『ふむ、別の世界に転移するという件は了解した。儂からは特にこれといって言う事はないな。ただ希望を言うのであれば、マクロス世界に転移した時のように1年半も音沙汰無し……というのは、色々と困るのう』
『そうですな、こちらとしても同様の意見です。幸い、ロゴスに関しては早い内に暴走の芽を潰したので暫くは安全でしょうが、またここで1年半も……となると、同じ事が起きるとも限らないので』
『陽光としては、幸いまだ問題無くギアス世界を治める事が出来ているので特に問題は無いが、それでも何かあった時の事を思えば、やはり長期間シャドウミラーの戦力の象徴でもあるアクセルがいないというのは面白くないな』
近右衛門、ウズミ、星刻の3人が映像モニタ上でそれぞれの意見を告げる。
基本的に全員が別の世界に行くのは構わないが、長期間の不在は困るといったところか。
『その、皆さんアクセル代表が一時的にとは言ってもいなくなるというのに、随分と問題なさそうですな。こちらとしては、もう暫くミュートスの地盤がきちんと固まるまでは別世界の転移というのは待って欲しいのですが』
最後の1人、今回から新しくこの会議に参加する事になったグラス大統領が汗を拭きながらそう告げる。
ちなみに、この会議に出ているのが新統合政府の政治家では無く、フロンティア船団の……否、ミュートス政府の代表でもあるグラス大統領なのは、単純にマクロス世界での俺達の窓口が新統合政府ではなくミュートス政府だからな。
ギアス世界の陽光、SEED世界のオーブと同じような立ち位置だ。
他の世界とやり取りをする以上、どうしても1つの窓口というのは必要になる。何しろ、そういう窓口が無ければ無数の場所から会談なりなんなりの申し込みが来るのだから。
それ故に、マクロス世界での窓口はミュートス政府とさせて貰った訳だ。
勿論これはミュートス政府にも十分すぎる利益がある。何しろ、シャドウミラーとの独占的な交渉権を得たようなものなのだから。
まぁ、ミュートス政府の背後には当然新統合政府や新統合軍がいる以上、そう単純な話では無いのだろうが。
ともあれ、グラス大統領が最初に出席する会議でいきなり俺が別世界への転移を考えていると切り出したのは多少悪かったとは思っている。
だが……
『グラス大統領。アクセル代表が言っているのはあくまでも報告であって、提案ではないのだよ。ここで幾らこちらが転移をしないで欲しいと言っても、それは何らも彼の行動を止める手段たり得ない』
ウズミが忠告するようにグラス大統領――いや、ここはグラスと呼ぶべきだな――へとそう告げる。
実際、ウズミの言ってる通り、俺がしているのはあくまでもこうするように決めたという報告であって、どうしたらいいのか？ と言う提案や相談では無い。
『それにじゃ、グラス大統領。儂等としても異世界間貿易が出来る世界の数が増えるというのは、決して悪い事だけではないじゃろう？ 1都市でしかない麻帆良では色々と不利ではあるが』
『それは、まぁ……確かにそうですが……』
近右衛門の言葉に、思わず納得するグラス。
シャドウミラーの国是とも言える目的が、未知の技術の習得と異世界間貿易の出来る相手を増やす事であり、同時にそれらが増えた方がマクロス世界にとっても都合がいいのは間違いない。
「そっちでも納得してくれたようで何よりだ。まぁ、色々と意見があるのは理解しているが、既に転移を行うというのは決めているからな。ただし、今回はなるべく早く戻ってくるつもりなので、マクロス世界の時のように1年半も留守にするような事にはならない……と思う」
勿論最後まで言い切れないのは、転移先がランダムだからだ。俺個人としてはすぐに戻ってくるつもりだが、転移先がマクロス世界のように宇宙を旅している宇宙船だったりしたら、戻ってくるのもそれなりに難しい。
いや、ニーズヘッグを持っていく以上、戻ってくる事自体はそう難しくは無いだろうが、ゲートを設置出来る場所が無い以上はホワイトスターに戻ったら再びその世界に転移出来ないという事にもなりかねない。
特にマーカーは宇宙船の中に置いておいても動いている以上は殆ど無意味だしな。
ホワイトスターからマクロス世界を特定出来なかった理由でもある。
『ああ、こちらとしてもそうしてくれれば問題は無い。天子様にもその旨は伝えておく。それで、具体的にはいつ転移を実行するつもりなのか聞いてもいいか？』
「大体1週間くらい後を考えている。その間に引き継ぎの必要なものに関しては済ませておく予定だから、安心してくれ」
シャドウミラーの運営については殆どレモンやエザリア、あるいはマリューといった面子に任せているから、俺がやるべきことはそれ程無いんだが、それでも一応は代表となっている以上、ある程度の仕事や決断すべき事も色々とある。
……何よりも、いざという時にシャドウミラーの前線基地となるニヴルヘイムの艦長もまだ決まっていないしな。
いや、ニヴルヘイムは機動要塞という位置づけである以上、艦長じゃなくて司令とかになるのか？ ともあれ、以前考えた時にはエザリア辺りを考えてはいたんだが、今は色々と忙しい時期だしな。
結局ニヴルヘイムの司令については新しい人材が集まるまでは幹部の誰かが兼任ということになりそうだ。
個人的にはナタル辺りがベストだと思うんだが……さすがにオーブのエース部隊とも言えるアークエンジェルの艦長を引き抜く訳にはいかないし。
引き抜けば、ムウ辺りは喜ぶんだろうが。
あるいは、ネギま世界で高校を卒業したあやか辺りに任せて……いや、将来的にはまだしも、今すぐにってのは無理があるか。 そんな風に思いつつ、チラリと視線を映像モニタに映し出されているウズミへと向ける。
『アクセル代表、何か？ 転移前に片付けておくべき事案があったかな？』
そんな俺の視線をすぐさま受け止めて尋ね返してくるウズミに、小さく首を横に振る。
「いや、何でも無い。ともあれ、さっきも言ったが、1週間くらい後に新たな世界に転移を予定しているとだけ覚えておいてくれ」
『うむ、了解した』
話を締めくくるかのようにそう告げ、その会議に参加していた各世界のトップ達――近右衛門やグラスは違うが――は頷き、その後も多少の話し合いを行ってそれぞれが解散していく。
俺以外の者はまだやるべき事が色々とあるのだろう。忙しいのは、ある意味当然の出来事だった。
「さて、こっちも引き継ぎ関係の件や、決めておくべき事はやっておくとするか」
呟き、その場を後にする。
各世界のトップ達との会議から1週間後、俺の姿は予定通りにホワイトスターの転移区画ににあった。
現在、この転移区画は念の為ということでどの世界からも転移をしないように伝えてあるし、無理に転移しようとしても、ゲートを操作する量産型Wがその言葉に従う筈も無い。
もっともこの件は前もって各世界に伝えてあったし、何よりも転移の禁止については余裕をみても1時間程度だ。それ程の混乱は起きないだろう。
「さて、アクセル。準備はいいわね？」
そう尋ねてきたのは、転移座標を設定したレモン。
ランダムであるが故に、この転移座標やら何やらで転移する世界は決まる。
「ああ、問題無い。何度も言ってるように、俺が転移している間の事は全てレモンに任せる。勿論すぐに戻ってくる予定ではあるけどな」
「アクセルの事だもの、身体の心配はしていないわ。なるべく早く戻ってきなさい」
以前にベッドの上で見せた表情は思い出せないように笑みを浮かべ、そっと俺の唇へと自分の唇を重ねてくる。
そのまま、コーネリア、マリュー、スレイ、シェリルと唇を重ねると、次にあやか達4人が前に出る。
本来であればシャドウミラーに本格的に関わるのは高校を卒業してからとなっていたのだが、さすがに1年半もの間行方不明だった事を思えば心配して見送りに来るのはしょうがないんだろう。
「アクセル君、気をつけて下さいまし」
「危ない事をしないで、なるべく早く戻ってきてね」
「あまり心配させないでよね」
「アクセル君の事だから、心配しても殆ど意味は無いでしょうけど……でも、やっぱり気をつけてね」
あやか、千鶴、円、美砂からそれぞれの言葉を貰い、レモン達とは違って頬に軽くキスをしていく。
「ああ、任せろ。出来るだけ早くこっちもホワイトスターと連絡を付けられるようにするから、心配はいらない。それに、そもそも俺がどうにかなる訳がないってのは知ってるだろ？」
「確かに普通なら物理的な攻撃の類を無効化出来るのですから心配はあまりしませんが、アクセル君が今回転移する世界が、私達の世界のように魔法の類がある可能性もあります。そうなれば、やはり幾らアクセル君でも絶対に安全とは言えないですから」
頬のキスでその白い頬を赤く染めたあやかの言葉に、他の3人も同感とばかりに頷く。
確かに転移先に魔法の類が無い世界とは限らないのは事実だが、もし魔法があったとしても、今は空間倉庫にニーズヘッグが入っている。そしてニーズヘッグがあれば並大抵の危機はどうとでもなるし、魔法があったとしてもヒュドラに内蔵されているグレートグランドマスターキーもある。
「アクセル君。本っ当に、気をつけてね？」
「円も心配性なんだから。アクセル君よ？ 何かあったとしても、どうとでもなるでしょ」
「美砂、あんたね。さっきと言ってる事が思い切り変わってるんだけど」
美砂の言葉にジト目を向ける円。
「はいはい、その辺にしておきなさい。いつまでやっててもきりが無いから、そろそろ転移をするわよ」
小さく笑みを浮かべたレモンの言葉に、あやか達4人も小さく頷いて後ろへと引く。
そして、周囲に集まっている他の面々、シャドウミラーの幹部達に向かって軽く頷くだけで挨拶とし、そのままリュケイオスの側へと向かう。
「レモン、やってくれ」
「ええ。……アクセル、気をつけて」
最後にそう告げ、システムを操作していく。
「リュケイオス、起動。転移フィールド生成開始」
その言葉と共に、俺の身体を光の繭のようなものが覆っていく。
PTのような機動兵器ではなく、あくまでも俺1人を覆う転移フィールドの為、数秒と掛からずに生成は完了する。
「転移フィールド生成完了。……転移！」
レモンのその言葉と共に、システムXNが発動する。
そして気がつくと周囲の様子はホワイトスターにあった転移区画の様子から一変し……次の瞬間には俺の姿は荒野とでも呼ぶべき場所にあった。
周囲一帯が岩石砂漠とでも表現すべきその場所。それだけなら特に何か問題がある訳では無かったが、最大の問題は俺のすぐ目の前に20人近い人がいた事だ。
それも、ただの人ではない。軍服を着ている以上は軍人なのだろう。
向こうにしてもいきなり光の繭から現れた俺の姿に唖然としており、その隙に周囲の様子を改めて確認する。
まず最初に目に入ったのは、青色の装甲を持つ人型機動兵器。シャドウミラーの主力機種でもあるPTと比べると、見るからに華奢で運動性や機動性重視なその外見は、どことなくAMを連想させる。
それも圧倒的に撃たれ弱く防御力に弱い、最初期のAMであるリオンだ。
あるいは、この機体も戦闘機をベースにして開発されたのかもしれない。
この時の俺はそう判断したが、後日大型MMUという月面で作業をする為のものをベースにしたものだと知る事になる。
「き、貴様、何者だ！」
軍人の1人が銃を構えながらそう叫ぶ。
ようやく我に返った……とは言っても、ここまで俺が転移してから数秒程だ。それを思えば、それなりに優秀な部類なのだろう。
にしても、また人型機動兵器が配備されている世界か。……しかも見覚えの無い機種であるのを考えると、これまた原作を知らない物語なのは確実だ。
ともあれ、ここで無意味に敵対するのは上手くない。かと言って下手に出て侮られ、その結果こっちが与しやすい相手だと判断して最終的に敵対というコースも避けたい。
となると、しょうがないか。
一瞬で考えを纏め、パチンと指を鳴らして影槍を発動。瞬時に俺の影から伸びた100本近い影槍が銃弾の如き速度で伸びていき、俺と向かい合っている軍人達約20人程の身体を縛り上げて動きを止める。
尚、20人の中で実際に高い階級にある者は5人程だけであり、残りはその護衛と思しき者達だ。
へぇ、SPの消費がかなりスムーズだ。マクロス世界は問題外として、ネギま世界に次ぐ感じに魔法を使いやすい世界だな。
「なっ！？」
目の前の現実を信じられないとばかりに息を呑む軍人達を余所に、手に持っている銃で俺に狙いを付けようとしていた、青色の装甲をしている機動兵器に向かって叫ぶ。
「そこまでだ！ 俺を攻撃すればこいつらも死ぬぞ！」
『なっ、全機攻撃するな。銃口を下ろせ！』
青色の機体が外部スピーカーを通して叫ぶ。こちらに意図的に聞かせる為か、あるいはこちらに降伏勧告でも行おうとしてそのままだったのか。どちらにしろ、その声が響いた事により一触即発の状態は解除されたのだから、お互いにとって幸運だった。
「理性的な判断をしてくれて助かる。さて、こんな事をしておいてなんだが、俺はお前達の敵では無い。少なくても今は……な」
「それは敵になるかもしれないと？」
俺の言葉に、その場で最も階級の高そうな50代程の初老の男が尋ねてくる。
捕まっている軍人の殆どが金髪だったり赤毛だったり、あるいはその顔立ちを見る限り、ここは日本では無いのだろう。言葉が通じているのを考えれば、地球……あるいはマクロス世界の件も鑑みて地球人の移住惑星と考えるべきか。
「そうだな、いきなりこういう対応をしておいてなんだが、俺としては友好的な関係を望んでいる」
「……では、聞かせて貰いたい。君は人型のBETAではないと？」
一瞬の沈黙の後で問い掛けてくる言葉に、内心で首を傾げつつも取りあえずは頷く。
にしても、BETA？ 既に慣れたものだが、どうやらやっぱり俺はトラブルに巻き込まれる運命にあるらしい。
アクセル・アルマー
LV：42
PP：25
格闘：301
射撃：321
技量：311
防御：311
回避：341
命中：361
SP：1402
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル：EXPアップ
SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法（炎）
魔法（影）
魔法（召喚）
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数：1114