転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0851話

 ニューヨークでの歓迎パーティが行われてから数日。ある意味で当然ながら俺の姿はホワイトスターにあった。

 勿論こうしている今でも、オーストラリア政府は俺達への窓口として指名された為に色々な意味で忙しく活動しているのだが……まぁ、それ以上の利益があるんだから頑張って欲しいところだ。

 ともあれ、現在はホワイトスターにあるブリーフィングルームで、マブラヴ世界についての報告や話し合いが行われている。

 出席メンバーは、シャドウミラーの代表として俺、技術班からはレモン、マリュー、実働班からはコーネリア、外交担当としてエザリア、レオンの合計6人だ。

 

「早速だが、オーストラリアの海岸沿いに建設予定のBETAの死体を受け入れる為の港はどの辺まで進んでいる?」

 

 俺の質問に、レオンが申し訳なさそうに口を開く。

 

「当初はその予定だったのですが、オーストラリアに臨時政府を移している国家や、あるいは近隣住民の反対がありまして……ここで強行して港を作るという事も出来たのですが……」

 

 そこまで告げ、小さく首を振る。

 

「そうした場合、後日色々と摩擦が起きる事が予想されますので、出来ればそのような心配がない場所に港を作りたいと思います」

 

 確かに地元の住民の反対を押し切って港を作ったとしても、まず間違いなく後日色々と面倒な出来事になるのは確実だ。まぁ、こっちとしてはBETAの死体を受け取ればいいだけなので、量産型Wや護衛のメギロート辺りを置いておけば問題は無いんだろうが……かと言って、ここで無意味に住民の敵意を煽るのも上手くない、か。

 

「候補地は?」

「オーストラリアの近くにはティウィ諸島という島があり、丁度その島とオーストラリア大陸の間には幾つかの小島が存在します。当然小島ですので、無人島も多く……」

 

 そこまで言われれば、レオンが何を言いたいのかはすぐに分かった。

 確かに、下手に人のいる場所の近くを港にしようとするのが理由で反対運動が起こるのだから、最初から無人の場所に港を建設すればいい。いっそ、ゲートそのものをそっちの島に……いや、既に基地建設が本格化しているのを思えば、さすがにそれは無理か。

 

「なるほど、そもそもBETAの死体はその港でこちらの規格にあったコンテナに移し替えて私達がゲートまで運ぶんだから、オーストラリア大陸から少しくらい離れた無人島に港を作っても変わらないでしょうね。……いえ、寧ろその方が都合がいいかしら」

 

 レモンが何を言っているのかは、その場にいる全員が理解する。

 アラビア半島防衛戦で何匹か収容したBETAの死体だが、時間が経つにつれて凄まじい悪臭を放ち始めたのだ。

 そんな死体をこちらのコンテナに移し替える以上、当然その臭いは周囲に広まるわけで……それを考えれば、当初の港建設予定地の近くに住んでいる住民が反対したのは、ある意味当然だったのだろう。

 

「どうでしょうか? 無人島に港を作る許可さえ貰えば、明日からでも建設を開始しますが」

「その無人島に港を作るにしても、領土的にはその島はオーストラリアになるんだろう? そこら辺はどうなっている?」

「一応格安で私達がその港そのものを借りるという形になっていますね。具体的には一月につき小麦1t程度となります」

「……また、随分と安く借りられたものだな」

 

 レオンの説明に、それを聞いていたコーネリアが思わずと言った様子で呟く。

 実際、島1つを借りるにしては一月小麦1tというのは驚く程安い。

 何しろ運ばれてくるBETAの死体の量を考えると、1度どこかの国やら会社やらと取引をすれば、それだけで小麦1t程度というのはキブツで生み出す事が出来るだろう。

 誰が聞いても破格の安さだ。

 だが、エザリアの口からその格安の理由が話される。

 

「確かに安いけど、その安さにも十分に理由があるのよ。まず、最大の理由としては以前にオーストラリア国防軍の中佐がゲートを襲撃に来た件があったでしょう? あの件の謝罪代わりというのがあるわね」

「……ああ、そう言えばそんな事もあったな」

 

 恐らくはアメリカ辺りに、シャドウミラーとオーストラリアの関係を悪化させようとしたと思われるあの件か。

 ちなみに犯人の中佐に関しては、尋問後に死刑になったらしい。

 本来であれば収監するのだろうが、このご時世囚人に与える食料も勿体ないということなのだろう。あるいは捨て駒として前線に出すというのもあったかもしれないが、その前線でいらない事を喋ったりされては困る……といったところか。

 

「それにオーストラリアにしても、多くの船がその港にやってくるというのは物流が活発になって、経済的にもプラスになるという目論見があるんじゃないかしら」

「確かにそれはあるでしょうね。BETAの死体を運んでくれば、当然帰りに補給やら何やらをする必要があって、それは当然オーストラリアの港で行われる事になるんですもの。……いっそ、私達が作る港にもその為の街を作っては……いえ、駄目ね」

 

 レモンが言葉を途中で遮って小さく首を振ると、レオンが頷きを返す。

 

「はい。そもそもオーストラリアとの契約でその港に関しては完全にBETAの死体を受け渡すだけの場所となる予定ですし、シャドウミラーとしてもスパイの類が入り込まないようにするにはそっちの方が好都合ですから」

 

 港を造って得る事の出来る利益と、スパイやら工作員やらが入り込むリスクを天秤に乗せれば、当然後者の方が重要性は高い訳だ。

 そもそも、この世界で幾ら利益を上げたとしても技術的に遅れていたり、資源の類もBETAに掘られていたりで、色々と厳しいのは事実だしな。

 

「それで、早速港の建設を開始したいのですが、メギロートとイルメヤを100機程、シャドウを20機程使っても構わないでしょうか? それと量産型Wも」

 

 レオンの言葉に少し迷う。

 建築作業に使うにしては、多少機数が多いように感じたからだ。

 勿論鵬法璽で縛られている以上、妙な事を考えようがないと思うが。

 

「随分と過剰戦力じゃない?」

 

 俺と同じ事を考えたのだろう。マリューがレオンへとそう尋ねる。

 だが、それに答えたのはレオンではなくエザリアだった。

 

「この世界では、BETAに対して抵抗せずに大人しく殺されるべきと主張している、キリスト教恭順派というものが去年辺りから急速に力を増してきているの。で、そのキリスト教恭順派にしてみれば、BETAというのは神の試練。……つまり、神の御使いという認識らしいのよ。その神の御使いの身体を材料にして資源や食料を得るというのは許されざる事……という認識らしいわ」

 

 なるほど。つまりは……

 

「テロに走る可能性が高いか」

 

 狂信者が何をするのかを考えれば、その答えは単純だ。

 そして、エザリアは俺の予想通りに頷きを返す。

 

「ええ。オーストラリア政府からもその辺の忠告をされたわ。事実情報を集めた限りだと、アクセルが国連総会の場でキブツの存在を明かして以降、キリスト教恭順派が活発に動き始めているらしいわ」

「また厄介な。……確かにそんなイカれた考えを持った奴等にとっては、BETAの死体を受け取る為に造る港は格好の標的だろうな。分かった、メギロート200、イルメヤ150、シャドウ50機を使え。量産型Wも必要だと思うだけ連れて行って構わない。……ただし、ここまで戦力を出す以上、テロの被害は出すなよ」

「はい、分かりました。それと、オーストラリア政府からも護衛を出すと言ってきていますが?」

「断る……のは色々と相手の面子を潰すか。なら島の外、海上警備を任せろ」

 

 海上から侵入しようとしてくる相手を少しでも減らしてくれればそれでいい。

 メギロートやイルメヤのAIや、量産型Wなら熱探知やらその他諸々の方法で港に侵入しようとする相手を探知するのもそう難しくはないだろうが、少しでも手間を省けるのならそれに越した事はないしな。

 

「ではそのようにさせて貰います」

 

 こうして港についての話は一段落すると、次にレモンが口を開く。

 

「技術班からも幾つか報告があるわ。まず、以前のゲート襲撃の際に入手した戦術機を使って幾つか試してみたんだけど、SEED世界やネギま世界のバッテリー技術を使えば飛躍的に稼働時間が延びるわ。ただし、現行の戦術機のバッテリーに対してそのまま流用出来ないから、多少の改造は必要ね」

「だろうな。さすがにそのまま流用できるとは思ってなかったよ。……で、多少の改造で済むとなると、それはマブラヴ世界の技術でも可能な改造と思ってもいいのか?」

 

 幾らシャドウミラーとしては多少の改造で済むとしても、それがマブラヴ世界で不可能だとなれば意味は無い。いや、寧ろその改造を世界各国がシャドウミラーに依頼してくるような事にもなりかねず、そうなればこちらの負担が非常に大きくなる。

 あるいは、その辺をオーブやネギま世界……というか、雪広財閥や那波重工辺りに委託する必要も出てくるかもしれない。そんな俺の疑問は、幸いレモンの浮かべた笑みによって解消される。

 

「確かに今のマブラヴ世界だとちょっと難しいかもしれないわね。単純にバッテリー周りの換装以外にも、それを管理するシステム側の方も手を出さないといけないし。けど、難しいと言っても多少程度だから、ある程度の技術がある場所……例えば戦術機の自国開発が出来る国なら、可能だと思うわ」

 

 戦術機の自国開発か。そうなると、アメリカ、日本、統一中華戦線、ソ連、欧州、スウェーデンってところか。ああ、中東辺りも入るな。

 

「それと、推進剤ね」

 

 レモンの後を継ぐようにマリューが口を開く。

 

「戦術機の推進剤はジェット燃料を使ったものなんだけど、これをSEED世界のMSの物に変更すればバッテリーの交換と合わせて……そうね、ざっと2.5倍から3倍程度の稼働時間延長が可能よ。ただし、勿論推進剤の方についても制御周りを含めてある程度の技術がある国じゃないと改修は難しいでしょうけど」

「へぇ、それはまた……随分と嬉しい報告だな」

 

 現状では他の世界の兵器をマブラヴ世界に輸出する事を考えてはいるが、だからと言ってマブラヴ世界の戦術機の開発を途絶えさせていい訳でも無い。

 いや、寧ろマブラヴ世界特有の戦術機開発は是非継続して欲しいところだ。

 資源やら何やらが乏しいマブラヴ世界だ。BETA関係以外では、戦術機は最大の商品となり得るだろう。

 ……まぁ、条約により兵器を売るというのは基本的に出来ないというのを考えれば、色々な意味で微妙ではあるが。それでも兵器を完全に他世界に依存するような事になれば、もし何かあってゲートが破壊されてホワイトスターとの繋がりが無くなった場合……そして、その時にまだBETAが残っていた場合、まず間違いなくこの世界は詰む。

 そんな風に考えていると、再度レモンが口を開く。

 

「それと、ある意味では今回の報告の目玉だけど、戦術機にTC-OSを搭載させる事に成功したわ」

 

 本来であれば画期的と言ってもいいような発言。だが、レモンの顔はどこか浮かないものがある。

 

「TC-OSの搭載に成功したなら、かなり大きいだろう? 何で浮かない顔をしてるんだ?」

「バッテリーや推進剤と同じよ。TC-OSをそのまま搭載しても、戦術機側の処理能力が追いつかないの。で、それを考慮してTC-OSを極限まで軽くしてみたんだけど、それでもやっぱり処理能力が追いつかない。もしどうしてもTC-OSを戦術機で使うというのなら、CPUやメモリを含めて内部部品を大幅に……それこそ、7割から8割くらいはこっちでより性能の高い部品を用意して交換しないといけないわ。そこまでする価値があるかと言われれば……疑問ね」

 

 確かにそうだろうな。エース機とかの極少数ならそれも可能だろうが、さすがにマブラヴ世界に存在している全ての戦術機の部品を半分以上交換するというのは、さすがに非現実的過ぎる。

 となると……

 

「TC-OSは使えない、か」

 

 その言葉に、レモンとマリューが頷いて肯定する。

 正直な話、これは痛い。現行の戦術機のOSが色々と問題があるからこそ、TC-OSを使えば今よりもかなりマシになると思っていたんだが……あるいは、多少機体をいじらなければいけないにしても、そこまでとは思っていなかった。

 となると、何とか現行のOSを改良するしか無い、か。内部パーツに必要な技術力に関しては、多少の援助も必要だろう。

 

「分かった。なら今使用されているOSで、少しでも快適に動けるように調整を頼む。その際の最優先事項は、何か行動を起こした際に動きが止まるという所を修正してくれ。あの硬直さえなければ随分とマシになるだろうしな」

「……分かったわ。他にも色々と手が無いか考えてみるわ」

 

 若干ではあるが、悔しげに呟くレモン。

 それから暫くマブラヴ世界に関しての報告を行い、会議は終了するのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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