転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0075話

「少佐、基地に動きがあります。どうやら目標が出てくるようです」

「ほう、ようやくですか。では、ガーリオン隊とアクセル君は第3段階に移行を。中のパイロットは殺して構いませんから」

「了解した」

 

 アーチボルドからの命令に短く返す。確かに本来なら殺した方が手っ取り早いのだが、わざわざアーチボルドを喜ばせてやる義理もないだろう。

 

「ブースト・ドライブ!」

 

 機体に装備されたブースト・ドライブのスイッチをONにして普通のガーリオンでは出せない速度を叩き出し、まだ起動したばかりの量産型ヒュッケバインMk-Ⅱへと近づく。

 突然速度を増したこちらに動揺したのか、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱの動きは鈍い。

 俺の機体と同時に、他のガーリオン3機もそれぞれ目標の機体へと取り付いていく。

 

「パイロットに告げる。機体から降りろ。でないとコックピットごと潰す」

 

 バースト・レールガンの銃口を量産型ヒュッケバインMk-Ⅱのコックピットへと突きつけ、接触回線で勧告する。

 ただし勧告したのは俺だけで、他の3機はコックピットへアサルトブレードを叩き込みパイロットごとコックピットを潰していた。

 

「他の3機のパイロットはコックピットごと潰されたぞ。どうする?」

「ひいいぃぃぃっ!」

 

 仲間のパイロットが潰されるのを間近で見たのがショックだったのか、あるいは実戦経験のない新兵だったのか。ともかく俺の押さえていた量産型ヒュッケバインMk-Ⅱのコックピットから涙と鼻水を垂らしながら出てきてそのまま基地へと向かって走っていった。

 

「少佐、機体の奪取に成功しました!」

「上出来です。後詰めは僕達に任せて、直ちに離脱を」

「はっ!」

 

 他の3機に比べて少し遅れつつも機体の奪取に成功すると、ガーリオンのパイロットがアーチボルドへと報告する。

 

「にしても、アクセル君は人道主義ですね。もしかして人殺しを忌み嫌う質ですか?」

「別にそういう訳じゃない。だが殺さなくてもいいのなら別に殺さなくてもいいだろう。実際、俺が鹵獲した機体はコックピットが無傷で他の3機よりも状態はいい」

 

 まさか人を殺した場面を見たお前が喜ぶのが嫌で殺さなかった、なんて本当の事を言う訳にもいかないので、適当にそれらしい理屈を並べる。

 

「まぁ、いいでしょう。後は僕達に任せて先に行って下さい」

「ああ。先に行かせて貰う」

 

 ブースト・ドライブを全開にし、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを持ち上げたままライノセラスへと帰還する。

 原作だと俺達が去ったあとにATXチームが来るんだが……ラミアは確かこの時点で既にATXチームに所属していた筈だ。ただし、転移のショックで言語機能がバグってるんだが。

 

 

 

 

 

「アクセル大尉、無事戻ってこれて何よりです」

 

 ライノセラスの格納庫へと戻ると、ユウキが俺を出迎えてくれた。もちろんカーラは自分の定位置とばかりにユウキの隣へと陣取っている。

 

「ああ、この機体は結構使える。ただ連邦軍も新しい機体を配備しだしている事を考えると、機体の寿命は短いかもしれないな。ブースト・ドライブの速度を考えると、今回みたいに一撃離脱用の作戦には丁度いいんだが」

「新しい機体ですか」

 

 そう呟いたユウキの目は俺が奪取してきた量産型ヒュッケバインMk-Ⅱへと向いている。

 こちらの世界ではリオンや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの後継機がこの量産型ヒュッケバインMk-Ⅱで、そのさらに後継機がエルアインス……いやエルシュナイデとなる。

 正直、ヒュッケバインの量産型と言われてもその姿は全く似ていない。例えて言うのなら、ガンダムとその量産型であるジムの姿が全く似ていないと同じようなもの、といえば分かりやすいだろうか。額のV字型アンテナが省略されているのなんて、もろにその例えに近い。

 

「アクセル大尉?」

「いや、なんでもない。それよりこれからどうするのか聞いているか?」

「あ、あたし聞いてる。メキシコ高原にある基地に向かうらしいよ。そこで本隊と一端合流するんだってさ」

 

 本隊……となると、バン・バ・チュン大佐か。

 

「なら、俺はそこでお別れだな。恐らく本隊とやらの艦の方に乗る事になるだろう」

「え? そうなんですか? 会ったばかりなのにもうお別れなんて残念。ユウもそう思うよね?」

「ああ、そうだな。アクセル大尉には是非紅茶をご馳走したかったんだが」

 

 ユウキが珍しくカーラの軽口に付き合っている。話題が紅茶だからか?

 

「ほう、俺もどちらかと言えばコーヒーよりは紅茶派なんだが」

「本当ですか? どこの茶葉が好みですか?」

「あ、いや。紅茶派と言ってるがそこまで詳しい訳じゃない。普段は缶の紅茶だしな」

「勿体ない。紅茶が好きならそんな邪道な真似はしないで、是非自分で淹れるべきです! いえ、まずは手本が必要ですね。是非自分の淹れた紅茶を飲んで下さい」

 

 うわ、ユウキってこういうタイプだったのか。いや、原作でも紅茶に拘りを持っていたしそんなにおかしくはないのか?

 

「あ-、大尉、地雷踏んじゃいましたね。こうなったユウはもう止められませんよ」

「大尉、本隊との合流までそんなに時間がありません! 是非邪道ではない真実の紅茶を!」

 

 いや、真実の紅茶って何だよ。

 結局俺はユウキから紅茶の真髄とやらの講義を聴かされる事になった。

 

 

 

「アクセル大尉、もうそろそろ基地に到着するとの事ですので下船の準備をお願いします」

 

 ライノセラスの速度が落ちてきたのを見計らったかのように、ユウキから声を掛けられる。

 とは言っても、ワシントンの空港からタウゼントフェスラーに乗って、このライノセラスへと乗り換えて来たんだから、荷物は旅をしていた時のボストンバッグくらいしか持っていない。

 元々本当に必要なものはグロウセイヴァーを含めて空間倉庫に収納してあるので、ボストンバッグに入っているのは本当に着替えくらいだ。

 そのボストンバッグを手に取るだけで、下船準備は完了する。

 

「準備完了だ。いつでも降りれるぞ」

「荷物はそれだけですか?」

 

 呆れたような口調のユウキだが、隣にいるカーラは何故か残念そうな顔をしている。

 

「アクセル大尉の私物なんだから、何か面白そうな物があると思ったのに。残念」

 

 

 

「じゃ、アクセル君はちょっとここで待ってて下さい。僕は話をつけてきますので」

 

 基地の司令室へと入っていくアーチボルドの後ろ姿を黙って見送る。

 こちらの世界ではDC戦争の後にアードラー・コッホがDC残党を纏めて反乱を起こすが、それもハガネやヒリュウ改に潰された。その状態でここまでDCという組織を維持し、拡大してきたバン・バ・チュンという男はやはりそれなりの人物なのだろう。

 そんな風に考えていると、扉が開きアーチボルドが顔を出す。

 

「アクセル君、バン大佐に紹介するので入ってきて下さい」

 

 アーチボルドの言葉に頷き、司令室の中へと入る。

 部屋の中でまず最初に目に入ってきたのは1人の男。日焼けした浅黒い顔に幾筋もの傷跡が残っている。この男がバン・バ・チュン。その男から受けた印象は、司令官と言うよりも熟達した戦士のそれだった。だが、考えてみれば目の前の男は元々民族解放運動のリーダーをしていたのだ。恐らく最前線で戦っていたのだろう。

 

「初めましてだな。私はバン・バ・チュン大佐だ。現在のDCを纏めさせてもらっている」

「俺、もとい自分はアクセル・アルマー大尉です。よろしくお願いします」

 

 さすがに大佐クラスの相手となると、ユウキやカーラに言っていたように砕けた態度で接する訳にもいかないのできちんと敬礼する。

 

「ああ。ところで大尉はアースクレイドルの協力者との事だが、詳しい事を説明して貰っても構わないかね?」

 

 さて、どうするか。まさか正直に平行世界で反乱を起こしたけど失敗したので逃げてきました、なんて言う訳にもいかない。となると機密を盾にするしかないか。

 

「一応、その辺は機密となってますので自分からはお答えできません。ただ、アースクレイドルに行けば上司がいる筈ですので、話はそちらの方でお願いします。こちらから言えるのは、イスルギ重工との繋がりでアースクレイドルと関わった、とだけ」

「ふむ、機密か。アースクレイドルに行けば分かるというなら、それもいいだろう。それにイスルギ重工に関してはこちらも支援して貰っている身だ。とやかく言う事は出来んしな」

 

 どうやら言い逃れる事には成功したか。その辺の詳しい話はアースクレイドルにいるヴィンデルに任せるとしよう。

 

「それでこれからの予定はどうなってるんでしょうか?」

「アースクレイドルからの迎えが8時間後にテビク沖へ到着する予定だ。その案内に従ってアフリカへ渡り、アースクレイドルへという流れだな。大尉も同道するという事でいいんだな?」

「はい、お願いします。こちらとしても上司と合流しようと思っていたのですが、アースクレイドルのある場所が大まかにしか分からなかったので渡りに船です」

「ふ。呉越同舟とならなければいいが、な」

 

 口元には笑みを浮かべているが、その目は鋭くこちらを観察している。だがそれも当然だろう。現在の俺はあくまでも自称アースクレイドルの協力者でしか無いのだから。

 

「それはこれからの行動で示していきたいと思います」

 

 思わずそう返すが、原作通りの流れだとオペレーション・プランタジネットで裏切るんだから、バン大佐の読みは間違ってはいない。

 

「では出発までもう少し時間がある。部屋を用意するからそちらで休んでくれ」

「ありがとうございます」

 

 さて、ようやくアースクレイドルに向かえるか。本来ならタウゼントフェスラーでワシントンから直行だった筈が、かなりの回り道になってしまったな。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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