを思い出しそうだし。

 

『異世界にある国家、シャドウミラーの代表、アクセル・アルマー代表です!』

 

 俺を紹介する政治家の話の中で代表という言葉が2つ続いているが、大統領とか首相とか王とか皇帝とか、そんな風な呼び名が無いからな。聞いてる方は違和感があるかもしれないが、代表で統一させて貰っている。

 ……いっその事、ネギま世界に習って大魔王とでも付けてみるか? まぁ、それはそれで面白いかもしれないが、間違いなくコーネリアやスレイ、エザリアやイザークのような頭が固い面々に叱られるだろう。

 多数の恋人がいるハーレム状態を許容しているのを考えれば、十分に頭は柔らかいと言えるんだろうが。

 ともあれ、そんな風に考えつつ演説台に手を置きながら口を開く。

 

「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。偶然からこのマクロス世界と俺達シャドウミラーは接触を持ったが、それがお互いに友好的な関係を築き上げられたのを嬉しく思う。先程の話にもあったように、シャドウミラーは幾つもの異世界、平行世界と交流を持っており、また新たに交流を持つ事が出来て何よりだ。これからもこのマクロス世界には良き隣人として付き合ってくれれば嬉しい」

 

 ここまで口に出し、言葉を一旦止める。

 そしてギャラクシーネットでこの映像を見ている者達がシャドウミラーに対して好奇心を発揮する為に……そして新統合政府からの要望にもあった件を口にする。

 

「尚、シャドウミラーが交流を持っている世界の中には、いわゆるファンタジー世界のような世界もある。そしてその世界にはファンタジーというからには当然だが、魔法という存在もある。……とは言っても、ただ魔法があると俺が言っただけでも信じられないだろう。それ故に、今ここで魔法について実演して見せよう」

 

 そう告げ、呪文を唱える。

 

『アリアンロッド 火精召喚……槍の火蜥蜴199柱!』

 

 その言葉と共に、火の精霊が召喚される。槍を手にしたサラマンダーといった外見の精霊だ。

 それらがミュートスの上空を思う存分に動き回る。

 当然この光景もギャラクシーネットを通してマクロス世界中に広まっている筈だ。

 本来であれば混沌精霊でもある俺は炎の魔法を使うのに呪文の詠唱は必要無い。だが、パフォーマンスとして魔法を使っている以上、やはりそれらしい詠唱は必須だろう。

 

『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』

 

 炎の精霊が空を舞っているのに合わせ、再び次の呪文を口にする。

 こちらは炎の魔法では無い為、元から詠唱が必須のものだ。

 呪文を唱え終わると同時に俺の上空の空間が歪み、その歪みから生み出されるかのように何かが現れる。

 下半身が竜、上半身が鷲、4本の角が後頭部から前に向かって伸びており、その背には鷲の翼と竜の羽が1対ずつの合計4枚。

 

「ガアアアアアアアアアアァァァァァァァッッ!」

 

 雄叫びを上げつつ現れたその姿は、グリフィンドラゴン。俺と契約を結んでいる唯一の召喚獣だ。

 

『影槍よ!』

 

 再び呪文を唱え、俺の影から現れる数十、数百の影の槍。

 その影の槍がミュートスの空へと向かって伸び、炎の精霊やグリフィンドラゴンの間を縫うようにして伸びていく。

 そして、仕上げとばかりに最後の呪文を口にする。

 

『炎の精霊1999柱!! 集い来たりて……魔法の射手! 連弾……火の1999矢!』

 

 放たれる2000本近い炎の矢。それらがまるで花火のように空に放たれ、炎と影による演舞を行う。

 そのまま数分。ミュートスの上空でグリフィンドラゴンや火の精霊、あるいは影の槍や炎の矢が乱れ飛び、ある意味で幻想的な光景が周囲に広がる。

 勿論見ているだけだと綺麗だが、実際に持っている破壊力は並大抵のものでは無い。それこそバジュラ数匹程度なら瞬く間に息の根を止める程の火力を持った攻撃だ。

 実際、俺の魔法がどれだけの威力を持っているのかをその目で見た事のあるグラス大統領や離れた場所にいるエザリアは、小さく頬を引き攣らせている。

 ……まぁ、その理由が攻撃魔法をその目で見た事が原因なのか、あるいはグリフィンドラゴンのグリが原因なのかは不明だが。

 それを知らない面々は手を叩いて拍手している。

 恐らくギャラクシーネットでこの中継を見ている者も同様だろう。

 あるいは、この世界だとシェリルのライブで使われているような技術が発展しているから、本物だと判断しないか?

 そんな風に考えていると、やがて上空で行われていた魔法の共演も終わり、炎の矢と精霊は消滅し、グリと影槍のみが残っていた。

 脳裏でSPを確認すると、その数値は半分程に減っている。やはりこのマクロス世界だとSP消費が激しいな。ランカのライブでバジュラに襲撃された時、PPの大半を消費してSPを増やしたというのに。

 こうして魔法を使っておいてなんだが、ここまで魔力の消費が激しいとなると恐らくこの世界の殆どの人間は魔法を習得したとしても、精々『火よ灯れ』程度の魔法しか使えないんじゃ無いだろうか。麻帆良から魔法使いを派遣しても、かなりの高位魔法使いで無ければ十分に魔法は使えないだろう。

 ともあれ、新統合政府から頼まれていた魔法についてのデモンストレーションを終え、再び演説台の前に立つ。

 そして俺の横には空から降りてきたグリが大人しく従っていた。

 

「さて、今見て貰ったように魔法というのは実在している」

 

 そう告げ、隣にいるグリの頭を撫でてやる。

 

「改めて言わせて貰うが、シャドウミラーの代表としてこのマクロス世界とより良い友好関係を築いていきたいと思っている。また、既に公表されている情報なので知ってる者もいるだろうが、マクロス世界におけるシャドウミラーの本拠地として、フロンティア船団が移住を開始した惑星ミュートスに都市を現在建設中でもある。ゲートに関してはその使用許可を出すのは非常に難しいが、そのお膝元とも言える都市に来て貰えれば、十分に異世界の文化を体験できるだろう。同時に、魔法使いのいる世界……ネギま世界から派遣されてくる魔法使いもいるかもしれないので、運が良ければ直接魔法をその目で見る事も出来るだろう」

 

 そこまでを一息で告げ、数秒の沈黙の後で再び口を開く。

 

「俺達シャドウミラーは、友好な相手には友好を返す。それを理解した上で末永く付き合って貰えれば嬉しく思う」

 

 そこまで告げ、軽く一礼してから自分の席へと戻る。

 当然グリも俺と共に来るのだが、グラス大統領がグリを見て冷や汗を掻いていた。

 俺と入れ違いに演説台の方へ向かったのを考えると、演説でミスらなきゃいいんだけどな。

 椅子に座った俺の横へと座ったグリの頭を撫でながら、グラス大統領の演説へと耳を傾けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:1405
格闘:278
射撃:298
技量:288
防御:288
回避:318
命中:338
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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