転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0071話

 何やら軽い衝撃を受け、目を覚ます。

 

「ここは、一体?」

 

 モニタに表示されているのは漆黒の空間。遠く離れた場所では時々爆発光と思われる光が見える。

 

「……あぁ、そういえば」

 

 そう、俺はあちらの世界でベーオウルフを倒して……倒して? まぁ、核融合ジェネレーター3機分の連鎖爆発だ。恐らくテスラ研の地上施設諸共ベーオウルフも吹き飛んだだろう。幸いなのはヴィンデルやレモンがテスラ研の研究者達を隔離という名目で地下にあるシェルターに避難させていた事か。さすがテスラ研の地下シェルターと言うべきか、アースクレイドル並に丈夫らしいので地上でベーオウルフが爆発しても特に影響は無いと信じよう。

 その結果、俺はようやくこちらの世界へと転移してきたのだ。ただし対エアロゲイターの最終作戦であるオペレーションSRWのど真ん中に。幸いな事に作戦宙域でも外れの方に転移してきたらしく、周囲にあるのは隕石やらPTやAMの機体の破片のみで、こちらに敵対しそうなエアロゲイターの姿は見えない。

 モニタから見る限りでは、既にホワイトスターのエネルギーフィールドは破られている。となると既にクライマックス間近なのだろう。

 

「っと、このままここにいるのは不味いな。ASRS展開」

 

 ASRSを展開し、グロウセイヴァーの姿を隠す。これで原作のマスタッシュマンのように妙なあだ名をつけられる事はない。

 周囲に浮かんでいたリオンと思われる残骸――既にデブリと呼ぶべきか――を念の為に盾にするようにしてその後ろへと隠れる。

 先程俺が目を覚ました時に感じた衝撃の正体はこの残骸が機体に接触した音だったんだな。

 恐らくオペレーションSRWで撃破されたか、あるいはDC戦争時のコロニー統合軍の機体だろう。

 そんなリオンの残骸を見ながら、グロウセイヴァーの機体状況をチェックする。

 

「ファントムは残り11機、右手のグレイプニルが念動力のオーバーロードで動作不可。ファイア・ダガーは弾切れ。リニアレールガンの残弾は2発、ガン・レイピアは3発のみ、か」

 

 武器の損耗は著しいが、幸いグロウセイヴァーは時流エンジンを積んでいる為エネルギー消費の武器に関してはほぼ無尽蔵だ。よって現在使える武装は左手のグレイプニル、ビームガトリング砲、ハルバート・ランチャー、アダマン・ハルパーとなる。

 

「いや、あのベーオウルブズと1人で戦ってこの程度の損耗で済んでいるのだから幸いといった所か」

 

 残弾の少ない武装に関してはいつ補給できるのかも不明なので、もし戦闘になってもなるべく使わないようにしよう。

 そう考えると原作のアクセルが乗っていたソウルゲインはエネルギー消費か、そもそも弾数もエネルギーも消費しない武器のみとコストパフォーマンスには優れていたんだな。消費するのがエネルギーのみなら、時流エンジンをソウルゲインに積み込めばエネルギー切れの心配をしなくてもいいし。

 いや、でも近接戦闘用のソウルゲインであのベーオウルフと戦う事を考えれば機体損傷度がもの凄い事になっていたような気がする。実際、原作ではそれが原因で転移直後はまともに動かすのも難しかったらしいし。

 グロウセイヴァーが武器の残弾はともかく、機体損傷がないのは高機動射撃戦闘用の機体で、その距離でベーオウルフと戦えたからだ。そう考えると一長一短だな。

 

「あ、そういえば」

 

 ベーオウルフで思い出す。確かリュケイオスはきちんと空間倉庫に収容した筈だが、確認した時は念動力の使いすぎやら精神的疲労で朦朧としていたからきちんと確認しておくべきだろう。

 脳裏に空間倉庫の中身がリスト表示され、テロ組織から奪った武器各種や貯まりに貯まった金で纏め買いした物の名前が表示される。そしてリストの1番下にはきちんと『リュケイオス』の文字が。

 

「ふぅ、きちんと収納完了してたか」

 

 ……そう呟いた時、ふと気が付く。もしかしてファイア・ダガーの予備弾頭やリニアレールガンの弾丸を空間倉庫の中に入れておけば補充に苦労する必要もなかったんじゃないか?

 今更気が付いても後の祭りだが、地球へと降りればどうにか各種弾丸も手に入れる事が出来るだろう。あまり目立ちたくはないが、あちらの世界でやっていたように物資を奪われても表沙汰に出来ない所を襲うという手段もある。あるいは空間倉庫に入っている金塊で武器商人から買うという方法も。リニアレールガンの弾丸はレールガンを主武装とするリオン系列と弾の共用が出来る可能性があるので、ファイア・ダガーよりは弾丸の入手が容易だろう。

 

 とにもかくにも、リュケイオスが無事回収できた事が確認できただけでも良しとするべきか。

 

「……あ」

 

 そう思った時、再度気が付いてしまった。俺の空間倉庫は基本的に生物の収容は出来ないが、容量はかなり大きい。どのくらい大きいかと言えば、こちらで把握出来ないくらいだ。つまりは。

 

「ホワイトスターを奪えるんじゃないか?」

 

 原作通りなら、この一連の戦いは最後にホワイトスターがアインストに浸食されてラスボスとなる。ならその原因のホワイトスターを消しておくというのはありなのではないだろうか。

 オペレーションSRWが原作通りに進んでいるのならキョウスケルートであろうとリュウセイルートであろうと、エアロゲイターのメンバーは全滅している筈だ。

 正確にはヴィレッタや再生される予定のマイ・コバヤシなんかもいるが、少なくてもヒリュウ改やハガネがセプタギンを倒しにアイドネウス島へと向かった後には生命体は残っていない筈。後の問題は連邦軍がホワイトスターを占拠する前に回収できるかどうかだが……

 

「ASRSに賭けるか」

 

 なにせ俺の機体に装備されているのはあくまでもプロトタイプのASRSだ。実際、ブリットを吸収した時の戦いではトラブルを起こしてもいる。一応その後レモンがちょくちょく手を加えているのだが、原作のアースクレイドルで開発されたものより信頼性は低い。

 

「とは言え、結局はあるものを使うしかない、か」

 

 ASRSを展開しているとは言え、何が起きるか分からないのでリオンの残骸を盾にしたままホワイトスターへと近づいていく。

 生まれて初めての宇宙空間での行動だったので最初こそ多少ぎこちなかったが、さすがアクセルの身体と言うべきか。すぐにシミュレーションで体験した時のように自由自在に宇宙での行動をものにできた。

 恐らくこれが宇宙適性Sになっていたら最初からなんの戸惑いもなく操縦出来ていたのだろう。

 

「このままなんのトラブルもなくホワイトスターまで行ければいいんだが」

 

 あるいは、その台詞がフラグだったのかもしれない。メギロート5機とガーリオン2機が戦闘を行いながらこちらへと近づいて来る。

 このままASRSを展開して隠れているべきか、はたまた開き直って姿を現して7機とも撃破すべきか。迷ったのは一瞬。残弾が心許ない現状で好んで戦闘を行う必要もないと判断し、そのまま隠れている事にした。

 

「こっちに来ないで他の所に行ってくれよ」

 

 そう祈るのだが、不幸な事に7機の機体は戦闘を行いながらさらにこちらへと近づいてくる。

 だが、ガーリオンを操縦しているパイロットの腕がそれなりだった為か、アサルトブレードでメギロートを真っ二つにし、マシンキャノンやバースト・レールガンで残りのメギロートを全滅させた。

 

「助かった、か」

 

 そう安堵したのも悪かったのだろう。アサルトブレードで真っ二つにされたメギロートの上半身がこちらへと飛んできて俺が盾にしているリオンの残骸へと衝突。さらに間の悪い事に、それがなんらかのショックになってしまったのか唐突にASRSが解除され、グロウセイヴァーの姿が露わになる。

 

「そこの見慣れない機体、どこに所属しているものだ? 官、姓名を名乗れ」

 

 バースト・レールガンの銃口をこちらへと向け、通信を送ってくる。

 ちぃっ、運の悪い!

 思わず舌打ちをするが、逆に考えればこの2機をどうにかしてしまえば暫くは安全になるのだ。

 

「ファントムっ!」

 

 残された11機のファントムのうち6機を射出。恐らく初めて見る武器なのだろう、戸惑っているガーリオン2機へとレーザーブレードを使い攻撃を仕掛ける。

 1機につき3方向から寸分の乱れもなく突っ込んでくるファントムの姿に、ガーリオン2機は為す術もなく手足を斬り落とされた。

 

「悪いがしばらく漂流しててくれ。胴体部分には攻撃を加えてないから救助は呼べるだろう?」

 

 さすがにただこちらを見つけただけの相手を殺すというのは可哀そうだし、俺の心理的負担にもなる為に後を追ってこれないようにして連邦艦隊のいる方向へと流してやる。

 モニタで確認するとASRSが使用可能になっていたので、再度ASRSを展開してホワイトスターへと近づく。

 

 ……この2機のガーリオンのパイロットの報告により、グロウセイヴァーはマスタッシュマン……ではなく、インビジブルマンというコードネームを付けられるのだが、それは戦いが終わった後の話。

 

「よし。後は中から出てくるのを待つだけだな」

 

 ホワイトスターの外縁部へとグロウセイヴァーで取り付き、ASRSで身を隠してじっと機を窺う。

 そういえば、ホワイトスター近くにいるのはヒリュウ改。となると、この世界はキョウスケルートで進んでいる事になるのか。確かリュウセイルートだとヒリュウ改もホワイトスター内部に攻め込んでいた筈だし。

 

「……来たっ!」

 

 ホワイトスター周囲で戦っていたエアロゲイターの無人機達が唐突に動きを止める。恐らく内部でレビ・トーラーが倒されてホワイトスターの機能が停止したのだろう。

 その予想が正しかった事は数分後にホワイトスターから飛び出てきた機体群が証明してくれた。ゲシュペンストMk-Ⅲ……否、アルトアイゼン、ヴァイスリッター、グルンガスト系列が3機に隠しユニットのヴァルシオン改まで。そしてSRXやヒュッケバイン等々。それ等の機体を見た瞬間、ナニカを感じた。恐らく念動力者同士の共感のようなもの。あるいは、リョウト、アヤ、ブリット等の俺が吸収した念動力者達が平行世界の自分達と呼び合っているのか。

 その証拠という訳でもないが、SRXとヒュッケバイン2機が何かに動揺したかのように機体制御を崩している。

 だがそれもほんの数秒。すぐに自分達の母艦へと帰投してそのまま地球へと向かう。

 そしてそれをその2艦が十分に離れたと判断した俺は、ホワイトスターの表面にグロウセイヴァーの右腕を接触させる。

 

「空間倉庫、ホワイトスター回収」

 

 次の瞬間、コロニー並みの大きさを誇るホワイトスターの姿はこの宙域から消え去っていた。

 

「……ふぅ。どうやら無事に回収出来たようだな」

 

 脳裏に浮かぶ空間倉庫のリストには『ホワイトスター』の文字がきちんと表示されている。にしても、コロニー並の大きさも何の問題もなく回収可能とは……驚くべきか、呆れるべきか。

 

「何はともあれ、後は地球に降りる方法を考えないと」

 

 なにせグロウセイヴァーは特機並みの攻撃力を誇るが、特機ではない。ソウルゲインのようにその身一つで大気圏突破なんて真似は出来ないのだから。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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