転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0904話

「さすがにフェイズ5だけあって数が多い……なっ!」

 

 その言葉と共に、こちらに向かって突き進んでくる要撃級の集団の中へヒュドラのビームサーベルを展開しながら突っ込んで行く。

 T-LINKシステムによって操作されたヒュドラとエナジーウィングは、8本の手であるかのように自由自在に操作され、要撃級を斬り刻む。

 ドリフトの中を進んでいくとBETAが出てくるのは予想内だった。だが、鉄原ハイヴと比べても今出てきている数は洒落にならない程に多い。

 これがフェイズ2とフェイズ5の違いなのだろう。 

 ともあれ、無数に出てくるBETAの尽くを殺し尽くしながらドリフトの中を進んでいく。

 すると今度はスリーパー・ドリフトから落下してくる……要撃級!?

 その様子に驚き、ヒュドラのスラスターを使って緊急停止。背後へと距離を取りながらT.T.キャノンのレーザーで要撃級数匹を纏めて貫通する。

 そのまま戦車級のように降り注いでくる要撃級に向け、ヒュドラの先端から放たれるビームが次々に命中、撃破していく。

 要撃級を連続したビームで撃破していきながらも、思わず納得する。

 確かに今までは天井から降ってくるという攻撃をしていたのは戦車級のみだった。

 だが、考えてみればドリフトは要塞級ですらも移動可能なのだから、要撃級がこのような攻撃手段を取ったとしてもおかしくはないのだと。

 

「ま、どのみち俺にとってはいい的でしかないけどな」

 

 そう呟いた俺の口元には、間違いなく笑みが浮かんでいただろう。

 罠に掛かった獲物を仕留める猟師のような、そんな笑みが。

 

「時間が無いんだ。勿体ぶってないで全部一気に出てこい! ここで時間を潰していれば、他の奴等が先にメインホールやアトリエに到着するだろ」

 

 愚痴であるのは分かっているが、そんな風に口に出しながら放たれるビーム、ビーム、ビーム、レーザー、レーザー。

 そんなビームとレーザーの雨は、上から落ちてくる要撃級の姿がなくなるまで続くのだった。

 

「……取りあえずここはOK、と」

 

 上のスリーパー・ドリフトからこれ以上要撃級が降ってこないのを確認し、一応念の為とばかりにスリーパー・ドリフトへと向かって数発のビームを発射。出入り口を破壊する。

 ……あ、今更だが、もし他の面子がここからドリフト内に出ようとしたら不味いんじゃ? そんな事を一瞬思ったが、そもそもスリーパー・ドリフトというのは、既に使わなくなったドリフトという説が有力だ。だとすれば、恐らくここには入って来たりはしない筈。

 取りあえずは、そう判断してこの場を後にする。

 にしても、スリーパー・ドリフトから降ってくるのは戦車級だけだと思っていたが、要撃級もあるんだな。となると、他のBETAも降ってくる可能性は高いって事か。

 ……まさか要塞級が降ってきたりはしないよな? 突撃級辺りが降ってきたら、戦術機とかだとかなりやばそうな感じがする。

 そんな風に考えながら進んでいくと、再びドリフトの先からBETAの姿が現れる。

 噂をすればなんとやら。BETAの中では唯一それ程気持ち悪くない外見の突撃級だ。完全に俺の主観だが。

 例え気持ち悪くない外見だとしても、このまま大人しくやられる訳にもいかない。BETAは見的必殺だからな。

 ヒュドラの先端を一直線にこちらへと向かってくる突撃級に向け……トリガーを引く。

 次の瞬間、18門の砲門から放たれたビームは真っ直ぐに突き進み、あっさりと突撃級の装甲殻を貫き、肉体をも貫き、更にその後ろにいる突撃級をも貫いていく。

 ビームが命中した衝撃により先頭を走っている突撃級がバランスを崩して地面へと倒れ込み、同時にそのすぐ後ろを走っていた突撃級が先頭のBETAにぶつかってバランスを崩し……おお、速度とタイミングと障害物になった突撃級が神掛かり的なバランスをもたらし、背後の突撃級が空中を飛んだ。……否、跳んだ。

 勿論その突撃級もビームで既に息絶えているのだが、それでもこのままのコースだとこっちの邪魔になるな。

 T-LINKシステムによる機体制御でヒュドラを動かして背後へと移動し、次の瞬間、まるで狙ったかのようについ数秒前まで俺がいた場所に突撃級の死骸が落下する。

 

「取りあえずお前達は邪魔だな。……ファントムッ!」

 

 その言葉と共に、前と中央の2つのヒュドラ4基から放たれた32基のファントムが鋭く空中を飛ぶ。

 先端にビームソードを展開しながら突き進み、突撃級の装甲殻をあっさりと突き破って体内へ。同時に、体内でビームを発射して内部から突撃級を殺していく。

 そんな光景が至るところで繰り返され、同時に腹部拡散ビーム砲やエナジーウィングから生み出された刃状のエネルギーで掃射する。

 文字通りの意味で身体の内側と外側から攻撃された突撃級は、戦術機を相手にする時は無類の防御力の高さの装甲殻を活かした体当たりで猛威を振るう存在だとは思えない程、呆気なく骸を晒す。

 ファントムをヒュドラに戻しながら、もうここには用が無いのでツイン・ドライブを起動させて再びドリフト内を進んでいく。

 そうして遭遇するBETAを次から次に倒しつつ、進んでいった先には再びホールへと続く出入り口が。

 だが、今回は俺が最初ではなかったらしく、既に中から戦闘音が聞こえてきている。

 さて、誰がいる?

 そんな風に思いながら入ったホールの中にいたのは……

 

「これは予想外だったな」

 

 思わず呟く。

 何しろ、シャドウミラーの幹部という訳でもなく、あるいはハイヴに突入した他の世界の部隊でもなく……メギロートとシャドウで構成された8機の部隊だったからだ。

 ちなみにこの中にイルメヤが入っていないのは簡単な理由で、空を飛べないからだ。当然空を飛べるメギロートやシャドウと一緒に部隊を組ませると、以前にA-01連隊との模擬戦でスティングやアウルがやったように移動速度をイルメヤに合わせなければならなくなる。

 あるいはその場にイルメヤを置いていくか。……まぁ、そんな事をすれば各個撃破のいい的だが。

 ともあれ、無人機と量産型Wであっても味方機には違いない。ホールの中にいたBETAと互角以上にやり合ってはいるが、それでも数の差の問題でやや優勢といったところだ。

 ……シャドウはともかく、メギロートはバリアの類が無いからな。幾ら機体性能がBETAより格段に上だとしても、塵も積もれば山となるとばかりにBETAの攻撃を食らい続ければ、いずれ持ち堪えられなくなるだろう。

 特にここはハイヴの内部で、敵のホームグラウンドだし。

 そんな風に考えつつ、こちらに後ろを向けている要撃級に向かってヒュドラのビーム砲を発射する。

 次々に放たれるビームに背後から貫かれ、爆散していく要撃級。いや、それだけではない。要撃級を貫通したビームは、その前にいる突撃級にまで突き刺さる。

 突撃級は正面こそ装甲殻で高い防御力を誇るが、その分背後は柔らかい。その柔らかい場所へと幾つものビームが突き刺さり、撃破していく。

 さて、このくらいダメージを与えれば十分だろう。

 

「量産型W、後は任せてもいいな?」

『はい。ありがとうございます、隊長』

 

 通信で短く礼を言ってきたのを聞き流し、そのままホールから続いている別のドリフトへと向かって入っていく。

 尚、行きがけの駄賃とばかりに、要撃級の後ろを通る時にエナジーウィングで刃状のエネルギーを掃射してやった。

 これで更に楽になるだろう。

 背後で要撃級が振り返ってこちらへと向かおうとしているのを感知するが、今度はそこにシャドウのビームガトリング砲が掃射されて地面へと倒れていくのを後目に、俺はホールから出て行く。

 

「さて……メギロートやシャドウとハイヴ内で遭遇するとはな。こうなると、結構な数が既にハイヴ内に突入していそうだが」

 

 呟き、再び現れた数匹の要撃級を通り抜け様にヒュドラの先端に展開されたビームサーベルで切り捨てて行く。

 100匹単位ならともかく、今更数匹の要撃級がいたところでこっちにとっては既に邪魔にしかならない。BETAにしても、その辺はいい加減学習してもいいものだと思うが……そこまで言って、ふと気が付く。そうか、基本的に遭遇しているBETAを全て殺している以上、向こうにこちらの情報が渡るということはないのだろう。

 あるいは渡ったとしても対処出来ないという可能性もあるか。

 そんな風に考えつつ、出会った無数のBETAを全て殺しながら進んでいくと、再びホールへと続く出入り口を見つける。

 とは言っても、今度は先程とは違って中は静かなものだ。まだ誰も突入していないらしい。……そう考えながらそっとホールの中を覗くと、そこにあったのは無数のBETAの死体。

 要撃級、突撃級、戦車級、闘士級、兵士級。更には要塞級の姿まである。

 

「誰かが通った後か」

 

 目の前に広がる光景自体は別に不思議でも何でもない。確かに俺が突入したゲートはモニュメント近くにあったものだが、それだって1つや2つという訳じゃないし、何よりもドリフト内部は幾つも分かれ道があり、ホールも先程シャドウやメギロートと遭遇した時のように幾つものドリフトの出入り口があるのだから。

 それを思えば、俺よりも先にここに到着した相手がいてもおかしくはない訳だ。

 

「……全滅しているな」

 

 一応念の為にと確認し、ホールの中に生きているBETAが1匹もいない事を確認してから、次にどこの穴に飛び込むが迷う。

 ここは比較的大きいホールらしく、ざっと見てもドリフトに続く穴は10以上もの数がある。となると、自然とここで選んだ道は先にここを通り過ぎていった者達を追い越す可能性が高い場所を選びたい。

 そんな風に考えつつ、そもそもどこを選んだら正解なのかを迷っていると、不意に何かが近づいてくる音が聞こえてくる。

 この音は……BETAじゃないな。

 俺の予想は正しく、数秒後にドリフトに続いている穴から姿を現したのは戦闘機。……否、戦闘機に見える機体。即ち、VF-25だ。

 

『アクセルか? 随分と遅い到着だな』

『まぁ、そう言う俺達もここに戻ってきたんだけど』

 

 オズマの言葉にミハエルがそう返す。

 なるほど、この状況を作り出したのはスカル小隊だった訳か。

 

「戻ってきた?」

『ん? ああ。この先は行き止まりだったんだよ。お前から報告のあった母艦級とか言うのが、サボってるのかもな』

 

 冗談のような口調で告げてくるオズマだったが、さすがにそれは無いだろう。

 ここがフェイズ2とかならあるかもしれないが。

 

「まぁ、理由はともかくお前達がやって来た先が行き止まりだってのは分かった。じゃあお前達が最初にこのホールに入ってきたのは?」

『ここだ』

 

 オズマ機から送られてくるデータ。

 となると、俺がやってきた場所と、オズマ達が入って来た場所、行き止まりの場所以外のドリフトだな。

 

「どうする? 一緒に行くか?」

 

 一応そう尋ねてみるが、戻ってきたのは予想通り首を横に振った否定だった。

 

『いや、これだけ出入り口が幾つもあるんだ。アクセルと俺達が固まって動くのは効率が悪い。……まぁ、それが出来るのもアクセルの戦力が桁違いだからなんだけどな』

『確かに。正直、アクセルの機体の能力は反則に近いしな』

 

 オズマの言葉に同意するアルト。

 そしてルカはと言えば、興味深そうにこっちに視線を送っている。

 

「言っておくが解析は却下だぞ」

『えー、そこを何とかお願いしますよ、アクセル君』

「却下だ却下。この機体はシャドウミラーの中でもトップクラスの軍機だぞ。それを解析させる訳がないだろうが」

 

 システムXN、T-LINKフレーム、バリオン創出ヘイロウ。この3つはシャドウミラーの中でも最大級の機密だ。

 まぁ、軍機云々と言う割には、普通に戦場で使ってるけど。

 それでも外部から取れるデータだけでは、表向きの情報くらいしか知る事が出来ないだろう。

 もっとも、そのデータだけでも価値としては膨大なものがあるが。

 ともあれ……

 

「じゃあ、そろそろ俺は行く。そっちも気をつけてな」

 

 ルカとの会話を打ち切り、オズマへとそう告げる。

 

『ああ。お前も……って言いたいが、アクセルには言うだけ無駄か』

 

 別れの挨拶としては酷く軽い調子でお互いに言葉を交わし、俺達は別々のドリフトへと入っていく。

 お互いがお互いをこんな場所でやられる訳がないと判断しているからこそのやり取り。

 この辺、オズマとは微妙に気が合うよな。

 

「……で、またお前達か。いい加減、品切れになってくれると助かるんだが」

 

 戦車級の群れを蹂躙し、闘士級、兵士級を一掃する。

 要撃級と突撃級がいないというのは、色々な意味で幸運だったかもしれない。

 そんな風にBETAを手当たり次第に殺しつつドリフト内を進み続け……やがて、巨大な……そう、これまでに見たどのホールよりも――それこそ鉄原ハイヴのメインホールよりも――巨大なホールへと到着する。

 それが何なのかというのは、中を覗き見た時に理解した。

 100mを超える程の大きさを持つ、それは鉄原ハイヴのメインホールにもあったのだから。

 即ち……反応炉。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

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