転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0836話

 首相から是非前向きに検討したいとの返事を貰った会談が終わって30分程。俺とコーネリア、ムウの3人は、ホテルのレストランで食事をしていた。

 ちなみに量産型Wは出入り口付近に立って護衛をしている。

 首相は会談が終わってからすぐにホテルから帰って行ったのだが、その際にこのホテルで食事をしていくように勧められたのだ。勿論料金の支払いは向こう持ちで。

 首相が帰った理由は明白で、やはり俺の口から出た数々の言葉が影響しているのだろう。特に向こうにしてみれば、オーストラリアがシャドウミラーとの交渉の窓口になるというのは絶対に他の国に渡せないだろう選択だ。

 窓口という立場を活かして恣意的に行動すれば俺達がこのマブラヴ世界から手を引くという、脅しにも近いように告げたが、それは逆に言えば恣意的に行動するのではないのならOKだということだ。

 そんな行動をせずとも、俺達シャドウミラーとの繋がりがあるというだけで十分な利益になるのは間違いない。

 で、エザリア達の方はまだ色々とやり合っており、待っている間は暇だからという事で、昼食を取っている訳だ。

 

「へぇ、さすがに高級ホテルだけあって美味いな。アクセルの話によると、この世界は合成食ってのがメインの食事になってきてるんだろ?」

 

 ローストビーフを口へと運びながら満足そうに告げるムウ。

 俺は、今が旬だというロブスターのソテーを味わってから口を開く。

 

「ここは見ての通り高級ホテルだからな。当然、世界中からまだ生き残っている国家のお偉いさんが利用するだけに、食事に関しても天然物を使っているんだろう。肉関係は育てるのに色々と場所や餌が必要だから量が少ないだろうが、魚介類に関しては普通に周辺の海で獲れるし」

「それに食糧自給率が高いらしいからな。オーストラリアではちょっと高めの料金を出せば普通の食べ物……いわゆる、天然物を食べる事が出来るらしいが、前線国家だと合成食が一般的らしい。そういう意味では、ここに転移してきたアクセルは運が良かったな」

 

 ヒラメのムニエルを皇女らしい優雅さで口に運びながらコーネリアが告げる。

 高級ホテルだとは言っても、普段なら人前で転移してきた云々というのは口に出せる筈が無い。現在シャドウミラーについて知っているのは、あくまでもオーストラリア政府の上層部に、軍の一部、それとアメリカのようなオーストラリアを上回る国力を持つ国と、イギリス、日本辺りもか? 国連の方に話が通っていれば話は別だが。

 ともあれ、そういう理由で現在このレストランは俺達の貸し切りになっている。

 高級ホテルのレストランを貸し切りにし、その食事代金も自分達が持つというところにオーストラリアが今回の会談にどれだけ本気で望んでいるのかが分かるだろう。 

 実際出される食事は全て天然物を使っており、最高レベルの料理人が腕を振るっているだけあって非常に美味い。さすがに本職と言うべきで、俺の中では料理人としてはトップクラスに入っていたネギま世界の四葉と比べても数段上だ。

 

「まあな。実際、この世界の合成食ってのはとても食えたもんじゃないのは事実だ」

「……確かに」

 

 ホワイトスターで合成食を食べたマリューの様子を思い出したのだろう。思わずといった様子でコーネリアが頷くが、それを見ていたムウは首を傾げる。

 

「話には聞いてたけど、実際に食べた事がないからなぁ。そんなに不味いのか?」

「相当にな。調理次第ではある程度の味に仕上げられるらしいが……少なくても俺は自分から進んで食いたいとは思わないな。合成食の味を上げるってのは、恐らくオーストラリアを含めた他の国々からもシャドウミラーに欲する技術の1つだろうな」

 

 もっとも、これには色々と難点もある。以前にも考えたように、味というのは国や地域といった場所で大きく変わる。

 ある場所ではこれ以上無い程に美味いと言われている料理の味が、他の場所では食べられたものじゃないという風に感じるとかな。

 日本のような国ですらもそんな風になるんだから、他の国では言うに及ばずだ。

 そんな風に話しながら食事をしていると、やがてレストランの出入り口の方が騒がしくなり、エザリア、レオン、イザークの3人が姿を現し、そっちについていった量産型Wが他の量産型Wと合流しているのが見える。

 

「おう、そっちの方も終わったか。随分と長かったな」

「外交というのはそういうものよ」

 

 ムウの言葉にエザリアが笑みを浮かべて答え、俺達と同じ席に着く。

 そのまま近くにあるスイッチを押すとウェイターが姿を現し、3人が注文をすると去って行く。

 それを見送ってから、それぞれの成果を報告し合う。

 まぁ、ホワイトスターに戻ってからもやるんだが、折角だしな。

 それにお互いに何か見落としているところもあるかもしれないし。

 とは言っても、俺の方は今回あくまでもアンディーとの顔合わせが主な目的であり、こっちの要求についてはBETAの着陸ユニットの確保や迎撃に関しての話しかしていない。そういう意味では、エザリア達の方が重要だろう。

 そして事実、実務的な話をしており、重要な用件ではあった。

 

「ゲート襲撃の謝罪という事で、ゲート周辺5km四方はシャドウミラーの土地として正式に譲渡される事になったわ。他にも色々とあるけど……そっちはまだ本決まりじゃないわね」

「へぇ。中々に頑張ったな」

 

 これまでは、ゲート周辺の土地はあくまでも借りているという形だった。それも5km四方という程に広くは無く、精々100m四方といったところだ。それを思えば、エザリアやレオンがどれだけ頑張ったのかは想像するに難しくない。

 そんな俺の言葉を聞き、次にレオンが小さく笑みを浮かべて口を開く。

 

「それと、今回得た土地に関しては治外法権を認められました。一種の大使館的な感じという形になったようですね。……まぁ、大使館と言うよりは基地という形になるのでしょうが」

「5km四方の基地と考えるとそれなりに大きいな。ユーラシア大陸からの臨時政府が入ってきている事や農地を増やしている事を考えると、向こうとしてもかなり奮発したといったところか。……もっとも、それだけ今回の件を重く見ていて、真摯に対応をするというのを態度で現しているとも考えられるがな」

 

 パンを一口サイズに千切って口へと運びながらコーネリアが告げる。

 丁度タイミング良くエザリア達の昼食が運ばれてきた為に一旦話を中止し、ウェイターが去った後で再び口を開く。

 

「ゲート周辺の土地に関しては良くやってくれた。それで、こっちが接収した戦術機の方は?」

「そちらに関しては、レモンの要望通りそれぞれ2機ずつ確保したわ。ただ、向こうにしてもかなりの譲歩をしたからには、こちらとしても相応の対応を求められるでしょうね」

「と言うよりも、寧ろそれを狙って譲歩したと考えた方がいいかと」

 

 エザリアの言葉にレオンがそう付け足す。

 なるほど、さすがに対応が強かだな。ただまぁ、その辺はある意味で予想通りだ。

 元々このマブラヴ世界に対して干渉すると決まれば――現時点で半ば決まっているが――こちらからの持ち出しはどうしても多くなるのだから、多少増えた程度では問題無いだろう。

 ……そもそも、この世界と貿易するにしても何で支払って貰うかというのは色々と厳しいんだよな。資源というのはまず無理だし、技術に関しても遅れている。となると残るのは金だが、それにしたってその金を使う為にはこの世界に破滅されては困る。

 そうなると、更にこちらから持ち出しが増えて……何と言うか、悪循環に近い。

 まぁ、俺達の場合はG元素を恒久的に得る為という理由があるが、他の世界の場合、最初はともかくとしていずれは先細りになる可能性は十分にある。

 ネギま世界的には火星への移住者を多く獲得出来るかもしれないが。

 

「ただ……」

 

 話の流れを切るように、レオンがほうれん草とカニのクリームパスタを口に運んでから呟く。

 その表情に浮かんでいるのは悩ましげな表情。

 何かしてやられたのか?

 そんな俺の視線に気が付いたのか、小さく首を振ってから再び言葉を続ける。

 

「いえ、ある意味ではしょうがないのですが、近いうちに私達の部隊だけでBETAと戦う必要があるかもしれません」

「……なるほど。アメリカを含めた国連に対して私達の力がどの程度あるのかを見せる必要がある訳か」

「ええ、コーネリアさんの言う通りです。そして、そこでシャドウミラーにどれだけの力があるのかを直接見せつけないと、後日色々と面倒な事になりかねません」

「ここでもアメリカ、か」

 

 2人の話を聞きながら、面倒事になるだろう原因を口にする。

 シャドウミラーが要求したような、宇宙でのBETAの着陸ユニットに対する優先的な迎撃の権利のような特権を得るにしても、それだけの実力が無ければ向こうとしてもそんな真似は出来ないだろう。

 着陸ユニットの迎撃を任せました、ですが失敗してその結果SHADOWも突破されて、地球に新しくハイヴが出来ましたではこの世界の者として許容出来ないだろうし。

 そう口にすると殆どの者が頷くが、それに対してムウが訝しげに呟く。

 

「けど、それについてはシャドウミラーが撃退する範囲を国連宇宙軍の更に外側に設定すればいいだけじゃないか? そうすれば、俺達が迎撃を失敗したら国連宇宙軍のSHADOWに任せればいいんだし」

「確かにそうだけど、勿論それだけが理由じゃないわ。一応アクセルの演習シーンや、ゲート付近での戦いの映像も流されてはいるでしょうけど、それを見たのは限られた人員のみなのよ。そして、出来れば私達がそれだけの力を持っていると信じられない……あるいは信じたくない人がいる」

「……信じたくない人?」

「ええ。例えば私達の戦力が低いと仮定した場合、某国家としては私達に戦闘を仕掛けて倒し、ゲートを占拠。……済し崩し的にホワイトスターを占領するといった事が出来れば最高でしょうね」

 

 そんなエザリアの言葉に、イザークがピクリと頬をひくつかせる。

 分かってはいたが、やっぱりイザークもホワイトスターに……そしてシャドウミラーに対して愛着を持ってくれているのか。

 ともあれ、イザークの頭に血を上らせておくと余計な揉め事が起きかねないので、すぐに口を挟む。

 

「もっとも、占拠云々と考えてるのはあくまでも某国家だけで、他の国にしてみれば純粋に俺達の戦力を信じられないといったところか。で、その戦力を確認する意味でもどこかのBETAがいる戦場に俺達を放り込むと」

「……どこの戦場だ?」

「さて、どこだろうな。無難に考えれば中国だろうが」

 

 ギアス世界の中華連邦と違い、このマブラヴ世界の中国は正真正銘存亡の危機に入っている。妙なちょっかいを出すような真似はせず、こちらに協力すると、あるいはして欲しいと思うんだが……さて、どうだろうな。

 この辺については実際にユーラシア大陸の戦力を派遣している国や国連軍辺りから情報を貰うのがいいだろう。

 

「とにかく、色々と理由はあるけど国連から援軍の要請という形でシャドウミラーに対して戦力の提供を要望してくるのは間違いないわ。けど、それは私達にとってもチャンスでもある」

 

 ニコリと笑みを浮かべるエザリア。

 普段がクールビューティーなだけに、その笑顔を見ると……背筋に冷たいものが走ったのは俺だけじゃない筈だ。

 事実、ムウやイザークもその額に汗を掻いているしな。

 

「逆に言うと、その戦闘で私達の戦力を見せつければ萎縮して強権的な真似は出来なくなるという事よ」

「なるほど、確かにこの世界の軍隊がどうやっても勝てない相手に対して、俺達が殲滅する勢いで狩り尽くせば、それは圧倒的なまでの力の証明となる。そして、絶対に敵対出来ない相手としてこの世界の国々には認識される訳だ」

 

 俺の言葉に、良く出来ましたとでも言うようにエザリアが頷く。

 だが、それに待ったを掛ける者も当然いる。ムウがローストビーフを飲み込み、疑問を口にする。

 

「けどさ、そうやってBETAとやらを全部倒したとして……そうなったら俺達のように強力な戦力をもった異世界の国家は危険視されるんじゃないか? 何しろ、この世界全ての国家が倒せなかった相手を、俺達だけで倒してみせた場合、当然次に危険視されるのは俺達になると思うが」

 

 その疑問に答えを返したのはエザリアではなくレオン。

 

「確かに危険視はされるでしょう。ですが、シャドウミラーを通して他世界の商品を満喫したこの世界の者達に、それが許容出来ると思いますか? 特に誰でも操縦出来る機体ということで期待されているKMFはエネルギー源がこの世界に存在しません。……あるいは、存在しても発見されていません。それに、最悪この世界から手を引けばいいだけです。そもそもこの世界で得るべきものはG元素という物だけなのでしょう? ならば、それはBETAとの戦闘の中で十分に入手出来るでしょうし」

「……えぐいな」

「いえいえ、全てはこの世界の住人達が選ぶべき事ですから」

 

 笑みを浮かべてそう告げるレオンの顔は、俺の予想以上に生き生きとしている。

 ……シャドウミラーの空気が合っているのか、あるいはこのマブラヴ世界との相性がいいのか。

 ともあれ、それから昼食を食い終わった俺達はホテルを後にして基地経由でホワイトスターへと戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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