転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0070話

 ガン・レイピアから撃ち出されたビーム弾がリボルビング・ステークから撃ち出された杭を迎撃する。そしてファントムのレーザー弾が3連マシンキャノンの弾丸を迎撃する。

 だが幸いな事にやはり射撃戦ではこちらに分がある為、射撃の嵐はベーオウルフの方へと次第に近づいていく。

 

「ついでにコレも貰ってろ!」

 

 ビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を伸ばし全力斉射。

 電磁力により撃ち出された弾と、途切れる事なく発射されるビーム弾。さすがにこれを同時に食らうのはあのベーオウルフでも遠慮したかったらしく、この戦闘が始まって初めて右へと大きく跳び、回避行動を取った。

 

「ここだ! 加速、集中、グレイプニルの糸!」

 

 精神コマンドの加速を使用した効果で急激にベーオウルフへと近づくと、両手で持っていたガン・レイピアを左手だけで保持し、右手のグレイプニルにT-LINKシステムを通して念動フィールドを糸へと変換。そのままベーオウルフの右腕へと絡めて動きを止める。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! 斬!」

 

 グレイプニルの糸にさらに念動力を送り込み、切断力を生成。そのままベーオウルフの武装の中で最も危険なリボルビング・ステークを装備している右腕を右肩から切断する。

 

「ハルバート・ランチャーで消え去れ!」

 

 グレイプニルの糸に切断力を持たせた事による急激なSPの消費に疲労に襲われつつもグレイプニルの糸を解除。ラックからハルバート・ランチャーを取り出し、地面に転がっているベーオウルフの右腕目掛けてトリガーを引く。

 ハルバート・ランチャーの銃口から放たれた光線がリボルビング・ステーク諸共ベーオウルフの右腕を飲み込み、それこそ欠片も残す事なく消滅させた。

 

「ぐうっ」

 

 一瞬だが気を抜いたその瞬間、驚く程の疲労に襲われる。グレイプニルの糸で切断力を産み出したのはほんの一瞬だったというのに、念動力LV.10でもこれとは。

 

「がああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!」

 

 戦場に響くベーオウルフの雄叫び。その叫びが怒りと憎しみに満ちているように感じるのは決して俺の気のせいではないだろう。だが次の瞬間、俺は目を見張る事になる。

 ベーオウルフの切断された右肩からアインストの蔦が伸びたかと思うと、破壊された量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの部品へと巻き付き、そのままベーオウルフの右肩へ引き寄せ、蔦が二重にも三重にも巻き付き擬似的な右腕を形成したのだ。

 さすがに応急措置らしくリボルビング・ステーク等の武装は装備していないが、蔦で雁字搦めにされたその右腕はどこか生物的なものを思わせ、生理的嫌悪感を呼び起こす。

 

「だが、これで当初の作戦通りには……?」

「GAAAAAAAAAAA!」

 

 再度雄叫びを上げるベーオウルフ。すでにその声は人間のものとは思えないものになっていた。そして身体中から蔦を四方八方に伸ばし、戦場に散らばっていた量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの部品を手当たり次第に取り込んでいく。

 グロウセイヴァーをも取り込もうと考えたのか、こちらにも蔦が数本伸びてきたが、それらはハルバート・ランチャーを使い対応する。

 先程ベーオウルフが取り込んだのは、4機目のファイア・ダガーで大破した機体だ。1機目の機体は幸いアダマン・ハルパーで内部から粉々になるまで斬り裂いたのでベーオウルフに見向きもされていないが、ナイン・テールモードで斬り裂かれた2機目と3機目は蔦を伸ばして吸収されてしまった。

 

「……まさに機械で出来た大怪獣って奴だな、これは」

 

 グロウセイヴァーの3倍近い大きさとなったベーオウルフを観察しながら、思わず口に出す。大男総身に知恵が回りかねとでもなってくれればいいんだが。そもそもアインストと化したこいつに知恵があるのかどうか。

 チラリ、とモニタの表示を見ると、残り時間は7分を切っている。敵は強大で残り時間は後僅か、か。

 歪な人型のナニカと化したベーオウルフが右手を振り上げ、そのまま振り下ろす。それはただのパンチなのだが、ベーオウルフの質量を考えればその威力は考えるまでもない。

 ただ。

 

「大きいだけあって動きが鈍いぞ、でかぶつ!」

 

 振り下ろされた拳を回避し、地面に突き立てられた右腕の肘の部分へとリニアレールガンをたたき込む。至近距離から放たれた弾丸は、右腕の関節部分を貫通して粉砕した。

 

「脆い?」

 

 リニアレールガン1発で砕けたその様子に思わず口に出すが、次の瞬間には右肩の部分と肘から先の右腕の残りの部分から蔦が飛び出し、融合して何事もなかったかのように元の右腕へと戻ってしまう。

 

「だよな」

 

 溜息一つ吐き、ベーオウルフから距離を取る。

 さて、普通ならこういうでかいのが相手の場合は内部からの攻撃ってのがセオリーなんだが。

 

「アインストじゃなければなぁ」

 

 さすがにアインストの内部へと突っ込む勇気は持てない。と言うか、それは勇気じゃなくて蛮勇だろう。

 ……待てよ? 内部、か。奴は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを3機取り込んだ。あの3機の動力源である核融合ジェネレーターは破壊されていなかったのでそのままベーオウルフの内部に存在している筈だ。そしてその核融合ジェネレーター3機を連鎖爆発させてやればどうだ?

 他にもっといい方法があるのかもしれないが、時間のない今、俺に思いつけるのはこれだけだ。残り時間も既に6分を切っている。

 

「分の悪い賭けは嫌いじゃない、か」

 

 原作のキョウスケの台詞を思い出し、口に出す。あぁ、本当に。これこそが分の悪い賭け以外のなにものでもないじゃないか。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト!」

「GYAAAAAAAAAA!!!!」

 

 T-LINKシステムで奴の機体を探ろうとしているのに気が付いたのか、雄叫びと同時にベーオウルフの身体中から蔦が生え、それらがこちらへと向かって伸びてくる。こうなるともう、蔦じゃなくて触手だな。

 

「くそっ、こう数が多いとT-LINKシステムに集中する事も出来ないな。集中、ファントムっ」

 

 再度精神コマンドの集中を使用し、蔦による触手攻撃を回避しながら自分に命中しそうなものだけをファントムのレーザー弾で焼き尽くす。

 とにかくこの触手をなんとかしてベーオウルフの動きを止めなければどうにもならないな。そうなるとグレイプニルの糸を使うしかないんだが、あれは基本的に射程が短い……短い? いやちょっと待て。そもそもグレイプニルの糸はT-LINKシステムを使って念動フィールドを変化させたものだ。つまり元々は俺の念動力が根本にある。となると……出来るか? いや、やるしかない、か。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! うおおおおぉぉぉぉぉ、グレイプニルの糸っ!」

 

 T-LINKシステムに限界まで念動力を注ぎ込み、右手に装備されたグレイプニルの糸を発動する。通常時なら糸が形成された時点で念動力を注ぎ込むのをやめるのだが、今回はそのままさらに念動力を注ぎ込み続ける。動きを止めてT-LINKシステムに集中しているので、当然ベーオウルフから伸びている蔦の触手はグロウセイヴァーへと攻撃を仕掛けてくるのだが、ファントムを使いこちらに命中しそうなものだけをなんとか撃ち落とす。だがそんな状況がいつまでも続く訳もなく、1機、また1機とファントムが叩き落とされていった。

 破壊されたファントムが10機を超えた頃、ようやくグレイプニルの糸が伸び始める。

 

「食らえぇぇぇぇっっっっ!」

 

 こちらへ向かってくる触手とベーオウルフを纏めてグレイプニルの糸で雁字搦めにする。その様は神を喰い殺したフェンリルを縛り付けるという伝説を再現したかのようだった。

 そして一息つく暇もなく、T-LINKシステムを使用してベーオウルフの中にある核融合ジェネレーターの場所を探す。

 

 …………あった! 丁度鳩尾の位置に3機纏められている!

 ファントムを6機のみ残して残り10機をクロノスへと収容する。

 これでようやく終わりだ、と気が緩んだ瞬間ふと気が遠くなりそうになる。

 ちっ、今回の戦いでT-LINKシステムを使いすぎた疲れが出てるな。

 考えてみれば、ベーオウルブズとの戦いで何度T-LINKシステムにフルコンタクトしただろうか。だが、それもこれが最後だ。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! ファントムよ、その牙で孤狼の命を貫け!」

 

 俺の意志に従い、念動力を限界まで込められたファントム6機が核融合ジェネレーターを目指してレーザーブレードの牙を剥く。

 

「ついでだ、これも喰らえ!」

 

 ビームガトリング砲、リニアレールガン、ガン・レイピア、ハルバート・ランチャーの4門をベーオウルフの鳩尾を狙い一点集中して撃ち放つ!

 レーザーブレードを展開したファントム6機が次々にベーオウルフの鳩尾を貫通し、そこにビームガトリング砲の細かいが大量のビーム弾が撃ち込まれ、リニアレールガンの弾と、ガン・レイピアのビーム弾が集中する。そして最後の仕上げとばかりに、ハルバート・ランチャーから放たれた複数の光線がベーオウルフの胸部へと撃ち込まれた。

 そしてそれと殆ど同時に、必要以上の念動力を込められて半ば暴走状態だった右手のグレイプニルが煙を上げて動作を停止する。

 

「加速!」

 

 このままここにいては、核融合ジェネレーター3機の爆発に巻き込まれる事になるので、加速を使いその場から急速離脱する。目指すはリュケイオスの設置されている実験場だ。既にモニタに表示されている残り時間は1分を切っている。

 

 

 

 

 

「くそっ、間に合うか!?」

 

 精神コマンドの加速だけでは足りず、クロノスの追加ブースターも全開に。そして十数秒後、ようやく目的地の実験場が見えてきた。

 既にリュケイオスを中心とした転移フィールドが発生している。

 

「間に合……っ!?」

 

 背後から迫ってきたナニカを感じ、咄嗟に機体をロールさせる。数秒後、グロウセイヴァーの飛んでいた空間を貫いたのは半ば予想通りアインストの蔦だった。

 くそっ、ジェネレーターの連鎖爆発はまだなのか!?

 この場で反転して駄目押ししておきたい所だが、転移までの残り時間は後30秒程度でそんな事をしている暇はない。かと言ってこのままではこいつまであちらの世界へと連れて行ってしまう事になる。

 その時ふと目に付いたのは、実験棟の天井部分。そしてグロウセイヴァーの胸部には発射の為に一々構えなくても大丈夫なファイア・ダガー。

 空中を飛んでいるグロウセイヴァーの胸部を天井部分へと向け、リュケイオスに向かって進みながらも胸部からファイア・ダガーを全弾発射。天井部分で次々と爆発が起き、天井の構造材が落下して蔦を押し潰す。

 それを見届ける間もなくグロウセイヴァーは転移フィールドの中へと入り、そしてその瞬間、モニタに表示されていた残り時間は0になりあちらの世界への転移が始まった。

 空間転移が発動する直前、恐らく核融合ジェネレーターの起こしたと思われる、まるで空間を震わせるような巨大な爆発音が聞こえてきたが、既に転移フィールドで半ば時空間にその身を移して機を窺っている俺にそれを気にするような余裕は無かった。

 

「……まだだ、まだ完全に時空間に入ってはいない」

 

 正直、ベーオウルフと戦っている時よりもある意味で緊張している。何せ早ければあちらの世界への転移に失敗する事になり、遅ければリュケイオスの回収は失敗する。

 

「!? 今だ!」

 

 その時、俺にタイミングを教えてくれたのは、念動力か第六感か。はたまたそれらとは違うナニカか。ただ、心の底から今しかない! というタイミングを教えてくれたものには感謝したい。

 

「収納、リュケイオス!」

 

 脳裏に浮かぶ空間倉庫の中身一覧に『リュケイオス』と表示されているのを確認した後、ようやくあちらの世界へと旅立つ事が出来ると安堵しながら俺の意識は闇に沈んでいった。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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