転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0882話

 日本の横浜近くにある帝国軍基地、それが白陵基地だ。

 もっとも、今は国連軍が借り受けて国連軍基地として使われているんだが。

 ともあれ、10日前に夕呼と約束した通りに俺達は現在その白陵基地の離着陸場にあった。

 最初は輸送機か何かで移動しようと思っていた。だが考えるまでもなく日本は現在最前線ではないが、限りなく最前線に近い場所だ。最も近いハイヴである鉄原ハイヴは俺が攻略済みで、現在は大東亜連合と国連軍の最重要拠点として急速に武装なり建設なりしているが、そんな状態でも重慶ハイヴやブラゴエスチェンスクハイヴ辺りにいる光線級や重光線級なら射程範囲内だ。それらの理由から、輸送機で飛んで日本に向かうのは止めておく事にした。

 いや、シロガネ辺りを使えば問題は無かったんだろうが、今回はそこまで大袈裟にしたくないからな。それで結局はニーズヘッグのシステムXNを使ってオーストラリアの基地から一気に白陵基地に転移してきた訳だ。

 当然、他の面子……イザーク、スティング、アウルや量産型Wも一緒に転移したのだが。

 当然ながら、一緒に転移したメンバーの乗機やメギロート、イルメヤといった機体は俺の空間倉庫の中に入っている。

 ちなみに話は戻るが、鉄原ハイヴに向かって何度かBETAが攻めて来ているらしい。だが最近は優先的に大東亜連合にガン・ルゥとリニアガン・タンクを提供しているだけあって、撃退するのに成功している。

 ……決してどこかの某国を押さえて貰っている謝礼ではない。多少他の国よりも安く譲ってはいるが。

 

「……確か連絡は行っている筈だったんだがな」

 

 離着陸場に突然姿を現したシャドウミラーの面々、そしてニーズヘッグから降りてきた俺に、どう対処してもいいのか分からない様子の白陵基地の面々。

 離着陸場という事もあって戦術機も何機か見えるが、そちらも同様にどう対処していいのか迷っているらしい。

 ちなみに国連軍基地というだけあって、さすがに戦術機はかなりの種類見える。

 F-4、F-5のバリエーションも多いが、驚いたのはF-15EやF-18Eがかなりの数存在している事だ。

 オーストラリア国防軍にもまだそれ程の数が配備されていないんだが……まぁ、その辺はここが準前線国家とでも言える場所だからだろうな。

 

「なぁ、アクセル。いつまでこうしてなきゃいけないんだよ?」

 

 じっと立っているのに面倒くさくなった……というか、周囲の軍人達から距離を取られてジロジロと見られているのが嫌になったのだろう。アウルが不満そうに呟く。

 それでも周囲の軍人達がこっちを見ているだけなのは、やはりニーズヘッグの存在が大きいだろうな。

 アラビア半島防衛戦、鉄原ハイヴ攻略戦でかなり目立ってしまっただけに、見覚えのある者も当然多いんだろう。

 いや、どこか憧れのような視線を俺やニーズヘッグに向けている者も多い。

 あるいは、ヘルメットを被っている量産型Wの集団に対して不思議そうな視線を向けている者も、それなりに存在している。

 いずれにしろ、日本という最前線に近い位置にある基地としては色々問題があると言わざるを得ない。

 そんな風に思っていると、やがて1人の人物がこちらへと小走りに近寄ってくる。

 金髪をショートカットにしている女で、年齢的には俺よりも少し下、まだ20歳前後ってところか。

 国連軍の軍服を着ているのを思えば、この白陵基地の軍人なのだろう。

 

「す、すいません。シャドウミラーの皆さん、お待たせしました。私は香月副司令の部下で、イリーナ・ピアティフ中尉です。出迎えが遅れて申し訳ありません」

 

 そう告げながら敬礼をするが、その仕草はまだどこか板に付いていない感じがする。夕呼の部下って事だし、恐らく本職の軍人ではないんだろう。

 

「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。確かに色々と不躾な視線を向けられはしたが、この世界で転移技術は珍しいらしいからな。それで、これからの予定は?」

 

 俺の言葉にほっと安堵の息を吐くピアティフ。

 少し離れた場所でアウルが周囲から向けられていた視線にまだ不満そうにしていたが、それでも文句は口にしない。

 まぁ、ピアティフはどこか柔らかな印象を受けるからな。文句を言いづらいというのもあるんだろう。……夕呼辺りならそれを考慮して自分の部下としているのは間違い無いだろうが。

 

「その……ちょっと予定外の事態が起きてまして。取りあえず香月副司令はそちらの方に対応されているので、シャドウミラーの皆さんは少し会議室の方でお待ちいただきたいと」

「……予定外?」

 

 基地の様子から考えて、別にBETAが攻めてきたとかではないだろう。

 確実にとは言えないが、それでも現状でBETAが攻めるとしたら日本よりも先に鉄原ハイヴだろうし。

 

「会議室の方へご案内しますが、その……あの機体の方は……」

「ん? ああ、そうだな」

 

 ピアティフの言葉に頷き、機体に接触して空間倉庫へと収納する。

 戦術機より小さいとは言っても、目の前でいきなりニーズヘッグの姿が忽然と消えた事に驚愕の表情を浮かべるピアティフ。

 それは、先程からこっちの様子を眺めている他の軍人達にしても同様だった。

 既に慣れているその様子に、ピアティフへと声を掛ける。

 

「会議室への案内を頼む」

「……あ、は、はい。今すぐに!」

 

 こちらも呆然としていたピアティフが頷き、早速とばかりにこっちに案内をしてくるが、そこについていくのは俺、イザーク、スティング、アウルの4人のみ。

 それに気が付いたピアティフがこちらに視線を向けて口を開く。

 

「アクセル代表、その、他の方々は……」

「ああ、気にするな。あいつらはどこか邪魔にならない場所で待たせておけばいい」

「……そうですか? まぁ、アクセル代表がそう仰るのなら……」

 

 微妙に納得出来ていない様子のピアティフだったが、それ以上は何を言うでも無く、量産型Wが待っていてもいい場所を告げてから俺達を引き連れて基地の中へと入っていく。

 そうして基地の内部を歩けば、当然周囲から視線を向けられる訳で……メディアへの露出もあって、この中で最も注目を浴びていたのは、当然の如くシャドウミラー代表の俺だった。

 そんな状態で基地の中を進み続け、やがてピアティフは1つの部屋の前で止まり、ノックをして声を掛ける。

 

「香月副司令、シャドウミラーの方々をお連れしました」

「そう、入ってちょうだい」

 

 その言葉と共に扉が開き、中へと入ったのだが……

 

「……恭子?」

 

 部屋、いわゆるブリーフィングルームの中にいた人物を目にして思わずそう呟く。

 そう、ブリーフィングルームの中にいたのは、ウェーブの掛かったロングヘアーを後ろで結い上げている、凜とした雰囲気を持った女、以前日本で行った花見の時に面識を得た、日本の五摂家の1つ、崇宰家の次期当主と言われている崇宰恭子で間違いがなかった。

 その近くには護衛、あるいはお付きなのだろう女の斯衛も3人いる。

 

「……お久しぶりです」

 

 こちらを見て苦笑を浮かべつつ頭を下げるその様子に、内心疑問に思いつつ今回のホストでもある夕呼へと向かって口を開く。

 

「何でここに?」

「……さぁ、何でかしら」

 

 疲れたといった風に溜息を吐きながら、夕呼の視線は恭子の方へと向けられる。

 俺と夕呼の視線を向けられた恭子は、小さく苦笑を浮かべて口を開く。

 

「元々は崇継さんが今日こちらでシャドウミラーとA-01部隊の模擬戦が行われるという話を聞きつけて、私に見学に行かないかと連絡してきたんです。……それも、城内省の方に手を回して斯衛軍に休日を取り付けてから」

「崇継か」

 

 確かにあいつはどことなく快楽主義者的な面があるから、面白そうだと思えばそのくらいはしそうだよな。

 A-01連隊というのは機密性の高い秘密部隊に近い性質を持っているんだが……まぁ、斑鳩家の当主であれば知っていて当然か。

 普通なら斯衛軍という堅苦しい組織でそんな無理は通せないんだろうが、崇継は斑鳩家の当主である上に、俺達シャドウミラーとの仲を深める為と言えば、斯衛の上部組織でもある城内省でも受け入れるしかないだろう。

 だが……

 

「肝心の崇継の姿が見えないようだが?」

 

 そう、部屋の中にいるのは夕呼と恭子。そして恭子の護衛と思われる3人の斯衛だけだった。

 その言葉に、困ったような笑みを浮かべる恭子。

 

「はい。何でも急な用事が入ったとかで、自分は行けなくなったから私だけでもと」

「……ふむ」

 

 色々と妙なところはある。そもそも、前もって恭子と約束していた崇継が、急に何か用事が出来て来られなくなったというのは違和感がある。

 いや、斑鳩家当主ともなれば突発的な事がないとは言えないか?

 花見の時に聞いた話では、斑鳩家と崇宰家というのは非常に親しいらしい。だからこそ、この2人も同年代って事でそれなりに親しいんだろうが……

 となると、わざと恭子だけをこの場に押し込みたかった? 何故?

 幾ら2人の家が親しいとは言っても、崇宰家だけがシャドウミラーと接近しすぎるのを黙って見過ごす程に甘くは無いだろう。

 だが……

 

「まぁ、来てしまったのをここで帰れとも言えないしな。そもそも、その辺は俺じゃなくて夕呼が仕切る事だし。どうするんだ?」

「どうするも何も、崇宰家の方に向かって失礼な事は言えないわよ。……恭子様、もしよろしければ、今日の模擬演習を見ていって下さい。恭子様は鬼姫と呼ばれる程に戦術機の操縦に長けているお方と聞きます。A-01連隊の者達は恭子様程に優れた技量はまだありませんが、それでも少しでも何か思うところがあれば教えて貰えると助かります」

 

 ……なるほど。崇宰家の人間では無く斯衛軍のパイロットとしてアドバイスを求めるか。

 それならまだ、どうにか言い繕う事は出来そうだしな。

 にしても、崇継……本当に何を考えてるんだ?

 

「ええ、私もA-01連隊の活躍を期待しています」

 

 ニコリと笑みを浮かべてそう告げる恭子に、何故か俺の隣にいたスティングの頬が赤くなる。

 ……おい。いやまぁ、その気持ちは分からないでもないけどな。

 ともあれ恭子に関する話はそこで一段落し、その後ピアティフの案内によって部屋を出て行く。

 それを見送った夕呼は、恭子の姿が消えた途端溜息を吐き出す。

 

「あー……参ったわね。まさかここで崇宰家が出てくるなんて。正直、あんた達に関わってから、あたしの計画が色々と目茶苦茶よ。また後で言い訳しなきゃいけないじゃない」

「言い訳?」

「何でも無いわよ、何でも。……連城、挨拶しなさい」

 

 何かを誤魔化すように夕呼が告げ、連城と呼ばれた20代半ば程の、外見年齢で言えば俺よりも少し上くらいの女がこちらに向かって敬礼してくる。

 

「初めまして、アクセル・アルマー代表。私はA-01連隊の指揮官を務める連城真弓中佐です」

 

 ビシリとした敬礼に、ハキハキとした言葉遣い。動きやすさを優先しているのだろう短い髪。典型的な軍人だった。

 夕呼の虎の子でもあるA-01連隊を任せられるくらいだ。当然有能ではあるんだろう。

 

「ああ、今日はよろしく頼む。とは言っても模擬戦の相手をするのはこの3人がメインで、他は量産型Wと無人機だがな」

「量産型W?」

 

 ん? その辺の事は知らされていないのか? 夕呼辺りから聞かされているとばかり思っていたが。

 チラリと夕呼の方へ視線を向けると、小さく肩を竦められる。

 

「……それはともかく、私としては出来ればシャドウミラーでも最強と呼ばれているアクセル代表と戦ってみたかったです」

「ほう」

 

 いきなりの宣戦布告か。

 だが、それを聞いて黙っていられない者も当然いる訳で……

 

「あのさぁ、幾ら何でも俺達を舐めすぎじゃない? そう簡単にアクセルと戦えるとか思ってるのかよ?」

 

 アウルが目つきを鋭くして連城を睨み付ける。

 だが、連城は少しも動じた様子も無く口を開く。

 

「別にシャドウミラーの方々を侮っている訳ではありません。ただ、アクセル代表相手にどこまでやれるかを試してみたかったのです。これも衛士の性とお取り下さい」

 

 ……へぇ、中々。

 

「そうだな、ならこうしようか。イザーク達の模擬戦でいいところを見せてくれたら俺が相手をしてやろう」

「アクセル!?」

 

 反射的に俺の方を睨み付けるアウル。

 

「落ち着け。いいところを見せてくれたら、だ。それをさせたくないというのなら、お前が頑張って完全勝利を目指せばいいさ」

「……分かったよ」

 

 ふて腐れた様子でそう呟いたアウルが、連城の方に鋭い視線を向ける。

 

「絶対お前達に何か負けてやらないからな!」

 

 そう、宣戦布告の言葉を口にしながら。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

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