転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0077話

「さて、アクセル。あれからどうしたのかしら?」

「あれから?」

 

 ピクッとレモンの眉が動く。やばい、何かミスったか?

 

「テスラ研で私と別れてからよ。ベーオウルブズと戦いになったんでしょう?」

「ああ。部下の4機を倒して、右腕を叩き落としてやった。だが、その後がな」

「その後?」

「何か触手のようなものを伸ばして、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの残骸を吸収してグロウセイヴァーの3倍近い大きさの化け物に変化した」

「そんな……」

「一体、奴は何者なんだ? 少なくても人間とは言えないだろう」

 

 俺の言葉に驚くレモンと、信じられないとでもいうような口調で呟くヴィンデル。

 

「で、最終的にはその吸収した量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの核融合炉3基を連鎖爆発させて俺はリュケイオスで転移してきた」

「核融合炉3基の連鎖爆発……」

「ああ。いくら化け物みたいなベーオウルフでもさすがに消し飛んだだろうさ。テスラ研やリュケイオスと一緒に、な」

 

 リュケイオスが消し飛んだという部分でレモンがピクリと反応したが、特に何を言うでもなく、そのまま話を続ける。

 

「で、こっちの世界に転移したのはいいが、どういう訳か殿だった俺が一番最初にこの世界へと辿り着いてしまったみたいで、エアロゲイターとかいう異星人と連邦軍の戦いの真っ直中に出てしまってな。ASRSを使って何とかやり過ごした訳だ」

「あぁ、それは知ってるわ」

「知ってる?」

「あら、知らなかったの? グロウセイヴァーの映像がしっかりと連邦軍の記録に残ってたのよ。工作員が見つけてきてくれたわ。映像では突然目の前から消えるものだから、インビジブルマン、透明男なんてコードネームをつけられてるわよ?」

 

 ……あの時に見逃したガーリオンか? だがまぁ、ヒゲ男なんてコードネームじゃないだけ良しとしておくか。

 

「だが、連邦軍の記録に残ってるとなると、グロウセイヴァーは迂闊に使えないな」

「そもそもお前のグロウセイヴァーはどこにあるんだ? バン大佐のライノセラスの中か?」

「いや。こちらの世界に来て情報収集も兼ねて世界中を旅していたからな。さすがに邪魔になるって事で誰にも見つからないように隠してある。後で取りに行くよ。それにベーオウルブズとの戦いで多少だが損傷もしたからその修理もしたいしな」

「ベーオウルブズと戦って多少の損傷って時点でアクセルの異常さが際立つわね」

 

 苦笑を浮かべながらレモンが言うが、それは褒められてるのか、あるいは貶されているのかどっちだ?

 取りあえず俺に対しての追求はこれで終わりと言う事だろう。レモンの表情もいつもの気怠げなものへと戻った。

 

「ともかくよく戻ってきてくれたな、アクセル」

 

 心底安堵したというような表情のヴィンデル。それもしょうがないのだろう。こいつは原作と同じくWナンバーズを余り信用していない。そうなると実働部隊として使える手駒が一気に減ってしまう。アル、ボビー、フルストの元部下3人組もあちらの世界で戦死しているしな。

 そう考えると、最後の最後でバリソンがベーオウルフにやられてしまったのは思った以上にでかいダメージだな。

 

「そっちはどうだ? 上手くいっているのか?」

「うむ、ほぼ予定通りだ」

「こちら側のベーオウルフは?」

「知っているのか。あの男が存在している事を」

「そりゃあ知っているさ。オペレーションSRWの最中に俺は転移してきたんだぞ? エアロゲイターの前線基地、ホワイトスターだったか? あれからゲシュペンストMk-Ⅲ、いやこちらの世界ではアルトアイゼンとか言ったか? まぁ、ともかくその機体が脱出してきたのもASRSで隠れながら見学させて貰ったしな」

「現在の奴の所在は押さえている。今はスペースノア級戦闘母艦のハガネにいる」

「W17にマークをさせてるわ。だからアクセルが余り拘る必要は無いわ」

「W17か。多少不安は残るが現在の手持ちで出せる札が他に無い、か」

 

 ハガネとヒリュウ改に関しての話はそこで終わり、軽い世間話と情報交換をする。その中でヴィンデルがバンと会った時の話へと話題が移り、レモンが興味を示した。

 

「……で、どうだったの? 新たなDCの総帥候補さんは?」

「噂通りの男だ。DC残党だけでなく、北アフリカの反連邦主義者達を纏め上げている。単なる戦争屋ではないな」

「元は民族解放戦線の指導者だったそうだし、政治面に長けていて当然ね。期待以上の人材かも」

「それだけに我々シャドウミラーの真実に気が付く可能性も高い」

「いずれは分かる事よ。邪魔になればその時は、ね」

「イーグレット・フェフとは違うという事か?」

「ええ、彼はいい意味でも悪い意味でも純粋な科学者だもの。それに、ローズのお嬢ちゃんと同じで、あの手のタイプにはこちらの手の内を見せておいた方がいいのよ。例の装置を完全に修理するまでの時間を稼ぐ為にもね」

「例の装置? アギュイエウスか?」

「ええ、現在ソウルゲインにあの装置を組み込んでヴィンデルの専用機を設計している所よ。ただ、アギュイエウスがどうにも上手く制御出来ないのよ。EOTなんかも組み込んでるだけに相性の問題なのかしらね」

 

 ふむ、俺がソウルゲインに乗らなかった影響により、ヴィンデルがソウルゲインに乗る事になったのか。まぁ、レモンの話を聞く限りでは色々とカスタム化されているようで原作のそれとは大分違ってしまうようだが。

 

「私の機体の事はともかく、地球連邦軍の力はもう少し削いでおきたい」

「大丈夫じゃないかしら? 現状から考えれば、次の作戦は99%成功するわ」

「残りの1%を侮り敗北した者は過去に限りなくいる」

「その1%……ベーオウルブズ。いえ、ハガネとヒリュウ改の部隊ね」

「ああ。報告によれば、向こう側より戦力が充実しているようだな」

「そうね…… 足止めをしておくべきかもね」

「……で、W17からの報告は?」

「それが……W16がディスクを届けたらしいんだけど音沙汰なし、なのよね」

「W16? 奴もハガネに潜入しているのか?」

 

 思わず2人の話に口を挟む。俺はここに来たばかりなので、その辺の事情を詳しく分からない為に黙って聞いていたのだが、W16がW17と共にハガネに潜入しているというのなら、俺の知っている原作とかなり違う展開になる。

 

「あぁ、いえ。違うわ。W16はDCの補給物資を届けに行っているのよ。そのついでにW17と接触したと報告が来てるわ。……あら、そういえば確かW16が補給物資を運んだ部隊はアクセルが量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを強奪した時の部隊ね」

「あぁ、あの部隊か」

 

 思わず、眉を顰める。

 

「どうしたの? そこまで不機嫌そうになるなんて珍しいわね」

「いや、その部隊の指揮官がアーチボルド・グリムズなんだよ。ほら、エルピス事件の」

「あぁ、あのテロリストの。こっちではDCに所属してるのね」

「アーチボルドの部下は気の良い奴等だったんだが、上にいるのがあの男ではな。下手をしたらそのまま離反という事もあるかもしれないな」

 

 ユウキとカーラがDCを離反したとしたら原作通りにハガネへと投降するのだろうか。エキドナが既に補給に行っているという事は、アラドやゼオラも一緒の筈だから4人揃ってハガネに投降しているというのが俺的にはベストの流れなんだが。

 

「話がずれてるぞ。それでW17は失敗したと思うか?」

 

 ヴィンデルの言葉で話がW17との連絡が出来ない件に戻る。

 

「彼女に限ってそれはないわよ。Wシリーズの最高傑作。スタイルも凄いんだから」

「最高だろうが最低だろうが関係ない。任務が遂行できればそれでいい」

「確かに定時連絡もなければこちらからも不通なのよね」

「次の指令は正確にW17へ伝わっているのだろうな?」

「大丈夫だと思うけど」

「ヘリオス。あのファーストジャンパーだけは早急に確保せねばならん」

「彼も私達の事には気づいている筈だし簡単に尻尾は出さないでしょうね。それに、W17から連絡がないって事はハガネとかにはいないんじゃない?」

 

 この時期のヘリオス、いやギリアムはクロガネに所属していたと思うが、どのみちヘリオスという名前だけでは探し出す事が出来ないだろう。映像でもあれば別だが。

 

「それから、W16が気になる報告をしてきたわ」

「何だ?」

「向こうの物や異星人の物じゃないアンノウンが現れたらしいのよ」

 

 その言葉を聞いた時、背筋がゾクリとした。間違いない、アインストだ。となると、出てきたのは蚩尤塚で、龍王機と虎王機目当てか。物見遊山で見に行きたいとか思ったが、実際にアインストが出現したと聞くと実行しないで良かったと心底思う。

 

「お前でも分からん代物なのか?」

「そう、正真正銘のアンノウン。しかも、空間転移をしてきたそうよ」

「あれは異星人共も使っていた技術だ。そういうケースもあり得る。実際にあちらの世界ではアギュイエウスやリュケイオスという存在があるしな」

「でも、厄介よね。宇宙じゃ連邦軍の部隊がいくつか行方不明になったっていうし」

「……本当か?」

「ええ。例の事件の前触れね、恐らく。L5戦役の事もあるから、ハガネとヒリュウ改がオトリになるかもよ」

「手を下すのをもうしばらく待てと?」

「上手く使えれば、の話だけど」

「……」

「何にせよ、色々と事態が動き始めたみたいね。これから私達も忙しくなりそうだわ」

「ふむ、そうなると俺もグロウセイヴァーをアースクレイドルに持って来るべきか。修理が必要な箇所もあるしな。ヴィンデル、輸送機を手配してくれ」

 

 ハガネとヒリュウ改をどうやって利用するかを考えているヴィンデルへと声を掛ける。

 

「ん? ああ、構わんが。どこに隠してあるんだ?」

「フィリピンの近くにある無人島の洞窟にな」

「何でまた、そんな所に……」

 

 レモンが呆れたような目でこちらを見ているが、そもそも地球に降下したのがマニラ基地だったのだ。そこに隠したという事にしておくのが一番自然だろう。万が一にも俺の足跡を辿った場合に不信感を抱かれない為にも。

 もちろん実際は俺の空間倉庫の中に収納してあるのだが。

 

「アクセルにしては迂闊だな。もし万が一にも現地住民や海賊なんかに発見されていたらどうするつもりだ? こういう言い方は余り好きではないが、あの機体はうちのエースであるお前の専用機、言わばシャドウミラーの象徴と言っても過言ではない。その事をしっかりと理解して欲しいものだが」

「シャドウミラーの象徴か。ならヴィンデルが乗るか?」

 

 シャドウミラーの象徴と言われても正直ピンとこない。それに現在レモンが改造しているヴィンデル用のソウルゲインが完成すれば、それがシャドウミラーの象徴になるだろう。

 

「あんな馬鹿げた機体、私は遠慮させてもらおう」

「馬鹿げた機体って……ちょっと言い過ぎじゃないか?」

「クロノスによる馬鹿げた加速に、30機近いファントム、T-LINKシステム、時流エンジン。グルンガスト参式の技術を流用したアダマン・ハルパー……さて、もう1度聞かせて貰おう。馬鹿げた機体と言っても間違いは無いと思うが?」

 

 ……グロウセイヴァーに使われている技術を並べられると言い返せなくなったのが微妙に悔しい。

 

「無人島の洞窟でカモフラージュは完璧だし、トラップも厳重に仕掛けてあるからまず大丈夫だ。それで輸送機の方は?」

 

 取りあえずこのまま言い合いをしていてもとても勝ち目がないので、話題を強制的に元に戻す。

 ……ちなみに、レモンは面白そうに俺の方を見て笑っていた。

 

「ああ、すぐにでも用意できる。無人島とは言え、いつ何があるか分からん。すぐに取りに行ってこい」

「りょーかい」

 

 こうして俺は、ようやくアースクレイドルに辿り着いたにも関わらず、その日のうちに追い出される事になった。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92

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