転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0844話

 マブラヴ世界のオーストラリアへと転移が完了すると、すぐにブリッジへと通信が入ってきた。

 そこに映し出されたのはゲートの守備に回されてる量産型W。相変わらずのヘルメットを被ったままで報告をしてくる。

 

『アクセル代表、国連にいるレオン・三島からの伝言があります』

「連絡?」

 

 俺と連絡が取りたいのなら、ゲート経由でホワイトスターに通信を飛ばせる筈だが……いや、あるいはその暇が無かったのか、はたまた通信をずっと送っている訳にはいかなかったのか。

 どちらかと言えば後者っぽいな。何しろアラビア半島にBETA5個軍団以上が攻めてきているという人類の危機だ。国連ともなれば、そしてアメリカである以上通信装置は幾つも用意はしているんだろうが、それでもレオンが通信装置を使える時間はそれ程無かったのだろう。

 この世界の救世主になるかもしれないシャドウミラーに対しての態度とは思えないが、そもそも将来的に救われるとしても現在自分達が滅びてしまっては意味が無いと考えれば、ある意味当然か。

 通信機を渡しておけば良かったな。

 ちなみに、いつものように隊長と呼ぶのではなく代表と呼んでいるのは、そのように命令したからだ。さすがに国家の代表が隊長呼ばわりされているというのは向こうに違和感を与えるからな。……あるいは独裁国家扱いか? いやまぁ、それはある意味では間違っていないのかもしれないが。

 

「分かった。伝言は何と?」

『アラビア半島を防衛しているアフリカ連合軍、中東連合軍、それと国連軍にはシャドウミラーという存在が援軍として向かうという伝言は伝えており、向こうに展開している部隊に敵として認識される事はないそうです。それと、取りあえず今回に限っては向こうの指揮系統に入る必要は無いと』

「……へぇ」

 

 この短時間でそこまでの交渉をしてのけたか。さすがにレオン。能力的には優秀だ。

 本来であれば、BETAの大群と戦っている戦場に俺達シャドウミラーが突っ込むのだ。当然だがこの世界の住人であれば、その戦力を手元に置いて効率的に使いたいと考えるだろう。

 だが正直な話、俺達シャドウミラーの機体とこの世界の機体では性能が違いすぎる。連携を取ろうにも、足を引っ張られるだけだ。

 それを思えば、完全に別の指揮系統にするというのは間違いではない。いや、寧ろ最良の選択肢と言えるだろう。

 

「了解した。なら心配する必要は無いな。……マリュー、俺は格納庫でニーズヘッグに乗ってシステムXNを起動する。到着後すぐに戦闘を行えるように、シロガネの準備と乗せきれなかった機体の方の準備も頼む」

 

 量産型Wの通信を切り、マリューへとそう告げてそのまま再び影のゲートを展開する。

 

「分かったわ。気をつけて」

 

 その言葉と共に唇が重ねられ、触れるだけのキスを交わした後で俺の姿は影のゲートへと飲み込まれる。

 ……そのまま口紅を拭ってから格納庫へと姿を現し、ニーズヘッグへと乗り込んで機体を起動させていく。

 

『シャドウミラー各機へ。これからシロガネとその周囲にいる機体はニーズヘッグのシステムXNを使いアラビア半島に転移します。転移終了後は、すぐにBETAと遭遇すると思われるので、各機戦闘準備を整えておくように。それと向こうに連れて行くシロガネの戦力はそれ程多くないけど、すぐにニヴルヘイムがメギロートやイルメヤ、シャドウを満載して応援に駆けつけるので、まずは敵の動きを遅滞させるのを優先してちょうだい』

 

 こっちがBETAの動きを止めれば現地の戦力が敵を仕留めていく事も出来るだろうしな。主戦力が戦術機である以上、向こうの消耗はなるべく小さくしたいというのもある。

 

『アクセル』

 

 マリューからの通信に頷き、ニーズヘッグのシステムXNを起動させていく。

 

「システムXN、起動。転移座標確認。転移フィールド生成開始」

 

 光の繭が産み出され、シロガネに……より正確にはシロガネに乗っているニーズヘッグを中心にして広がっていく。シロガネだけではなく、その周辺にいる格納庫に入りきらなかった機体も同様に。……そして。

 

「転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 その言葉が響き渡った瞬間、転移が既に完了してシロガネの周囲にある光景は一変していた。

 

『転移の完了を確認。全機出撃!』

 

 マリューの通信が響き渡り、同時にまずはニーズヘッグがカタパルトデッキから射出されていく。

 外へと出た俺の視線に入ってきたのは、雲一つない青空。そして……

 

「ふんっ、無駄な事を」

 

 ニーズヘッグが戦場に姿を現した瞬間、レーザーが無数に照射されてくるのをフレキシブルスラスターでもあるヒュドラを使って回避。地上へと視線を向けると、そこに広がっているのは無数のBETA、BETA、BETA。

 アラビア半島に転移したのはいいものの、どうやらこちらの予想以上に戦線は押されていたらしく、本来であれば国連の戦術機部隊のすぐ近くに転移する筈がBETAの群れのど真ん中にシロガネの姿はあった。

 地上では早速とばかりに、空を飛べなかった為に地上へと転移してきたイルメヤと要撃級、戦車級が戦闘を繰り広げている。

 とは言ってもその戦闘は一方的なもので、既に蹂躙と言ってもおかしくは無い。

 イルメヤの尾からビームガトリング砲が放たれると戦車級のBETAはまさに鎧袖一触といった感じでその醜い身体を砕かれて爆散。BETAの中では突撃級の装甲殻と同様の硬度の前腕を持つ要撃級もまた、その自慢の前腕はビームガトリング砲のビームを防ぐ事すらも出来ずに貫通されては戦車級と同様に身体を爆散させている。

 更にBETAの最前線を突き進む突撃級に関しては、メギロートが背後の上空からサークル・レーザーを放っては一撃で倒していく。

 本来であれば空を飛んでいるメギロートは即座に光線級にレーザーで狙われなくてはおかしくないのだが、光線級の放つレーザーは7:3くらいの割合でニーズヘッグとシロガネに向けられている。

 もっとも、ニーズヘッグはその攻撃の全てを回避しているし、シロガネに至ってはレーザーを撃たれても一番外側のバリアでもあるEフィールドすら破れずに無力化されているが。

 光線級の攻撃のほぼ全てがニーズヘッグとシロガネに向けられている現状、空はある意味では絶対の安全圏と言っても良かった。

 まぁ、シャドウミラーの機体に限った事だが。

 

「マリュー、国連軍、アフリカ連合軍、中東連合軍に一応連絡を入れておいてくれ。お前も聞いてたようにレオンの方で手を回してある筈だが、その辺の確認も忘れずにな。それと、後から援軍が来るってのも」

『ええ、今連絡を取っているところよ。……ただ、向こうもシステムXNでいきなり私達が現れた事で混乱しているみたいだから、もう少し時間が掛かるかも』

 

 ちっ、まぁそれはしょうがないか。それに戦術機の武器なら、基本的にシャドウミラー製の機体にはダメージを与えられないか。

 

「分かった。それと、戦術機部隊はなるべくBETAから距離を取るようにと。下手にこっちの攻撃に巻き込まれたりしたら、お互いに色々と不味いだろうしな」

『ええ。……けど、距離を取るとなると前衛が必要になるけど。シャドウを回す?』

 

 突撃級はその機動力と前面の防御力が脅威だ。となると、早めに片付けておくのに越した事はないか。

 

「幸い今の混乱で前衛の突撃級とこっちは距離が離れている。戦術機部隊の前に壁としてメギロートを派遣してくれ。突撃級の中でも最前列にいる奴を撃破してしまえば多少は動きが鈍くなるだろう。後はそこを纏めて叩く。っと!」

 

 飛んできたレーザーを回避し、ふと思いついてファントムを5基程射出する。

 そのまま機体の前方に展開したファントムを、光線級の放つレーザーを察知した瞬間にT-LINKシステムによってその軌道上へと移動さた。

 すると次の瞬間には放たれたレーザーがファントムによって反射し、イルメヤのスパイダーネットによって動きを封じられた要撃級へと命中してそのまま縦に斬り裂かれて息絶える。

 その後もニーズヘッグへと向かって放たれるレーザーを反射、あるいは乱反射させながら地上にいる要撃級や戦車級を殺していく。

 だが、光線級は今はこうして特に問題は無いが、それでも実弾兵器を使うような事になればその迎撃率は侮れないか。なら……

 

「コーネリア、悪いがシャドウを率いて光線級と重光線級の方を頼む。距離はそれ程無いから、負担もそんなに大きくない筈だ」

 

 BETAは大きく3つの集団で成り立っている。突撃級のみで構成された前衛、要撃級、戦車級、光線級と小型種で構成されている、数が最も多い中衛、重光線級と要塞級で構成されている後衛。

 幸いな事に、光線級と重光線級は中衛と後衛とは言っても普通は隣接している関係にある。それを思えば、コーネリア達なら特に問題は無いだろう。

 

『了解した。要塞級の方にはあまり手を出さぬが、構わないか?』

「ああ。最初は光線級と重光線級だけでいい」

『ちょっと待って。一応光線級と重光線級を5匹ずつ捕獲しておいてちょうだい。研究するにしてもサンプルが必要だわ』

 

 俺とコーネリアの言葉にレモンがそう割り込んでくる。

 一瞬迷う様子を見せたコーネリアだったが、すぐに頷く。

 

『分かった。確かにこやつ等については色々と調べた方が良さそうだからな。何故わざわざこんなに嫌悪感を抱かせるような外見をしているのかとか』

「まぁ、そっちはそっちでやってくれ。とにかく光線級と重光線級は戦術機にとっても厄介らしいからな。今はニーズヘッグとシロガネに攻撃が集中しているが、いつその標的が他の相手になるか分からない」

 

 より正確には、シャドウミラーの機体が標的になるのならまだ何とでもなる。だが、戦術機の方へと狙いを定められれば、さすがに守り切る事は不可能だ。

 チラリと周囲に視線を向ければ、幹部達の機体の放つビームや重力波砲がまさに鎧袖一触とでも言いたげにBETAの数を急速に減らしていっている。

 戦力的には圧倒的にこっちが有利なのは間違いない。だが、それでもBETAはその数でこっちと互角に渡り合っている。

 幾ら攻撃しても敵の数が減らないというのは、普通の兵士なら精神的に絶望を覚えるだろう。……だが、シャドウミラーの主戦力でもあるメギロートやイルメヤは無人機だし、量産型Wはそもそも人型の機械の如き存在だ。

 そして何より、シャドウミラーの幹部達にとってはこの程度絶望でも何でも無い。

 敵が15万を超える? それがどうした。こっちは幾つもの世界を滅ぼしてきたダークブレイン、シュウ・シラカワの操るネオ・グランゾンと戦い、生き抜いてきたのだ。

 更にはマクロス世界で戦ったバジュラに至っては、プロトカルチャーに神とまで崇められた存在であり、無数の数で襲ってくるその攻撃は質も兼ね備えておりBETAの上位互換と言ってもいい存在なのだから。

 それ故に、コーネリアは俺の言葉に一切の怯みも無く頷く。

 

『任された。シャドウミラー各機、私に続け! 光線級と重光線級を纏めて片付ける!』

『了解!』

 

 コーネリアの言葉に幹部達が頷き、敵陣の奥へと突っ込んでいく。それに続くのはエキドナのヴァイサーガとオウカのヒュッケバインMk-Ⅱ以外の全機。

 全機が空を飛んでいる為に向こうの攻撃手段はレーザーしか無いのだが、そのレーザーも未だに殆どがニーズヘッグやシロガネへと向かって放たれ続けており、Eフィールドによって無効化され、あるいはファントムによって逆に反射されて一薙ぎで複数の戦車級を仕留めていく。

 レーザー攻撃を回避しながら一方的に地上へと密集しているBETAへと向かってエナジーウィングを広げ、刃状のエネルギーを無数に射出する。

 まさにエネルギーの雨とも呼べる光景が降り注ぎ、要撃級の強固な腕すらも楽々と貫き、上空から見る限りでは50匹近いBETAを撃破――生身だから撃破という表現は正しくないのかもしれないが――する。

 これまでも光線級のレーザーを反射していたので、バジュラと戦っていた時のように大量に撃墜数とPPを稼げただろう。そう思ってヒュドラから放たれる18門のビーム砲や、腹部拡散ビーム砲、あるいはランツェ・カノーネの連射をしながら、ステータスを表示し……そこに書いてある数値に、思わず目を見張る。

 

「っと!」

 

 僅かな動揺に、Eフィールドで重光線級から放たれたレーザーを受け止め、体勢を整えてから改めてステータスを表示。

 そこに表示されているのは、撃墜数1114、PPが25。……これは、以前俺がPPを使って以降全く変わっていない数値だ。

 どうなっている? これだけBETAを殺しまくっているというのに、何故撃墜数もPPも上がらない?

 

『アクセル、聞こえてるアクセル!?』

 

 不意に聞こえてきた声に、意識を引き戻される。

 通信に映し出されているのはマリューの顔。どこか不思議そうに俺へと視線を向けている。

 

『ちょっと、どうしたの? 戦闘中にボケッとして』

「ああ、いや、何でも無い。ちょっと予想外の事があってな。……それよりも、どうした?」

『コーネリア達が光線級を6割、重光線級を3割撃破したわ』

「……よし。なら悪いがシロガネは一旦俺の盾になってくれ。まずは戦術機の損耗を少しでも押さえる為に、BETAの前衛の突撃級を纏めて消滅させる」

『……なるほどね。了解したわ』

 

 今はとにかく悩んでいる時間は無い。まずはBETAをどうにかする必要がある。

 そう判断した俺の言葉に、マリューが納得したように頷く。

 それを確認し、最後の仕上げとばかりに再びエナジーウィングで刃状のエネルギーと腹部拡散ビーム砲を掃射した後でスラスターを使って急激にその場を移動。シロガネの背後へと向かう。

 そちらでは俺の指示通りにメギロートが突撃級に対して攻撃していたらしく、突撃級の死体が邪魔で動きが鈍っている。その速力で死体を強引に寄せようとはしているものの、それでも動きは鈍らざるを得ない。

 

「マリュー、メギロートに退避指示を」

『了解』

 

 その言葉と共にメギロートが飛び立つのを見ながら、ランツェ・カノーネの砲口を突撃級へと向ける。ただし撃つのはランツェ・カノーネではない。その砲口の下に取り付けられている、フレイヤ弾頭だ。

 

「食らえ、BETA共。この世界の武器とは一味違うシャドウミラーの武器を……ニーズヘッグの死の洗礼を」

 

 狙いを付け……トリガーを引き、次の瞬間にはフレイヤ弾頭が発射される。

 数は1発。T-LINKシステムによる操作で、効果範囲は突撃級の9割を巻き込む範囲に設定されているその弾頭は、真っ直ぐに飛んでいき……あるいは光線級が迎撃しようとしたのかもしれないが、シロガネが盾になっている以上はそれも出来ず、その弾頭は突撃級の集中しているど真ん中で起爆し、その全てを飲み込むかの如く巨大なエネルギーの球体を作り出すのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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