転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0813話

 視線の先にあるのは、高さ5kmを超える空飛ぶ城……否、要塞。

 確かに上部にあるのは城のままだが、その機能は優雅な城と呼ぶよりも堅牢な要塞と呼んだ方が正しいだろう。

 以前ホワイトスターで見た時よりも更に巨大になっているのは、いつも通りに魔法球を使った事による技術班の暴走だ。

 ここまで暴走したかと言うべきか、あるいはこの程度で済んで良かったと言うべきか……

 ともあれ、俺が消えていた1年半の間にシャドウミラーが開発していた、機動要塞ニヴルヘイム。シャドウミラーの象徴であるニーズヘッグ、旗艦であるシロガネと並ぶ、新たなるシャドウミラーの象徴。

 その初お披露目に本来予定していた魔法球の中ではなくこの場が選ばれたのは、エザリアからの要請によるものだ。

 色々と考えた結果、どうせなら派手に行こうということでこちらでのお披露目となった。

 幸い、シェリルも時間が取れたし。

 かつてはバジュラ本星と呼ばれた惑星ミュートス。そこに作られているシャドウミラーの都市から10km程度しか離れていない、一面の草原に現在俺の姿はある。

 他にもシャドウミラーの面々やフロンティア政府の者達が貴賓席に存在しており、ミュートスに存在しているマスコミの類も多くが来ている。

 勿論一般人――殆どがフロンティア船団所属だが――の姿もそれなりにある。

 ただ、やっぱり数としてはマスコミの方が圧倒的に上だな。

 そして周囲には何かが起こった時の為にシャドウやメギロート、それと最近量産が始まったイルメヤの姿も見られる。

 人数はこの程度だが、ギャラクシーネットにこの映像が流れている以上は恐らくマクロス世界の者達も多くが見ているだろう。

 何しろ、シャドウミラーは現在マクロス世界では注目の的だしな。

 ちなみに、この映像に関してはホワイトスターを経由してギアス世界、SEED世界、ネギま世界にも流されている。

 もっとも、ネギま世界に関して言えば麻帆良にいる魔法使いや火星の関係者、それと雪広財閥や那波重工でこっちに深く関わっている者達しか見られないようになってる筈だが。

 ギアス世界とSEED世界に関して言えば、普通に全世界へと放映されている。特にSEED世界はロゴスが妙な動きを見せているという報告もあるから、示威的な意味も含めての行動だ。

 ともあれ、そんな風に色々な世界に視線の先にあるニヴルヘイムの光景は放映されている訳だ。

 既にその姿を知っていたシャドウミラーのメンバーは頷いたり、あるいはどこか呆れたような表情を浮かべつつ空飛ぶ要塞へと視線を向けている。

 だが、それ以外。周囲の観客達は、ただただ唖然とした表情を浮かべている。

 ざわめきすらも殆ど聞こえてこないところを見ると、予定通り度肝を抜く事に成功したのだろう。

 特に新統合軍から派遣されてきている者達は、大口を開けてニヴルヘイムへと視線を向けている。

 ……ただ、マクロスという存在を知っているのに、ニヴルヘイムに驚くというのは……いや、マクロスはあくまでも戦艦の類として認識されているし、実際そのような外見だ。だが、ニヴルヘイムは空飛ぶ城のような外見をしていると考えれば不思議では無いのだろう。

 

『ご紹介します。皆様の視線の先に浮かんでいるのが、シャドウミラーの新たなる象徴でもある機動要塞ニヴルヘイムです。ご覧の通り、その威容は見ただけで相手を萎縮させる効果を持ち、鉄壁の盾ともいえる幾重もの防御フィールドに守られています』

 

 見学会場に響く声は、意外な事にオウカの声。

 今回のニヴルヘイムの公開の件で、誰がそれをやるのかシャドウミラー全員で悩んだのだが、やはりこの場合は女の方がいいだろうということになり、色々とやり取りをした結果、オウカの出番となったのだ。

 いっそ麻帆良にいるあやか達を引っ張ってくるという案も検討されたのだが、それは却下された。

 シャドウミラーに所属する事になった時、いわゆる内政要員の方に回るのを考えれば惜しかったとは思うが、何しろまだ高校生で以前に約束した卒業してからシャドウミラーに来るかどうかを決めるという約束もある。

 ……もっとも、個人的にはアルバイトみたいな形で一時的に雇うのは問題は無いとは思うんだが、その辺はケジメらしい。

 

『この名前に聞き覚えのある方も多いと思いますが、ニヴルヘイムというのは北欧神話に出てくる単語です。世界樹ユグドラシルの根が伸びているフヴェルゲルミルという泉がある場所であり、同時にその泉にはニーズヘッグと呼ばれる竜が生息している地として知られています。そして、私達シャドウミラーの持つ戦力の象徴がアクセル・アルマー代表の機体、ニーズヘッグ。この関係性を理解して貰えば、シャドウミラーにとってこのニヴルヘイムがどのような存在なのかは理解して貰えるでしょう』

 

 オウカの声が響き、周囲にいる一般の客やマスコミの視線がこちらへと向けられる。

 マスコミに至ってはカメラの類もシャドウミラーの方に向けているのを見れば、恐らくはギャラクシーネットに流れているのだろう。

 ……まぁ、フロンティア政府、新統合政府、新統合軍の3つに所属している、それなりに高い地位にいる者以外では、シャドウミラーの幹部達の姿を直接見るのはこれが初めてという者が多いのだと考えれば、それはある意味で当然か。

 ムラタのように人に注目されるのを嫌がってこの場に出席していない者や、フェイトやエヴァのようにシャドウミラーの一員という認識が薄い者、マクロス世界では行動する事が出来ないレオンが姿を現していない以上は全員参加といういう訳では無いが。

 そう言う意味でも、ニヴルヘイムのお披露目に俺達シャドウミラーの幹部がある程度揃ったというのはマクロス世界にとっては色々と意味が大きい筈だ。

 色々な意味でタイミングが良かったよな。

 ……実はシャドウミラーのメンバーの殆どがここにいるだけだというのはともかくとして。

 

『ニヴルヘイムの特筆すべき点は、やはり機動要塞という名称通り前線に移動出来るという事です。最前線にいながら、敵に攻撃される心配をせずに完全に安心して熟睡出来る……と言えば分かりやすいでしょうか。その秘密が、幾重に展開されている各種バリアとなります。軍事機密故に詳細は説明できませんが、2重、3重、4重、5重と、多数のバリアが展開されており、このバリアを破るのは実質的に不可能に近いと言ってもいいでしょう』

 

 不可能に近いという言い方は正確だよな。

 確かに多種多様なバリアを装備して――その中にはマクロス世界で得たピンポイントバリアも含まれる――おり、装甲にはマリューがシャドウミラーで研究を続けていた新型のPS装甲が導入されている。

 実弾兵器に対する防御力は以前と変わらないが、この新型の優れている点はビームに対する防御力だ。

 元々普通のPS装甲でも、装甲面積によってはPS装甲でもエネルギーを拡散、無効にする事が出来、結果的にはビームに対する強い防御力を誇っていた。それはSEED世界で俺が入手したジェネシスを見れば明らかだろう。

 そして、この新型のPS装甲はそのエネルギーを拡散、無効する能力をより高めた物だ。……まぁ、それでも一定以上の装甲面積が必要になるから、MSやPTのような人型機動兵器はともかく、シロガネですら装甲面積が足りないという、まだまだ未完成な代物ではあるが。

 それにあくまでも一定以下の攻撃を防ぐという意味なので、ぶっちゃけた話ネオ・グランゾンの縮退砲、あるいはニーズヘッグのラグナロクのような攻撃は防ぎきれない。

 ……そこまでの威力を発揮するような武器がそうそうあるとは思えないが。

 

『更に、ニヴルヘイムはこのマクロス世界で主流となっているフォールド機関の他に、システムXNと呼ばれるシャドウミラーの独自技術が使われています。これにより、惑星近くではフォールド出来ないという欠点を克服する事が出来ました』

 

 オウカの説明に、会場中がざわめきに包まれる。

 転移やワープといった能力を持つものはフォールドしかなかったのに、そこに量産型とは言ってもシステムXNを持ってきたんだから当然か。

 特にこのマクロス世界ではアタリア島でフォールドを行い、月の裏側にデフォールドする筈が冥王星付近にデフォールドしてしまった歴史があるからな。その辺には余計に気を遣うだろう。

 

「システムXN? フォールド機関程に信用出来るのか?」

「何しろシャドウミラーの言う事ですからな。どこまでが本当で、どこまでが嘘なのか、私達が判断出来ないというのは難しいでしょう」

「けど、俺が聞いた情報によるとシャドウミラーの機体はバジュラ戦役の時にミュートスから宇宙空間に幾度も転移したという話を聞いたぞ?」

「……それが事実なら、是非欲しいな」

「だが、あまり強く出る事が出来ないのは痛い」

「ああ。何しろ、シャドウミラーとしては無理にこちらと関係を持つ必要が無いと公言しているからな。それに……奴等の戦力はバジュラをも圧倒したと聞く。そんな相手とまともにやり合える訳が無い。もしそれで勝てたとしても、こちらが莫大な被害を受けて得るものが何も無いとなれば、骨折り損のくたびれもうけどころでは済まないぞ?」

「そうだな。特にアクセル・アルマーの乗っている機体、ニーズヘッグはマクロス・ギャラクシーを文字通りの意味で完全に消滅させるような能力を持っている。ここはやはり強硬姿勢ではなく、融和姿勢の方がいいだろう」

 

 貴賓席の方から聞こえてくる会話。

 向こうとしては小声で話しているつもりなのだろうが、人間よりも遙かに鋭い五感を持つ俺には普通に聞こえている。

 そして、貴賓席で話している者達のうち数人がこちらへと視線を向けてくるのを、笑みを浮かべて受け止める。

 会話が聞かれているとは思っていなくても、思うところがあったのだろう。ギクリとして一瞬固まる政治家や軍人達。

 同時に、タイミングを計ったように再びオウカの声が響く。

 

『さて、言葉だけで言っても信じられる人は少ないでしょうから、実際にその目で確認して貰いたいと思います。……では、皆さん、ニヴルヘイムにご注目下さい』

 

 その言葉を合図に、政治家や軍人達はどこかほっとしたような表情を浮かべてニヴルヘイムへと視線を向ける。

 そして、システムXNの特徴でもある光りの繭のような転移フィールドがニヴルヘイムの中心部分から生成され始め、やがて全高5kmはあるニヴルヘイム全てが光の繭で覆い隠され……次の瞬間には、こちらの視線から完全に姿を消していた。

 周囲がざわめきで満ちる中、再びオウカの声が響く。

 

『では、こちらの映像モニタをご覧下さい』

 

 会場の中心部分に展開される映像モニタ。そこに映し出されているのは、宇宙空間。下の方に見える惑星は、このミュートスだろう。

 そんな宇宙空間に、突然巨大な光の繭が現れ……その繭が霞の如く消え去った後に残っているのは、ニヴルヘイムだけだった。

 

『ご覧のように、ニヴルヘイムは惑星上からでも自由に転移が可能です。また、あのような外見ですが、周囲を多種多様なバリアで覆っている為に空気の流出も起こらずに宇宙での活動も可能です。また、ニヴルヘイムの中では常に1Gの重力が発生しているので、突然宇宙に出ても無重力によって身体が浮き上がって混乱する……というような事はありません』

 

 映像モニタに映し出されたニヴルヘイムに、再びざわめく観衆達。

 尚、ニヴルヘイム全体に1Gの重力を発生させるという点においては、マクロス世界から手に入れた重力制御技術を参考にしているらしい。

 一応OGs世界由来の重力制御技術でも可能らしいが、広範囲に1Gの重力を発生させるという点においてはマクロス世界の技術の方が勝っているとか何とか。

 これは恐らく、移民船団で使う為に必要となり発達したのだろう。

 

『次に、ニヴルヘイムの攻撃力についてです。先程も説明した通り、基本的にニヴルヘイムは機動要塞とでも称すべき存在です。その本領は前線で安全を確保する防御にあると言ってもいいでしょう』

 

 その言葉に安堵の息を吐く貴賓席の観客達。逆に一般とマスコミの観客達は残念そうな表情を浮かべている。

 まぁ、分からないでもない。貴賓席の面々にしてみれば敵対する訳でないが、それでもこれから付き合っていくだろう勢力の戦力が低いに越した事はないのだから。

 逆に一般やマスコミ達にしてみてば、どうせなら派手なものを見たかったといったところか。

 ……だが、シャドウミラーの技術力を、そして半ば暴走気味だった技術班を侮って貰っては困る。

 

『ですが、ニヴルヘイムが前線に赴く機動要塞である以上、当然敵の攻撃を防いでいればいいだけとは限りません。何より敵に対する攻撃手段が無いと知れば、向こうは安心して攻めてくるでしょうから。故に……』

 

 その言葉と共に、ニヴルヘイムの至る場所から重力波砲や重粒子ビーム砲が無数に放たれる。

 それこそ、ハリネズミの如くと表現するのが相応しい程に密集している攻撃だ。

 こうして映像で見ているからこそ、威力がそれ程高くないように見えるが、実際はあれ1門1門がヒュッケバインMk-Ⅱの装備しているGインパクト・キャノンと同じような代物だ。それが数千門近くも装備されているのだから、どれだけの攻撃力を持っているのかは明らかだろう。

 重粒子砲に関して言えば重兵隊バジュラを研究して作り出されたものの、メギロートへの搭載を諦めた奴を改良、大型化した物の搭載している。

 更に……

 

『続けて、ニヴルヘイムの主砲となります』

 

 その言葉と共にニヴルヘイムの底面から上に伸びている4つの部分を中心に強烈な光りが放たれ、ブレイズルミナスとグラビコン・システムによる巨大な仮想砲身がニヴルヘイムの前方へと作り出され……次の瞬間、その規模に見合った重力波砲が放たれる。

 ニヴルヘイムに搭載されている全てのブラックホールエンジンを最大駆動させ、平行運用して放つニヴルヘイムの主砲。

 その仮想砲門から放たれた巨大な重力波砲は、射線上にある幾つものデブリを瞬時に圧縮させて消滅させていく。即ち……

 

『現在ご覧になって貰ったのが、ニヴルヘイムの主砲エーリヴァーガルです。北欧神話ではニヴルヘイムにある川の名前で、凍りながら北にあるギンヌンガガプと呼ばれる世界創造の前に存在していた巨大な空間の裂け目へと向かうとされており、その神話に相応しい威力であると、自負しています』

 

 余りの威力に、会場にいる全ての者が無言になる。

 まぁ、バリアの維持や必要最低限のエネルギーを抜かした全てのエネルギーを使って放つ攻撃だけに、1度撃つと次に撃つまで10分くらい必要になるんだけどな。

 砲身も結局重力波砲に耐えられず、1度撃つ度にエネルギーによる仮想砲身を生成しないといけない。

 色々と難点もあるが、それを考慮してもエーリヴァーガルの威力は魅力的だ。

 他にも今回は披露しないがニヴルヘイムの底から発射するフレイヤもあるし、最終手段としてはバリアを最大出力で維持したままその質量を敵にぶつけるという体当たりもあったりする。

 ニヴルヘイムとしての攻撃力ではないが、メギロートやイルメヤ、シャドウといった兵力も常駐しているしな。

 

 

 

 

 

 こうして、色々な意味で観客や、この中継をギャラクシーネットで見ていたマクロス世界の住人、あるいは別に中継していたギアス世界、SEED世界、ネギま世界の重要人物達の度肝を抜いてニヴルヘイムの初お披露目は終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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