転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0848話

 シロガネのブリッジでのアフリカ連合司令官のボヌム、中東連合司令官のサリーダとの会談を無事終了した後で、BETAの死体のサンプル調査や、今回出撃した機体のチェック、BETAの生き残りがいないか、BETAの援軍が来ないかの偵察といった調査を行っていた。

 とは言っても、地上での作業は全て量産型Wやメギロート、イルメヤといった機体が任されているのだが。

 他のメンバーはと言えば、コーネリアとスレイのみがシロガネに詰めていざという時に備えており、残りの全員はニヴルヘイムで休憩している。

 何故レモンがいないのかと言えば、単純にニヴルヘイムで捕獲したBETAを調べているからだ。

 俺がブリッジに来るとき会ったムウにしても、少し前にアシュセイヴァーに乗ってニヴルヘイムへと向かっていた。

 オウカがこっちに残ると言ったんだが、休める時に休めと言い聞かせ、こちらもニヴルヘイムへと向かわせている。

 巨大だとは言ってもシロガネは結局万能戦闘母艦でしか無い。……いや、シャドウミラーの技術で改造されまくった結果艦その物の戦闘力が極端に上がったのを考えれば、先程の通信でボヌムが言っていたように戦艦と言ってもいいだろう。ともあれ、万能戦闘母艦でも戦艦でも、機動要塞でもあるニヴルヘイムと比べるとその居住性は段違いに劣る。

 ……いや、正確に言えばシロガネの居住性はかなり高いと言ってもいい。だが、それ以上にニヴルヘイムの居住性が高いんだよな。何しろ、建設の際に色々と手を回して各世界から生活用品や家具の類を仕入れたらしいし。

 ともあれ、今はやるべき事がなくコーネリアやスレイ、マリューと共にシロガネのブリッジでゆっくりと地上からの報告を待っていたのだが……

 

「アクセル代表、国連軍の戦術機が戦闘領域に近づいてきます」

 

 量産型Wの報告により、ゆっくりとした時間は終わりを迎えた。

 

「……ほう? 何機だ?」

「12機。機種は全機がF-15Cです。この世界の分類では1個中隊となります」

 

 なかなかの数だな。……さて、何が目的なのか。

 いやまぁ、大体の予想は出来るんだけどな。何しろ、今回の戦いではメギロートにしろイルメヤにしろ、何機かはBETAの集中攻撃を食らって大きな被害を受けた。そうなれば当然その機体を構成している部品が地上へと落ちている筈であり、恐らくはそれを狙ってきたのだろう。

 技術的に後進世界であるマブラヴ世界の住人にしてみれば、メギロートやイルメヤのパーツは例えそれが装甲の一欠片だとしても万金の価値があるのだろうから。

 特に国連軍となると、まず間違いなくアメリカからの意向に沿って動いている筈。1974年の時点で戦術機という人型機動兵器を実戦配備したアメリカにしてみれば、自分達ならシャドウミラーの機体でも解析出来ると思い込んでも仕方がない。

 勿論幾らマブラヴ世界の中で最大の国力を持っている国家だとしても、俺達シャドウミラーとは大きく技術力が離れている以上はそんな真似は出来ないだろう。だが、だからと言ってこのまま向こうの好きにさせるというのもこれから先の事を考えると色々と不味い、か。

 

「通信を繋げろ」

「了解しました。……どうぞ」

 

 量産型Wの言葉を聞き、近づいてくる戦術機部隊へと向かって通信を送る。

 

「こちらシャドウミラー代表、アクセル・アルマーだ。現在この戦域は俺達シャドウミラーの管理下にある。それ以上近づいてきた場合、敵として認識せざるを得なくなり、相応の対応を取らざるを得なくなるが、それを承知の上での行動か?」

 

 そう告げると即座に通信が戻ってくる。向こうにしてもあれだけの戦いをした俺達とは間違っても戦闘になって欲しくないのだろう。

 

『こちら国連軍アルタイル中隊指揮官機、サノトール・ペガッゾ大尉。こちらにシャドウミラーに敵対する意思はありません。国連軍上層部からの命令により、BETAの死体の処分に関して手伝う為に派遣されました』

 

 20代前半、俺と同い年くらいの厳しく引き締まった表情を浮かべた白人の軍人が通信に映るや否や、そう告げてくる。

 俺が言うのも何だが、大尉としては随分と若いな。いや、国連軍として派遣されてくる以上、それなりにエリートではあるんだろうが。

 だが、だからと言ってその言葉をそのまま信用する事は出来ない。

 

「繰り返す、それ以上進んだ場合はシャドウミラーに対する敵対行為と見なして攻撃を開始する。……護衛部隊各機戦闘用意。アルタイル中隊がこれ以上こちらの戦域に進んでくるようであれば、攻撃を許可する。コーネリア、シロガネに残っているシャドウを率いて出撃準備。次の敵は国連軍になる可能性が高い」

「ほう」

 

 ブリッジの中にある座席に座って様子を見ていたコーネリアが、俺の言葉に獰猛な笑みを浮かべて立ち上がる。

 その様子が向こうからも見えたのだろう。サノトールと名乗った大尉は慌てたように口を開く。

 

『待って下さい! 国連軍にシャドウミラーと敵対する意思はありません! 至急攻撃の準備を停止して下さい!』

 

 そう言いつつ、低空飛行をしながらこちらへと近づいてくるのは止めない。さすがに速度は落としているが。

 

「言った筈だ。現在この戦域は俺達シャドウミラーの管理下にある。お前達の前方3kmのラインを越えた時点で俺達シャドウミラーに対する敵対行動とみなさせて貰う。攻撃されたくなければ、動きを停止しろ」

『っ!? 全機、停止だ!』

 

 シロガネの周囲を警戒していたメギロートやイルメヤが戦闘態勢に入ったのが分かったのだろう。慌てたようにサノトールがそう命令すると、F-15Cは動きを止めてその場に着地する。

 そして着地するや否や、再びこちらへと通信で叫ぶ。

 

『繰り返しますが、こちらに敵対の意思はありません。あくまでもこちらは上層部からシャドウミラーの手助けをするように命令されているだけです』

「残念だが、手助けして貰うような事は無い。……そこまで強硬にこちらの管理している戦域に侵入してこようとするとなると、何か他の目的があると判断せざるを得ないが?」

『……』

 

 その言葉がある意味で決定打になったのだろう。サノトールは数秒の沈黙の後で頷く。

 

『了解しました。ここからはそちらに近づかないというのは約束させて貰います。ですがそちらでBETAの処理に関して不明な点がありましたら、すぐにご相談下さい。せめてそのくらいはしないと、こちらとしても上に面目が立ちませんので』

 

 ふむ、どうやら諦めたか。いや、違うな。どちらかと言えば、俺達のすぐ側でより精密にこっちのデータを取りたい……のか?

 まぁ、その程度なら許可してもいいか。何でもかんでも拒絶すれば、無意味にこの世界と敵対する事になりかねないしな。

 

「分かった。何か分からない事があったら、そちらに相談しよう。ただし先程も言ったが、そこから動くような真似はしないようにな」

『了解しました。部下にも徹底させます』

 

 その言葉を最後に、通信が切れる。

 強引に攻めてこず、こっちが拒否すればその分引くか。それなりに有能ではあるようだな。

 

「マリュー、下の方はどうなっている?」

「BETAの死体?」

「違う。メギロートやイルメヤが損傷を受けた際に散らばったパーツだ。……ああ、BETAの生き残りは多少心配があるか」

「パーツの方はもう少しで全て回収が完了するわ。ただ、BETAの生き残りがいるかどうかは……今のところは見つかっていないから殆ど問題無いと思う。メギロートやイルメヤのAIからBETAが逃げ切るのはまず無理でしょうし」

 

 マリューの言葉を聞きつつ、映像モニタに地上の様子を映し出す。

 そこには無数のBETAの死体が存在しており、メギロートやイルメヤがその上空を飛び回ってはBETAの生き残り、あるいは自分達のパーツの破片が地上に存在していないかどうかを丹念に調べて回っていた。

 やがて30分程が経過し、メギロートとイルメヤからの生き残りのBETAの捜索終了の合図がAIから報告される。

 

「これで全滅は確定、か」

 

 戦闘機を相手にして光線級を産み出したように、幾らBETAが相手に対して適応していくバジュラの下位互換のような力を持っていようと、そもそも俺達の情報がBETA側に渡らなければ全く問題は無い。

 ……もっとも、それもこれもシャドウミラーの圧倒的な性能を誇る機体が多数あってこそ。そして戦闘用AIがあってこそだろうが。

 これからもBETAとの戦いにおいては、包囲殲滅するというのが基本手段になるだろう。ある意味でワンパターンではあるが、向こうにこちらの情報が渡らない限り、ワンパターンをワンパターンとは認識できないだろうし。

 だが、ハイヴの攻略となると……どうだろうな。蟻の巣のように地中に広がっている以上、BETAの全てを殺し尽くすというのは難しいだろう。

 

「アクセル代表、国連から通信です」

「またか? 今の位置から動いたら戦闘になると念を押した筈だが……」

「いえ、違います。先程の中隊ではなく、国連本部からの通信です」

 

 量産型Wのその言葉に一瞬驚くが、こちらの戦闘を映像を通して見ていたのだと考えれば、ある意味では通信を送ってくるのが遅いとすら言えるか。

 

「分かった、繋げてくれ」

「了解」

 

 その言葉と共に、映像モニタに映し出されるのは、1人の白人。アメリカ大統領のビル・レーガンだ。

 国連からの通信という名目にも関わらず、その国連のトップでもある国連事務総長ではなくアメリカ大統領が通信に出るというのは、まさに国連がアメリカの強い影響力を受けている、半ば下部組織に近いような形にある事の証明でもある。

 

『やあ、アクセル代表。君達シャドウミラーの持っている戦闘力は映像越しではあるがこの目で見させて貰ったよ。いや、さすがだ。予想を超えた力を持っているね。あの戦闘映像を見た者達が最初は混乱する程にね』

「お気に召したようで何よりだ。アラビア半島もBETAの手に渡らなかったし、このマブラヴ世界としても十分満足出来る結果だっただろう?」

『勿論これ以上無い程の結果だったよ。それで、どうだろう? 改めて君達シャドウミラーとこの世界との関係についての話をしたいのだが。……特に、そちらから要求されたSHADOWの外側での行動については、こちらとしても強い興味を抱いている。そして大統領以前に、1人の人間として私は他の異世界という場所に強い興味を抱いてもいる。その辺の話を是非聞かせてくれると嬉しいのだが』

 

 一見すると人当たりのいい笑みを浮かべてそう告げてくるビルだが、さすがにそうホイホイと向こうの提案を呑むわけにもいかない。

 それに……

 

「残念ながらそれはちょっと難しいだろうな。少し前にどこぞの国の意を受けていると思われる軍人がゲートに向かって攻撃を仕掛けてきた事があってな。その結果、このマブラヴ世界の住人に対する警戒は数段上がっているんだよ」

 

 暗にアメリカのせいでこの世界の選択肢は狭まったと告げるが、ビルは全く気にした様子も無く、寧ろわざとらしく驚いてみせて首を横に振る。

 

『そうなのかい? それは残念だね。それにしても、どこの国がそんな真似を……そう言えばシャドウミラーのゲートがあるのはオーストラリアだったね。そうなると……』

 

 その言葉と共に、ビルの近くからざわめきが聞こえてくる。

 なるほど、実際にゲートに襲撃を仕掛けてきたのは確かにオーストラリア国防軍の中佐だったし、それを思えばビルの言葉も否定は出来ない。

 真実がどこにあろうとも、それを隠し通すだけの力をアメリカは持っているのだから。……少なくてもこのマブラヴ世界では。

 

「そんな経緯もあって、オーストラリアを含むこの世界の住人に関しては暫く他の世界への転移については様子を見させて貰う事になった」

『待って欲しい。不手際を起こしたのはオーストラリアだろう? であれば、どうだろう? 一国に任せるからそんな不手際が起こったのだと考えると、国連直下に新しい機関を作って、そこがシャドウミラーとの交渉の窓口を担当するというのは』

 

 心底困ったような顔でそう告げてくるビル。

 その表情からは、本気でアメリカの手の者が以前のゲート襲撃事件を起こしたとは思っていないかのようだ。

 ……いや、案外あり得るのか? 確かにアメリカという国の規模を考えれば、末端が何かをしてもそれを大統領が把握していないというのは、普通にあり得る事だ。

 国が大きくなった弊害だな。

 だからと言って、こっちが被害を受けたのをそう簡単に許してやれる程に優しくは無いが。

 

「残念だが、今のところの窓口はオーストラリアと決めていてな。シャドウミラー内部でもそういう風に話は固まっているんだよ」

『だが、正直な話、君達との独占的な交渉権とも言えるものを1国に任せるというのは色々と問題も大きい。それは分かって貰えると思うけどね』

 

 より正確にはアメリカが他国を扇動してそういう風に話を持っていくのだろう。

 

「国連という集団は色々と問題も多いようだからな。特に某国の意向が強く影響しているって話だし」

『それは誤解だよ。あくまでも国連はこの世界全ての国が平等に……』

「悪いが、建前は聞き飽きているんだよ。取りあえずもう少ししたら一旦ニューヨークに戻るから、詳しい話はその時にこっちの外交担当を含めて話させて貰う」

『……了解した。ただ、一応言っておくと君達の運用している巨大な城のような物? あれ程の大きさの物をニューヨークに持ってこられても困るんだが……いや、私としては是非自分の目で見てみたいとは思っているんだけどね』

 

 小さく笑みを浮かべてそう告げてくるビル。

 ニヴルヘイムを見てみたい、と思っているのは本音なのだろう。

 シロガネはまだこの世界でも理解出来るだろうが、基地その物が移動するとなると完全に想像の外にあるんだろうし。

 

「分かっている。ニヴルヘイムに関してはそっちに持っていかないから安心しろ」

 

 その一言に安堵したような、あるいは残念そうな表情を浮かべ……次の瞬間には眼差しを鋭くして俺へと視線を向ける。

 

『それと、君達が使った広範囲破壊兵器。それについても説明をしてもらえると嬉しいね』

 

 そう告げ、それから数分程会話をしてから通信を終える。

 そして2時間程が経ち、メギロートやイルメヤのパーツ回収が完全に完了したという報告を受けて俺達はアラビア半島から去る事になる。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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