転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0803話

 SEED世界でコーネリアとバカンスを過ごしてから数日、今日の俺はマリューと共にネギま世界へとやって来ていた。

 ……ただし、麻帆良ではない。いや、一応麻帆良にも行ったんだが、その直後に麻帆良にあるゲートで魔法界へと転移したのだ。そして、現在はオスティアでマリューと共にウィンドウショッピングと洒落込んでいる。

 

「へぇ、魔法界っていうだけあって、色々と見た事ない物が売ってるわね」

「現在俺達が貿易をしている世界で魔法があるのは、このネギま世界だけだしな。そういう意味では希少性が高いだろう」

 

 もっとも、だからこそ国でもない1つの都市の麻帆良と条約を交わした訳だが。

 ただ、その麻帆良は現在MMから脱却の動きを見せ始めているし、雪広財閥や那波重工がそれを支援している。ヘラス帝国もMMの勢力が低くなるのは歓迎するということで協力しているらしい。

 雪広財閥や那波重工が麻帆良に協力している理由は純粋に人助けだったり、自分達の令嬢が住んでいる麻帆良にはMMと関わって欲しくないというのもあるが、勿論それだけではない。自分達以外でシャドウミラーと貿易が出来る麻帆良が、MMという色々な意味でアレな国に関わって欲しくないという理由が大きいのだろう。

 何しろ、MMがとち狂ってシャドウミラーに対して攻撃を仕掛けたりしようとする場合、当然麻帆良がその拠点となるのは間違いない。

 ……と言うか、そもそもゲートが麻帆良の中にあるしな。

 近右衛門との契約でゲート周辺は現在シャドウミラーの土地という事になってはいるが、MMがそれを許容するかと言えば、正直微妙だろう。

 そしてシャドウミラーを相手にMMが馬鹿な事をした場合、当然ながらネギま世界との貿易は中断される可能性がある。

 雪広財閥や那波重工としては、それだけは絶対に避けたいのだろう。その為、MMの下部組織である麻帆良ではなく、MMから独立して別組織である麻帆良になって欲しいといったところか。

 シャドウミラー側としても、そっちの方がいいしな。

 

「ん? おい、あそこにいるの……もしかして、アクセル・アルマーじゃないか?」

「いや、違うだろ。確かに似てるけど、アクセル・アルマーはもっとでかいって。あのガキはどう見ても10代半ばってところだろ?」

「なるほど。言われてみれば確かに」

 

 そんな声が聞こえてきて、露天で売り物を見ていたマリューが笑みを浮かべて腕を組み、耳元で囁く。

 

「随分と有名人なのね」

 

 圧倒的なボリュームを誇る柔らかいソレが肘に当たり、グニュリと押しつぶされて形を変える感触を楽しみつつ、小さく肩を竦める。

 

「何しろ、ナギ・スプリングフィールド杯って拳闘士の大会で優勝してしまったからな。しかも2人1組の大会にソロで出場して」

 

 あの時は色々とあって大変だった。……そんな風に思っていると、やがて聞き流せない内容が耳に入ってくる。

 

「あんなガキがあれだけいい女を連れているってのは許せねえな」

「おい、やめとけって。確かにアクセル・アルマー本人じゃないのは事実だけど、あれだけ似てるとなると関係者の可能性が高いぞ。迂闊にちょっかいを出して大魔王が出てきたりしたら洒落にならん」

「……確かに」

「それに……本当にもしもの可能性だが、年齢詐称薬を飲んでいたりしたら……お前、あのラカンやナギ・スプリングフィールドを倒した相手に絡もうとしている事になるんだぞ?」

「……」

 

 その言葉に、マリューを舐めるような目で見ていた男の顔色が急速に悪くなっていく。

 

「それでも行くっていうんなら構わないが、俺とお前は関係ないからな。それを承知の上で行ってくれ」

「はっ、ははは……何を言ってるんだ。勿論冗談に決まってるじゃないですか。僕がアクセル・アルマーさんの関係者と思しき相手に絡むなんて、そんな大それた事は1秒たりとも考えてませんとも。ええ、絶対確実に」

「口調変わってるぞ」

「いいですから、ほら、さっさと行きましょう。闘技場の方では今日の目玉が行われるんですから」

 

 そう告げ、一緒にいた者を強引に引っ張っていく。

 その様子を見ていたマリューは口元に笑みを浮かべつつ、胸の中に抱いている俺の腕へと更に力を入れ、その豊かな胸が俺の腕に押し潰される。

 

「ふふっ、さすがに大魔王ね。……でも、そうすると私は大魔王に連れ去られたお姫様かしら?」

「幾らなんでも……ん?」

 

 そこまで告げ、ふと疑問に思う。

 確かに今の俺は15歳の姿だ。だが、当然ながら魔法界でアクセルと言えば、俺が活動していた時の姿……つまり混沌精霊の姿の筈だ。なのに、何故俺の今の姿でアクセルだと見破られてるんだ?

 そんな俺の疑問は、近くにある店を見て思わず納得する。

 アクセル・アルマーとして売られているブロマイド。そこには何故か混沌精霊と20代である俺の、両方の姿が売られていたのだ。

 ……どこから流れた? 可能性としては火星側の修羅やバトレーの一派、あるいは麻帆良。……朝倉辺りが色々と怪しいな。後でその辺を突っついてみるか。

 

「ねぇ、アクセル。マジックアイテムってどこで売ってるの? ちょっと見てみたいんだけど。年齢詐称薬とか、持っておきたいし」

「マジックアイテムに関しては……あそこだな」

 

 マリューの言葉で我に返り、通りの先にある店の方を見る。

 ただ、年齢詐称薬に関して言えば、まだ大量に俺の空間倉庫の中に入っているんだけどな。何しろ、混沌精霊の力で姿を自由に変えられるようになったから、以前にネギま世界に来た時に纏めて買った分がまだ大量に残っている。

 ……マクロス世界で俺の魔法をギャラクシーネットへと流した時に、これも使ってみれば面白かったかもしれない。

 クラン辺りに飲ませばどうなるか非常に楽しみだ。今の姿のまま大きくなるのか。ゼントラーディ状態のまま大きくなるのか。

 後者ならミハエル辺りは喜びそうだけどな。

 そんな風に考えながらもマジックアイテム屋により、これまた以前この魔法界でそれぞれがはぐれた時に使った、俺自身に金を賭けて増やした中から色々と買い揃えていく。

 個人的には転移札を20枚程買えたのは予想外の収穫だった。

 かなり割高だったが。

 関西呪術協会辺りに頼めば割安で売って貰えないか?

 ああ、後は時の指輪のように不老になれるマジックアイテムが……いや、そんな稀少品がそう簡単に売られている訳がないか。あるとすれば、トレジャーハンター辺りに……

 

「てめえ、やんのかこらぁっ!」

「ああ!? やるなら受けてたつぞこら。お前、その仮面を被っているって事は、ここ最近でかい顔をしている修羅とかいう奴等だな? 魔法も禄に使えねえ癖に、俺に勝てるとでも思ってんのか?」

「ざけんなこら! 確かに魔法は使えねえが、それでも気は使えるんだよ! お前がチマチマ呪文を唱えている間に、その口に拳をぶっこんでやらぁっ!」

 

 マジックアイテム屋から出るや否や、いきなりそんな声が聞こえてくる。

 しかも修羅とか……案の定というか、やっぱりというか。

 まぁ、この程度の騒動なら魔法界では全く問題にはならないんだけど。

 ただ、だからと言って折角マリューとのデートをしているというのに、こんな騒動に巻き込まれるのは面倒この上ない。

 さっさとこの場から離れようとしたのだが……

 

「ね、アクセル。ちょっとあの騒動を止めてくれない?」

「は? 何だってそんな面倒な真似を……」

「だってほら、道の通りにある露天の人が困ってるじゃない。……ね? お願い。今日の夜はたっぷりとサービスするから」

 

 男を惹き付けるような潤んだ瞳で俺の腕を抱きつく力を強め、胸をより密着させるマリュー。

 ……俺があの喧嘩騒ぎを起こしている2人を止めようと思ったのは、あくまでもあいつらの喧嘩騒ぎで迷惑する奴がいるからであって、決してマリューの色仕掛けにしてやられた訳じゃない。自己弁護完了。

 ともあれ、マリューをその場に残して騒ぎになっている方へと向かう。

 相変わらずのオスティアと言うべきか、乱闘騒ぎになりつつあるというのに寧ろ周囲を取り囲んでどっちが勝つかを賭けている奴もいる。

 何と言うか、ナギ・スプリングフィールド杯がやっていた時と比べても大して変わっていないな。まぁ、さすがに周囲に群がっている人数は少ないが。

 

「悪いけどちょっと通してくれ」

「おいっ、割り込みは……」

「はいはい、人の迷惑になるから騒ぎは起こすなよ」

「お? 第3者の乱入か!? さぁ、賭けた賭け……た……? ん? あの小僧、どこかで見覚えが……」

 

 本気で俺のこの姿が広まっているらしいな。そんな風に思いつつ、ようやく人混みの中心部分に入る事に成功する。

 中を見てみると、予想通りというか片方はマスクをしている下級修羅、そしてもう片方はスラッとした細身の男。手に杖を持っているのを見ると、純粋に魔法使いタイプなのだろう。

 

「へぇ」

 

 下級の修羅を見て、思わず呟く。先程の声でも聞こえてきていたが、修羅の手には間違いなく気によるエネルギーが満ちていたからだ。

 さすがに戦闘種族と言うべきか、1年半……いや、修羅がネギま世界にやって来たのはもっと前だが、それでも短時間で多少なりとも気を扱えるようになっている辺り、延々と戦いを繰り広げてきた種族と言うべきだろう。

 そんな風に感心していると、やがてお互いの間の言い争いがヒートアップし続け、今にも戦いが始まりそうになったのを見て……

 

「ほら、そこまでにしておけ」

 

 指をパチンッと鳴らして先端の尖っていない影槍を20本作りだし、10本ずつで魔法使いと修羅の手足を拘束して強制的に戦闘を止めさせる。

 ちなみに最も得意な炎系の魔法を使わなかったのは、アクセル=炎というイメージが強すぎるからだ。特に俺のオリジナルスキルとも言える炎獣なんかを使った日には、間違いなく俺がアクセルだと知られてしまう事になる。

 

「おわぁっ! く、くそ! 誰だ!?」

「この影槍……影精が凄まじい密度で編み込まれている!?」

 

 影槍で身動きが出来なくなってしまった修羅と魔法使いに視線を向け、口を開く。

 

「ほら、落ち着いたか? こんな場所で戦えば周囲の迷惑になるだろ。どうせやるなら街の外でやれ」

「うるせえっ! お前には関係ないだろうが!」

 

 反射的とすら言ってもいいような速度で言い返してくる修羅。

 ちっ、しょうがないな。魔法使いの方は影槍を見て明確な実力差を感じ取っているのか、大人しくしているんだが。

 

「いいのか? ここで騒ぎを起こせばアルティスに報告が行くぞ?」

「っ!? ……お前、何者だ?」

 

 まさかここでアルティスの名前を出されるとは思ってなかったのだろう。

 尚、当然のことだが魔法界でもアルティスの名前は相応に知られている。新たに出現した修羅という勢力を束ねる者、修羅王として。

 もっとも、修羅達の拠点であるソーディアンが存在するのは魔法界ではなく火星だ。そういう意味ではある意味で謎に満ちた勢力といえるのだろう。

 ……まぁ、修羅は普通に魔法界に来てるから、謎とは言えないかもしれないが。

 

「ほら、アルティスに連絡をされたくなかったら大人しくしろ」

「だから、お前は! ……ん? お前の顔はどこかで……」

 

 数秒前の怒りはどこに消え去ったのか、影槍に縛り上げられたままじっと俺の顔へと視線を向けてくる。

 覗き込むようなその視線が数秒。そして何かに思い当たったのか、息を呑む。

 

「お、お前……まさかア」

「はいそこまでだ」

 

 再び指を鳴らして影槍を作り出し、修羅の顔面を押さえるようにして強引に口を閉じさせる。

 どうやら俺の事を知っていたらしい。いや、修羅であると考えればそれ程不思議な事じゃ無いか。

 

「さて、俺が誰だか分かったところで改めて問おう。まだここで暴れる気はあるのか? もし止めろと言っているのに、それを止めないようならこちらもそれ相応の態度を取らないといけないんだが?」

「……んー」

 

 ああ、そうか。影に口を押さえられて言葉を喋る事が出来ないのか。

 再び指を鳴らして、修羅を押さえつけていた影槍を解除する。

 

「これで喋れるだろう。で?」

「……分かった」

 

 短く頷き、魔法使いの方は俺との実力差をはっきりと理解したのか、特に何も言わずにそのまま去って行く。

 これでOKっと。

 

「あんたが帰ってきてるって噂では聞いてたが……こんな場所で会えるとは思わなかった」

「そうか、まぁ、フェイトやアルティス辺りなら知ってるけどな。とにかく、魔法界でストレス発散するのはいいが、周囲の迷惑になるような真似はするな。どうしても暴れたいのなら、闘技場で戦え」

 

 それだけを告げ、まだ何か言いたげな修羅に背を向けてマリューの元へと向かう。

 

「お疲れ様。……今夜は期待しててね」

 

 笑みを浮かべて俺を出迎えるマリュー。

 そしてその言葉通り、この日の夜は色々と激しい事になる。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:1405
格闘:278
射撃:298
技量:288
防御:288
回避:318
命中:338
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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