転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0887話

 模擬戦のあった翌日。つまり、統一中華戦線のあの馬鹿げた宣言と数時間後にあっさりと撤回という、喜劇とでも呼ぶべきものがあった翌日でもある訳だが……その日、とある放送がマブラヴ世界に流された。即ち……

 

『再度宣言します。私達台湾はこの度中国と結んでいた軍事同盟とも言える統一中華戦線を解消し、また同時に中国共産党政府から要請のあった台湾受け入れに関しても拒否します』

 

 そう、BETAに関しての軍事同盟を結んでいた台湾と中国。その2つで構成されていた統一中華戦線が事実上解消したのだ。

 

『シャドウミラーという存在のおかげで人類にある程度の余裕が出来た、今この時。何故BETAに利するような真似をするのかという方もいるでしょう。ですが、今だからこそなのです。今までは人類が必死になり、協力し合わなければBETAとの戦いで生き残る事が出来ませんでした』

 

 そこまで告げ、一旦言葉を止める台湾の代表。

 そして小さく息を整え、聞いている者の注目を集めてから再び口を開く。

 

『ですが、中国はそのシャドウミラーに対してこれまでに幾度となくスパイを送り込み、更には自らの傲慢により地球全土にBETA戦争を引き起こしたにも関わらず、その事には一切触れずに自分達こそがアジア圏における人類の盾だとする態度を取り続けてきました。更にはそれを利用し、シャドウミラーに幾度となく譲歩を迫るという始末』

 

 その言葉と同時に、代表の男の後ろにスクリーンが展開されてこれまでに中国が行ってきた不正の数々が大量に表示される。

 ……統一中華戦線として軍事同盟を組んでいたからこそ知り得た情報なんだろう。

 

『特に酷かったのは、シャドウミラーが善意で行ってくれたハイヴ攻略。……そう、人類が初めてBETAの巣でもあるハイヴを取り戻した鉄原ハイヴです。シャドウミラーがハイヴを攻略すると発表した時には、自分達の国土にあるハイヴを攻略すべきであり、当然その過程で得た様々な物は自分達が得るべきだという、恥知らずとしか言えないような事まで堂々と国連の場で口にしていました』

 

 これを見ている中国の政治家達はどう思っているんだろうな。恐らく顔を真っ赤にしているか、逆に青くしているか……何しろ、自分達のしてきた不正がこうまであからさまに……しかも世界中に公表されたのだから。

 

『そして昨日。私達台湾が中国共産党と共に在る事が出来ないと決断せざるを得ない出来事がありました。……軍に詳しい方なら知っているでしょうが、昨日鉄原ハイヴは重慶ハイヴのBETAに襲撃されました。ただ、幸い数はそれ程多くなかった事もあり、国連軍、大東亜連合軍、そして統一中華戦線の戦力もあって無事撃退する事に成功しました』

 

 そう、そこまでは、問題無かったのだ。

 だが……

 

『しかし、問題が起きたのはこの後です。鉄原ハイヴを取り戻そうと襲ってきたBETAを倒した直後、突然中国は統一中華戦線の名前を使って声明を発表したのです。以後、鉄原ハイヴを自分達が守ることはない、と。その理由としては、自分達が弾避けにされている、補給がしっかりしていないといったものがありましたが、それは全て出鱈目と言ってもいいでしょう。大東亜連合も国連軍も最前線で戦っており、補給に関しても完全に平等にとは言いませんが、それでも大東亜連合は可能な限りの手配をしてくれていました。統一中華戦線の名前を使って行われた声明の意味はどこにあったのか。それは私にも正確なところは分かりません。幾つか予想は出来ますが、敢えて口にしたくもありません。ただ、最終的にはその声明がシャドウミラーの怒りを買い、今後取引をしないように検討しているという声明すら出させました』

 

 この会見を聞いている中でも知らなかった者もいるのだろう。画像越しにどよめきの声が聞こえてくる。

 

『現在、シャドウミラー経由で他の世界から提供されている食料を始めとした各種生活用品、あるいは武器や技術といったものは、台湾という国の中でも重要な位置を示しています。ですが、我々は中国共産党との軍事同盟である統一中華戦線を形成しているという事で、その巻き添えという形により手に入れられる事が出来る品には酷く制限が掛かっています。そして、この度中国共産党から要請のあった、国としての受け入れ。これを引き受けた場合、再び台湾という国は多種多様な不利益を得るでしょう。本来であれば、対BETA戦における戦力的な問題でこの要請は受け入れざるを得ませんでした。ですが、現在はその問題も解決してきている以上、私達がこれを受け入れる必要は無いと……寧ろ、受け入れた場合のデメリットが非常に多いとの結論に達しました。その結果、統一中華戦線の脱退と、同時に中国共産党の受け入れを正式に拒否する事をここに宣言します』

 

 この放送は国連で行われたのではなく、通常の放送で誰もが見る事が出来る状態でされた。

 その理由は簡単だろう。マブラヴ世界の住人に対する宣言というのもあるが、より正確には俺達シャドウミラーに対しての宣言という一面が強かったのだ。

 自分達は中国とは違う。軍事同盟を解消し、国としての受け入れも拒否した。だから輸出規制に関して中国とは別として見て欲しい……と。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。自分達が何も悪い事をしていないのに中国が次々に足を引っ張り、その結果大きなペナルティが降りかかってくるのだから。

 既にその巻き添えに対する被害が出ている以上、これ以上はゴメンだと判断したのだろう。特に放送にもあったように、昨日の件が致命的だったんだろうな。

 いやまぁ、昨日の件は色々な意味で致命的だったのは事実か。

 ともあれ、台湾に政府機能を避難させる件もこれで駄目になったことだし、中国にとっては何気にダメージがでかいだろう。

 ただ、ダメージがでかすぎて暴走しないといいんだが。

 他に中国が避難出来そうな場所と言えば、オーストラリア……は俺達がいるからまず引き受けないだろうし、大東亜連合に合流……も昨日の件を考えると難しい。そうなると一番可能性が高いのは、EUの多くが避難しているアフリカか。

 もっとも、これまでの経緯を考えれば向こうでも色々と騒動を起こしそうな気はするけどな。

 そんな風に考えていると、台湾からの放送が終了して元の番組が映し出される。

 

「……さて、そうなると……」

 

 通信装置でエザリアへと連絡を入れると、瞬時に映像モニタにエザリアの姿が映し出される。

 向こうでも今の放送は見ていたのだろう。

 それで俺に連絡をしようとしていたところ、こっちから通信が入った……といったところか。

 

「エザリア、今の放送を見てたか?」

『ええ、マブラヴ世界の台湾の声明ね』

 

 あっさりと言葉を返すエザリアだが、内政担当としてシャドウミラーと関わりのある国々の情報については細かく調べている。

 それこそTV放送の類は重要な情報源の1つであり、それを考えると各世界から受信できるTV放送の中でマブラヴ世界の件をすぐに察知したのは、さすがうちの内政部門の実質的なトップと言えるだろう。

 

「それで、どうしたらいいと思う?」

『どうって……台湾に関してよね?』

「ああ。あそこまではっきりと中国との決別を口にして、更には統一中華戦線からも脱退した以上、問題無く取引出来ると思うんだが」

『……そうね。確かにそうだと思う。統一中華戦線は色々と問題があったけど、実際にその問題を引き起こしてたのは、殆どが中国でしょう?』

「ああ。特にシャドウミラーの基地に人を送り込んできたような悪質なのはな」

 

 もっとも、中にはシャドウミラーと中国の関係の悪さを理解した上で中国人に見せかけて人を送り込んでいる者達もいるだろうが。

 最近は大人しくなっていたが、俺達の存在が知られた当初に送り込まれてきたソ連辺りがカモフラージュとして中国人を使っているというのは十分に可能性がある。

 

『一度向こうに接触してみるわ。さっきの放送にしても、台湾は中国と違うのでシャドウミラーと取引をしたいっていう意思の表れでしょう?』

「だろうな。でなければああも大々的な真似はしないだろうしな。頼む」

 

 正直、これで統一中華戦線から台湾の戦力が落ちたのは痛いが……

 そんな風に思いつつ、その日の出来事は過ぎていく。

 ……俺が、予想していたよりも中国が愚かだと知るのは、翌日の事だった。

 

 

 

 

 

「んー……うるさいわね。こんな朝早くから何よ……」

 

 不意に耳元でそんな声が聞こえ、意識が急速に覚醒していく。

 声のした方へと視線を向けると、そこにあるのはストロベリーブロンドの髪。身体には柔らかく、暖かい感触が残っている。

 同時に、通信機の着信音が寝室へと響き渡っていた。

 レモン、コーネリア、マリュー、スレイ、シェリルの5人が見事な裸体を露わにして寝ている状態で、起こさないようにしながら通信機のある方へと向かう。

 

「アクセル……?」

「もう少し寝てていいぞ。昨日は疲れただろ」

 

 俺に抱きついていただけに、身動きしたので完全に目が覚めたのだろう。シェリルがそう告げてくるのに言葉を返し、ベッドから降りる。

 ……部屋の半分以上を占める巨大なベッドってのも、こういう時には不便だよな。

 小さく溜息を吐き、混沌精霊としての力で空中を飛びながら通信機の近くに移動してナイトガウンを纏う。

 何だかんだで昨日は殆ど着ていなかったナイトガウンだけに、皺や汚れの類が無いのは救いか。

 いや、さすがに映像は映さないけどな。

 

「誰だ?」

『私よ、アクセル。朝早くにごめんなさい』

 

 映像モニタに映し出されたのは、エザリア。

 こっちがどんな状況になっているのかは理解しているのだろう。こちらからの映像は流さずに音声だけだが、特に文句も無く言葉を告げてくる。

 時計を見ると、AM4:37分。

 ……昨夜、全てが終わって眠りについたのがAM1時過ぎだった筈だから、まだ4時間経ってないのか。どうりでレモン達の眠りが深い筈だ。

 そんな風に思いつつ、口を開く。

 

「いや、構わない。こんな時間に連絡してくるんだから何かあったんだろ。で、何があった?」

『中国が暴発したわ。現在台湾へと向かって侵攻軍を出している』

 

 その言葉は、ある意味で予想通り。だが、予想していたよりも斜め上であるというのも事実だった。

 

「台湾に侵攻?」

『ええ。理由としては、人類の盾としてBETAに対抗しうる統一中華戦線を自らの利益の為に解消したのは、人類に対する致命的なまでの裏切りであり、それに対する制裁というところね』

「……いや、中国がそれを言ってもな。どう考えてもこじつけでしかないだろ」

『でしょうね。昨日の放送で思い切り面子を潰された事による仕返しという面が強いわ。それに、現在のこの状況を招いた責任は中国にあると明言されたのも気にくわなかったんでしょう』

「その辺に関しては、鉄原ハイヴを攻略する時の式典でも言ってたと思うが?」

『言った相手が違うでしょ。世界第2位の国力を持っていて、更に私達シャドウミラーと繋がりの深いオーストラリアと、自分達に比べれば小さな領土しか持っていない台湾。それに式典で言われたことをより強調して言われたせいで、あの放送を見た人達に強く印象づけられたというのも事実でしょうし。……BETAとの戦いが終わった後で自分達の失点になりそうなものは消しておきたい……ってのが正直なところでしょうね』

 

 なるほど。それでまずは自分達に逆らった台湾から……って事か。

 戦後を見据えるにしても、色々と間違っているようにしか思えないんだが。

 それなら、まだアメリカのF-22を開発している方が納得出来る。

 まぁ、F-22最大の特徴でもあるステルスが俺達とは比べものにならない程にお粗末なのは色々と悲惨だろうが。

 

「それで、各国の反応は?」

『当初は国連軍が中国軍を食い止めようとしていたんだけど……』

 

 苦渋に満ちた声。

 まだ何かあるのか?

 

「続けてくれ」

『……中国軍が、台湾に攻撃を仕掛ける前に重慶ハイヴに対してちょっかいを出して、BETAを引っ張ってきたのよ』

「は?」

 

 嘘だろ? そんな思いでエザリアに視線を向けるが、向こうにしてもそれは同意見なのか、黙って首を横に振る。

 色々と前提を間違えていないか? 例え台湾軍を倒して台湾を制圧するにしても、誘き出したBETAを国連軍が押さえ込めなければ……いや、なるほど。その為の俺達か。

 確かにシャドウミラーの戦力があれば、誘き出したBETAくらいはどうとでもなる。

 だが……そうだな。

 行動するにも仲介役でもあるオーストラリアは通さないといけないか。

 

「エザリア、アンディに連絡を頼む。いくらオーストラリアの首相だと言っても、これだけの事件が起きていれば既に何らかの対応を協議している筈だしな」

 

 中国軍……俺達を利用しようとした礼は、きっちりと返させて貰うからな。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

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