転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0941話

 映像モニタに映し出されている映像の中で放たれるのは、光線級のレーザーを妨害する為のAL弾。これに関しても、技術供与により以前と比べてレーザーの反射率が高く、尚且つ長時間重金属雲が発生し続けており、更に環境汚染に関しては以前のAL弾よりも軽くなっているという致れり尽くせりな仕様だ。

 この新型AL弾頭についても、今回のリヨンハイヴが実戦では初使用となる。

 勿論前もってテストを幾度も重ねているし、俺達が協力している以上は失敗作なんて事には絶対にならない。

 ただ……このAL弾頭の改良に協力したのはマリューだったのだが、そのマリュー本人はあまりいい顔をしていなかった。

 元々環境破壊とかにはいい顔をしなかったマリューにしてみれば、環境汚染を引き起こすAL弾頭の改良に協力するのは気が進まなかったのだろう。

 俺としても、どうせ光線級のレーザーを無効化するのであれば、ハイヴ奪還後の事を考えるとちょっとどうかと思う。

 だが、今回のリヨンハイヴ攻略はあくまでもこの世界の戦力のみで……具体的にはシャドウミラーの戦力を借りずに行う事を目指している。

 ここでシャドウミラーが光線級を封じる為に使っている手法でもある、ニーズヘッグやシロガネ、ニヴルヘイムを出して意図的にレーザーを集中照射させるという手法が使えない以上、従来通りにAL弾頭を使ってからリヨンハイヴ攻略に取り掛かるというのが普通の流れなのだろう。 

 既にAL弾頭以外にも軌道上から爆撃が行われており、現在は通常のハイヴ攻略の第1段階となっている。

 いや、既に海にいる戦艦から制圧射撃が行われているのだから、第2段階に入っているのか。

 

『これが、この世界のハイヴ攻略作戦……何か凄い遠回しなように見えるな』

 

 そう呟いたのは、アシュセイヴァーに乗っているムウだ。

 現在俺達がいるのは、オーストラリアにあるシャドウミラーの基地。

 それでもリアルタイムで、一切のブレもなくリアルタイムで映像が送られてきているのは、やはりフォールド通信装置のおかげだろう。

 今回に限って貸し出したフォールド通信装置は、どうやら向こうでもきちんと使用出来ているらしい。

 もっとも、量産型Wが監視している以上は貸した物をそのまま借りパク出来たりはしないのだが。

 ともあれ、現在俺達はハイヴ攻略作戦における第3段階、即ち地上制圧に入るのをこうして待っている訳だ。

 当初は向こうで用意した戦艦に乗るという案も出たのだが、こちらからいざという時の為に提供する戦力を考えると、とてもではないが戦艦の数が足りない。

 少しでも多くの戦力を必要とするEU側としては、結局戦艦に乗せるというのは諦めざるを得なかった。

 で、次に検討されたのがリヨンハイヴのすぐ近くにあるイギリスの基地に待機しておき、第3段階になったらニーズヘッグのシステムXNで転移するということだったのだが……

 ぶっちゃけ、システムXNで転移をするのなら距離に関しては意味が無いという事になり、こうして馴染み深いオーストラリアの基地で待機となった訳だ。

 

『なるほど、確かにミサイルの類も十分以上の効果を発揮しているな。完全にとはいかないが』

 

 コーネリアの言葉通り、リヨンハイヴ近くにあるケルト海のビスケー湾に停泊している戦艦から放たれるミサイルがハイヴから姿を現しているBETAへと次々に着弾、幾つもの爆発を作り出す。

 リヨンハイヴ近くという意味では、よりハイヴとの距離が近いアフリカ大陸側のバレアス海という選択肢もあったのだが、今回の件はEUがメインという事もあって、よりイギリスに近いビスケー湾に戦艦は待機する事になっていた。

 

『けど、完全にって訳じゃないよな? 結構撃墜されているし』

 

 スティングからの通信に改めて映像へと視線を向ける。新型のAL弾頭を使ったとしても、光線級を完全に無効化出来る訳ではない。たまたま重金属雲の薄い場所に光線級がいたのか、幾つかのミサイルが空中で撃破されているのが分かる。

 もっとも、光線級というのは最優先撃破目標だ。すぐにレーザーの照射元へと砲弾が放たれ、周辺諸共に消滅させているが。

 そんなミサイルや砲弾の雨も効果が十分だと判断したのだろう。次第に少なくなっていく。

 

『どうやら地上部隊が出撃するようだ。アクセル、私達の出番もそろそろなのでは?』

 

 シャドウミラーの幹部が集まっている中でも、特機であるヴァルシオン改の巨大さはかなり目立つ。まぁ、ここにいるのはシャドウミラーのメンバーだけだから気にした様子はないが。

 にしても、特機か。今のシャドウミラーにはエキドナのヴァイサーガ、ムラタのトリニティゲイン、ギルバートのヴァルシオン改の3機しか特機がないんだよな。

 いや、普通であれば特機というのはコストが莫大なものになるから、3機もいれば十分過ぎる程の戦力ではある。

 だが、ヒリュウ改やハガネを思い出すとどうしても……向こうが運用している特機の数は俺達とは比べものにならない。

 まぁ、シャドウミラーの機体はどれもが特機並みの攻撃力を持っているのを思えば、贅沢な悩みってところか? けど、特機が敵に与える心理的な威圧感ってのは馬鹿に出来ないものがあるんだよな。

 ……もっとも、BETA相手に威圧感も何もあったものじゃないのは事実だが。

 

『アクセル、どうしたの? システムXNの準備はいい?』

 

 そんな風に考えていると、ヴァイスセイヴァーに乗っているレモンからの通信。

 

「ん? ああ、いや。ちょっと考え事をな。システムXNに関しては問題ない。いつでも起動可能だ」

『そう? メギロートとイルメヤ、量産型Wの方も準備は出来ているからいつでもいいわよ』

 

 レモンの言葉を聞き、ニーズヘッグの映像モニタに周囲の様子を映し出すと、そこにはシャドウミラーが誇る主戦力がそれぞれ準備万端整え、綺麗に整列して存在していた。

 ちなみに、結局数にしては全部合わせて1万機程度となっている。

 これはアンバールハイヴを攻略した時に用意した戦力だとこちらの数が多すぎて、最終的には手透きの者がかなり出たという理由もある。

 本来であれば、反応炉を破壊した後で四方八方に逃げ出すBETAに対する追撃戦力というのも考えていたのだが、何しろメインホールでBETAを誘き寄せるという戦術を確立した事もあって結局は反応炉破壊後にハイヴから逃げ出すBETAの数は驚く程少なく、その逃げ出した相手にしても主に地上戦力として残っていたイルメヤや、中東連合、アフリカ連合の戦力によって全て撃破されている。

 それを思えば、今回はEU側で戦力を用意してある以上は1万機で足りるという判断でこの数となった。

 もっとも、EUの場合は主戦力がEF-2000を始めとした戦術機であるのを考えれば、俺達と同じようにメインホールでBETAを殺し尽くすという真似は出来ないだろうが。

 そもそも、新型戦術機のEF-2000にしたってようやく生産が本格化されたばかりであり、依然として第2世代戦術機、中では第1世代戦術機が主戦力となっているところもある。

 それを思えば、俺達と同じ戦術を採るというのはまず無理だ。

 つまり、速攻で反応炉を破壊してBETAをハイヴから追い出すというのが目的となる。

 まぁ、BETAが地上に出てくればガン・ルゥやリニアガン・タンクという戦力があるので、殲滅するのは無理でも圧倒的な戦果を上げる事は出来るのは間違いない。

 

『アクセル、始まったわ。空母から戦術機が発進したのを確認。それと同時に揚陸艇でリニアガン・タンクとガン・ルゥ部隊の出撃も確認』

 

 マリューからの通信に頷く。

 ちなみに、今回はニヴルヘイムは待機だがシロガネは出撃する。

 何しろ俺達の移動基地的な役割もあるしな。補給をする場所は必須だ。

 ……まぁ、シロガネやニーズヘッグが出た時点で光線級や重光線級の攻撃が集中するのは確実だ。

 一応シャドウミラーが手を出せば向こうの報酬が減るんだが、シロガネに関してはあくまでも俺達の移動基地的な存在であるとして、例外的な扱いとなった。

 勿論攻撃しないでレーザーを防ぐ事だけしか許可されてないけどな。

 だが、この世界の住人にしてみればいざという時に上空から援護射撃をして貰えるという事でもあり、それが今回のリヨンハイヴ攻略戦に参加する軍人達の士気を上げているというのも事実。

 お互いにWIN-WINな関係であると言えるだろう。

 いやまぁ、こっちにWINと言える程の得があるかと言われれば、首を傾げざるを得ないが。ただ、それでもやっぱりシロガネは必要不可欠な存在だ。

 

「マリュー、向こうからの要請は?」

『ちょっと待って頂戴。……来たわ。シャドウミラーの出撃要請よ。前もって契約した通り、ハイヴ内に突入する部隊や周辺の部隊にシャドウミラーの機体を付けて欲しいという要請』

「そうか。よし、全機聞いていたな。前もっての契約通りにリヨンハイヴ攻略戦に俺達も参加する。だが、今回は今までとは違ってあくまでも俺達の役目はいざという時のフォローだ。各人、前もって知らされている部隊と共に行動するように。ただし、こちらからの攻撃は原則禁止。自分の身が危険な時のみ許可されているのを忘れるな」

 

 自分の身が危険な時のみ攻撃をしてもいいというのは、最後の最後まで国連と揉めた項目だった。

 だが、この世界の戦力を見捨てるのも忍びないし、そもそもそんな真似をすれば人類の戦力が減ってしまう。

 それを回避する為に、いざという時フォロー出来るようにこの項目を設定させてもらった。

 ……まぁ、EUを始めとした戦力を考えれば、この項目が活用されるのは恐らくハイヴ内に突入した部隊になるだろう。

 ハイヴの外で敵の数を減らす部隊は、基本的には戦術機もそうだがリニアガン・タンクやガン・ルゥの火力を使った攻撃がメインになる筈なのだから。

 ああ、それと戦艦からの援護射撃もあるか。

 その辺を思えば、やっぱり今回一番難易度が高いのはハイヴ突入組なんだよな。

 ともあれ、そんな俺の言葉に皆が頷いているのを確認する。

 

「よし、なら転移するぞ。システムXN起動。転移座標入力。転移フィールド生成開始」

 

 その言葉と共にニーズヘッグを中心として光の繭のような転移フィールドが爆発的に広がり、シャドウミラーの各機、そしてメギロート、イルメヤ、シャドウ、シロガネをも飲み込んでいく。

 

「転移」

 

 その一言と共に転移が完了し、俺を含めたシャドウミラー各機はリヨンハイヴから少し距離のある場所へと姿を現していた。

 

「国連軍、並びに欧州連合軍、聞こえているか。こちらシャドウミラーのアクセル・アルマーだ。前もっての契約通りに転移は完了した。これから動き出すが、何かアクシデントの類はあるか?」

 

 フォールド通信システムを使って呼びかけると、すぐに映像モニタに50代程の白人の男が映し出される。

 

『こちら国連大西洋方面総軍、第一軍のリルノア・クロム中将。現状で特に問題無し。作戦のタイムテーブル通りに進んでいるので、シャドウミラーもその通りに動いて欲しい』

 

 ふむ、アクシデントの類は無しか。まぁ、良かったと言うべきか。

 

「了解した。聞いたな、シャドウミラー全軍。全て作戦前に説明した通りに動くように。BETA共に間抜けな姿を見せるなよ。そんな真似をしたらニーズヘッグとの模擬戦をやってもらうからな」

『うげ、それはゴメンだ』

『そうか? 寧ろ俺はニーズヘッグと模擬戦が出来るのなら望む所だが』

『む、ライバルがいたか』

 

 ムウがぼやき、イザークとムラタがそれぞれ呟いているのを聞きながら、思わず口元に笑みが浮かぶ。

 

「いいか、この戦いで死ぬような真似は絶対に許さない。俺達が戦い抜いてきた戦場に比べれば、BETAの相手をするのはそれ程難しくない筈だ。くれぐれもドジを踏むなよ。……では、作戦開始!」

 

 その言葉と共に、それぞれの機体が一気に散って自分の担当している部隊と合流すべく移動を開始する。

 それを見ながら、俺はシロガネの甲板の上へと向かう。

 本来であれば俺もどこかの部隊と共に行動するつもりだったのだが、シャドウミラーの代表である俺がお守りをするというのは色々と問題があるらしいという事で、結局シロガネでの待機となってしまった。

 まぁ、何かあったらすぐに出て行ける予備戦力だと考えれば、それ程不思議じゃないんだけどな。

 特にニーズヘッグの場合は一騎当千、万夫不当の戦力を誇るのだから。

 そんな風に思いつつ、俺はこの世界で初めて達成されるだろうマブラヴ世界の住人だけの力によるハイヴ攻略を見届けるべく戦場を見下ろすのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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