転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0074話

「アクセルさん、ちょっといいですか?」

 

 タウゼントフェスラーの客室で寛いでいると、声を掛けられる。そこには空港で俺に声を掛けてきた男の姿があった。

 

「どうしたんだ?」

「非常に申し訳ないのですが、社長がこれから起きる仕事を手伝って欲しいと」

「仕事?」

「ええ。いわゆる裏の仕事という奴ですね。アクセルさんの上司から許可は貰ってると言えば理解してくれると」

 

 ヴィンデルの許可済みか。となると断る訳にもいかないな。

 

「分かった。で、具体的には?」

「すいません、細かい話は私も聞いていません。ただ、受けて貰えるようなら艦を乗り換えてもらう事になるとだけ。詳しい話は先方で聞いて欲しいとの事です」

「そうか。なら急ごう」

 

 それなりに乗り心地のいいタウゼントフェスラーから降りるのは残念だが、仕事ならしょうがない。それにしても15機しか建造されていない筈のタウゼントフェスラーを所持しているとは、さすがイスルギ重工と言うべきか。

 

「相手との合流は5分後です」

「5分後? もうすぐそこまで来てるのか。早いな」

「社長曰く、時は金なりらしいですから」

 

 その会話から5分後、タウゼントフェスラーは地上へと着陸する。周囲は崖に囲まれている為、連邦軍に発見される恐れは少ない。

 タウゼントフェスラーから降りると、目の前には剣のような艦首衝角が特徴的な地上戦艦、ライノセラスの姿があった。

 

「では、私共はここで失礼させて貰います。アクセルさんも気をつけて」

「ああ、世話になったな」

 

 てっきり、このライノセラスへと補給物資を積み込むのかと思ったが補給物資の行き先はあくまでもアースクレイドルらしい。タウゼントフェスラーは俺を降ろすとさっさと飛び去ってしまった。

 

「で、お前等が俺の迎えって事でいいのか?」

 

 振り返った先には2人の男女の姿があった。男は冷静な表情でこちらを観察している。女は興味津々といった顔をしている。男の方はユウキ・ジェグナン。女の方はリルカーラ・ボーグナイン。言うまでもなく原作キャラだ。

 

「そうです。自分はユウキ・ジェグナン少尉。こちらはリルカーラ・ボーグナイン少尉です」

「俺はアクセル・アルマー。階級は今はないな。原隊復帰したら大尉に戻るだろうが、今回はあくまでもそっちの手伝いだからそんなに気を遣わなくていいぞ」

 

 にしても、ユウキとカーラか。そうなるとライノセラスの艦長でこの2人の上司はあの狂人で間違いないだろう。

 

「よろしくお願いします。早速ですが今回の作戦指揮を執られるアーチボルド少佐が待ってますので乗艦をお願いします」

「ああ、案内を頼む」

 

 ライノセラスへと乗り込む2人の後をついて行き、ブリッジの中へと入るとそこには黒くて丸いサングラスをした男の姿があった。アーチボルド・グリムズ。あのエルピス事件を引き起こした実行犯。正直、気に食わない。この男の姿、性格、気質。それら全てが気に食わない。すなわち、この男の存在自体が気に食わないのだ。

 

「貴方がローズの言ってた協力者ですか?」

「……ああ。今回はあちらからの依頼で協力する事になった。ただ、何に協力するのかは聞いてないから説明を頼む」

「分かりました。ユウキ君、説明をお願いします。私はそろそろ紅茶の時間ですので」

「了解しました。ではブリーフィングルームを使ってもよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いします」

「では、アクセル大尉こちらへ」

 

 ユウキとカーラの案内でブリーフィングルームへと向かう。その途中、ユウキが話しかけてきた。

 

「アクセル大尉、アーチボルド少佐と何か因縁が?」

「そうそう、少佐に会った途端雰囲気が変わるんだもん。驚いたよ」

 

 ……気持ちは押し殺したつもりだったが、どうやら甘かったらしい。

 

「いや。……お前達2人は少佐がどのような人物か知ってるのか?」

「いえ。配属されたばかりですので」

「そうか。ならお前達もそのうち知る事になるだろうさ」

「……そうですか。あぁ、ブリーフィングルームはこちらです」

 

 ブリーフィングルームの中へと入ると、早速モニタを起動してどこかの基地を表示させる。

 

「ヒューストン基地です。今回の作戦の目的はここに配備されている新型、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを奪取する事になります」

 

 あぁ、原作でもそういう話があったな。確かにあそこではアーチボルドが出てきて量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを奪っていった。だが、ユウキとカーラはいなかった筈だが。

 

「なるほど。目的は理解したが、機体を持ってきていない俺に何か手伝えるのか?」

「あ、機体に関してはこの艦に積んであるガーリオン・カスタムを使って構わないらしいよ。新型のブースト・ドライブとかいうのを積んでる奴で1機はアーチボルド少佐が乗るけど、もう1機はアクセル大尉に任せるみたい」

「ブースト・ドライブ?」

「なんでもどこかの企業から流れてきた技術で、かなり高い機動力を機体に与えるらしいね」

「カーラ、大尉に向かってその口の利き方は」

 

 気安いカーラの口調を咎めるユウキだが、シャドウミラー自体がそれ程厳格な組織じゃない。いや、正確にはやる事をきちんとやるのであれば、という大前提があるが。

 

「ユウキ少尉、気にするな。俺の所属していた部隊もそこまで厳しい組織じゃなかったからな。やる事をきちんとやるならそこまで堅苦しい態度を取る必要はないさ」

「……了解しました。大尉がそう言うのなら」

 

 恐らく不承不承だろうが頷くユウキ。

 

「さすが大尉、部下の心を掴むのが上手ですね」

 

 カーラがパチリとウィンクをしてみせる。

 

「まぁ、とにかく俺はこの艦にあるガーリオン・カスタムに乗って作戦に参加すればいいんだな。作戦指揮は?」

「それはアーチボルド少佐が自ら出撃すると。また、自分達の機体は調整が間に合いませんでしたので今回はライノセラスにて待機する事になります」

「……了解した」

 

 アーチボルドの名前を聞いた途端、多少なりとも良い気分だったのがスッと一瞬にして冷え切った。

 だが、なるほど。この2人があの時に出なかったのは機体の調整が間に合わなかったからなのか。

 

「で、作戦開始時間は?」

「もうそろそろヒューストン基地近くに到着する筈ですが」

 

 ユウキがそう答えた瞬間、ブリッジから作戦準備をするようにと通信が入る。

 

「じゃ、早速行くとするか。格納庫まで案内頼む」

 

 2人にそう言ってブリーフィングルームを出て行く。

 

 

 

 

 

「さて、ではそろそろ戦闘の時間です。アクセル君も準備はいいですね?」

「ああ、こちらも準備は整っている。いつでもOKだ」

 

 隣を飛んでいるアーチボルドのガーリオン・カスタムから通信が入る。

 俺とアーチボルドのガーリオン・カスタムが1機ずつ。そしてガーリオンが3機にリオン・タイプFが4機の合計9機での作戦行動だ。一応、後詰めとしてリオン・タイプFがもう4機来るらしいが。

 

「では、行きますよ!」

 

 速度を増したアーチボルドの機体に追従するように、俺を含めた残りの機体が後を追う。全機がブースト・ドライブ搭載機なので、迎撃に出てきたリオンを置き去りにして突き進む。もっとも後を追ってこられても面倒なので、通り魔の如くバースト・レールガンやアサルトブレードで損傷を与えていくが。

 

「見えた!」

 

 ガーリオンの1機が興奮した声を上げる。確かに俺の乗っているガーリオン・カスタムのモニタにもヒューストン基地が映し出されている。

 

「ふふふ、連邦のパイロットはまだまだリオンの扱いに慣れていませんねぇ。あの程度の腕では僕達を捉える事は出来ませんよ。おかげで思ったより簡単に基地へ侵入できました」

 

 得意げな口調で喋っているアーチボルドだが、確かに連邦軍のリオンは動きがいまいちだった。

 

「少佐、目標の機体はまだ出ていません。ただ代わりに新型の戦闘機が」

「ほう、あれが プロジェクトTDの実験機ですか」

 

 ヒューストン基地の空を飛び回る赤と白の2機の戦闘機、カリオンか。テスラ・ドライブを2機装備している為運動性能に関して言えば俺の乗っているガーリオン・カスタムよりも上だろう。

 そしてカリオンを開発しているプロジェクトTDに資金援助をしているのはイスルギ重工。その社長であるミツコ・イスルギと繋がっているアーチボルドには当然その情報も流れている訳だ。

 

「アーチボルド少佐、あの機体も鹵獲を?」

「ああ、無視して下さい。僕達の獲物じゃありませんから」

「はっ!」

 

 そしてその予想を裏付けるかのように、部下が聞いてきたカリオン2機の鹵獲を却下するアーチボルド。

 だが、カリオン2機はこちらへと向かってくる。

 ヒューストン基地所属のPT部隊が出るまでの時間稼ぎか。

 

「おや? 離脱せずにこちらとやりあう気ですか」

 

 さすがのアーチボルドも意外そうな口調で呟く。

 

「情報では非武装の実験機だとの事ですが」

「やれやれ、どうやらローズに一杯食わされたようですね。仕方ありません。コーツ隊は実験機の相手を」

「はっ!」

「ああ、そうそう。くれぐれも功を焦ってあの2機を攻撃しては駄目ですよ。スポンサーを怒らせると、これからの僕達の活動に支障が出ますからね」

 

 あるいはローズ、もといミツコ・イスルギは俺の腕を確かめたかった為にカリオンが武装しているという情報を隠していたのかもしれない。そう思うのは俺の自惚れだろうか。

 

「ところで、僕達の獲物は見つかりましたか?」

「はっ、熱源反応を確認。機数4。出撃準備中のようです」

「結構。じゃあ、僕達はもう少し様子を見るとしましょう」

 

 コーツ隊と呼ばれたリオン・タイプFが4機、カリオンへと向かっていくのを見ながら俺達ガーリオン隊は獲物の出現をじっと待つ。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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