転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0949話

 ニーズヘッグが宇宙を舞う。ヒュドラのスラスターとエナジーウィング、ツイン・ドライブの効果が重なって、その速度はまさに天井知らずと言ってもいい程のものだ。

 そのままの速度でスペースデブリが大量に浮かんでいる岩礁地域へと突っ込む。

 ユニウスセブンの残骸すらも流れ込んできているデブリベルトだけに、もしも普通の機体がこの中に突っ込めば無事に出る事はまず不可能だろう場所。

 そんな中を、俺はEフィールドや念動フィールド、G・テリトリーのようなバリアの類すらも完全に切って飛んでいた。

 唯一稼働しているのは、T-LINKフレームの影響で機体を起動した時に起動するPS装甲のみ。

 瞬間的に映像モニタに映し出されたのは、20m程の長さを誇る宇宙戦艦の物と思われる装甲板。その装甲板が間近に迫ってきたのを、エナジーウィングで強引に機体の方向を変え、細かい制御はヒュドラのスラスターを使いつつ回避する。

 その装甲板を回避したかと思えば、次に姿を現したのは5m程の大きさの岩塊。今度はエナジーウィングを使わぬままに、ヒュドラと機体各所に備わっているスラスターを使いながら、まるで岩塊の表面をなぞるようにして50cm程の距離で回避する事に成功した。

 50cmと言えば随分大きく回避していると思う者もいるかもしれないが、ニーズヘッグのような人型機動兵器に乗っての50cmともなれば、生身で0.5mm……いや、0.01mmと言っても過言ではない程の極限の回避だ。

 普通ならまず無理な回避方法だが、幸いこのニーズヘッグはT-LINKシステムが備わっている。

 俺の念動力がT-LINKシステムによって機体その物を自分の皮膚であるかのように感じられるまでに浸透しているおかげで、このような真似が出来るようになっていた。

 その後も無数に飛んでくる岩塊や、宇宙で行われた戦闘の結果生み出されたMSやMA、あるいは戦艦のパーツといったデブリを回避しつつ、一切速度を落とさないままにデブリベルトの中を突き進む。

 普通のパイロットであれば絶対に無理だと、自殺行為でしかないと言い切るだろう。

 自分でもそれだけのマニューバでデブリベルトの中を文字通りの意味で縫うようにして飛んでいるのが分かる。

 ……だが、ここまではこれまでのままでも出来た動きだ。問題は、ここから。

 デブリベルトを抜けたところで、シロガネでこちらの状況を見守っているレモンへと通信を入れる。

 

「レモン、準備はいいか?」

『ええ。計測装置は全て正常に稼働中。……言うまでもないけど、気をつけてよ。こんな場所でアクセルを失う訳にはいかないんだから』

「大丈夫だ、問題は無い。俺に物理攻撃の効果がないってのは知ってるだろ? 真空の宇宙空間でもパイロットスーツ無しで宇宙遊泳してやるよ」

 

 そう言うものの、今の俺はパイロットスーツを身につけている。

 勿論俺が望んでの事ではない。というか、そもそもこのパイロットスーツは俺の身を守る為の物ですらない。

 あくまでも、ニーズヘッグのコックピットに掛けられるGを始めとした、各種数値を計測する為のものだ。

 

『そう言えばそうだったわね。まぁ、それでも恋人の心配くらいはしてもいいでしょ。……さて、話はここまで。いよいよね』

「ああ、お前達技術班のG元素研究の結実。その一端だ。……行くぞ!」

 

 その言葉と共に、T-LINKシステムによる機体制御でブラックホールエンジンの稼働率を次第に上げていく。30、40、50、60、70、80、90、100。

 以前のブラックホールエンジンであれば、100%稼働を確認。

 同時にT-LINKシステムによる制御で、本来であればフルドライブ状態になったトロニウム・エンジンにメイン動力炉が変更するのを防ぐ。

 そして……

 ……110、120……

 よし、来た!

 

「ブラックホールエンジン、規定値を突破! グレイ・イレブンの触媒効果の稼働を確認! 観測は!」

 

 デブリベルトのような障害が何も存在しない宇宙空間を斬り裂くかのように飛びつつ、シロガネでこちらの状況をモニターしているレモンへと報告する。

 

『こっちでもきちんと確認しているわ。とにかく今は機体におかしな場所がないかの確認を最優先にしてちょうだい!』

「分かった!」

 

 レモンの言葉に短く答え、T-LINKシステムにより機体に異常がないのかを注意深く確認する。

 念動力により、ニーズヘッグそのものが俺自身の身体であるかのように感じ取れるというこの状況は、映像モニタに映し出されている数値の異常といったもので確認しなくても本能的な違和感として察知出来る。

 そういう意味では、ニーズヘッグで新技術を試すというのは悪くない……いや、寧ろ異常を察知しやすいという意味ではこれ以上ない程に合っているのだろう。

 そんな風に考えつつも、ブラックホールエンジンの稼働率が以前の120%、つまり1.2倍になっているのを確認し、他の場所に何か異常がないかを注意深くチェックしていく。

 勿論グレイ・イレブンを使ったブラックホールエンジンのパワーアップに関しては、これが最初ではない。寧ろ、これが最終試験という扱いであり、技術班が魔法球の中で他のブラックホールエンジンを使って十分に試験済みだ。

 だが、当然ニーズヘッグに積み込んで宇宙空間で実際に試験をするというのは初めてであり、だからこそ物理攻撃を無効化出来る俺がテストパイロットをやっているんだろうが。

 いやまぁ、それ以前にニーズヘッグはT-LINKシステムによる操縦者認証があるし、そもそも機体制御の殆どをそのT-LINKシステムによって行われているのだから、どうしても俺が試すしかないんだが。

 そのまま宇宙空間そのものを斬り裂くかのような速度で飛び続け、ヒュドラのスラスター、ツイン・ドライブ、エナジーウィング、更にはPS装甲といったものを稼働し続けても、取りあえず不具合の類はない。

 10分程が経ち、改めてシロガネでデータを取っているレモンへと通信を送る。

 

「ブラックホールエンジン異常なし。増加した出力の分、他のパーツとの連動に関しても特に違和感はない」

『そう、取りあえずは一安心ね』

 

 安堵の息を吐くレモン。

 自分達が開発し、更には起動試験も幾度か行っている。そうである以上、深刻な心配はしていなかったのだろうが、何しろ組み込んだのはBETAの生み出すG元素だ。

 これまでにもレモンはシャドウミラーの技術班を率いる者として、異なる技術の融合を行ってきた。

 SEED世界のPS装甲を含めたT-LINKフレーム、Nジャマーを改良したNジャマーⅡ、ギアス世界のエナジーウィング、ネギま世界のグレートグランドマスターキー、シュウから得たネオ・グランゾンのバリオン創出ヘイロウ等々。

 まぁ、バリオン創出ヘイロウに関しては、正確にはそのまま技術を流用したのではなく小型化して新しく開発したと表現した方がいいんだろうが。

 それでも、色々な技術の組み合わせをやって来たレモンにして、今回のG元素であるグレイ・イレブンを触媒という形にしてブラックホールエンジンに組み込むのはかなりの難関があったのだろう。

 BETAの技術――正確には技術ではないが、敢えて技術と呼ぶ――であるG元素というのは、それだけ異形なのだ。

 もっとも異形の技術という面では、ネギま世界のグレートグランドマスターキーに関してもそう大差はないだろうが。

 だが、一応人間というか魔法使いというか、意思疎通の出来る人物が生み出したグレートグランドマスターキーに比べ、G元素というのは全く意思疎通の出来ない化け物と表現出来るBETA由来の物質だ。

 それを思えば、心配するのは当然なのだろう。

 これまでの実験で上手くいっていたからといって、今回のテストでも上手くいくとは限らないのだから。

 

『アクセル、標的を出すわよ』

「了解」

 

 レモンの言葉と共に、シロガネから射出される幾つものドローン。

 まず最初ということで、直線的に飛んでいるその無人機へとヒュドラのビーム砲を放つ。

 宇宙空間を奔る6条のビームが、瞬時にドローンを消滅させる。

 

『次』

 

 その言葉と共に、再び射出されるドローン。

 今度はある程度の軌道を入力されているらしく、10以上のドローンはそれぞれが独自の軌道を描きながら離れて行く。

 その全てをT-LINKシステムによる機体制御により、ドローンの進行方向を先読みするかのようにビームを発射。そちらもまた全てが破壊された。

 よし。機体制御に関して、特に違和感の類はないな。

 安堵の息を吐きつつ、次に射出されるドローンを待ち……

 

『次』

「……マジか」

 

 レモンの声と共に射出されのは、ドローン……ではなく、メギロートだった。

 いやまぁ、無人機という意味ではドローンと言っても間違いではないのかもしれないが。

 

『攻撃も何もしてこない相手を一方的に撃つだけじゃ面白くないでしょ? ああ、言っておくけどメギロートは全力で攻撃するように入力してあるから』

「お前、実は何か怒っていないか?」

『あら、何か怒られるような自覚でもあるのかしら?』

「いや、別にそういうのは特にないが……な!」

 

 メギロートから放たれたサークル・レーザーを、潜り抜けるようにして回避。そのまま相手との距離を縮めていく。

 近寄らせまいとするように、メギロートから放たれる幾つものサークル・レーザー。

 だが、その攻撃速度よりもニーズヘッグの機動力と運動性能の方が速い為か、全く当たる事はない。

 そのまま距離を縮め、通り抜け様にエナジーウィングでメギロートの機体を真っ二つに斬り裂いてく。

 数秒後、俺が通り過ぎた後で爆発が巻き起こっていた。

 

『はい、ご苦労様。これで大体の検査は終了ね』

 

 ニコリとした笑みを浮かべるレモンだが……本当に何も怒っていないんだろうな? その辺が正直微妙だが。

 

『さて、じゃあ最後よ。分かってる?』

「ああ。デブリベルトだな」

 

 最初に腕鳴らしとして突っ込んだデブリベルト。

 だが、あの時のブラックホールエンジンはG元素を触媒として使った領域には踏み込んでいなかった。

 つまり、今回のこれがその最初になる訳だ。

 まぁ、個人的には心配していない。これまでの操縦でブラックホールエンジンをフルドライブさせても特に影響がないというのも理由だが、何よりも最大の理由としては、これを作り上げたのがレモン率いる技術班だからだ。

 その時点で、俺としては全面的に信頼しても全く不安はない。

 これまでにも幾つもの発明をしてきた技術班の能力を信用しているし、何よりもレモンの技術者としてのプライドが未完成品に俺を乗せるという事を許さない。

 ……その中に恋人であるという要素が影響しているのがあるのも間違いないだろうが。

 

「よし、行くぞ」

『ええ、気をつけてね』

 

 交わす言葉はそれだけ。

 レモンの後ろでは、マリューもまた心配そうにこちらを見守っている。

 そんなマリューに小さく笑みを浮かべ――パイロットスーツを着ているので分からなかったかもしれないが――ニーズヘッグをデブリベルトの方へと改めて向ける。

 

「さて、行くぞニーズヘッグ。お前の力を見せてみろ」

 

 その言葉と共に、T-LINKシステムによる機体制御でツイン・ドライブが全開になり、見る間にデブリベルトが近づいてくる。

 岩塊の密集している地域へと……一瞬の躊躇すらもなく、ニーズヘッグは突入した!

 速度自体は最初にデブリベルトに突っ込んだ時と比べると、それ程上がっている訳では無い。

 確かにグレイ・イレブンを触媒とした影響により、ブラックホールエンジンの出力自体は前と比べて120%まで上がっているが、その全てが推力に回されている訳ではないのだから。寧ろ、機体制御に伴う重心の変化に際するカウンター的な場所や、各種武器に対するエネルギー供給、あるいはいざという時の予備といった場所にも流用されている。

 もっとも、それでも以前より推力が増したのは確かであり、フルドライブ状態でデブリベルトに突っ込んで行くのはさすがに色々と緊張するのだが。

 そんな風に思っている間にも、急速にニーズヘッグへと近づいてくる岩塊。いや、ニーズヘッグが岩塊へと近づいてくのを、エナジーウィングを使って機体を斜めにする事で回避する。

 だが、それでは終わらない。今回避したのとは別の、半分程の大きさの岩塊が目の前に現れる。

 その岩塊をヒュドラのスラスターを使って表面をなぞるかのような軌道で回避。

 次に現れたのは、ジンの残骸。右手と左足が丸々焼失しており、特徴的なトサカの生えた頭部も半分近く焼失している。コックピットブロックの収まっている胴体部分が無傷なのを考えると、パイロットは脱出出来ずにあの中で死んでいるのだろうか。

 そんなジンの真横を通り過ぎ、ユニウスセブンのものと思われるニーズヘッグと同程度の大きさのコロニーの破片が近づいてくるのを、幾つも機体に備えられているスラスターを使って回避しながら突き進む。

 延々とそんなデブリベルトを突き進み続け……やがてその中を貫くかのように潜り抜けたのは、10分程後の事だった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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