転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0819話

 一瞬、ジョンの口から出た言葉に目を見開く。

 本気か? そうも思ったが、俺に向けられている視線は決して冗談を言っているようなものではない。いや、寧ろこちらの真意を読み取ろうとしているかのような、そんな深い視線を向けていた。

 これは間違いなく本気で言っている。

 

「……なるほど」

 

 だが、そうなればそうなったで、逆に理解出来る事もあった。

 視線の先に存在している、青い装甲をした人型機動兵器だ。

 1997年という、まさか2000年にすら達していない状態で生み出された兵器だからこそ、色々と……それこそ、多種多様な人型機動兵器を見てきた俺にしてみれば、華奢で頼りないと思えるのだろう。

 勿論VFのように、一見華奢に見えてもエネルギー転換装甲の類を使って見た目にそぐわぬ防御力を備えている機体もある。OGs世界で言えば、幾つもの防御装置を備えているフェアリオンなんかはその典型的な例だろう。

 ニーズヘッグもバリアを複数装備しているとは言っても、基本的にはそっち系だと言ってもいい。

 だが、今俺の目の前にある機体は違う。1997年という、俺の知っている年代からすれば遙か昔の技術で作られた機体なのだ。それも、先程の話が正しいのだとすれば、この機体は新型機という扱いになっている。

 ……いや、寧ろ1997年程度の技術で人型機動兵器を作り出した事に驚くべきか。

 BETAとかいう宇宙生物が攻めてきている影響があるのは間違いないだろうが。

 はてさて、オーストラリアに転移した事もそうだが、この年代もまた予想外の展開だったな。

 

「どうかしたのかね?」

「いや、まさかこれ程の過去の世界に転移するとは思ってなかったんでな」

「ほう? すると君の世界はもっと未来にあると?」

「ああ。西暦という年号は既に終わって新西暦という年号に変わっている。……そうだな、ざっと200年程度は未来だな」

 

 ざわり、と。その言葉を聞いた軍人達がざわめく。

 そのざわめきの中には、驚きの他にも希望、欲望、そのような色も混ざっている。

 まぁ、無理も無い。話を聞いている限りでは、この世界は色々と危機的状況なのだろう。そこに200年未来に生きているという国家の代表がやって来たのだ。

 上手くいけば起死回生の一手になる。そう判断してもおかしくないだろう。

 

「シャドウミラーという国家や、一国の代表でもある君が何故率先してこの世界に来たのかと、色々と疑問はあるが……ともあれ、先程から何度か言っているように、この件に関しては私だけで決められる事では無い。至急上司と政府の人間に君の事を知らせたいと思うのだが、構わないだろうか?」

「ああ、そうしてくれ。勿論こっちとしても構わない。俺達の目的はこの世界との交流というのもあるしな」

「っ!? ……至急政府の方に連絡を取る。少しここで待っていて欲しい。お前達、彼の相手を頼む」

 

 その最後の言葉に目を見開き、部下へとそう指示をしてから慌てて少し遠くに置かれている機器のある方へと走っていく。恐らく、新型機とやらの性能を記録したりする為の場所に通信装置の類があるんだろう。

 ジョンの後ろ姿を見送り、何と俺に声を掛けたらいいのか迷っている軍人達へと視線を向ける。

 さすがに少将であるジョンとは違い、完全に未知の存在である俺に対してどう対応したらいいのか迷っているのだろう。

 取りあえず情報収集でもするか。BETAとやらについて聞きたいが、いきなり本題を聞いても口が緩くなる事はない。となると……そうだな、まずはこの世界の人型機動兵器について話題でも振るか。そもそもここには新型機の性能試験の為に来ていたって話だしな。

 

「あの機体、新型機なんだって? どんな機体なんだ?」

 

 近くにいた軍人――よく見たら最初に俺に銃を向けて来た奴だった――へと声を掛けると、その軍人は戸惑ったように口を開く。

 

「え? あ、その……はい。あの機体はF-18E スーパーホーネットという機体で、3年前に米軍で正式配備されたばかりの最新鋭機です。正式には新型機という訳では無く、F-18 ホーネットという機体の改修機という表現が正しいのですが」

 

 最初に俺へと銃を向けた時とは違い、丁寧な口調。

 ……いや、無理もないか。あの時はどこからともなく突然光の繭が現れ、その繭が消えた後には俺の姿があったんだからな。護衛としてこの場にいる以上、ああいう態度になってもしょうがない。

 にしても、F18 ホーネットか。俺の記憶にある戦闘機そのままの名前だが……この世界では戦闘機では無くあの人型機動兵器として生み出されたのだろう。

 

「つまり、あの機体が現在のオーストラリア国防軍とやらでは最新鋭の機体だと認識してもいいんだな?」

「はい。ただし、あくまでもオーストラリア国防軍では最新であって、あの機体を開発したアメリカではもっと高性能な機体を開発していますが」

「だろうな」

 

 アメリカに関してはどこの世界でも強い。ギアス世界のブリタニア、SEED世界の大西洋連邦といった具合に。

 ……そう言えば、不思議な事に俺自身がアメリカに対して味方したってのは無いな? 敢えて言うなら、SEED世界で大西洋連邦所属のアークエンジェルに乗ってたくらいか? ああ、ギアス世界でコーネリアに傭兵としても雇われた事があったか。

 

「見た感じだと運動性を重視している機体だが……ああ、ちなみに機種名は?」

「は? 機種名ですか?」

「戦闘機とか戦車とか。そういう機種名だ」

「ああ、なるほど。戦術歩行戦闘機です。一般的には戦術機と略してますね」

「戦術機、ね」

「はい。特にこのF-18Eは第2世代の戦術機の中でもかなり高性能な機体です。もっとも、前線国家やアメリカなんかではもっと高性能な機体が開発されていたり、配備されていたりするんですけどね。特に日本では既に第3世代機が配備されているとか。……ちなみに第2世代は第1世代と違って、防御力よりも運動性を重視した機体となっています」

 

 防御力よりも運動性重視。やっぱりリオンと似たコンセプトの機体なのは間違いないらしい。ただ、1997年という事を考えれば……

 

「この機体は空を飛べるのか?」

「……は? そんな事出来る筈が無いじゃないですか」

「そうか。まぁ、この年代で人型機動兵器を実用化しているだけでも凄いしな。さすがに技術的に無理があったか」

 

 そもそも、OGs世界でも人型の機動兵器が空を飛べるようになったのはメテオ3由来の技術でもあるEOTをテスラ・ドライブに流用したおかげだしな。

 だが、そんな俺の言葉に軍人は一瞬ポカンとした表情を浮かべると、すぐに納得したように頷く。

 

「そうですね、アクセル代表はBETAについての情報を持っていなかったのですよね」

「BETA?」

「はい。BETAの中には光線級と呼ばれる奴等が存在しており、そいつらのせいで基本的に戦場で空を飛ぶという事はありません」

「……へぇ」

 

 光線級ね。なるほど、確かにこの時代の技術力で作り上げた戦術機ではビームやらレーザーやらには対応出来ないだろう。

 だが、シャドウミラーの技術があれば……さて、どうだろうな。

 こちらから提供できる技術は数多い。先程の話を聞く限りでは、食料に関しても持ってくれば言い値で売れそうだし。

 ただ、問題もあるな。戦術機とやらの性能はまだ見てないから何とも言えないが、技術的に見るべき所があるのかどうか。

 そもそも、シャドウミラーが国交を望む世界というのは異世界間貿易もあるが、最も重要なのは、やはり未知なる技術の収集だ。1997年という時代を考えると、そっちの面ではそれ程期待出来ないだろう。

 それに異世界間貿易に関しても、食料品すら事欠くこの世界からは何を得る?

 ……あるいは、早々にニーズヘッグのシステムXNでホワイトスターに戻って、この世界とは決別した方がいいのかもしれないな。

 半ば本気でそんな風に考えると、ジョンが移動していた方から怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「だから、嘘でも何でも無いと言っているだろう! 実際に私がこの目できちんと確認した事だ! F-18の性能試験? だから、今はそれどころではないと言っているのだ! いいか、今話した内容は確かに荒唐無稽と言ってもいいと思うし、私にしても人から話を聞いただけでは信じられないだろう。だが、確かな事実として私はそれを経験したのだ! だから、政府の方へと……分かった、もし私の話が虚言であったのなら、その責任は取る。貴様の派閥の者を私の後釜にでも何でも据えるがいい。だが、今はこの好機を逃すような真似をしては断じてならん! 国家存亡の危機と言ってもいいのだ! ……分かった、なら中将や大将を納得させる事が出来ればいいのだな? 分かった。時間は……うむ、ちょっと待て。確認してくる」

 

 通信機を相手に怒鳴っているところを見ると、恐らく上司と話している訳ではないのだろう。違う派閥の同じ階級の相手といったところか?

 

「……アクセル代表、済まないがこれから私と共に一度軍の基地に来て欲しい。そこで軍の上層部に君達シャドウミラーの話を聞かせ、その証拠を見せて欲しいのだ。……頼めるか?」

 

 厳めしい顔つきに、申し訳なさそうな表情を浮かべながらそう告げてくるジョンに、問題無いと小さく頷く。

 まぁ、普通に考えて1997年のこの世界で異世界から転移してきた人物がいると言って即座に信じられる方がおかしいしな。いや、寧ろすぐさまそんな話を信じるとなると、逆にそれはそれで色々と問題がありそうだ。

 

「うむ、助かる。おい、車の用意をしておいてくれ」

「はっ!」

 

 先程まで俺にF-18の説明をしていた軍人に短く告げ、そのまま再び通信機の方へと戻っていく。

 

「では、車の準備をしますので」

「ああ、問題無い。そっちはそっちでやるべき事をやっておいてくれ。俺もまだ色々と試しておきたい事があるしな」

 

 そう告げ、俺の前から去って行く軍人を見送り、影槍を再び作り出し、あるいは炎を作り出す。

 周囲にいた他の軍人達が驚愕の視線をこちらへと向けているが、俺はそれを気にした様子も無く、魔法の確認をしていく。

 ……やっぱりな。さっき影槍を使った時にも思ったが、この世界は随分と魔法が使いやすい世界らしい。そういう意味では嬉しい誤算だ。正直、この世界を半ば見放すつもりになっている俺としては微妙な感じだが。

 ネギま世界から魔法使いを呼ぶ分にはいいんだろうけど。まぁ、戦術機とやらで対抗せざるを得ないBETAとやらとの戦いに使えるかどうかは微妙だけどな。

 せめてエヴァやフェイト、ネギ辺りのように魔法を使いこなせればBETAとやらに対する手段の1つにもなるか?

 

「うむ、彼には了解を貰った。すぐに基地に帰還するから、そちらでは上層部の者を集めてくれ。……分かっている。この件に関しては私が全ての責任を持つと言っているだろう。こんな時に派閥抗争を考えても意味が無いと分からないのか? 今はまさしく国家存亡の危機なのだぞ! ……うむ。こちらとしても事を荒立てるつもりはない。では、すぐに帰還する。恐らく1時間程だろう。うむ、そうだ。裏口の方に話を通していてくれ」

 

 そこまで告げ、通信を切る。

 今の話を聞く限りでは、やっぱり軍の中で派閥抗争は少なからずあるようだな。

 人類がかなり追い詰められているにも関わらず……いや、あるいはだからこそ、か?

 

「すまない、時間が掛かってしまった。では早速基地に向かおうと思っているのだが、構わないかね? ……その、出来ればその炎や影は消してくれると助かるんだが」

「ああ、問題無い」

 

 短く言葉を返し、腕の一振りで影槍と炎を消し去った。

 

「ちなみに、時間が無いというのなら転移魔法という手段もあるが……どうする?」

「転移魔法? それは……君がこの世界にやって来た時の?」

「いや、違う。あれは純粋に異世界間の為の転移装置だ。その辺についてはさっきも言ったと思うが? 俺の空間倉庫の中にはゲートと呼ばれる転移装置が入っていると」

「そう言えばそうだったか。いや、すまん。色々と私の常識から外れた話ばかりが出てくるものでな。……良ければ、その転移魔法について教えて貰えるかな?」

 

 こちらの手札を少しでも知ろうと言うのだろう。そう尋ねてくるジョンに小さく肩を竦めて口を開く。

 

「転移魔法。言うまでも無く転移する為の魔法だ。転移魔法自体の種類は色々と多いが、俺が使えるのは影のゲートによる転移魔法のみだな。影については何度か見ただろ?」

 

 再び指を鳴らして影槍を作り出して見せる。

 

「なるほど、やはり君は私の全く想像が及ばない存在であるのは間違いないらしい。ともあれ、政府に君の事を紹介しようと思っていたのだが、対立派閥からの横槍が入ってな。申し訳ないが、まずはそちらと会見を行って欲しい。頼めるかな?」

「まぁ、いいだろう。立場があれば色々と大変なのは分かっているからな」

 

 その言葉に安堵の息を吐き、先程の軍人が乗ってきた車へと乗るように促され、ジョンの所属する基地へと戻っていく。

 ……さて、今の時点ではこの世界との取引をする価値は殆ど無い。それが覆されるかどうか……どうなるだろうな。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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