転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0915話

 門世界の帝都で宣戦布告と降伏勧告を兼ねた宣言――正確には挑発――をして、アルヌスの丘経由でホワイトスターに戻ってきた俺とアウルだが……

 

「あのねぇ。ちょっとやり過ぎ。幾ら挑発目的でも、度が過ぎるんじゃない?」

 

 何故か家のリビングで椅子に座ってレモンとエザリアの2人に怒られていた。

 視線でどうにかしろと告げてくるアウルだが、今はただ嵐が通り過ぎるのを待つしか出来ない。

 いや、自分でも分かってはいたんだ。ホワイトスターに攻め込んできた奴等に対して、一応怒りを抑えているつもりではあっても、それは決して無くなった訳ではなかったという事は。

 その積もりに積もった俺の怒りが爆発した感じだな。

 確かに挑発という意味ではこれ以上無い程の効果を発揮したが、過ぎたるは及ばざるがごとしとでも言うべきか、寧ろ過剰に効果が発揮したと言うべきか。

 ……俺の言葉がモルトとかいう皇帝と、その息子達の逆鱗をこれでもかとばかりに逆撫でしたのだろう。本来であればまだ帝都周辺に戦力が集まりきっていなかったにも関わらず、既にアルヌスの丘目掛けて出発している。それも物凄い勢いでだ。

 その勢いの凄さは、付いていけない部隊が幾つも存在しているのが現している。

 いや、本当に皇族の面目を丸潰しにしたのはやり過ぎだったか。

 で、ホワイトスターに戻ってきてサラマンダーやメギロート、あるいはシャドウに保存されていた映像を連合軍の会議で見て……その結果が、今のこの状況な訳だ。

 まさかこの年齢になって椅子に座らせられて怒られるとは思わなかった。

 あるいは正座じゃなくて良かったと言うべきか?

 単純にレモンやエザリアが正座という文化を知らないだけかもしれないが。

 ともあれ、俺の護衛として付いてきたアウルに関しては巻き添えにしてすまんとしか言えない状況だった。

 ジトリと横目でこちらを見てくるアウルには、後で何かを謝罪代わりにやるとして……まずは話を逸らす必要がある。

 幸い、映像を見た時の会議が始まる前にそれに丁度いいネタはレオンから聞かされていたから、それを使わせて貰おう。

 

「そう言えば、何か面白い事が判明したんだって?」

「……相変わらず耳が早いわね。レオン?」

「ああ。まぁ、レオンとしては俺に知らせておくべきだと判断したんだろ。で?」

「でって? レオンから詳しい話を聞いたんでしょ?」

 

 俺の問い掛けに首を傾げつつ尋ねてくるレモンに、小さく首を振る。

 

「いや、情報を聞き出したってのは聞いたけど、詳しい話を聞く前に会議が始まってしまったからな」

 

 その会議が終わった瞬間、アウルと共に有無を言わさずにレモンとエザリアに引っ張ってこられたのだが……その辺を口に出せば藪蛇でしかないのでスルーする。

 

「……ま、いいわ。アクセルがああいう風に言った気持ちも分からないじゃないし。今は取りあえずのせられてあげる」

「レモン、しかし……」

 

 エザリアとしては、まだまだ言いたい事があるのだろう。

 だが、それに関しては家に帰ってからにして欲しい。

 

「交流区画に攻めて来た帝国の将軍……ヘルムとかいう名前だったかしら。そいつを尋問したら、興味深い事を教えてくれたのよ」

「興味深い事?」

 

 取りあえず話が逸れたのはいいとして、興味深い事、ねぇ。

 今までの尋問はそれなりに容赦なく、捕虜達から軒並み情報に関しては聞き出してある筈だ。そんな状態で更に聞き出したというのだから、何か余程の件なのだろう。

 そして実際、レモンの口から出たのは俺の予想していなかった内容だった。

 

「ほら、帝都の周辺に集まっている……いえ、今はもう集まってないわね。とにかく、アルヌスの丘に向かっている軍隊の正体が判明したわ。もっとも、確実って訳じゃなくて恐らくという予想でだけど」

 

 そう言いながらも、どこか複雑な表情を浮かべているレモン。

 

「ま、予想でもいい。教えてくれ」

「帝国に支配、あるいは吸収された周辺国家……いえ、この場合は従属国というのが正しいわね。とにかくその従属国の軍隊らしいわ」

「……なるほど」

 

 あれだけ挑発しておいてなんだが、モルトは皇帝として意外に頭が回るらしい。

 帝国の軍隊が俺達に負け、その殆どが捕らえられるか殺されるかしている。つまり、現状では帝国が力尽くで押さえつけ、あるいは吸収した従属国が蜂起したら勝てないか、あるいは苦戦する程度の戦力しか残っていないんだろう。

 それに気が付いたモルトは、帝国の軍隊と同様に俺達を使ってその周辺国家の軍隊を消耗させようと考えた訳だ。

 

「となると、いっそ派遣されてくる軍隊を取り込むか?」

「取り込むだって? この世界の軍隊と力を合わせても、俺達が一方的に力を貸すだけで終わるんじゃねーの?」

 

 俺とレモンの話を黙って聞いていたアウルが尋ねてくるが、それには首を振る。

 

「別に完全にこっちの勢力に入れるって訳じゃないさ。ただ、今こっちに向かっている軍隊は殺すような真似をしないで、そのまま自分達の領地に戻って貰う……ってのはどうだ? 勿論なるべく戦力を減らしていない状態で」

 

 その言葉を聞いて、俺の狙っている事を理解したのだろう。エザリアが小さく頷く。

 

「確かにアクセルの狙いは分かるわ。……けど、正直あまり効率的とは言えないわね。そもそも、こっちに向かっている軍隊は全てが従属国のものだけ、なんて事はない筈よ。最低でも妙な動きをしないか、見張る役目の部隊や人員が派遣されているでしょう。どうやってそれを見分けるの?」

「別に見分ける必要はないだろ? 現状で既に帝国の軍隊は大きく戦力を減らしているのは間違いないんだから。堂々と言ってやればいいさ。今、帝国軍の戦力は少ないってな。更に従属国もそうだが、帝国にしてみれば俺達を放置する事は絶対に出来ない」

 

 言うまでもなく、帝国にとって現在最大の敵はアルヌスの丘と門を占拠し、そこに基地を建設している俺達シャドウミラー……より正確には異世界間連合軍だ。

 何しろ帝国が門の向こう側、即ちホワイトスターを占拠するつもりで用意した戦力のほぼ全てを撃破したのだ。

 しかも撃破された兵士の殆どは捕まり、あるいは殺されている。

 ……ちなみに帝国軍の殆どを占めているゴブリンやオークなんかに関しては、扱いとしては人ではなくモンスターであった為にある程度の数を研究用とした。

 そもそも一応人型という事で肉は食う気にならないので牧場に放す訳にもいかないし、かといって研究用にあれだけ大量の数はいらない。

 ギアス世界、SEED世界、ネギま世界、マクロス世界で要望のあった数を譲渡した後は……予想外に有効な使用方法が発見された。

 用途は簡単。マブラヴ世界のBETAに対する捨て駒だ。

 ハイヴを増やさない為に間引きを行う時に、そのハイヴの近くに俺が転移魔法でコンテナに詰め込まれたオークやゴブリンを放置してくるだけ。

 試した場所は、ウランバートルハイヴ。

 現在フェイズ3という事もあり、日本帝国が崇継を通して次に攻略して欲しいと希望してきたハイヴだ。

 正直、BETAを誘き寄せる程度の働きだけを期待していたのだが……予想外に健闘した。

 ゴブリンは1匹だとそれ程戦力にならないが、数匹が纏まって敵に攻撃する知能があるし、オークは1匹でBETAに対抗出来る。

 ……とはいっても、どっちも対抗出来るのは兵士級、闘士級くらいで、多くの犠牲を出して何とか戦車級といったところだ。当然要撃級やら突撃級やらが出てくるとあっさりと殺されていた。

 それでも間引きをする帝国軍や国連軍としてはありがたかったらしく、出来ればまたお願いしたいとの連絡を受けている。

 ある意味有効な使い方と言えるだろう。

 労働力の類にするにしても、怪異使いとか言う特殊な技能が無ければオークを使うのは不可能らしいし。

 まぁ、それはともかく。

 帝国の国内にその統治に不満を持った勢力が軍事力を持って存在しており、更にアルヌスの丘に俺達シャドウミラーを始めとする異世界間国家連合が存在している。

 そんな状況で帝国がどうするのかといえば……正直、どうしようもないというのが正直なところだろう。

 俺達に戦力を割けば内乱の恐れが、従属国への牽制に戦力を割けば俺達シャドウミラーがそれぞれ動き出す。

 帝国としてのベストは、今回やったように不満を持った勢力を集めて俺達と消耗させ合う事なのだろうが、それにしたって同じ手法が2度も3度も使える筈が無い。

 そもそも、シャドウミラーの戦力がどれだけの力を持っているのかというのは、今こっちに向かって攻めてきている相手に教え込む予定だし。

 

「その辺、ちょっと検討してみてくれ。……ちなみにもっとも早い部隊がここに到着するのはいつになりそうだ?」

「そうね。竜騎兵って言うのかしら。アクセルが帝都であっさりと倒したあの兵種が一番早いと思うわ。恐らく明日の昼過ぎくらいだと思うけど」

「へぇ、予想以上に早いな。さすがにワイバーンってところか」

 

 竜騎兵……まずはこいつ等がどう出るかだな。

 こいつらだけで攻めてくるのなら、こいつらを出来れば殺さない様にして無力化したい。

 ただし、捕虜にするんじゃなくて俺達の友好的な勢力にする感じで。

 そのまま自分達の国に帰って貰えればいいんだが……さすがにそう簡単にはいかないか。

 イルメヤのスパイダーネット辺りが効果あればいいんだが。

 

「他に何か説明しておくべき事ってあるか?」

「えーっと……ああ、そう言えば。エザリア。あの件って言った?」

「……あの件?」

「ほら、ムラタの」

「……ああ」

 

 俺の言葉に、何やらレモンとエザリアが視線を交わす。

 まるで自分が言いたくないから相手にそれを言わせたいとか、そんな感じだ。

 

「レモン? エザリア?」

 

 だが、その言葉で我に返ったのだろう。やがてレモンが小さく溜息を吐いて口を開く。

 

「あのね、実はムラタが偵察部隊と一緒に移動したんだけど……」

 

 言いづらい……ではなく、言いたくないといった感じのレモン。

 それでもやがて渋々と口を開く。

 

「その、ね。ちょっとした相手を拾ってきたのよ」

「ムラタが?」

「ええ」

 

 拾ってきた? 捨て犬や捨て猫でも拾ってきたのか?

 確かにムラタにしてはらしくない行動だが、だからといってレモンやエザリアが言い渋るような内容にも思えない。

 となると、余程のもの……それこそ、ドラゴンの子供でも拾ってきたのか?

 そんな風に思ったのだが……レモンの口から出たのは、俺の予想外の言葉だった。

 

「その、実は10歳ちょっとの子供を拾ってきたのよ」

「……また、予想外な。何だ、弟子でも取る気になったのか?」

 

 そう告げ、確かにそれならあり得るかもと納得する。

 ムラタに弟子というのもちょっと想像出来ない組み合わせだが、そもそもムラタとてリシュウの弟子だったのだ。

 だとすれば、ムラタが自分の技を後世へと伝えるために弟子を取ったとしても、それは不思議でも何でもない。

 だが……レモンとエザリアは、2人揃って俺の言葉に首を横に振る。

 

「どうやら、そういうのじゃないらしいのよ。エヴァが好みそうな黒いゴスロリの服を着ていて、自分の身長よりも巨大なハルバートを持ってるの。しかも、それを軽々と振り回すくらいの膂力もあるわ」

「……ネギま世界の魔法界辺りから紛れ込んだとかじゃなくてか?」

 

 ネギの件を考えれば、向こうではその程度の膂力の持ち主は普通にいそうだ。

 だが、レモンとエザリアは再度首を横に振る。

 

「この世界の住人よ。それも、捕虜からの報告にあった亜神らしいわ」

「……ほう?」

 

 亜神。それは人のままに神の力を得た存在で、将来的には神となるらしい。

 不老という意味では、俺達と似たようなものだろう。

 だが混沌精霊の俺や、あるいは時の指輪を身につけているレモン達とは違って不老だけではなく不死でもある……らしい。

 まぁ、その辺の情報はあくまでも捕虜から得たものだけである以上、鵜呑みには出来ないが。

 だが、それでも俺達に比べると不死の分だけ一段階上の存在だというのは間違いないらしい。

 それはともかく……

 

「で、何だってそんな大物がムラタに拾われてくるんだ?」

「……何でも、武を通して絆を深めたとかなんとか」

「ああ、なるほど」

 

 そう言われれば納得がいく。

 気を使いこなすようになってきているムラタは、それこそこのファンタジーな門世界でもそれなりに上位の戦闘力を持っている。

 その拾ってきたという亜神が自分の背よりも大きなハルバートを振り回しているのなら、その点でお互いに気が合ったのかもしれない。

 ネギま世界でネギやフェイト、小太郎といった存在を知っていた事もいい方向に働いたのだろう。

 

「で、その亜神とやらはどこに?」

「アルヌスの基地よ。さすがにホワイトスターに連れてくる訳にはいかないしね」

「ふむ、そうか。ならちょっと会ってみるか」

 

 何となくそう判断し、俺はアウルをその場に残して部屋を出て行く。

 ……背後でアウルが何か騒いでいるが、俺には聞こえない。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:170
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1143

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