転生とらぶる   作:青竹(移住)

934 / 4305
0894話

「アメリカとしては何を求める? やっぱりG元素か?」

『単刀直入にくるね。……そうだな、友人であるアクセルになら言ってもいいか。確かにアメリカは……特にオルタネイティヴ5推進派の者達はG元素を必要としているのは間違いない』

「それで都合良く俺達がアンバールハイヴを攻略するから、それを利用しようと?」

 

 その言葉にビルの眉が顰められる。

 アメリカ大統領である以上、こうした態度を見せるのは良くないんだろうが……さて、これは俺を友人だと思っているというのを表に出したいからこその態度と見るべきか、はたまた本当に俺を友人だと思っているからか。……どう考えても前者だろう。

 

『確かにそれは否定しないし、出来ない。だが……この世界に存在する軍隊の戦力だけでハイヴ攻略が難しいというのも事実なんだ。地上での戦いや間引きに関しては、シャドウミラー経由で輸入されているリニアガン・タンクやガン・ルゥのおかげで相当な戦果を得ているし、戦死者の数もそれらの兵器が広がっていくのに反比例するようにして減ってきているのも事実。けど……』

 

 その言葉の後に何が続くのかは、言葉にされる前に理解した。即ち……

 

「ハイヴ内の戦闘で使える機体がない、か」

『その通り。確かに君達の技術によって戦術機の性能は上がってきている。動きの後の硬直に関する対応しかり、バッテリーや推進剤の改良による稼働時間の延長しかり、重斬刀やアサルトナイフによる近接戦闘における継戦能力の上昇然り。……だが、そもそもの機体性能が君達シャドウミラーの機体に比べて圧倒的に劣っているというのもまた、変えられない事実なんだ』

「だろうな」

 

 こちらとしても、意図的にその辺の機体に関しては情報を秘匿してきた。

 唯一の例外が、日本に譲渡したストライクダガーだ。

 そして日本はそのストライクダガーを解析して得た技術により、飛鳥計画の機体性能をかなり上げているというのは事実。

 

『……日本にばかり贔屓するというのは、正直どうかと思うけどね』

「さて、何の話だ?」

 

 タイミング良く尋ねてきたその言葉に、取りあえずそう返す。

 とは言っても、基本的には軍人である俺と本職の政治家……しかもこの人類滅亡までのカウントダウンがいつ始まってもおかしくないマブラヴ世界で、圧倒的な国力を誇るアメリカの大統領だ。その辺のやり取りでは俺に勝ち目が薄いのは事実だった。

 

『こちらでも色々と伝手があってね。君達が日本に対して特別の配慮をしているというのは知っている。特に五摂家とか言ったかな。そこの女性とかなり親密らしいじゃないか』

 

 なるほど、そっちから来たか。

 まぁ、確かに最近俺と恭子が色々と行動を共にしていたのは事実だ。

 理由としては幾つかあるが、それを画策した崇継としては日本とシャドウミラーの関係を深めようと思っているのは間違い無い。

 ……恭子本人がそれに気が付いていないとは思わないが、その割には秋波を送って誘ってきたりはしないんだよな。

 いや、確かに義務感だけで誘われてどうこうってのは俺の趣味じゃないから、助かってるんだが。

 

「親密という程に親密じゃないさ。いいところ、ただの友人ってところだな」

『そうかい? ならこちらからもいいパートナーを紹介出来ると思うんだけど、どうだろう?』

「戯れ言はもういい。別に女に関して困ってるって訳じゃない。今でさえ恋人が5人もいるってのに」

『英雄色を好むって奴だね。……まぁ、この話はこれくらいにして、だ。アメリカとしてもシャドウミラーの要求をそのまま認めるというのは、今のままだととてもではないが出来ない。そこで、だ。ここで1つ取引と行かないか?』

「取引? 現状でアメリカに対する貸しは大量にあったと思うがな。特にバーナード星系の件とか、キリスト教恭順派が使った最新鋭機の件とか」

『……君の気持ちは分かる。分かるんだけど、こちらにも面子というものがあってね。多少は顔を立ててくれると助かる。お互いのこれからの為にも』

 

 申し訳なさそうな顔を浮かべてそう告げてくるビル。

 確かにこうして見る限りでは色々とあるんだろうが、今見せている表情が本気のものである筈は無いだろう。

 だが、そうだな。確かにBETAと真っ向から戦える為の戦力がこの世界に必要なのも事実だ。日本に提供したストライクダガーにしても、解析出来た技術を完全に活かしているとはいえない。

 となると、やはりより技術力の高い国……具体的に言えばアメリカに対してストライクダガーを提供して根本的な技術力を上げるというのありと言えばありか。

 

「そうだな、5分くらいこのまま待ってくれ」

『ああ、勿論だよ。友人のアクセルの頼みだ。5分待つくらいはどうということはないからね』

 

 向こうにしても手応えを感じたのか、特に何を言うでもなくこっちの要求をあっさりと飲む。

 そんなビルをそのままに一旦通信の音声のみを切り、ホワイトスターの家へと通信を入れる。

 

『はい? あら、アクセル。どうしたの?』

 

 通信に出たのは、タイミング良くレモン。

 どうやら何かのレポートを読んでいたらしく、その後ろに映っているテーブルの上には数枚の紙が存在している。

 コンピュータでも普通にレポートは読めるんだが……その辺はまぁ、趣味の一環に近いんだろう。

 そんな風に思いつつ、時間もないので早速本題に入る。

 

「レモン、現在日本でストライクダガーの解析はどの程度まで進んでいる?」

『どの程度って……そうね、まず自力でMSを作る事は出来ない。これはいいわよね?』

「まぁ、その辺は当然だろうな」

 

 SEED世界とマブラヴ世界では基礎的な技術が違いすぎる。

 ……その状態で戦術機なんて存在を作り上げているのを思えば、意外と何とかしそうではあるんだが。

 それも将来的にではあって、今すぐにどうこうというのは不可能に近い。

 

『ただ、アクセルも知っての通り部分的な解析に関しては大分進んでいるらしいわよ。それに、解析した技術を飛鳥計画の機体に流用しているのも知ってるでしょ?』

「その辺はな。……具体的に聞こう。もし現状でアメリカにストライクダガーを渡したとしたら、技術的にはどうなる? 日本にストライクダガーを譲渡してから半年近く経っている筈だが、このアドバンテージはアメリカが覆せると思うか?」

『……難しいわね。純粋に技術力だけで考えれば、確かに日本はアメリカに対抗出来るだけのものを持っているわ。……かなりギリギリの線でだけど。けど、最大の問題はその技術力を十分に発揮出来ないって事なのよ』

 

 その一言でレモンが何を言いたいのかを理解する。

 

「城内省、か」

『そ。夕呼経由の情報だけど、かなり出しゃばって無茶言ってるみたいよ? その結果、帝国軍、斯衛軍、オルタネイティブ4といった勢力が困っているみたい』

「……なるほど」

 

 だが、逆に考えれば今が好機でもある訳だ。

 ここでアメリカに対してストライクダガーを渡したとなれば、身内で争っていてはアメリカにストライクダガーでも追い越されるという危機感を持つに至るだろう。

 その辺を考慮すると……

 

「アメリカに譲渡するにしても、ストライクダガー本体だけにしてビームライフル、ビームサーベル、シールドの類は抜かした方がいいか?」

『そう、ね。アメリカの国力があれば、恐らく解析に関しては日本よりも早く終わるかもしれない。けど、勢力が日本以上に混沌としている点を考えると……実際には日本よりも手こずることになるかもしれないから、その辺を考えるとある意味丁度いいかもしれないわね。でも……』

「でも?」

『アクセルの案もいいけど、それだと結局お互いに同じ機体を解析する事になるから、結局行き着く先は同じでしょ?』

「まぁ、方向性に多少の違いは出るかもしれないけど、恐らくはそうだろうな」

 

 レモンの言葉に頷くと、そこにその通りだとばかりに頷かれる。

 

『なら、どうせならお互いに違う機体を研究させればいいじゃない。私のお勧めとしてはザフトのジンね。ストライクダガーよりも性能や生産性が1段階下だけに、日本とアメリカの力関係を思えば丁度いいんじゃないかしら』

 

 お互いに違う機体の研究を切磋琢磨する事になり、結果的にこの世界の技術は上がる……か。

 基礎技術では日本よりもアメリカの方が上である以上、ストライクダガーとジンで丁度いいハンデになるだろうし。

 

「分かった、その辺で調整しても問題無いかエザリアに聞いてみる」

『ええ、お願い』

 

 短く言葉を交わして通信を切り、次にエザリアへと。

 幸い内政担当の建物にいたらしくあっさりと捉まったので、レモンと相談した内容を話したのだが……

 

『……そう』

 

 何故か返ってきたのは、どこか奥歯に物が挟まったような言葉。

 何だ? 何か見逃しているのか?

 

「何か不味い事でもあるのか?」

『不味いというか……ねぇ、アクセル。日本にはストライクダガーを、アメリカにはジンを。それはまぁ、分からないでも無いけど……オーストラリアはどうするの? 今の話を聞く限りだと、オーストラリアに対する配慮が足りないように思えるんだけど。私達がこの世界で最も親密にしている国家なんだから、その辺もきちんと考慮した方がいいんじゃない?』

「なるほど」

 

 そう言えば、確かにオーストラリアに対しては最近蔑ろにしていたかもしれないな。

 

「となると、どんな機体を譲渡すればいいと思う? ストライクダガーとジンに負けない機体となると……M1アストレイか?」

『M1アストレイはオーブの主力機なんだから、いい顔しないと思うわ。それならジンの上位機種のシグー辺りがお勧めね』

 

 ジンにシグー……どちらもザフトの機体か。

 いやまぁ、エザリアの出身を考えればザフトの機体に信頼感があるのは当然なんだろうが。

 ただ、確かにジンよりも性能が上のシグーをオーストラリアに譲渡するというのは色々と都合がいい。これからもオーストラリアとはいい関係を築いていく必要がある以上、その線で進めるか。

 

「分かった、ならその方向で話を進めよう。ビルの方は今俺が待たせているから、オーストラリアの方にはエザリアの方から連絡を頼む。それと、ジンとシグーをオーブ経由で10機くらいずつ買い取ってくれ」

『え? 日本にはストライクダガーを1機しか渡していないでしょう? なのにオーストラリアとアメリカには複数譲渡するの?』

「いや、勿論1機だ。だが、他の国や他の世界に行った時に取引材料になるかもしれないだろ」

 

 もっとも、ザフト製のMSというのは基本的にコーディネーターが操縦するように作られている。つまり、ナチュラル……普通の人間が操縦する事は考えられていないのだ。

 ただし、それはあくまでも反応速度や処理速度、あるいは耐G能力の問題であって、コーディネーターの能力を上回る事が出来れば問題なく操縦出来るんだが。

 具体的に言えば、現在シャドウミラーの実働班にいる者達なら、新人のスティングやアウルでも全く問題なく操縦出来るだろう。

 そうなれば、当然マブラヴ世界でもエースパイロット辺りなら普通に操縦出来る筈。

 ああ、そうなれば……

 

「悪い、エザリア追加だ。どうせならこの際ザフトのMSを10機くらいずつ買っておいてくれ。具体的にはディン、ゲイツ、バクゥ、ザウート、グーン、ゾノといったところか」

 

 出来ればバクゥの上位機種でもあるラゴゥ辺りも欲しいが……量産されたのは極少数らしいから、これはさすがに無理だろう。

 ただ、ザフトのMSは色々と戦術機を含めてこの世界の上位互換的な性能があるんだよな。

 バクゥなんかリニアレールガン装備の機体だとリニアガン・タンクの上位互換に等しいし。

 速度なんかも圧倒的に上だし、いざとなればBETAとの近接戦闘も可能だ。……まぁ、ビームサーベル装備なのを考えるとこの世界では射撃戦に特化した方がいいかもしれないが。

 水中用の攻撃機でもあるA-6に比べると、グーンやゾノの性能に関しては圧倒的だろうし。

 ……ただ、どちらにしろ局地専用的な意味が強いから、純粋な戦術機の代替兵器としては微妙なんだよな。ゲイツ以外は。

 ゲイツに関してはストライクダガー以上の性能なので、一先ずどこにも提供は無しにしておいた方がいいか。

 ともあれ、ザフトからのMS輸入に関してエザリアと簡単な打ち合わせをしてから、再びビルとの通信の音声を復帰させる。

 

「待たせたな、取りあえずこちらの条件としてMSと呼ばれる機体を1機アメリカに譲渡する用意がある。……ただし、俺達だけでアンバールハイヴの攻略をするのが条件だ」

『……つまりそれは、ソ連を押さえろと?』

「そうなるな」

 

 現状でアメリカに対して抵抗出来る国は数少ない。その中の1つがソ連であり、同時に最大の抵抗勢力でもある。

 最も問題が大きかった中国は日本の保護国になっているしな。

 

『MSというのは戦術機よりも性能が高いと判断してもいいのかな?』

「ああ。実戦証明付きの機体だよ」

 

 そのまま俺の瞳をじっと覗き込むようにして見つめ……やがてビルは小さく頷く。

 

『分かった、それでこちらも手を打とう。国内の反対勢力も何とか押さえられるだろう』

「さすが友人だな」

『ああ、これからもよりよき友情を期待したいね』

 

 そのまま10分程世間話をして通信が切れる。

 

 

 

 

 

 数日後、国連でシャドウミラーとアフリカ連合、中東連合によるアンバールハイヴの攻略作戦がアメリカを含む各国からの賛成多数で決定し、要請されることになる。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。