転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0073話

 こちらの世界へ転移し、地球に降下してから半年が過ぎた。

 その間、俺は世界中を旅して回っていた。色々とトラブルにも巻き込まれもしたのだが、基本的に地球に降りてからは気楽に過ごせていた。

 ただ、気楽に過ごせていたのは俺くらいのもので、世間では新たに地球連邦政府の大統領になったブライアン・ミッドクリッドの東京宣言で異星人の存在を公表。それによって世間一般は大混乱と言ってもいい状況になっていた。

 あちらの世界から来た俺にとっては何を今更といった感じなのだが、この世界の人に取ってはまさに寝耳に水の出来事だったのでその混乱ぶりは予想できると思う。

 その混乱もようやく一段落してきたこの頃は、連邦軍の組織改革と軍備増強計画『イージス計画』が本格化してきているだろう。

 

 時期的にそろそろOG2が始まる頃なのでアフリカにあるアースクレイドルへと向かいたいのだが、俺の姿はアメリカはワシントンの連邦会議場近くにあった。

 何故この時期にここにいるのかと言えば、正直成り行きとしか言いようがない。カナダで知り合いになった旅行者にだらだらと付き合っているうちにワシントンへと来る事になり、折角ワシントンに来たのだからという事で、この連邦会議場を見学に来た訳だ。

 そして一通り見学して満足した後は『そろそろ1人旅に戻るから。じゃ』と短く挨拶してそのまま俺をここに置き去りにしてさっさと旅を再開するというサプライズを見せてくれた。おのれ。

 

「……まぁ、いなくなったのはしょうがない。俺もそろそろアフリカに向かわなきゃいけなかったし、ちょうどいいと言えばちょうどいいんだよな」

 

 溜息を吐き、早速アフリカに向かうべく空港へ向かおうとしたその時、ふと道の先に数人が集まり立ち話をしているのが見えた。

 いや、それだけならよくある普通の光景なんだが、その立ち話をしているのがあちらの世界の士官学校の教官並にゴツイ頑固親父といった様子の人物に、左手に手袋をしている金髪の2枚目、紫色の髪をしたロリ眼鏡と中華風の美少女とその父親らしき人物。そして第一印象では内気なように見えるが、その目には強い意志を感じさせる人物。つまりはカイ・キタムラにライディース・F・ブランシュタイン、ラトゥーニ・スゥボータの特殊戦技教導隊メンバーと、リオ・メイロン、ユアン・メイロン、リョウト・ヒカワのマオ社スタッフだというのが問題だった。

 ……そう言えば、確かにOG2ではこの場所での会話シーンがあったな。

 そんな事を思い出してとにかくこの場を去ろうとしたその瞬間、唐突に俺の方を振り返ったリョウトとまともに目が合ってしまう。

 その表情に浮かんでいたのは驚愕だろうか。はたまた郷愁だろうか。その感情は何であれ、俺を見て何かを感じたのは間違い無い。

 ユアン・メイロンに何かを告げ、そのままこちらへと近づいてくる。その様子を不思議そうに見ていたリオ・メイロンもまた、リョウトの向かう先にいる俺を見て驚愕の表情を浮かべる。

 原作組との距離は10m程あったが、リオの口が俺の方を見て『リョウト君?』と動いたのを見てしまう。

 そう言えばリオも念動力持ちか。それが俺の中にあるリョウトの念動力と共振でもしたのか?

 

「すみません、ちょっといいですか?」

 

 そんな事を考えていると、近づいてきたリョウトに声を掛けられる。

 ここは逃げの一手か? いや、ここで逃げると何か後ろ暗い事ありますと言ってるようなものだしな。まぁ、実際後ろ暗い事はあるんだが。

 

「何か?」

「あの、不躾ですが僕と以前どこかで会った事ないでしょうか?」

 

 あっちの世界では死体のリョウトと出会ってるし、こっちでもホワイトスターから脱出した時に機体越しにではあるが会ってるな。……いや、ホワイトスターの時はASRSを展開していたからあっちは気が付いていないか。

 

「いや、初対面だと思うが。何か心当たりでも?」

「いえ、でも貴方を見た瞬間に何だか妙に懐かしい思いがしたんです」

「リョウト君、その人とは知り合い?」

 

 リョウトと話していると、そこにリオもやってくる。その2人がこちらに来たものだから、他の面々もこちらへと近づいてくる。

 

「えっと、多分初対面だと思うんだけど……既視感っていうのかな。そんなのを感じたんだ」

 

 リョウトの話を聞き、リオが俺の顔を何か確かめるように見つめてくる。

 

「既視感、ね。実は私もこの人の顔を見た時に感じたんだけど……どこかリョウト君に似てるのよね。もしかして生き別れの兄弟って事ないかしら?」

 

 ……さすが念動力者、鋭い。いや、この場合は女の勘が鋭いと言うべきか?

 確かに俺の中にあるリョウトの念動力の事を考えれば、生き別れの兄弟というのもあながち的外れな意見ではない。

 

「いや、俺は元々兄弟がいないし。それ以前に俺と彼を見てどこか似てるか?」

 

 リョウトと俺では髪の色から顔立ちまで、似ている所は殆どないと言ってもいいだろう。まぁ、スパロボの世界なんだし兄弟で髪の色が違うくらいは普通にありそうだが。

 

「顔立ちは全然似ていないんだけど、何て言うのかな、印象? そう、2人から受ける印象が似ているのよ」

「うーむ、俺には似てるとは思えないが」

 

 リオの言葉に口を挟んできたのはカイ・キタムラだった。確かにリオとリョウトが俺に感じている感覚が念動力によるものなら、念動力の素質がないカイには理解出来ないだろう。

 だが、このままここでこの面子に顔を覚えられるのはちょっと面白くないな。さっさと退散させてもらうとするか。

 

「悪いが、俺にも用事がある。そろそろ行ってもいいか?」

「あ、すいません。確かに急に呼び止めてというのは失礼でしたね」

「いや、気にしなくていい。それよりも飛行機のキャンセル待ちをしたいので時間にあまり余裕がないんだ」

「時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした」

 

 謝ってくるリョウトへと軽く手を振り、そのままその場を後にする。

 後ろではラングレー基地に行くとかで相談をしているが、もちろん現在は関わるつもりがないのでそのままスルーさせてもらう。

 ……ただ、ヴァルシオン改・タイプCFは趣味的に出来れば手に入れたい機体ではある。もっとも、ここで俺が手に入れてしまったらOG外伝で起きるODEシステムの騒動にどんな変化があるか分からないし、無理をする必要はないか。

 

 

 

 

 

 空港でキャンセル待ちをしていると、ネットのニュース系HPでイスルギ重工の保安課長が逮捕されたという記事がアップされていた。どうやらリオンタイプのパーツを横流ししていたらしい。

 これってあれだよな。クスハが人質に取られた奴。先程別れたばかりのリョウト達が首を突っ込む事件だ。

 

「ベーオウルフ、いやこちらではキョウスケ・ナンブか」

 

 こちらに転移してくる時に戦ったあの異形の巨人を思い出し、背筋がヒヤリとする。正直、もう2度とあんな敵とは戦いたくない。ないのだが……このまま原作通りに進んだ場合は遅かれ早かれアインストとは戦う事になるのだろう。

 

「失礼します、アクセル・アルマーさんでしょうか?」

 

 考え事をしていたのが悪かったのか、いつの間にか近くに来ていた男に唐突に声をかけられる。しかもこの世界に来てからは誰にも名乗った事のない名前で。

 

「……お前は?」

 

 場所が空港という事で手持ちの武器はない。だが、幸いな事に俺には空間倉庫という便利極まりないものがある。

 ズボンのポケットに手を入れて、そのまま空間倉庫からあちらの世界のテロ組織から手に入れたデリンジャーを取り出す。空港という人が大量にいる場所だが、幸いこのデリンジャーはテロ組織が使用していただけに消音性能が非常に高い、主に暗殺用の代物だ。周囲にこれだけの人がいる中でなら発砲音はまず間違いなく喧噪に紛れる。

 だが、そんな俺の警戒を気にもしていないようになんの躊躇もなく俺に近づき用件を話し出す。

 

「私はイスルギ重工からの使いです」

「イスルギ重工から?」

 

 ちらりと先程までイスルギ重工の保安課長が逮捕されたという記事が載っていたPDAへと視線を向ける。

 

「何か?」

「いや、イスルギ重工の保安課長がリオンの部品を横流しして逮捕されたとネットに流れていたんでな」

 

 その言葉を聞き苦笑する男。だが、苦笑をしているのだがその目には何の感情も現れていない。なんと言うか、量産型Wのように無機質なロボットをイメージさせる男だな。

 外見だけを見るならどこにでもいるごく普通の中年のサラリーマンといった外見なのだが、まさかごく普通のサラリーマンがこんな目をしている訳もない。恐らくイスルギ重工の裏に所属しているのだろう。

 

「早いですね、もう情報が流れたんですか」

 

 苦笑を浮かべつつ1通の手紙を渡してくる。

 

「これは俺が見ても良いのか?」

「ええ、うちの社長からです」

 

 手紙の裏には確かにミツコ・イスルギと書かれており、薔薇の封蝋がされていた。今時封蝋というのも古式ゆかしいと言うかなんと言うか。

 取りあえず目の前の男は味方と判断。デリンジャーを空間倉庫の中へと戻し手紙を開封する。

 中身は非常にシンプルに『同胞は大地の揺りかごにあり』とだけ書かれていた。

 大地の揺りかご、アースクレイドルか。同胞というのはもちろんレモンとヴィンデルで間違い無いだろう。

 なるほど、もうアースクレイドルに入ったか。

 

「非常に助かる情報だが、何故俺がここにいると分かったんだ?」

「自覚がないようですが、貴方は非常に目立ちます。良い意味でも、悪い意味でも。外見の特徴が分かっていればイスルギの情報網で見つけるのはそれ程難しくありません」

「目立つ、ねぇ。まぁ、いいか。それで俺はこれからどうすればいいんだ?」

「貴方が希望するのなら大地の揺りかごまでご案内するように言われていますが、どうしますか?」

「……そうか。じゃあ頼む。手配なんかは全部任せていいんだな?」

 

 目の前の男の提案を受けるかどうかは一瞬迷ったが、すぐに了承する。この男が持ってきた手紙から考えるに、既にヴィンデル達はイスルギ重工と手を結んでいるのだろう。ならヴィンデル達の仲間の俺に変なちょっかいをかけてくる心配は無いと判断した為だ。

 まぁ、何かしようとしてきても対処が可能という自信があるのも間違いではないのだが。格闘・射撃共に200をオーバーしているのは伊達じゃない。

 

「分かりました、ではこちらへ。向こうに輸送機を用意しております」

「輸送機?」

「はい、補給物資等もありますので」

 

 俺のついでに補給を送るのか、はたまた補給のついでに俺を送るのか。まぁ、どっちにしろ助かるからいいんだけどな。

 

「分かった。よろしく頼む」

 

 イスルギ重工の男の後ろに付いていく。

 いよいよアースクレイドル、か。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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