転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0833話

 マブラヴ世界で中佐が率いてきた戦術機部隊との衝突があった日の午後、紅茶とクッキーを味わいながら異世界間貿易に関する報告を家のリビングで見ていると、唐突に通信が入る。

 ちなみに、既にこの家に残っているのは俺だけになっている。唯一残っていたレモンは戦術機と一緒に魔法球の中だ。恐らく今頃は戦術機についての解析に技術班総出で掛かっているだろう。

 ともあれ、映像モニタに映し出されたのはエザリアの姿だった。

 俺がホワイトスターに戻る時はレオンやその護衛と共に向こうの世界に残してきたのだが、今後ろに映っているのは外交担当のエザリアが使っている執務室だ。

 

『アクセル、今ちょっといいかしら? 向こうとの話で色々と纏まったから報告したいのだけど』

 

 へぇ、もう纏まったのか。……いや、驚くべき事でもないか。事件があったのは午前であり、今は既に午後の2時過ぎといったところなのだから。

 儀礼的なやり取りを除いて率直に話を進めたのを考えると、不思議でも何でも無いか。

 

「で、何が決まった?」

『まず、第一に非公式な首脳会談が決まったわ。行われるのは2日後にシドニーで』

「……随分と早いな」

 

 シャドウミラーのように小規模な国家であれば、そのフットワークは軽い。実際俺が未知の世界に転移しているのを思えば、その身軽さは言うまでもないだろう。

 だが、向こうはオーストラリアだ。人口の数で言えば俺達シャドウミラーとは比べものにならない程に多く、オーブや麻帆良、ミュートスよりも上だろう。

 現在国交のある国でオーストラリアと人口で互角以上なのは、中華連邦を吸収した形になっているギアス世界の陽光くらいの筈だ。

 それだけに、まさか2日後にいきなり首脳会談を許容するとは思っていなかった。

 ……まぁ、陽光は陽光でフットワークが軽いけどな。実際に国を動かしている星刻辺りは、病気が治った事もあって色々と精力的に活動しているし。

 それにしても、首都のキャンベラじゃなくてシドニーで、か。

 

『これはバソールト副長官と話して感じた事だけど、向こうはシャドウミラーの力を脅威に感じているのと同様に頼もしくも思っていたんでしょうね。でも、その矢先に今朝の出来事があったでしょう? アクセルが自分達に呆れて他の国に……あるいはゲートを破棄して繋がりを絶つという選択肢を採る事を恐れたんだと思うわ』

「なるほど。……まぁ、戦術機についても既に2機種だけだが入手しているしな。そう思ってもしょうがないか」

『で、2日後の非公式な首脳会談は大丈夫よね? 既にその方向で話は進めているんだけど』

 

 普通は俺に聞いてから話を進めるんじゃないのか? いやまぁ、エザリアは信用しているし、信頼もしているから、特にどうこうは言わないが。

 

「ああ、俺としては構わない。ただ、連れて行く人数はどのくらいにする? 首脳会談ともなれば俺1人だけという訳にはいかないだろ? それとも非公式な形での会談になるのなら、目立たない感じで俺1人の方がいいのか?」

『さすがにアクセルを1人でやる訳にはいかないから、こっちで何人か準備するわ。恐らくコーネリア辺りになると思うけど……』

 

 まぁ、そうだろうな。コーネリアはブリタニア皇族として生きてきただけあって、その辺の礼儀作法にも詳しい。更に元々個人としての戦闘能力もかなりあったが、魔法を習得した事により、そっちもかなりパワーアップしている。

 純粋に個人としての能力を考えれば、俺以外だとムラタが1番上だが……さすがにムラタを首脳会談の場へと連れて行く訳にもいかないだろう。

 

「了解した。今夜にでも話をしておくが、一応そっちでも話を通しておいてくれ。これが公式な会談なら、シロガネに乗ってシドニーに向かったんだけどな」

 

 この世界での空を飛ぶ機体といえば、輸送機、ヘリ、爆撃機、HSSTと呼ばれている再突入型駆逐艦といったところか。ちょっと珍しいところでは戦術機も一応空を飛べるが、それらは航空機と違って長時間空を飛ぶといった真似は出来ないしな。

 そんな中、光線級がいても全く問題無く空を飛べるシロガネ……あるいはニヴルヘイムがシドニーの上空に現れたらどうなるか。

 あからさまに技術レベルの違いを見せつける事により、シャドウミラーお得意の砲艦外交で交渉を有利に進めるといった事も出来たんだがな。

 まぁ、現状でこっちが圧倒的に有利な以上は無理にそこまでする必要はないって判断なんだろう。

 

『言っておくけど私達がシドニーに直接向かうんじゃなくて、一旦近くの基地に移動してから向こうの用意した乗り物で移動という形になる予定よ』

「だろうな」

 

 シロガネはともかく、ニーズヘッグやサラマンダーで向こうの都市に近づけば色々な意味で不味いだろう。

 そもそも機体の意匠そのものが戦術機と違うし。

 

「そっちについては了解した。詳しい話はそっちで詰めてくれて構わない。別に今回の会談で全ての話を決める必要はないんだろ?」

『そうね。今回はあくまでもお互いの顔見せの色が濃いわ。その後、私やレオンの方で向こうの外務省と話を詰めていく形になるでしょう』

 

 本来他国の首脳と会う時には、大々的とまでは言わなくてもニュースにはなるものだが……今回は俺達シャドウミラーが多次元国家であるというのがいい目眩ましになるか。

 もっとも、アメリカやソ連、イギリス、日本のようなこの世界の強国にはそれなりに情報が行き渡っているだろうが。

 あるいは、国連辺りから色々と情報が流れている可能性は否定出来ない。

 

『アクセルにしても、色々な場所からコンタクトを求められても困るでしょ? それを考えると、やっぱり窓口は必要だと思うわ』

「だろうな。迂闊に妙な真似をされるよりはそっちの方がいいだろう。分かった、首脳会談の件に関しては完全にそっちに任せる。俺は他の世界にマブラヴ世界についての情報を知らせておく」

 

 そう告げ、そこから10分程マブラヴ世界でのやり取りについての話をしてから通信を終わるのだった。

 

 

 

 

 

『ふむ、なるほど。確かに話を聞いた限りでは色々と大変な世界のようじゃな』

『アクセル代表の話を聞く限りでは、私達が戦ったバジュラと似たようなところが多々見受けられますが……意思疎通は無理なのですか?』

 

 近右衛門の言葉に被せるようにグラスが口にした内容に、小さく首を横に振る。

 

「まだ本物のBETAとは直接遭遇してないからな。何とも言えない。だが、マブラヴ世界の人間にしてもBETAについては当然意思疎通出来るかどうかは試してみただろう。それでもまるで成果が出ていない以上、通常の方法で意思疎通を図るのは難しいと見るべきだ」

『となると、バジュラを相手にしてやったように歌で意思疎通を試してみるのは……色々と難しいか』

 

 星刻が言葉の途中で自分の言葉を否定する。

 

『少なくても、ランカ君をそちらの世界に派遣するというのは難しいでしょうな。彼女は今やミス・シェリルに並ぶ程の人気を誇っているのだから。もし派遣するにしても、相当な数の護衛が必須になるでしょうが……頂いたデータにあった、光線級というBETAはVFにとっても難しい相手になるでしょう』

『いや、VFだけではないですよ。私達SEED世界にしても対ビームコーティングを施されたシールドではレーザーを防げません。アークエンジェルのようにラミネート装甲を持っていなければ……』

 

 グラスの言葉に、ウズミが溜息を吐く。

 だが、こちらで得た情報が確かであるのなら、エネルギー転換装甲を持つVFは重光線級のレーザーに関しても高い防御力を発揮するだろうし、MSにしても、オーブのアストレイなら熱に強い発砲金属なのである程度は重光線級のレーザーを防ぐ事も可能だろう。

 ……ストライクダガーは話は別だが。

 

『ギアス世界は……バリアがあるのはほんの一部の機体だけなので厳しいだろう』

 

 苦々しげに呟く星刻。

 まぁ、ギアス世界でバリアと言えば一番有名なのはブレイズルミナスだろうが、それを開発したロイド達はこっちに来てるしな。

 勿論ロイド以外に研究者がいない訳では無いだろうが、それでも能力的に大きな差があるのは事実だ。

 ロイドに匹敵する技術者と言えばラクシャータだが……ああ、一応輻射波動を使えばどうにか対抗できるか? ただ、それだって狙って放たれたレーザーに対してであって、四方八方から撃ち込まれてはどうしようもない。

 それはピンポイントバリアを装備しているVFも同様だが。

 まぁ、こっちで調べた限りではKMFはともかく、MSやVFなら重光線級のレーザーも無効化……とまではいかなくても、ある程度耐える事は出来るはずだ。S.M.Sのパイロットになれば、回避するなり防ぐなりで対応は出来そうな気がする。

 

『うちは他の世界のように機械の兵器は殆ど無いが……アクセル君であれば火星の方に声を掛けて修羅を派遣する事も出来るのでは無いかね?』

「いや、修羅神も幹部の機体はダメージを回復出来る能力があるが、一般の修羅兵が乗っている烈級修羅神はバリアの類が何も無いからな。光線級を相手にするのは難しいかもしれないな。……レーザー自体が、射程はともかく威力はそれ程高くないからな。それを思えばKMF以外の機体でもある程度どうにかなるんだろうが……」

 

 KMFは基本的に小さいから装甲も相応に薄い。

 その言葉に小さく眉を顰める星刻。

 そう言えば、中華連邦では新たなKMFを開発しているって話だったが、その辺はどうなったんだろうな。

 ただまぁ……

 

「向こうの世界の主力兵器でもある戦術機は、性能自体はガン・ルゥ以上サザーランド未満ってところだ。しかもガン・ルゥと違ってパイロット自体が相当に選別されている。この件から考えれば、恐らくパイロットを選ばないガン・ルゥ辺りは飛ぶように売れると思う」

『本当か!?』

 

 その言葉に、珍しく見て分かる程の笑みを浮かべる星刻。

 ……まぁ、陽光では大量にガン・ルゥを持っていただけに、処分に困ってたんだろう。

 ただ、ガン・ルゥの動力源がエナジーフィラーである以上、サクラダイトも同様に必要になってくるだろうが。

 後は……

 

「戦術機が電力で動いている以上、SEED世界とネギま世界のバッテリー関係も売れるかもしれないな」

『ほう、それは重畳』

『こちらとしても、それは嬉しいぞい』

 

 ウズミと近右衛門が俺の言葉に笑みを浮かべてそう告げる。

 元々はSEED世界からネギま世界へと渡ったバッテリー技術だが、雪広財閥や那波重工の研究者が開発を重ねてそれなりにネギま世界でもシェアを得て、ネギま世界独自の技術と言ってもいいまでに発展しているんだよな。

 

『ガン・ルゥというのは、確か射撃用のKMFだっと思うが……それなら、ミュートスからもデストロイドを、というのもありでは?』

「……そう言えばデストロイドがあったな」

 

 実際、遠距離からの射撃という意味ではデストロイドはかなりの威力を持つ。俺が原作で知っているデストロイドに比べると機動力もかなり上がっているし、戦術機以上の主戦力として期待は出来る。……だが、最大の問題は熱核反応炉に換装されていることか。マブラヴ世界にとってはオーバーテクノロジー過ぎて、それを解析しようとしてとんでもない災害を引き起こされては洒落にならない。

 

「ともあれ、条約に従ってもし兵器を向こうに売り出すという事になった場合は、シャドウミラーが一旦買い上げてから向こうに売る形になると思う。それに、向こうの世界にしても一度に大量の機種を持ち込まれても整備の面で混乱するだろうしな。それよりも、兵器ではなく食料や資源の類が向こうにはかなり売れると思うから、そっちの方向で考えを進めて欲しい。特に日持ちする軍用のレーションなんかは、あればあるだけ売れるだろう。……まぁ、首脳会談の結果如何によっては無駄になる可能性も否定出来ないが」

 

 そう口に出しつつも、俺としてはオーストラリアがこっちの手を拒む事は無いだろうと判断している。

 何しろ、人類絶滅の危機だからな。生き残れる手段があるのなら、何が何でもそれを選ばざるを得ないだろう。

 マブラヴ世界であれば、オーストラリアで作られている食料の輸出を取引材料にも出来るだろうが、俺達の場合はそもそもこっちが輸出する側に回ろうとしているんだから、それも出来ない。

 戦術機の技術に関しては、正直オーストラリアはマブラヴ世界の中でも後進国に近いし。

 ……日本よりも国力があるのに、独自開発出来ないってのは何でなんだろうな? イギリス辺りは周辺諸国と協力して第3世代機を作るプロジェクトを立ち上げているというのに、オーストラリアではそれをしている様子も無い。

 まぁ、地球に降ってくるBETAの着陸ユニットは宇宙で撃ち落としているし、周辺は海に囲まれているという関係上危機感がBETAと接している日本やイギリスに比べて低いのは間違いないが……ともあれ、その辺に関しては他国の事だし俺達シャドウミラーが関与すべき事態では無い。

 

「とにかく、マブラヴ世界についての情報はデータとして送った通りだ。各自の世界でも色々と考えはあるだろうが、出来る事を考えておいてくれ」

 

 まぁ、元々はマブラヴ世界を見捨てようとしていた俺が言うべき言葉じゃないよな。

 そんな風に思いつつ、その日の通信会談は終了するのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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